【中国語】の動詞は“動作行為だけ”で“結果の段階”までは含まない?結果補語の役割を解説

語法・表現・フレーズ

今回は中国語の動詞の特徴を1つ紹介します。

中国語の動詞は「動作行為を行なった」という段階までしか意味せず、その動作行為の結果の段階までは含まないものが多いです。

そのため、中国語では結果補語を用いることによって、動作行為の結果段階を表します。中国語では結果補語が非常によく使われる理由です。

例えば“买了”(買った)は、「購入する(しようとする)という行為」を行なったということを意味するにだけで、「買った結果実際に入手した」という結果段階は含みません。もしも、明確に結果段階まで表現したい場合、“买到了”(買った/買って入手した)と結果補語を使って言わなければなりません。   

1. 「結果補語」とは何か

中国語の動詞は「動作を行なった」という事実までしか述べないものが多いとされています。

しかし、実際には「結果」がどうなったかが問題となるシチュエーションも多いです。たとえば「買いに行った」と「買って手に入った(結果が得られた)」の違いのように、結果を明確にしたい場合があります。こうした「動作の結果」を明確にするために用いられるのが結果補語です。

  • 結果補語 … 動詞の後ろにつける補語で、「動作がどういう結果になったのか」を表す。
    • 例:「买到」「买好」「看见」「做完」「听懂」など

2. 「買う」の例:买 vs 买到

2-1. “买了” と “买到了” の違い

买了

「買った」という動作をした事実を表します。

しかし「実際に手元に入手できたか」は必ずしも明示されてません。

买到了

「買った結果、手に入った(入手できた)」という結果を強調します。

到(到達する)を補語として使うことで「目標物が手に入った・到達した」ことを言明しています。

例文1

  • 誤: 这本书我到处托人买,今天可买了一本
  • 正: 这本书我到处托人买,今天可买到了一本

※「可」は副詞で「ついに」と強調の意味です。

訳:

「この本をあちこちの人に頼んで買ってもらっていたんですが、やっと今日手に入れられました。」

中国語話者からすると、上の文脈では「買った結果を強調したい」ので、买到了を使う必要があります。意味的に「买了一本」はおかしいです。

例文2

  • 昨天我去书店看了很多书,最后买了两本。(=「買った」という動作をした)

→この例文では「買って手に入れた」とは明言されていませんが、文脈的に手に入れたと理解できます。

  • 昨天我去书店想买那本绝版的词典,终于买到了!(=「買って手に入った」という結果が得られた)

→こちらの例文では「到」があるので、手に入れたと明確にわかります。

3. 結果補語の種類と例文

「结果補语(結果補語)」にはさまざまな種類があります。ここでは主なものを挙げて、それぞれ例文を示します。

3-1. 到 (~に到達する、~できる)

买到(mǎidào) = 買って手に入れる

例: 我跑了好几家店,总算买到了这款手机。

(訳) 何軒も店を回って、やっとこの機種のスマホを買えた(手に入れられた)

找到(zhǎodào) = 探して見つける

例: 我找了一个小时,终于找到了我家的钥匙。

(訳) 1時間探し回って、やっと家の鍵を見つけた

听到(tīngdào) = 聞こえてくる、聞くことができる

例: 我在房间里就听到了你在外面喊我的声音。

(訳) 部屋にいたけど、外で呼んでいる声が聞こえたよ。

看到(kàndào) = 見て見つける、目に入る

例: 他走过去就看到了那幅画。

(訳) 彼は歩み寄って、あの絵を見た(見つけた)

3-2. 见 (~して分かる、知覚できる)

看见(kànjiàn) = 見て分かる、目に入る

例: 我在街上看见他了,但是他没看见我。

(訳) 私は通りで彼を見かけたんだけど、彼は私に気づかなかった。

听见(tīngjiàn) = 聞いて分かる、耳に入る

例: 我听见有人在敲门,你去看看是谁?

(訳) 誰かがドアを叩いているのを聞いたけど、誰が来たのか見てきてくれない?

3-3. 好 (完全に~し終わってよい状態になる)

做好(zuòhǎo) = (準備・作業などを)きちんとやり終える

例: 饭已经做好了,大家快来吃吧。

(訳) 料理はもう作り終わって準備できてるよ。みんな早く食べに来て。

写好(xiěhǎo) = きちんと書き上げる

例: 作业写完了吗?写好了就拿给我检查。

(訳) 宿題書き終わった?ちゃんと書き上げたら見せて。

3-4. 完 (~し終わる)

吃完(chīwán) = 食べ終わる

例: 我已经吃完了,你还要再吃一点吗?

