【超】戦略的な中国語勉強法とは?初心者から上はどこまでも

中国語会話勉強法・学習メソッド
中国語を無料で勉強するにはどんな方法がある?

みなさま、こんにちは!PaoChaiオンライン中国語コーチングの冨江です。

本記事では、これから、中国語を学ぼうとしている人、現在学んでいる人に向けて、初心者から上はどこまででもカバーする超、戦略的な中国語学習法のを提案してみたいと思います。

PaoChai(パオチャイ)は、現在「中国語独学完全マップ」と「オンライン中国語コーチング」を提供しています。この記事ではPaoChaiがそもそも中国語学習について、根本的にどのように考えているのか、そしてその上でどのような中国語学習コンテンツとサポートを提供しているのかを説明します。

目次

1.戦略的な中国語勉強法とは(目標設定と効率)

中国語勉強の戦略

戦略的な中国語学習法とは何か?

それは、最終的にどういう状態になっていればいいか、そして、そこまでに何を、どのように、どれくらいすれば到達できるか、について一定の見通し持った上で取り組む学習です。

1−1.目標設定と効率

そもそもなぜ戦略が必要なのでしょうか?それは、時間を節約すること、つまり、効率の話です。

何事も時間をかければ前進する可能性はありますが、我々は日々、仕事、学校、家庭、趣味など忙しく、人生を豊かにするには限られた時間を有効活用する必要があります。

戦略的(効率的)に中国語の勉強を進める上で、最も重要なことは目標設定だと考えています。

なぜなら、そもそも目標設定をしていないと、成果が出たのかどうかもわからないからです。「効率」は目標が明確でないと把握できません。

語学習得における効率は、ある時点での能力Aから、ある時点での能力Bまでの上昇幅を、時間で割ることで求めることができます。

効率= 語学力の伸び ÷ 時間

そうなると、 この式でいう「語学力」をどう定義するか、つまり目標設定が重要になります。

1−2.SMART目標と目的関連性

では、どのような目標設定がよいのでしょうか。

語学検定はわかりやすい例です。英語であればTOEICで700点から900点に伸びた、中国語の場合、HSK(中国漢語水平考試)6級の試験で200点から240点に上がった、というような話です。

では、語学検定を目標に定めて学習するのがよいのでしょうか。

この点を検討するために、そもそも、「よい目標」の条件とは何か、という点を考えてみましょう。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、リリース当時から、「SMART目標」にこだわってきました。これは、もともと経営の領域で使われる用語ですが、次の5つの条件の頭文字を表しており、これらを満たすと良い目標と言われています。

  • Specific(具体的)
  • Measurable(測定可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Relevant(目的関連性)
  • Time-bound(期限が明確)

私はSMARTの中でも一番重要なのは、Relevant(目的関連性)だと考えています。目標を設定する際は、その目標を達成することが、何につながっているかを十分検討しなければなりません。

多くの学習者にとって、将来的に中国語を使って「会話」することが、語学を勉強する目的なのではないでしょうか。つまり、中国語を“話せる、聞ける”ことです。

そうであれば、“話せる、聞ける”という目的に直結する目標設定をすべきです。

なぜこのような当たり前のことを考える必要があるのでしょうか?

それは、「目標」を間違ってしまうと、望んだ結果を得られないからです。

英語のペーパー試験で満点近くの高得点を取っていても、実際の会話で話せないし、聞き取れない、ということはよく起こります。

この原因は、明らかです。

つまり、これは一般的な語学検定で測定している能力が、「会話できる」ことと目的関連性(Relevant)が低いのです。

学習者のほとんどは、“話せる、聞ける”ようになりたい、つまり会話力を身につけたいと考えているはずです。

でしたら、その目的にできるだけ直結する目標設定をすることが大切です。

(もちろん、語学検定における高得点がしっかりと会話レベルに相関していることもあります。また、こうした問題意識からスピーキングなどに特化した語学検定も出てきています。)

1−3.語学学習における成長実感

そんなに目標を明確にしたり、効率を追求したりしたら、語学学習が無味乾燥な作業のようになり、やる気がなくなってしまうのでは?と考えてしまう方も中にはいるかもしれません。

