【中国語】ビジネスレベルとは何か?ネイティブ並みではなく、中国語で“仕事を動かせる力”である

ビジネス中国語

目次

中国語の「ビジネスレベル」とは何か?

中国語勉強の戦略

ネイティブ並みではなく、中国語で“仕事を動かせる力”である

みなさま、こんにちは。
PaoChaiオンライン中国語コーチング代表・中国語学習コーチの冨江です。

語学力について話すとき、よく次のような表現が使われます。

  • 日常会話レベル
  • ペラペラレベル
  • ビジネスレベル
  • 通訳レベル
  • ネイティブレベル

しかし、これらの言葉には、ほとんど明確な定義がありません。

特に曖昧なのが、「ビジネスレベル」です。

難しい単語をたくさん知っていることなのでしょうか。

会議の中国語をすべて聞き取れることなのでしょうか。

文法を間違えずに話せることなのでしょうか。

あるいは、中国人と同じような速さで流暢に話せることなのでしょうか。

人によってイメージが大きく異なるため、「ビジネスレベルを目指しましょう」と言われても、具体的に何を目標に勉強すればよいのかわかりません。

そこで、PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、中国語学習者が目指す実践的な到達地点を独自に定義しました。

それが、「PaoChaiビジネスレベル」です。

PaoChaiビジネスレベルとは?

PaoChaiビジネスレベルを、次のように定義します。

PaoChaiビジネスレベルとは、日本人としての強みを生かし、中国語を使って中国人とコミュニケーションを行い、仕事上の目的を遂行できる状態である。

重要なのは、中国語をどれだけ「知っているか」ではありません。

中国語を使って、何を成し遂げられるかです。

発音や文法に多少の誤りがあったとしても、必要な情報を聞き出し、自分の意見を伝え、仕事を前へ進められるのであれば、その人は中国語を使えていると評価できます。

反対に、語学検定で高得点を取っていても、会議で質問できず、自分の意見を伝えられないのであれば、仕事で使える中国語力が十分にあるとは限りません。

PaoChaiビジネスレベルは、単なる語学知識ではなく、中国語によって仕事を動かす総合的な遂行能力を意味します。

語学検定の点数だけでは「中国語が使える」とは言えない

そもそも、第二言語である中国語をどれだけ身につけたかは、何を基準に評価すればよいのでしょうか。

一般的に使われる中国語力の評価軸

中国語力を示すものとして、一般的には次のような基準が使われています。

  • HSKや中国語検定に合格した
  • 発音や声調がきれい
  • 難しい単語をたくさん知っている
  • 中国語を大学で専攻している
  • 中国への留学経験がある
  • 中国語を流暢に話しているように見える

もちろん、これらにも価値はあります。

資格は努力の証明になりますし、発音や語彙力が高ければ、コミュニケーションを円滑に進めやすくなります。

本当に重要なのは「何ができるか」

しかし、資格や知識だけでは、「中国語を使って何ができるのか」はわかりません。

高い級に合格していても、中国人の取引先から必要な情報を聞き出せない人はいます。

反対に、語彙や文法に多少の不足があっても、質問を重ね、相手の意図を確認し、必要な情報を入手して仕事を進められる人もいます。

ビジネスの現場で問われるのは、資格や知識量そのものではありません。

中国語を使って、仕事上の目的を達成できるかどうか。

PaoChaiビジネスレベルでは、ここを最終的な評価軸とします。

言語が「使える」とは何か?