(訳) 私はもう食べ終わったけど、あなたはまだ少し食べる?

看完(kànwán) = 見終わる、読み終わる

例: 这本书我两天就看完了。

(訳) この本は2日で読み終わりました

3-5. 懂 (理解できる)

看懂(kàndǒng) = (読んだり見たりして)理解する

例: 这篇文章不太难,我一读就看懂了。

(訳) この記事はあまり難しくないので、一度読んだだけで理解できた

听懂(tīngdǒng) = (聞いて)理解する

例: 老师说得很清楚,我一下子就听懂了。

(訳) 先生の説明はとてもわかりやすかったから、すぐに理解できた

3-6. 掉 (取り去る、なくす)

吃掉(chīdiào) = 食べ尽くす

例: 他把蛋糕一下子就吃掉了。

(訳) 彼はケーキを一気に食べてしまった

扔掉(rēngdiào) = 捨てる

例: 这个坏了的手机就扔掉吧。

(訳) この壊れた携帯は捨ててしまおう

4. 「了」との関係

中国語の「了」は動作の完了新情報などを示します。ただし、「结果補语」と組み合わせた場合には結果まで含めて完了したことを表現することが多いです。

例: 买到 + 了 → 「买到」自体が「買って手に入った(結果が確定)」を示すところに、文末の「了」が加わると「新情報として完了した事実を伝えている」ニュアンスになります。

例: 看懂了

  • 「看懂」は「見て(読んで)理解できる」
  • 看懂了は「もう理解できましたよ」という完了の報告になります。

5. 例文まとめ

下記に、結果補語を使う・使わない場合で意味が異なる例をいくつか示します。日本語訳を比べてみると違いが分かりやすいでしょう。

买了 vs 买到了

我昨天买了那件衣服。(買ったという動作はした)

我昨天买到了那件限量版的衣服。(入手困難なものを手に入れることができた)

看了 vs 看懂了

看了这本书。(この本を読んだ/目を通した)

看懂了这本书。(この本を読んで内容を理解した)

听了 vs 听见了听懂了

听了他的演讲。(彼の講演を聞いた)

听见了外面有人在喊。(外で誰かが叫んでいるのを耳にした)

听懂了老师的解释。(先生の説明を理解できた)

找了 vs 找到了

我找了他半天。(彼をずっと探していた)

找到了他。(彼を見つけた/発見した)

写了 vs 写好

我写了论文。(論文を書いた)

写好论文了。(論文を書き上げた/仕上げた)

 

6. 学習のポイント

結果補語を意識的に使う

日本語話者にとっては、つい「~した」という意味で動詞 + “了”だけで済ませがちですが、「結果を強調したい」際には「到」「好」「完」などの結果補語を意識的に添えると自然な表現ができます。

動作と結果を区別する

「動作をした」(買った/探した/読んだなど) と 「結果どうなったか」(手に入れる/見つかる/理解するなど) を明確に分ける習慣をつけると、結果補語を使い分けやすくなります。

文脈とニュアンスに注意

中国語では「买了」でも、「手に入れた」ニュアンスになる場合はありますが(特に文脈や状況で補完される場合)、明確に結果を示したい場合は「买到」などを使う方が確実です。

例文の「这本词典我到处托人买,今天可买了一本。」という文脈のように、手に入りにくいものを「やっと入手した」という結果を伝えたいなら必ず“买到了”を使う、というように文脈で意識して選択します。

7. まとめ

  • 中国語の動詞だけでは行為の実行を言及するにとどまり、結果がどうなったかを含まないものが多い。
  • 結果補語を用いることで、目的物の入手(买到)、理解(看懂/听懂)、完了(看完/吃完)など、動作の最終状態や結果をはっきり示すことができる。
  • 特に「买了」(買った) と「买到了」(買って手に入った) の違いは、日本語話者にとって誤解しがちなので要注意。文脈で結果が求められる場合は、結果補語を付ける習慣を身につけよう。

こうした違いを意識して読む・聞く・話す・書くの練習を続けると、中国語でより自然に「結果」を伝えられるようになります。ぜひ多くの例文に触れて、結果補語の使い方に慣れてみてください。

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。HSK6級。

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