【中国語】成語とは?7つの構造パターンで徹底紹介<主述、連述、修飾、動賓、動補、連合、兼語>

こんにちは。テツジンです。

中国人は一般的に日常会話でよく成語を使いますか?」という質問があります。

結論から言えば、中国人は日常生活で成語を多用しており、特に講演やスピーチのなかでは四字故事成語を好んで使います

中国語には、成語が3万語以上あると言われており、それら多くは四字熟語として知られています。成語は古くから伝わるもので、これらの成語には深い意味や知恵が含まれています。

成語を正しく理解し、使いこなすことは中国語学習において重要です。

本記事では、主に四字熟語として使われている成語の構造を7パターンに分けて説明します。その後、各構造パターンの成語を使用した具体的な例文をいくつか紹介し、学習者がこれらの成語を実際に使用できるようになることを目指します。

成語とは

成語(セイゴ)と言えば、四字熟語を思い浮かぶかもしれませんが、【文献7】に基づけば、成語には三字熟語から十四字熟語まであります。例えば、下記の、私が好きな成語は7字熟語です。

  • 放之四海而皆准
  • fàng zhī sìhǎi ér jiē zhǔn
  • 普遍性をもち、世界中どこにでも適用できます。

多くの場合、成語は歴史的な出来事や古典文学に由来しています。成語の定義は様々で、成語に明確な定義を与えることは容易ではありません。今回、以下の2つの定義を紹介します。

言語学者の馬国凡氏によれば

成语是人们习用的、具有历史性和民 族性的定型词组;汉语成语以单音节构成成分为主,基本形式为四音节。(成語は人々が習慣的に使用し、歴史性と民族性を具えた定型フレーズである;中国語の成語は単音節の構成要素を主体 とし、 4音節を基本形式とする。)(【文献4】)

デジタル大辞泉 によれば

  • 古くからひとまとまりで慣用的に用いられる言葉。ことわざ・格言の類。「故事成語」
  • 二語以上が結合して一つの意味を表す、熟語や複合語などのこと。

様々な文献資料を調べれば分かるように、圧倒的に多い成語は四字熟語です。以下では、四字熟語を中心として、成語の構造パターンについて紹介します。成語の構造パターンは大きく7つに分けることができます。

成語の構造パターン1:主述構造

主述構造(主谓结构zhǔ wèi jiégòu)は、成語の前の部分は陳述・説明される対象であり、成語の後の部分は人あるいは事物の動作・作用・性質・状態などを叙述し、前の部分を陳述・説明します。

  • 杞人忧天 qǐ rén yōu tiān:根拠のない心配をすること。
  • 笨鸟先飞  bèn niǎo xiān fēi:能力が劣っているからこそ、人より早く努力すること。
  • 五体投地 wǔ tǐ tóu dì:(比喩的に)心の底から感服し頭が下がること。

主述構造は分かりやすいです。具体的に「杞人忧天」を例にとると、「杞人」(杞の国の人)が主語、「忧天」(天を心配する)が述語の主述構造となっています。昔、杞の国の人が天が落ちてこないかと心配し、飯も食べられず、夜も眠れないほどになったという故事が語源です。

例文1

  • 没必要杞人忧天,船到桥头自然直。 
  • Méi bìyào qǐ rén yōutiān, chuándào qiáotóu zìránzhí
  • 根拠のない心配をする必要はありません。何とかなりますよ。

例文2

  • 因为我天资不够聪明,所以我会笨鸟先飞,比别人付出更多的努力。
  • Yīnwèi wǒ tiānzī bùgòu cōngming, suǒyǐwǒ huì bènniǎo xiānfēi, bǐ biérén fùchū gèngduō de nǔlì
  • 私は生まれつき才能があるわけではないので、人より早く努力するつもりです。

例文3

  • 我对那位学者佩服得五体投地
  • Wǒ duì nà wèi xué zhě pèi fú de wǔ tǐ tóu dì
  • 私はあの学者に心から敬服しています。