言葉は情報を表すだけのものではない

哲学者のジョン・オースティンは、言語を単に物事を説明する道具としてではなく、言葉によって何らかの行為を遂行するものとして捉えました。

私たちは、言葉を使って次のような行為をしています。

  • 情報を伝える
  • 質問する
  • 依頼する
  • 約束する
  • 感謝する
  • 謝罪する
  • 同意する
  • 反対する
  • 提案する
  • 招待する
  • 警告する
  • 命令する

このように、言葉を使って行う行為は、言語哲学では「言語行為」と呼ばれます。

言葉を使うことと、目的を持って行動することは表裏一体

現実のコミュニケーションには、必ず何らかの文脈や意図があります。

ただ単語や文章を発するのではなく、

「相手から情報を得たい」
「自分の考えを理解してほしい」
「相手に行動してほしい」
「意見の違いを調整したい」

といった目的が存在します。

したがって、言語が「使える」とは、単に正しい文を作れることではありません。

その言語を用いて、必要な言語行為を遂行できること。

これが、PaoChaiビジネスレベルを考えるうえでの出発点です。

中国語力は「目的を達成できたか」で評価する

インタビューは、必要な情報を聞き出せたか

例えば、中国人の顧客や取引先にインタビューをするとします。

質問の中国語に多少の文法ミスがあったとしても、相手から知りたい情報を十分に引き出せたのであれば、そのインタビューは成功です。

反対に、発音がきれいで流暢に話せていたとしても、表面的な回答しか得られなかったのであれば、目的を達成したとは言えません。

プレゼンは、相手に理解してもらえたか

プレゼンテーションの目的は、難しい中国語を披露することではありません。

自分の考えや方針を相手に理解してもらい、必要に応じて質問に答え、意思決定や行動につなげることです。

話し方が流暢でも、相手が内容を理解できなければ成功とは言えません。

一方で、簡単な中国語しか使っていなくても、図や具体例を交えながら相手に正確に理解してもらえたなら、そのプレゼンは成功です。

発音・文法・語彙は目的ではなく手段

一般的な語学学習では、次のようなことが評価されがちです。

  • 発音がきれいだったか
  • 文法を間違えなかったか
  • 難しい単語を使えたか
  • 相手の発言を一回ですべて聞き取れたか

もちろん、これらの能力が高ければ、目的は達成しやすくなります。

しかし、これらはあくまでも手段です。

最終的な評価軸は、

中国語を使って、やろうとしていたことを実際に遂行できたか。

という点にあります。

中国語力の評価軸は、自分で持ってよい

中国語を使って何をしたいかは、人によって異なる

中国語学習の目的は、人によってさまざまです。

  • 中国企業と商談したい
  • 中国人社員に業務方針を説明したい
  • 中国市場の顧客にインタビューしたい
  • 中国語でプレゼンしたい
  • 中国人の友人と深い話をしたい
  • 中国語で本を読みたい
  • 字幕なしで中国ドラマを楽しみたい

中国語を使って何をするかは、各自の自由です。

中国語で文学作品を読めたのであれば、それも立派な言語行為です。

中国ドラマを字幕なしで楽しめたのであれば、それも中国語によって目的を達成している状態です。

他人と同じ物差しで測る必要はない

中国語力を評価するとき、他人と同じ物差しを使う必要はありません。

HSKで何点取ったかだけではなく、

「中国語で何ができるようになったか」
「以前より、どれくらいうまくできるようになったか」

という自分自身の評価軸を持つことが重要です。

語学力と目標は「鶏と卵」の関係

理想を言えば、学習初期から「中国語を使って何をするか」を決められるとよいでしょう。

しかし、最初から明確な目標を持っている人は、それほど多くありません。

中国語力と目標は、いわば鶏と卵の関係です。

中国語が少しできるようになると、新しくやってみたいことが見つかります。

実際に使ってみると、自分に不足している能力や、さらに挑戦したい目標が見えてきます。

この循環を回すことで、中国語学習は単なる勉強から、自分の仕事や人生に結びついた活動へと変わっていきます。

PaoChaiビジネスレベルの前提は「日本人として仕事をすること」

PaoChaiビジネスレベルには、重要な前提があります。

それは、日本人としての強みを生かして中国ビジネスに関わることです。

日本人が中国ビジネスに関わる主なパターン

日本人が中国と関わる仕事には、次のような形があります。

  • 日本の商品やサービスを中国市場へ展開する
  • 中国の商品やサービスを日本市場へ展開する
  • 中国企業と共同で商品や事業をつくる
  • 中国で日本企業向けのサービスを提供する
  • 日本企業と中国企業の間に立って事業を推進する
  • 中国市場の情報を収集し、日本側へ共有する

