【中国語の名言10選】老子、孔子、李白、杜甫、魯迅など歴史に残る著名人10人から厳選

こんにちは。テツジンです。

中国の歴史はその長い年月を通じて、数多くの思想家や詩人が多くの名言を残してきました。これらの名言は、時を超えて現代においてもなお多くの人々に深い感銘を与え、思考や生活に影響を与え続けています。

本記事では、老子、荘子、孔子、孟子、李白、杜甫、王維、王之渙、蘇軾、そして魯迅といった歴史に残る著名人10名が残した10の名言を厳選し、その背景や意味を深く掘り下げて解説します。また、これらの名言を使った具体的な例文を紹介し、学習者がこれらの名言を実生活でどのように活用できるかを理解できるようにします。

中国名言、厳選の3基準

本文に入る前に、今回の名言を選ぶ基準について簡単に説明します。

  • 基準1:歴史に残る著名人の名言であること。
  • 基準2:中国語学習者皆さん勉強のモチベーションを上げるのに役にたつ名言であること。
  • 基準3:多様な視点(複眼)で物事を見ることを重んずる名言であること。(例えば、名言6、8、9)

【名言1】と【名言2】は、道教を切り開いた二人の哲学者の名言で、文言文で弁証法を用いる哲学的な言葉でもあります。言語を学ぶことは、ある意味で弁証法的思考習慣を養う効果がありますので、この二つの名言を一番最初に紹介しました。

【名言3】と【名言4】は、文言文の痕跡を少し残っていますが、日常生活でも多用しています。

その他の名言は、現代文としても普通に使われています。

それでは、肝に銘じたい10の名言を順次見て行きましょう!

【名言1】道可道,非常道。名可名,非常名。(by老子)

出典:百度

これは老子(Lǎozi)の名言です。老子は紀元前571年から紀元前470年頃に活躍した哲学者であり、道教の創始者とされています。老子の思想は『道徳経』という書物にまとめられており、この名言は『道徳経』の冒頭部分に登場します。「道(dào)」とは宇宙の根本原理や自然の法則を指し、「名(míng)」とは物事の名前や形を指します。この名言は、「道」と「名」を人間の言葉で完全に表現することはできないという意味を表し、真の「道」や「名」は言葉を超越したものであることを示唆しています。またこの名言は、真理や根本的な法則は言葉や概念に縛られることなく、自然のままに存在していることを強調しています。

例文1

  • 正如老子所说:“道可道,非常道。”真正的道理是无法用语言完全表达的。 
  • Zhèngrú  Lǎozi suǒshuō:“Dàokědào,fēichángdào” zhēnzhèng de dàolǐ shì wúfǎ yòng yǔyán wánquán biǎodá de
  • まさしく老子が言ったように「道可道,非常道。」、真の道理や理屈は言葉では完全に表現できないです。

例文2

  • 我们应当理解老子所说的“名可名,非常名。” 这句名言的深意。
  • Wǒmen yīngdāng lǐjiě Lǎozi suǒ shuō de“Míngkěmíng,fēichángmíng”zhèjù míngyán de shēnyì
  • 私たちは老子が言い残した「名可名,非常名。」(名は名づけられないものだ)という名言を理解すべきです。

【名言2】无用之用,方为大用。(by荘子)

            出典:百度

これは荘子(Zhuāngzi)の名言です。荘子は紀元前369年から紀元前286年頃に活躍した道教の思想家であり、彼の思想は『荘子』という書物にまとめられています。荘子はすべてをあるがままに受け容れるところに真の自由が成立するという思想を、多くの寓話を用いながら説いています。例えば、「井の中の蛙」や「朝三暮四」なども荘子の言葉です。この名言は、一見使い道がないことは、実は大きな使い道があるというような意味です。

例文1

  • 庄子的“无用之用,方为大用。” 这句名言富含着深刻的哲理。
  • Zhuāngzi de“wú yòng zhīyòng fāngwéi dàyòng” zhèjù míngyán fùhán zhe shēnkè de zhélǐ
  • 荘子の“一見使い道がないことは、実は大きな使い道がある”という名言は、哲理に富んでいます。

例文2

  • 无用之用,方为大用。在满足物质生活的基础上,我们也应该追求精神食粮。
  • Wúyòng zhīyòng fāngwéi dàyòng zài mǎnzú wùzhì shēnghuó de jīchǔshàng ,wǒmen yě yìnggāi zhuī qiú jīngshén shíliáng
  • 一見使い道がないことは、実は大きな使い道があります。物質的な生活を満たした後、私たちは精神的糧も追い求めるべきです。

