中国ビジネスの助けに!酒にまつわる中国語【成語と俗語】5選

みなさん、こんにちは。上海で日本酒ビジネスに関わっているつっつんです。

仕事柄、中国の方と酒席をともにすることも時折(毎晩ではありません、決して…)あります。

お酒が入り話も盛り上がって来たときにネイティブが自然と口にする中国語の成語・俗語。今日は、わたしたちも覚えていたら現地の方とすご~く距離を縮められるかも知れない、酒にまつわる成語&俗語をご紹介します。

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①对酒当歌(duì jiǔ dāng gē)

まずは読んで字のごとく、酒に対してはまさに歌うべし。限りある人生、楽しもうじゃないか。

多少、享楽主義の感もありますが、「人生いろいろあるけど、对酒当歌。今日は飲むぞ!」と現地の方と酌み交わせば、距離が縮まること間違いなし。

縮まりすぎて朝まで帰してもらえないということのないように!出典は三国時代の英雄・曹操の詩とのこと。「对酒当歌、人生几何」と続きます。

「人生いくばくぞ」などという、ちょっと自棄(やけ)とも愚痴とも取れる詩ですが、勇猛果敢にして英断即決の印象が強い稀代の英傑・曹操も三国の戦乱の中、ストレスフルな日々を送っていたのかもしれません。あの曹操ですらそうなんだから、われらもたまには羽目をはずして…いやいやお酒は楽しく適量に!

②今朝有酒今朝醉(jīn zhāo yǒu jiǔ jīn zhāo zuì)

目の前にあるものに飛びついて先のことを考えない、という意味。朝まで飲みまくったけどグラスにまだ酒が残っている、酔ったままさらに飲むか、という意味ではありません(まあ当たらずとも遠からず…?)。

ビジネスの世界では「不看远不行」みたいに言うことが多いですがその俗語バージョンでしょうか。

日本の民謡「会津磐梯山」にも主人の小原庄介さんを評し「♪朝寝朝酒朝湯が大好きでぇ」と出てきて、つっつんなど「朝酒が許される環境」を夢想して羨んでいましたが、そのあとはご存じ「それで身上潰したぁ」と続くんですね。今朝有酒今朝醉、身近にある誘惑に負けそうになった時に思い出したい俗語です。

③酒不醉人人自醉(jiǔ bú zuì rén rén zì zuì)

誰でもお酒が入ったら気が大きくなるもの。普段は言えない自惚れや自慢話がしたくなります。飲んだ時に自己陶酔に陥っている状態がこれ。

「酒が人を酔わすのではない、人が自らに酔っているのだ」。多少の放言はご愛敬。ただ、みんなが笑って聞ける許容範囲を超えたとき、だれも突っ込むことができないとき、これがすっと言えたら場は盛り上がりること必至(言われた本人の許容範囲が広ければですが)。

しかし、中国の方は度量が大きいのか、延々と続く他人の自慢話、ご高説にも辛抱強く相槌を打っている風景が多々見られます。もっとも最近は隣の席の人だけがロックオンされ、その他はみんなスマホに逃げているという光景も。

④酒逢知己千杯少(jiǔ féng zhī jǐ qiān bēi shǎo)

「酒は知己に逢えば、千杯少なし」。互いに意気相通ずる同士が酒を酌み交わせば、いくら飲んでも足りるということがありません。

こういう、男気溢れる言い方は中国のビジネスの場ではとくに歓迎されるもの。

最初はとっつきにくいと思った取引先やマイナスから始まった仕事の関係でも、ここぞというときにこれを出して逆転を狙うというのもありかも知れません。

ちなみに、つっつんは「お前は誰と飲んでも千杯少なしだろ」とただの酒飲みの烙印を押されたことが(笑)。話をもどして、「千杯少」の後は、「话不投机半句多」と続きます。ウマが合わない人との会話は半句でも多い。人間関係を端的に表した効果的な表現です。

⑤敬酒不吃吃罚酒(jìng jiǔ bù chī chī fá jiǔ)

直訳すると「祝杯を飲まずに罰杯を飲む」となり、「丁寧に勧められると断るが、強く頭ごなしに押しつけられ受け入れる」ということです。一般的に、人の好意を理解できず後で痛い目を見るというように解釈されるようです。

どのビジネスの現場でも、「あの時に先方の要求を受けておけば、もっとうまくいったのに…」というシーンは多々あるかと。この俗語は前に「不要」「別」を付けて使われることが多く、「敬酒不吃吃罚酒」とならないよう判断は慎重かつ果断に行いたいものです。

敬酒とは、相手を敬い酒を勧めるという意味。中国の酒席ではこれをされたら一般的には飲み干さなければ失礼に当たります。飲みたくない酒は飲まなくてもいいですが、相手のメンツを立てつつうまい断り方をするのもビジネスの場では大切なマナー。

そのスキルはまた機会があればお伝えします。つっつんは敬酒をされても、もちろん断ったことがありませんが(笑)!

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さて、一部でしたが酒にまつわる中国成語・俗語、楽しんでいただけましたでしょうか?

よく言われるように食事の場で、お酒の席で決まるという中国の商談。

しかしそれは、双方の間にある程度の関係性ができた場合のこと。その関係性をつくるツールのひとつが酒であり、その場の会話です。単純な意思疎通のツールとしての語学力だけでなく、相手のキャラクターを読み取る力、そこに合わせた適当な会話を当てていく力がビジネスの場では必要だと日々精進を重ねるつっつんです。

でもうまく会話が盛り上がらないときは、对酒当歌!飲んで歌ってごまかすのもスキルの一つ。あ、みなさんはマネをされませぬよう(笑)。

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つっつん

北海道真狩村出身。2003年、大学院在学中に日中友好協会の奨学生として北京外国語大学に1年留学。リクルートなどを経て、現在は日本の酒メーカーの中国総経理。中国駐在10年目。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。趣味はカラオケ、能楽、飲み歩き。大阪大学文学部卒。同大学院文学研究科修了。

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