日本人であること自体が強みになる

こうした仕事では、日本人であること自体が価値になります。

  • 日本語を使える
  • 日本の市場を理解している
  • 日本の消費者感覚を理解している
  • 日本企業の商習慣や意思決定を理解している
  • 日本国内の人脈や情報にアクセスできる
  • 日中双方の違いを踏まえて調整できる

つまり、多くの日本人が中国ビジネスに参加する価値は、中国人と同じように中国語を話せることではありません。

日本側と中国側の間に立ち、双方を理解しながら仕事を進められることにあります。

中国人と中国語の完璧さを競う必要はない

例えば、上海の不動産仲介店舗で、中国人顧客だけを相手に接客するのであれば、ネイティブに近い中国語力が求められるでしょう。

しかし、日本の商品を中国へ展開したり、中国市場の情報を日本本社へ伝えたりする仕事では、求められる役割が異なります。

日本人としての専門性や経験があるからこそ、多少の発音や文法の誤りがあっても、相手は話を聞いてくれます。

大切なのは、中国人と同じ土俵で中国語の完璧さを競うことではありません。

自分にしか提供できない価値を持ち、その価値を中国語で届けられること。

これが、PaoChaiビジネスレベルの前提です。

PaoChaiビジネスレベルを構成する三つの実践能力

私は約10年間、日本産ゲームやアニメなどのコンテンツを中国へ展開する仕事に携わり、そのうち5年間を南京と上海で過ごしました。

その経験を踏まえると、中国ビジネスで必要になるコミュニケーションは、大きく三つに整理できます。

1.情報を引き出す「インタビュー」

中国ビジネスで重要になるのが、現地の人が持っている情報を引き出す力です。

例えば、次のような情報です。

  • 市場の構造
  • 消費者の特徴
  • 商品を選ぶ基準
  • 現地の流行
  • 競合企業の動向
  • 相手企業の経営方針
  • 担当者の本音
  • 現場で発生している問題

こうした情報は、資料を読むだけではわかりません。

現地の同僚、顧客、取引先、業界関係者などに質問し、話を深掘りする必要があります。

私自身が中国で行っていたインタビュー

私自身、現地の業界関係者や中国人の同僚から、

  • 中国市場の構造
  • 消費者の特徴
  • 人気作品の傾向
  • 商品やコンテンツが支持される理由
  • 中国での展開方法

などを聞き出し、日本本社や取引先へ共有していました。

海外駐在員の仕事では、現地で何が起きているかを理解し、日本側へ適切に伝えることが重要です。

一度質問して終わりではない

必要な情報を得るためには、次のように質問を重ねなければなりません。

「なぜ、そう言えるのですか?」
「具体的には、どういうことですか?」
「どのような消費者に当てはまりますか?」
「反対の事例はありませんか?」
「実際の数字や事例はありますか?」

本音や重要な情報を引き出すためには、関係性を築くことも必要です。

しかし、信頼関係があっても、質問する力がなければ必要な情報は得られません。

ビジネスにおける中国語力とは、単に相手の話を聞き取る力ではなく、

必要な情報に到達するまで、質問し、確認し、深掘りする力

なのです。

2.考えや方針を伝える「プレゼンテーション」

二つ目は、自分や会社の考え方、方針、指示を相手に伝える力です。

プレゼンは大人数の前で話すことだけではない

ここでいうプレゼンテーションは、ステージに立ってスライドを使う場面だけを指しているのではありません。

次のような日常的な業務も、広い意味ではプレゼンテーションです。

  • 会社の方針を社員に説明する
  • プロジェクトの進め方を取引先に伝える
  • 制作物の修正方針を説明する
  • 日々の業務指示を出す
  • 問題の原因と解決策を共有する
  • 日本市場について中国側へ説明する