【名言3】三人行,必有我师焉。(by孔子)

出典:百度

これは孔子(Kǒngzǐ)の名言です。孔子は紀元前551年から紀元前479年にかけて活躍した中国の思想家であり、儒教の創始者として知られています。この名言は道徳的な学びの重要性を強調しており、『論語』という孔子とその弟子たちの言行録に記されています。この名言は、「三人が共に行動するとき、その中には必ず自分の師となるべき人がいる」という意味で、誰からでも学べる姿勢を持つべきだという教えを示しています。またこの名言は、自己の成長のためには常に学ぶ意欲を持ち続け、他人からも謙虚に学ぶことの重要性を説いています。

例文1

  • 正如孔子所说:“三人行,必有我师焉。” 在生活中处处都有我们的老师。
  • Zhèngrú  Kǒngzǐsuǒshuō:“Sānrénxíng bìyǒu wǒshīyān” zàishēnghuózhōng chùchù dōuyǒu wǒmen de lǎoshī
  • まさしく孔子が言ったように「三人行,必有我师焉(三人行けば必ず我が師あり)」、生活の中にはどこにでも私たちの師がいます。

例文2

  • 三人行,必有我师焉。我们应该虚心地从他人身上学习。
  • Sānrénxíng bìyǒu wǒshīyān wǒmen yīnggāi xūxīndì cóng tārén shēnshàng xuéxí
  • 三人行けば必ず我が師あります。私たちは謙虚に他人から学ぶべきです。

【名言4】天将降大任于是人也,必先苦其心志。(by孟子)

出典:百度

これは孟子(Mèngzǐ)の名言です。孟子は紀元前372年から紀元前289にかけて活躍し、孔子の教えを継承し発展させた儒学者であり、彼の思想は『孟子』という書物にまとめられています。この名言はその中で特に有名なもので、「天が大任を与える者には、まずその意志を苦しめる」という意味です。これは偉大な使命を果たすためには、まず試練や困難を経験し、それを乗り越える必要があるという教えを伝えています。孟子はこの言葉を通じて、逆境に直面した時こそ成長のチャンスであり、その過程を通じて真に偉大な人物になることができると説いています。

例文1

  • 正如孟子所说:“天将降大任于是人也,必先苦其心志。”只有经历艰难,才能成就伟业。
  • Zhèngrú Mèngzǐsuǒ shuō:“Tiānjiāng jiàng dàrèn yúshìrényě,bìxiān kǔqí xīnzhì”Zhǐyǒu jīnglì jiānnán, cáinéng chéngjiù wěiyè
  • まさしく孟子が言ったように「天が重大な任務や大任を授ける人には、まずその意志を苦しめる」、困難を経験してこそ、大きな業績が成し遂げられます。

例文2

  • 天将降大任于是人也,必先苦其心志。心志的磨练是成功的关键。
  • Tiānjiāng jiàng dàrèn yúshìrényě, bìxiān kǔqí xīnzhì Xīnzhì de móliàn shì chénggōng de guānjiàn
  • 天が重大な任務や大任を授ける人には、まずその意志を苦しめます。意志を鍛えるこそが成功の鍵です。

【名言5】天生我材必有用。(by李白)

            出典:百度

これは李白(LǐBái)の名言です。李白(701-762)は中国の唐代に活躍した天才的な詩人であり、詩仙(しせん)と呼ばれ、その詩の多くは今も愛され続けています。この名言は、李白の詩「将进酒」に登場し、「人がこの世に生を受け存在しているのは、その人にしかできない役割があるからだ。」という意味です。自分の存在価値や能力に対する自信を表しており、人生の困難や挫折に直面しても、自分には生きる価値や意味があり、何か役立つ存在であるという前向きな姿勢を持つことを教えています。この名言は、自分を信じて努力し続けることの重要性も強調しています。

例文1

  • 正如李白所说:“天生我材必有用。”我们要相信自己的能力。
  • Zhèngrú LǐBá i suǒ shuō:“Tiānshēng wǒcái bìyǒuyòng” Wǒmen yào xiāngxìn zìjǐ de nénglì
  • まさしく李白が言ったように「人がこの世に生を受け存在しているのは、その人にしかできない役割があるからだ。」、私たちは自分の能力を信じるべきです。

例文2

  • 即使遇到困难,也要相信天生我材必有用
  • Jíshǐ yùdào kùnnán,yěyào xiāngxìn tiānshēng wǒcái bìyǒuyòng
  • たとえ困難に直面しても、自分しかできない役割が必ずあると信じましょう。

【名言6】会当凌绝顶,一览众山小。(by杜甫)