成語の構造パターン2:連述構造

連述構造(连谓结构lián wèi jié gòu)は、四字熟語の前半2文字と後半2文字はそれぞれ独立しており、分割後もそれぞれで意味が通じます。前半と後半の2文字に必ず動詞が1つあるのが特徴です。

  • 画蛇添足 huà shé tiān zú:(蛇を描いて足を添える→)余計なつけ足しをすること。
  • 挙一反三 jǔyīfǎnsān:一つのことから三つのことを導き出すこと。
  • 水到渠成 shuǐdàoqúchéng:(水の流れて行くところには自然に溝ができる→)時機が熟せば物事は自然に成就すること。

連述構造は分かりやすいです。具体的に「画蛇添足」を例にとると、前半2文字「画蛇」(蛇を画く)と後半2文字「添足」(足を描き加える)はそれぞれ独立しており、分割後もそれぞれで意味が通じる連述構造となっています。蛇の絵を早く書き上げる競争で、早くできたものが蛇に足を描き加えて失敗したという故事が語源です。

例文1

  • 演讲时应该力求简捷,不能画蛇添足
  • Yǎn jiǎng shí yìng gāi lì qiú jiǎn jié ,bù néng huà shé tiān zú
  • スピーチをする時、極力要点を突くように心がけ、余計なつけ足しをしないことです。

例文2

  • 他的思维非常敏捷,总能挙一反三
  • Tā de sīwéi fēicháng mǐnjié, zǒngnéng jǔyīfǎnsān
  • 彼の思惟は非常に敏捷で、いつも一つのことから三つのことを導き出すことができます。

例文3

  • 我不期盼急于求成,相信水到渠成的道理。 
  • Wǒ bù qīpàn jíyú qiú chéng, xiāngxìn shuǐ dào qú chéng de dàolǐ
  • 私は急いで成功を求めることを望まないで、時が来れば自然と成功するという考えを信じています。 

成語の構造パターン3:修飾構造

修飾構造は、中国語では「偏正结构piānzhèng jiégòu」と呼び、中国語の基本的な統語構造の一つです。修飾構造の特徴は、修飾語と被修飾語を持ち、二つの成分が「修飾(限定)するもの+修飾(限定)されるもの」の関係で結ばれます。修飾構造の四字熟語には、助詞「」が付くものが多いです。

  • 恻隐之心cè yǐn zhī xīn:かわいそうだと思う心、他人の不幸に同情を表明すること。
  • 吹灰之力chuī huī zhī lì.:(一片のほこりを吹き払うのに要する力→)ごくたやすいこと。
  • 后顾之忧 hòu gù zhī yōu:後顧の憂いがないこと。

具体的に「恻隐之心」を例にとると、「心」は被修飾語で 「恻隐」(人をいたわったり、思いやること)は修飾語である修飾構造となっています。孟子の性善説の四端説の一つで、「惻隠の心は仁の端なり」を略した言葉語源です。

例文1

  • 参观灾区之后,他的恻隐之心被深深触动。
  • Cānguān zāiqū zhīhòu ,tā de cèyǐn zhīxīn bèi shēnshēn chùdòng
  • 被災地を見学した後、彼のかわいそうだと思う心は大いに揺さぶられました。

例文2

  • 他不费吹灰之力就完成了这件工作。
  • Tā bù fèi chuī huī zhī lì jiù wán chéng le zhè jiàn gōng zuò
  • 彼はごくたやすくこの仕事を完成しました。

例文3

  • 解决了家庭问题,我就没有了什么后顾之忧,可以专心工作了。
  • Jiějué le  jiātíng wèntí, wǒ jiù méiyǒu le shénme hòugù zhīyōu, kěyǐ zhuānxīn gōngzuò le
  • 家庭問題が解決され、私は何か心配することなく、仕事に専念できるようになりました。