私自身が中国で行っていたプレゼン

以前の仕事では、中国で制作するゲームや宣伝物を日本側に監修してもらうため、管理体制や制作の進め方を説明する機会が数多くありました。

また、2015年前後には日本のアニメに対する中国での関心が高まっていたため、中国のアニメ専門学校などで、日本のアニメ業界について説明するイベントも行いました。

プレゼン後には、当然、質疑応答もあります。

プレゼンの目的は、相手に理解してもらうこと

プレゼンテーションの目的は、難しい中国語を話すことではありません。

相手に理解してほしい内容を、必要な水準まで確実に理解してもらうこと。

そのためには、話すだけでなく、次のような対応も必要です。

  • 簡単な言葉に言い換える
  • 具体例を出す
  • 図や数字を使う
  • 相手の理解を確認する
  • 質問に答える
  • 誤解があれば修正する

ここまで含めて、プレゼンテーションの遂行能力です。

3.議題について意見を交わす「トピック型ディスカッション」

三つ目は、一つの議題について複数の人と意見を交わし、判断や結論につなげる力です。

中国ビジネスにおける議論の例

私の以前の仕事では、次のようなテーマについて、日中の関係者で議論していました。

  • どの日本アニメが中国で人気になりそうか
  • 中国市場でどのように展開すべきか
  • 日本側で権利を獲得できる可能性はあるか
  • 宣伝予算をどこへ配分すべきか
  • 中国向けにどの部分を変更すべきか
  • 日中双方の要求をどのように調整するか

ディスカッションで必要になる言語行為

議論では、前提となる情報を共有したうえで、次のような行為を繰り返します。

  • 質問する
  • 自分の意見を述べる
  • 賛成・反対を表明する
  • 根拠を説明する
  • 相手の意見にフィードバックする
  • 選択肢を比較する
  • 相手の発言を要約する
  • 結論や次の行動を確認する

ディスカッションは、会話の方向が事前に決まっていないため、インタビューやプレゼンよりも難易度が高くなります。

それでも、質問、確認、反論、要約などの型を身につければ、一定の中国語力でも十分に参加できます。

関係構築もPaoChaiビジネスレベルの重要な要素

ビジネスでは、仕事上の情報交換だけでなく、社内外の相手と良好な関係を築くことも欠かせません。

仕事以外の会話が信頼をつくる

関係構築には、次のようなコミュニケーションがあります。

  • 一緒に食事をする
  • 出身地や家族について話す
  • 趣味や休日について聞く
  • 自分の経歴や価値観を伝える
  • 相手の仕事観を聞く
  • 日本と中国の違いについて話す

こうした会話を通じて心理的な距離が縮まると、本音や重要な情報を話してもらいやすくなります。

語学力以上に「相手を理解したい」という姿勢が問われる

関係構築には、必ず成功する会話の型があるわけではありません。

語学力以上に、

「相手を理解したい」
「自分のことも理解してほしい」
「長期的によい関係を築きたい」

という姿勢が問われます。

雑談にも目的を持たせる

中国語に自信がない段階では、プライベートな会話にも一定の目的を持たせると話しやすくなります。

例えば、

  • インタビューとして、相手の出身地や趣味を聞く
  • プレゼンとして、自分の経歴や考え方を伝える
  • ディスカッションとして、日本と中国の働き方を比較する

といった形です。

関係構築は、三つの実践能力から切り離されたものではありません。

インタビュー、プレゼンテーション、ディスカッションを円滑に進めるための土台と考えることができます。

PaoChaiビジネスレベルを支える三つの本質的能力

インタビュー、プレゼンテーション、ディスカッションを遂行するために必要なのは、語彙や文法だけではありません。

PaoChaiビジネスレベルでは、特に次の三つの能力を重視します。

1.方略的能力

方略的能力とは何か

第二言語習得の研究では、「方略的能力」という概念があります。

簡単に言えば、

自分が持っている知識や使える手段を最大限に活用し、どうにか目的を遂行しようとする力

です。

外国語で仕事をしていれば、聞き取れない言葉や、言い方がわからない場面は必ず発生します。

そのとき、黙り込んだり、わかったふりをしたりするのではなく、別の方法で会話を継続します。

ゆっくり話してもらう

您可以稍微说慢一点吗?
Nín kěyǐ shāowēi shuō màn yìdiǎn ma?