出典:百度

これは杜甫(DùFǔ)の名言です。杜甫(712-770)は李白と並んで唐代の代表的な詩人であり、「詩聖」と呼ばれています。この名言は杜甫の詩《望岳》(岳を望む)の一節で、「山の頂上に登れば、一望してまわりの山が小さく見える」という意味です。高い目標を達成することで、物事をより広い視野で見渡せるようになることを表しています。この名言は困難を乗り越えた後、全く異なる視野が開けることを示唆しています。これから頑張って頂点を極めるという意気込みを述べる場合にも、すでに高い境地に到達してその感慨を述べる場合にも使えます。

例文1

  • 杜甫说:“会当凌绝顶,一览众山小。”只有站得高,才能看得远。
  • Zhèngrú DùFǔsuǒ shuō:“Huìdāng língjuédǐng, yīlǎn zhòngshān xiǎo”  zhǐyǒu zhàndégāo cáinéng kàndéyuǎn
  • まさしく杜甫「山の頂上に登れば、一望してまわりの山が小さく見える」が言ったように、高いところに立つことで、遠くを見ることができます。

例文2

  • 杜甫的名言“会当凌绝顶,一览众山小。” 蕴含着丰富的哲理。
  • DùFǔ de míngyán “Huìdānglíngjuédǐng,yīlǎnzhòngshānxiǎo” yùnhán zhe fēngfù de zhélǐ
  • 杜甫の名言「山の頂上に登れば、一望してまわりの山が小さく見える」には、豊かな哲理が含まれています。

【名言7】每逢佳节倍思亲。(by王維)

出典:百度

出典:≪小学生必背古诗词≫中国大百科全书出版社,2000年.

これは王維(Wángwéi)の名言です。王維(701-761)は李白と杜甫に次ぐ盛唐期の詩人で、仏教信者だったために詩仏と称されます。この名言「每逢佳节倍思亲。」(佳節に逢うごとにますます肉親のことを思う)は、王維の詩『九月九日忆山东兄弟』(九月九日山東の兄弟を憶う)の一節です。『九月九日忆山东兄弟』は王維17歳の時、親元を離れて長安で科挙受験の準備をしていた時の作品です。この詩は小学校の教材にも載っており、中国の小学校生でもすらすら暗唱できるほど有名な詩です。特に「每逢佳节倍思亲。」という部分は、国内外を問わず広く中国人に知られ、節句を迎える際には必ずいいほど言及される詩です。

例文1

  • 每逢佳节倍思亲。这是游子的共同感受。
  • Měiféng jiajié bèisīqīn zhèshì yóuzǐ de gòngtóng gǎnshòu
  • 佳節に逢うごとにますます肉親のことを思うことは、家を離れて他郷にいる人の共通の思いです。

例文2

  • 每逢佳节倍思亲。每到佳节,我就会深深思念故乡的亲人。
  • Měiféng jiajié bèisīqīn měidào jiājié ,wǒjiù huì shēnshēn sīniàn gùxiāng de qīnrén
  • 佳節に逢うごとにますます肉親のことを思います。佳節が来るごとに、私は故郷の身内のことを深く気にかけます。

【名言8】欲穷千里目,更上一层楼。(by王之渙)

出典:百度

これは王之渙(Wángzhīhuàn)の名言です。王之渙(688-742)は 中国唐代の詩人です。詩名は高くその詩は人々に愛誦されたと伝えられています。この名言は、王之渙の詩《登鹳雀楼》の3句目と4句目に出てくる言葉です。直訳すれば「広大な風景を眺めたければ、さらに高いところに登る必要があります」という意味で、意訳すれば「もっと発展・成功したければ、より一層努力する必要がある」というような意味です。

例文1

  • 欲穷千里目,更上一层楼。如果想得到更多的知识,需要不懈努力。
  • Yùqióng qiānlǐmù gèngshàng yīcénglóu  rúguǒ xiǎng dédào gèngduō de zhīshí ,xūyào bùxiènǔ lì
  • 広大な風景を眺めたければ、さらに高いところに登る必要があります。もっと多くの知識を習得するためには、絶えず努力する必要があります。

例文2

  • 欲穷千里目,更上一层楼。我们不能满足于现状,要不断进取。
  • Yùqióng qiānlǐmù gèngshàng yīcénglóu wǒmen bùnéng mǎn zú yú xiànzhuàng  yào bùduàn jìnqǔ
  • 広大な風景を眺めたければ、さらに高いところに登る必要があります。私たちは現状に満足しないで、向上しようと努力しなければなりません。 