しかし、私は、自分自身の実体験から、語学学習においてやる気を最も喚起するのは、“成長実感”だと考えています。

少しでも短い時間で「できるようになった」という確かな実感があれば、何より嬉しいですし、継続して学ぶモチベーションになります。

このため、目標を具体的にして、学習における効率を徹底的に追求することにより、よくありがちな長年学習しても、少しも会話ができず、どんどんやる気が失われて、結局諦めてしまう、といった学習者を減らせると考えています。

1−4.日本人に合った学習方法

このように、目標を設定して、学習を進めるということは、実は日本人学習者の特性に向いた学習方法と言えます。

日本人は良くも悪くも、正解のある問題を解くことに長けている傾向があり、大学入試や語学検定などのペーパーテストに対して、あれこれ対策や準備をして、攻略するのが得意です。英語で言えば、TOEICのような語学検定で高得点を目指すことが多くの学習者の目標になっています。

現代のように多様な価値観が認められる時代において、このようなやり方は、教育や学習全体的な側面から見た場合は、正解のある問題を解く力しか養うことができない、と言われ、批判されることもあります。

しかし、効率的な語学習得を考えた場合、これはとても大切な方法になってきます。

もちろん先ほど書いたように、ペーパーテストと会話では、学習方法は異なってきますが、まずは、自分で答えを探すというような総合力とは別に、純粋に語学力だけ伸ばすという目的であれば、割り切って明確な目標を設定して進めるほうがより効率的と言えるでしょう。

以上、戦略(効率)的な中国語学習において、明確な目標設定がいかに大切であるか、ということについて書きました。中国語力を向上させるためにも、効率的に学習を進めるためにも、語学をする目的に適った明確な目標が重要です。

2.戦略的な中国語勉強法の見取り図

中国語勉強法の見取り図

次に、具体的にどのような目標設定が最適なのかについて、3つの学習段階に分けて考えていきたいと思います。

前回の投稿で、中国語学習の目標を定める上で、語学する「目的」を検討することが大切だと書きました。

今回は、「目的」について掘り下げ、語学においてはできるだけ早く実践段階に入り、自分の評価軸を持つことが重要である、ということを提案してみたいと思います。

2−1.語学の目的と目標

語学の評価軸は自分で持とう!最短で実践段階に入るには?

まず、「目的」と「目標」の違いを確認しておきます。

「目的」とは「最終的に目指すあり方」であり、「目標」とはその「目的という到達点に向けて、その間に設定される小さな指標」のことです。それゆえ、目的は長期的なもの、目標は短期的なものになります。

多くの学習者にとって、外国語を学ぶ上での「目的」は、母語である日本語と同じように、中国語を自由自在に“使える”ようになることでしょう。

2−2.言語が“使える”とは

ここで、言語が“使える”とはどういうことでしょうか。

ジョン・オースティンという哲学者は、言語の本質は、「伝達」「依頼」「約束」といった行為の遂行であると提唱しました。 話し手は、発話によって、「情報を伝える」、「何かを依頼する」、「約束する」などの行為をします。言語哲学では、これらの行為は「言葉を用いる行為」という意味で、「言語行為(speech act)」と呼ばれています。

言語を使うことと、何らかの意図を持って行為することは表裏一体です。なんの文脈や意図もない言語使用などは存在しません。

即ち、言語が“使える”とは、言語行為ができること、といえます。言語行為は、上述したもの以外にも、「感謝」「警告」「同意」「謝罪」「命令」「陳述」「質疑」「招待」など無数にあります。これは母語でも第二言語(外国語)でも同じように考えるべきです。

ここで大切なことは、こうした言語行為の「評価」がその行為がうまく遂行できたかどうかによって決まるということです。

例えば、インタビューやプレゼンテーションも、意図が明確な言語行為といえます。

インタビューであれば、「聞き出したい情報を相手から聞き出す」、プレゼンテーションであれば、「伝えたい意見を相手に伝え、さらに質疑応答に対応できる」、というものです。

聞きたいことが聞けたなら、インタビューは成功であり、言語はうまく使えたといえますし、相手に自分の見解を説明して、理解してもらえなかったら、失敗です。

ここで重要なことは、発音がいいとか、文法の誤りがないとか、豊富な語彙を巧みに使うとか、100%聞き取りができているとか、一般的に理解されている評価軸は出てこないということです。もちろん、それらができていることが、インタビューやプレゼンを成功させるためにプラスに働くでしょうが、それは本質ではありません。