ゆっくり話していただけますか?

もう一度言ってもらう

麻烦您再说一遍,可以吗?
Máfan nín zài shuō yí biàn, kěyǐ ma?

もう一度言っていただけますか?

文字で送ってもらう

可以麻烦您打成文字发给我吗?
Kěyǐ máfan nín dǎ chéng wénzì fā gěi wǒ ma?

チャットに文字で送っていただけますか?

ピンインも送ってもらう

可以把那个单词的拼音也发给我吗?
Kěyǐ bǎ nàge dāncí de pīnyīn yě fā gěi wǒ ma?

その単語のピンインも送っていただけますか?

別の表現で説明してもらう

可以换一种说法解释一下吗?
Kěyǐ huàn yì zhǒng shuōfǎ jiěshì yíxià ma?

別の言い方で説明していただけますか?

より具体的に説明してもらう

能麻烦您说得更具体一些吗?
Néng máfan nín shuō de gèng jùtǐ yìxiē ma?

もう少し具体的に教えていただけますか?

自分から文字を送る

我打成文字发给您。
Wǒ dǎ chéng wénzì fā gěi nín.

文字で送ります。

わからなくても会話を止めない

わからない単語をすべてなくすことはできません。

しかし、わからない状態から必要な理解へ到達する方法は身につけられます。

PaoChaiビジネスレベルとは、何でも一回で聞き取れる状態ではありません。

聞き取れなくても、確認し、言い換えを求め、文字や図を使い、最終的に必要な理解へ到達できる状態です。

2.母語言語力

中国語を話す前に、日本語で考えている

中国語学習者の多くは、中国語を発話するときに次の手順を踏みます。

  1. 日本語で何を言うか考える
  2. 日本語を中国語に変換する
  3. 中国語として発音する

中国語に慣れてくれば、日本語を介さず、中国語で直接考えられる場面も増えていきます。

しかし、特に初心者から中級者の段階では、日本語での内容整理が重要です。

中国語より前に「何を伝えたいのか」を明確にする

中国語学習者は、二つ目と三つ目のステップだけを中国語力だと考えがちです。

しかし、実際には最初の、

「何を言うか決める力」

が極めて重要です。

日本語の段階で、

  • 結局、何を伝えたいのか
  • 誰が何をするのか
  • 何のために行うのか
  • 期限はいつなのか
  • 相手に何を判断してほしいのか
  • 相手にどのような行動を求めているのか

が曖昧であれば、中国語に変換しても曖昧なままです。

「中国語で言えない」のではなく、内容が整理されていないこともある

「中国語に訳せない」と悩んでいるとき、実は中国語の問題ではないことがあります。

自分が内容を十分に理解していなかったり、日本語でも明確に言語化できていなかったりするのです。

反対に、伝えたい内容が整理されていれば、簡単な中国語でも明確に伝えられます。

ビジネス中国語では、中国語表現を増やすだけでなく、

自分は何を伝え、相手に何を理解し、何をしてほしいのか

を整理する母語言語力が必要です。

3.目的を遂行しようとする意志

外国語でのコミュニケーションには負荷がかかる

方略を使ったコミュニケーションでは、相手に聞き返したり、言い換えを求めたりする必要があります。

当然、相手にも多少の負荷がかかります。

中国語がたどたどしければ、会話が思うように進まないこともあります。

相手が少し面倒そうな表情をすることもあるでしょう。

わかったふりをしない

しかし、仕事上どうしても確認しなければならないことは、確認しなければなりません。

わかったふりをして会議を終えれば、後で大きな問題になる可能性があります。

だからこそ、PaoChaiビジネスレベルには、

「この情報を必ず聞き出す」
「この方針を必ず理解してもらう」
「この問題について結論を出す」

という強い目的意識が必要です。

真摯な姿勢で試行錯誤する

もちろん、相手に一方的な負担をかければよいという意味ではありません。

相手への敬意を持ち、誠実に説明し、協力をお願いしながら、目的を達成するまで方法を変えて試みることが重要です。

不完全な中国語を補う最大の力は、完璧な文法ではなく、伝えよう、理解しようとする真摯な意志です。

PaoChaiビジネスレベルは「中国語力を超えた概念」

PaoChaiビジネスレベルは、次のような状態を意味するものではありません。

  • どんな中国語も一回で聞き取れる
  • 言いたいことを常に最適な表現で伝えられる
  • 文法や発音を一度も間違えない
  • 中国人と同じ速度で話せる
  • 中国語だけですべてを解決できる