【名言9】不识庐山真面目,只缘身在此山中。(by蘇軾)

                  出典:百度

これは蘇軾(SūShì)の名言です。蘇軾(1036-1101)は中国の北宋時代の著名な詩人であり、詩や文章に優れた才能を持っていました。この名言は、蘇軾の詩「题西林壁」に由来し、「庐山の全貌が見えないのは、自分が山中にいるからだ」という意味です。物事を客観的に見ることの難しさや、自分がその中にいるために全体像が見えないという状況を表しています。この名言は近視眼的な視点に陥ることなく、広い視野で物事を捉えることの重要性を示しています。

例文1

  • 正如苏轼所说:“不识庐山真面目,只缘身在此山中。”我们只有跳出局限,才能看清真相。 
  • Zhèngrú SūShì suǒshuō: “Bùshí LúShān zhēnmiànmù, zhǐyuán shēnzài cǐ shānzhōng”wǒmen zhǐyǒu tiàochū júxiàn  cáinéng kàn qīng zhēnxiàng
  • まさしく蘇軾が言ったように「 廬山の全貌が見えないのは、自分が山中にいるからだ」、  私たちは自分の枠を超えてこそ、真実をはっきり認識することができます。

例文2

  • 不识庐山真面目,只缘身在此山中。只有站在多个位置观察事物,才能看到全貌。 
  •  Bùshí LúShān zhēnmiànmù, zhǐyuán shēnzài cǐshān zhōng zhǐyǒu zhànzài duōgè wèizhi guānchá shìwù, cáinéng kàndào quánmào
  •  廬山の全貌が見えないのは、自分が山中にいるからです。いくつかの場所に立って物事を観察することこそ、全体像が見えます。

【名言10】其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。(by魯迅)

                  出典:百度

これは魯迅(Lǔ Xùn)の名言です。魯迅(1881-1936)は近代中国文学の巨匠であり、その作品は中国の社会問題に対する鋭い批判で知られています。魯迅は日本に留学したことがあり、留学中に夏目漱石と芥川龍之介をはじめとする多くの日本の文化人の影響を受けました。その一方、魯迅文学は、竹内好、大江健三郎、村上春樹などの日本の文化人にも影響を与えました。この名言は、魯迅が1921年に書かれた小説『故郷』のなかの言葉で、「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」(竹内好訳)という意味です。

例文1

  • 魯迅的这句名言“其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。”意味深长,耐人寻味。
  • Lǔ Xùn de zhèjù míngyán “qíshí dìshàng běn méiyǒu lù  zǒu de rén duōle ,yě biàn chéngle lù yìwèi shēncháng nàirén xúnwèi 
  • 魯迅の「其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。」という名言は、深い感情がこもっており、意味深く玩味するに値します。

例文2

  • 其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。我们一起迎接下一个挑战吧!
  • qíshí dìshàng běn méiyǒu lù  zǒu de rén duōle yě biàn chéngle lù ràng wǒmen yīqǐyíngjiē xiàyīgè tiǎozhàn ba
  • もともと地上には道はなく歩く人が多くなれば、それが道になります。私たちは次の挑戦を迎えましょう!

まとめ

中国の歴史を彩る偉人たちの名言は、深い意味を持ち、長い時を超えて今もなお、現代に生きる私たちに多くの示唆を与えてくれます。今回の記事で、老子、荘子、孔子、孟子、李白、杜甫、王維、蘇軾、王之渙、そして魯迅の名言を紹介しました。

名言を日常生活や学習の中で活用することで、語学力を向上させるだけでなく、深い思想や人生観をも養うこともできます。中国語の名言を学ぶことは、単なる中国語の学習を超えて、中国語が生まれた文化や歴史、思想を理解するための重要な一環でもあります。今回紹介した10の名言を実際に使ってみて、中国語を楽しく勉強して行きましょう!

参考文献

  • 田川純三『知っておきたい中国の名言・故事100選』PHP文庫、1999年。
  • 鐘清漢『人物50人で読む中国の思想 孔子から孫文まで』PHP文庫、2005年。
  • 湯浅邦弘『入門  老荘思想』ちくま新書、2014年。

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テツジン

中国黒竜江省出身、1997年来日。北海道大学教育学部卒、教育学博士。北海道大学専門研究員を経て、2020年に通訳・翻訳事務所を開設。専門分野は、外国語教育、東アジア地域研究、人の移動と移民研究など。学部時代には言語に対する好奇心に駆られて、英語や韓国語など第五外国語まで履修。学部時代から通訳・翻訳者として日中韓の草の根の交流に携わっている。

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