成語の構造パターン4:動賓構造

動賓構造(动宾结构dòng bīn jié gòu)は、動目構造とも言います。動賓構造は、述語(動詞)と目的語がありますが、主語と補語がないのが特徴です。

  • 明察秋毫  míng chá qiū háo:眼力があり、細かいことまで洞察する能力があること。
  • 平分秋色 píng fēn qiū sè:二つのものが互角であること。
  • 包罗万象 bāo luó wàn xiàng:あらゆるものが含まれていること。

動賓構造も分かりやすいです。具体的に「明察秋毫」を例にとると、「明察」(ものごとをはっきりと見抜く)が述語で、「秋毫」(秋になって新しく生え変わる鳥獣の細かい毛)が目的語の動賓構造となっています。どんな小さなことも見逃さない、洞察力にすぐれていることを表し、『孟子』の梁・恵王(リョウ・ケイオウ)章句・上に出ている言葉語源です。

例文1

  • 那位法官是一个明察秋毫的人,总能发现问题所在。 
  • Nàwèi fǎguān shì yī gè míng chá qiū háo de rén, zǒng néng fāxiàn wèntí suǒzài
  • あの裁判官は細かいところまで気がつく人で、いつも問題点を発見します。

例文2

  • 这场排球比赛,双方实力相当,打得难分难解,最终平分秋色。 
  • Zhè chǎng páiqiú bǐsài, shuāngfāng shílì xiāngdāng, dǎ dé nánfēn nánjiě, zuìzhōng píng fēn qiū sè
  • このバレーボール試合は両チームの実力が拮抗しており、最後まで白熱した戦いとなりました。

例文3

  • 这本百科全书内容包罗万象,几乎涵盖了所有知识领域。 
  • Zhèběn bǎikē quánshū nèiróng bāoluówà xiàng, jīhū hángài le suǒyǒu zhīshì lǐngyù
  • この百科事典は内容が豊富で、ほとんどすべての知識分野を網羅しています。 

成語の構造パターン5:動補構造 

動補構造(动补结构dòng ǔ jiégòu)は、字面の通り、動詞の後ろに補語がついているのが特徴です。

  • 料事如神 liào shì rú shén:(事を推し量ること神のごとし→)予想がぴたりと当たること。
  • 处变不惊 chǔ biàn bù jīng.: 異変に遭遇してもあわてないこと。
  • 颠簸不破 diān bǒ bù pò:困難や大変なことがあっても破れないこと、負けないこと。

動補構造は複雑ではなく分かりやすいです。具体的に「料事如神」を例にとると、「料事」が動詞で、「如神」が補語の動補構造となっています。

例文1

  • 那位学者料事如神,他的预测都应验了。
  • Nàwèi xuézhě liàoshì rúshén ,tāde yùcè dōu yìngyàn le
  • あの学者の事を推し量ることは神の如く、彼の予想はすべて当たりました。

例文2

  • 面对纷繁复杂的时代,我们要有处变不惊的能力。
  • Miànduì fēnfán fùzá de shídài ,wǒmen yàoyǒu chǔ biàn bù jīng de néng lì
  • 入り組んで複雑である時代に直面し、異変に遭遇してもあわてない能力を持つべきです。

例文3

  • 我们之间的友情颠簸不破,无论经历什么都不会改变。  
  • Wǒmen zhījiān de yǒuqíng diān bǒ bù pò, wúlùn jīnglì shénme dōu bù huì gǎibiàn
  • 私たち二人の友情は非常に強固で、どんなことがあっても変わりません。 

成語の構造パターン6:連合構造

連合構造(联合结构lián hé jiégòu)の四字熟語は、同じレベルの単語2つあるいは4つが組み合わせているのが特徴です。

  • 古今中外gǔ jīn zhōng wài:(事物の範囲が)古今東西にわたること、古今中外にわたること。
  • 酸甜苦辣suān tián kǔ là:(酸っぱい・甘い・苦い・辛いなどのいろいろな味→)この世のつらいこと楽しいこと。
  • 琴棋书画qín qí shū huà :琴と碁と書と画、高尚な遊び。