使える手段はすべて使ってよい

仕事の現場では、わからなければ聞き返して構いません。

言葉が思いつかなければ、簡単な表現に言い換えても構いません。

必要であれば、次のような手段も使えます。

  • チャット
  • メール
  • 資料
  • 写真
  • 数字
  • 翻訳ツール
  • 辞書
  • ホワイトボード

これらを活用しながら、最終的に仕事上の目的を達成すればよいのです。

最終的に仕事が動いたか

次のような結果が得られたのであれば、その場面では中国語を使えたと評価できます。

  • 必要な情報を引き出せた
  • 自分の考えを理解してもらえた
  • 議論に参加して結論を出せた
  • 相手との関係を深められた
  • プロジェクトを前へ進められた
  • 問題を解決できた

PaoChaiビジネスレベルは、一定の中国語力に加え、

  • 方略的能力
  • 母語言語力
  • 専門知識
  • 相手への敬意
  • コミュニケーションへの意志
  • 目的遂行力

を含んだ総合的な概念です。

語学検定のレベルが低くても仕事はできる

語学検定で測られる中国語力がそれほど高くなくても、仕事上の専門性と明確な目的があれば、インタビュー、プレゼンテーション、ディスカッションを遂行できる可能性は十分にあります。

例えば、自社の商品について深く理解している人であれば、簡単な中国語でも商品の特徴を説明できます。

中国市場について知りたいことが明確な人であれば、準備した質問を使ってインタビューできます。

議論の論点を整理できる人であれば、限られた中国語でも意見を述べられます。

反対に、中国語力が高くても、

「何を聞きたいのか」
「何を伝えたいのか」
「どのような結論を出したいのか」

が曖昧であれば、仕事を前に進めることはできません。

語学力は重要です。

しかし、仕事をするためには、語学力だけでは足りないのです。

PaoChaiビジネスレベルに到達するためのBCP方式

では、ゼロからPaoChaiビジネスレベルを目指すには、どのように学べばよいのでしょうか。

PaoChaiでは、中国語力を次の三つに分けて考えています。

  • B:Basic・基礎能力
  • C:Core・コア能力
  • P:Practice・実践能力

B:Basic――基礎能力

最初に、発音、声調、ピンイン、基礎文法を固めます。

発音と声調の土台をつくる

中国語では、発音と声調の違いによって意味が変わります。

最初に正しい発音方法を身につけておかなければ、後から大量の単語を覚えても、

「聞き取れない」
「通じない」
「声調が曖昧になる」

といった問題が起きやすくなります。

そのため、発音と声調は、学習初期に集中的にトレーニングします。

文の構造を分析できるようにする

文法では、文法用語を暗記すること自体が目的ではありません。

中国語の文章を見たときに、

  • 主語はどれか
  • 述語はどれか
  • 目的語はどれか
  • どの言葉がどこを修飾しているか
  • 文全体がどのような構造になっているか

を分析できる力を身につけます。

これが、その後の大量インプットを正確に行うための基礎になります。

C:Core――コア能力

次に、日常生活や自分の関心領域で使う語彙・表現を増やします。

単語の意味を知るだけでは足りない

ここで重要なのは、単語帳を見て日本語の意味がわかるだけの状態ではありません。

次の状態まで、語彙・表現を深く身につける必要があります。

  • 聞いた瞬間に意味がわかる
  • 必要なときに口から出せる
  • 正確な発音と声調で言える
  • 文の中で使える
  • 自分の経験や意見と結びつけて話せる

「知っている語彙」ではなく「使える語彙」を増やす

仕事で中国語を使うには、少なくとも数千語規模の語彙・表現が必要になります。

しかし、単に知っている単語を増やすだけでは不十分です。

聞ける、話せるレベルで使える語彙・表現を増やすこと。

これが、コア能力トレーニングの中心です。

P:Practice――実践能力

基礎能力とコア能力を育てながら、できるだけ早い段階から実践へ進みます。

実際の言語行為に挑戦する

実践では、次のようなトレーニングを行います。

  • 中国人にインタビューする
  • 自分の仕事についてプレゼンする
  • 自社の商品やサービスを説明する
  • 一つのテーマについて意見交換する
  • 会議や商談を想定したやり取りをする
  • 中国の顧客から商品の感想を聞く
  • 中国市場について現地の人へ質問する
  • 実践することで、本当の課題が見える

実際に中国語を使うと、次のような課題が見えてきます。

「質問を深掘りできない」
「自分の意見を順序立てて話せない」
「相手の反論に対応できない」
「専門分野の語彙が不足している」
「聞き返す表現が出てこない」
「緊張すると知っている言葉も出てこない」

これらの課題は、単語帳や問題集だけでは見つけにくいものです。

実践とトレーニングを往復する

実践で見つかった課題を、再び基礎能力やコア能力のトレーニングへ持ち帰ります。

必要な発音、文法、語彙、表現を練習し、もう一度実践します。

この循環を繰り返すことによって、仕事で本当に使える中国語力が育っていきます。

B・C・Pは一方通行ではない

BCP方式は、Bを完全に終えてからCへ進み、Cを終えてからPへ進む学習法ではありません。

最初にBの土台をつくった後は、CとPを継続的に往復します。

実践する。
課題が見つかる。
必要な語彙や表現を身につける。
再び実践する。

この循環を、生涯にわたって回していくことが重要です。

PaoChaiビジネスレベルには何時間で到達できるのか

一つの目安は約1000時間※

資質、学習経験、確保できる時間、仕事の専門性、実践環境などによって、必要な学習時間は大きく異なります。

そのため、誰もが同じ期間で到達できるとは言えません。

それでも、一つの目安を示すためにあえて言えば、

ゼロから約1000時間の学習を半年から2年程度で集中的に行えば、PaoChaiビジネスレベルに到達することは十分に可能です。

PaoChaiでは実際に、ゼロから中国語学習を始め、仕事や専門分野について中国語でプレゼンやインタビューができるようになった方々を支援してきました。

※PaoChaiが推奨する学習法で効率的に進めた場合。効果の出ないやり方でやっていればその何倍も時間がかかる可能性があります。

1000時間で中国語学習が完成するわけではない

ただし、1000時間で中国語が完成するという意味ではありません。

約1000時間は、中国語の勉強だけを続ける段階から抜け出し、中国語を使って実際に仕事や活動を始めるための一つの目安です。

到達後も語彙・表現を増やし続ける

PaoChaiビジネスレベルに到達した後も、学習は続きます。

実践を重ねながら、次の能力を高めていきます。

  • より速く聞き取る
  • より正確に伝える
  • より専門的な話題に対応する
  • より複雑な議論や交渉に参加する
  • より自然な表現を使う
  • より深い人間関係を築く

PaoChaiビジネスレベルは、学習の終着点ではありません。

中国語を学ぶ段階から、中国語で仕事をしながら成長する段階へ移る出発点です。

「上手になってから使う」のではなく、使いながら上手になる

多くの中国語学習者は、次のように考えます。

「もっと単語を覚えてから話そう」
「HSKに合格してから実践しよう」
「もう少し聞き取れるようになってから中国人と話そう」
「文法を一通り終えてから会話を始めよう」

しかし、実践を先送りしている限り、仕事で本当に必要な能力は見えてきません。

最初からうまくできなくて当然

実践を始めれば、最初は必ず失敗します。

  • 質問が伝わらない
  • 途中で言葉が出なくなる
  • 相手の回答を聞き取れない
  • 言いたかったことの半分も話せない
  • 会話が予想外の方向へ進む
  • 緊張して簡単な表現も出てこない
  • しかし、その失敗が、自分に必要な学習内容を教えてくれます。