連合構造は非常に分かりやすいです。具体的に「古今中外」を例にとると、同じレベルの「古」「古」「中」「外」が組み合わせて連合構造となっています。

例文1

  • 不论古今中外,要想成功,需要不懈努力。
  • Bùlùn gǔjīn zhōngwài ,yào xiǎng chéng gōng ,xū yàobù xiè nǔ lì
  • 古今東西を問わず,成功するためにはたゆまなく努力する必要があります。

例文2

  • 那位作家成名之前,尝尽了人世间的酸甜苦辣
  • Nàwèi zuòjiā chéngmíng zhīqián ,chángjìnle rénshìjiān de suāntián kǔlà
  • あの作家は名を成す前は、この世のつらいこと楽しいことをなめ尽くしました。

例文3

  • 他多才多艺,琴棋书画无所不能样样精通。
  • Tā duō cái duō yì ,qínqí shūhuà y wúsuǒbùnéng àngyàngjīngtōng
  • 彼は多彩多芸で、琴と碁と書と画などできないものはなくすべて精通しています。

成語の構造パターン7:兼語構造

兼語構造(兼语结构jiān yǔ jié gòu)の四字熟語には、2つの動詞があり、1つ目の動詞の後の目的語が、2つ目の動詞の主語となります。すなわち、1つ目の動詞の目的語が2つ目の動詞の主語を兼ねるのが特徴です。

  • 调虎离山wàng zǐ chéng lóng:(虎を山からおびき出す→)相手方を有利な場所からおびき出しその機に乗じて行動を起こすこと。
  • 引狼入室yǐn láng rù shì:(狼を家の中に引き入れる→)進んで悪人や敵を内部に招き入れて災いを招くこと、自身にとって危険な可能性のある人などを近くに置くこと。
  • 望子成龙wàng zǐ chéng lóng: 子供の立身出世を望むこと。

兼語構造は他の構造より少し特殊です。具体的に「望子成龙」を例にとると、「望」が1つ目の動詞、「成」が2つ目の動詞で、2つ目の動詞「成」の前の「子」が主語の兼語構造となっています。

例文1

  • 调虎离山是《孙子兵法》里的一条计谋。
  • Diào hǔ lí shān shì sūn zǐ bīng fǎ lǐ de yī tiáo jìmóu
  • 相手方を有利な場所からおびき出しその機に乗じて行動を起こすことは、「孫子兵法」なかの一つの作戦計画です。

例文2

  • 请不要邀请不熟悉的人到家里,以免引狼入室
  • Qǐng búyào yāoqǐng bù shúxī de rén  dào jiālǐ, yǐ miǎn yǐnláng rùshì
  • 災いを招かないように知らない人を家に呼び入れないでください。

例文3

  • 不分国界和民族,望子成龙是每一个家长的心愿。
  • Bùfēn guójiè hé mínzú Wàng zǐ chéng lóng shì měi yī gè jiā zhǎng de xīn yuàn jiāzhǎng de xīnyuàn
  • 国境と民族を問わず、子供の立身出世を望むことは、どの家の親も願うことです。

まとめ

       出典:百度

本記事では、成語の構造を四字熟語を中心に7つのパターンに分けて説明した後、各構造パターンの成語を使用した具体的な例文を紹介しがなら解説しました。成語を有効に使えば、文章や話の格調を著しく高める効果があります。学習者の皆さんは、成語の構造パターンをマスターし、成語を日常生活またはビジネスなどの場で使ってみましょう!

参考文献

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テツジン

中国黒竜江省出身、1997年来日。北海道大学教育学部卒、教育学博士。北海道大学専門研究員を経て、2020年に通訳・翻訳事務所を開設。専門分野は、外国語教育、東アジア地域研究、人の移動と移民研究など。学部時代には言語に対する好奇心に駆られて、英語や韓国語など第五外国語まで履修。学部時代から通訳・翻訳者として日中韓の草の根の交流に携わっている。

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