失敗を学習課題に変える

実践を通じて、

  • 不足している語彙
  • 使えなかった表現
  • 修正すべき発音
  • 聞き取れなかった音
  • 説明の構成
  • 必要な方略

が具体的に見えてきます。

その課題を一つずつトレーニングし、もう一度実践します。

この繰り返しこそが、PaoChaiビジネスレベルへ到達する最も効率的な方法です。

PaoChaiビジネスレベルの自己評価方法

PaoChaiビジネスレベルは、誰かが一律の試験で判定するものではありません。

実際の言語行為を行い、自分がどこまで目的を遂行できたかを、自分自身で評価します。

インタビューの評価例

  • 聞きたかった情報を得られたか
  • 相手の回答を深掘りできたか
  • 曖昧な点を確認できたか
  • 具体例や根拠を聞けたか
  • 聞き取れない部分を放置しなかったか

プレゼンの評価例

  • 伝えたかった内容を説明できたか
  • 相手に理解してもらえたか
  • 話を論理的に構成できたか
  • 質疑応答に対応できたか
  • 誤解が生じたときに修正できたか

ディスカッションの評価例

  • 自分の意見を述べられたか
  • 相手の意見を理解できたか
  • 賛成や反対の理由を説明できたか
  • 論点を整理できたか
  • 結論や次の行動を確認できたか

点数よりも、次の改善につなげる

重要なのは、完璧にできたかどうかではありません。

実践を振り返り、

「次は何を改善すれば、もっと目的を達成しやすくなるか」

を考えることです。

自己評価を繰り返すことによって、自分に必要な中国語力を自分で判断し、トレーニングできるようになります。

まとめ:PaoChaiビジネスレベルとは、中国語で仕事を前へ進められる状態

PaoChaiビジネスレベルとは、ネイティブのように流暢に話せる状態ではありません。

日本人としての専門性や経験を生かしながら、中国語を使って、

  • 必要な情報を引き出す
  • 自分の考えや方針を伝える
  • 議題について意見を交わす
  • 相手との信頼関係を築く
  • 問題を解決する
  • 仕事やプロジェクトを前へ進める

ことができる状態です。

そのためには、話せる・聞けるレベルの語彙・表現だけでなく、

  • 方略的能力
  • 母語で考えを整理する力
  • 専門知識
  • 相手への敬意
  • 目的を達成しようとする意志

が必要です。

発音が完璧でなくても構いません。

文法を間違えることもあります。

聞き返しても、チャットや翻訳ツールを使ってもよいのです。

重要なのは、完璧に話すことではありません。

中国語を使って、相手とともに何かを成し遂げること。

そこまで到達すれば、中国語はもはや試験のための勉強ではありません。

仕事を動かし、人とつながり、自分の可能性を広げるための、本当の意味での「使える言語」になります。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、この考え方を土台に、

  • 発音・基礎文法を身につける基礎能力
  • 聞ける・話せる語彙表現を増やすコア能力
  • 中国語で目的を遂行する実践能力

を、BCP方式によって体系的に育てています。

中国語が上手になってから、仕事で使うのではありません。

中国語を仕事で使い始めるからこそ、本当に必要な中国語力が育っていくのです。

(資質や学習環境などにもよるので一概には言えませんが)1つの指標を示すためにあえて言うと、最低数百時間〜1000時間程度を半年〜2年で集中的に取れれば、中国語ゼロの初心者がこのようなレベルに到達することは可能です。実際にゼロから何人も支援してきた実績があります。

繰り返しになりますが、上述の通り、どうしてもビジネスで遂行したいことがあるという強い意志が必要なことはお分かりいただけたと思います。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、このような本質的な考えにより中国語学習サポートを行っております。

ゼロからの初心者から既に中国で仕事・生活をしている学習経験者まで、無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。毎日開催しております。

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冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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