2−3.自分で語学力の評価軸を持つ

第二言語(外国語)を学ぶのであれば、言語行為という観点から、自分の語学力を評価するのが良いと思います。そして、言語を使って何をするかは、各自の自由です。他人にとやかく言われることではありません。

中国語の言語行為といえば、中国に行って現地の人々と交流したり、ビジネスをしたりすることを真っ先に想像しますが、もちろんそれだけではありません。日本にいながら、中国語で本を読んだり、中国のドラマを観賞することも、言語行為であり、それができたら語学はうまくいっていると評価できます。

理想的には、学習の初期段階から具体的な「言語を使った行為」を目標にすることですが、そのような明確な目標がある人は稀でしょう。例えば、中国の文学作品を中国語で読んでみたい、などの強い動機があれば、はじめからそこを目指すに越したことはないです。

語学力と目標は、「鶏と卵の関係」で、レベルが上がってくると、新しい目標が見えてくるという様に相互に影響し合っています。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、まずは、勉強の段階から抜け出し、実践として中国語を使って「何かができるレベル」まで最短で到達することを提案しています。そこまでいけば、中国語を使って「何かをしている」内に、新たな自分の目標が見いだせるようになるでしょう。

以上、中国語を学習する上で、中国語力の評価軸を自分で持っておくことの重要性について書きました。

3.第1段階:中国語 基礎能力(発音と文法)の勉強法

中国語基礎の勉強法

ここからはそれを踏まえ、新たに中国語の学習を始める人がどのような道筋で中国語を学ぶとより効果的に学べるかについて、「基礎」、「語彙」、「実践」という3つの学習段階に分けて提案してみたいと思います。

まず最初の段階は「基礎固め」です。これから中国語学習を始める人には、まずは発音と文法の基礎をしっかりと固めることをおすすめします。土台がぐらついていると、その後の学習効率が落ちるだけでなく、間違った発音や文法が固定化してしまう恐れがあります。

3−1.発音の基礎

中国語の発音を学習する際には、まず、日本語でいう「五十音図」に近い「音節表」を読み、発音できるようになることと、 日本語でいうイントネーションに近い「声調(音の高低)」を理解し、これを単語レベルで(2音節の声調パターン)発音できるようにします。これができるようになったら、少し長い語句・文レベルで「ネイティブが誤解なく不快感なく理解できるレベル」で発音できるようになることを目指します。

勿論この段階で全てが完璧にできるようにはならないので、まずは、一度だけでも良いので、全て正確に発音できるようになることを目指して、数週間ほど集中的に取り組みましょう。安定して正確な音を出せるようになるには、次の学習段階で(個々の音に注意しながら)たくさん音読をする必要があります。

この段階での最終的な目標は、発音の「モニタリングができる能力」を獲得することです。以後、長い文章を音読するときに、中国語の発音(母音、子音、声調)が正しくできているかを自分自身で判断できるようになっていることがとても大切です。

発音についてさらに詳しく知りたい方は、中国語発音の勉強法をご覧ください。

3−2.文法の基礎

文法は、まず、初級レベルの文法項目を、知識として一通り腑に落ちるまで理解します。ここでの文法知識は、暗記する必要はなく、以後、読解や聴解をするときにスムーズに該当の文法項目を参照できるようにすることが目的です。また、次の段階以降で、さらに詳しい中級、上級の文法書を読んで理解するための土台となります。

文法の基礎を固めるには、学習項目を全て含んだ例文を、通訳のトレーニングで使われる口頭作文を行い、一定水準でできるようにすることをゴールにすると良いでしょう。このとき、例文を丸暗記するのではなく、単語と文法をきちんと理解して文を作れるようになることが大切です。

文法学習についてさらに詳しく知りたい方は、中国語文法の勉強法をご覧ください。

3−3.ポイント①:トレーニングを中心に

言語の学習を進める上では、「理論」と「トレーニング」を分けて考えることが重要です。言語は、反復して身体で覚える側面があるため、スポーツに例えられることがあります。例えば、泳げない人が、プールサイドで泳ぎ方の本を読んでいるだけでは泳げるようにならないように、泳げるようになるためには、水中で身体を動かすトレーニングを中心に取り組む必要があります。

中国語の場合も同じで、理論も大切ですが、理論はあくまでも、効率的に“話せる、聞ける”ようになるための知識です。できるようになるには、トレーニングの時間をとることが決定的に重要です。この段階でいうトレーニングとは、口を動かし声を出すこと、ネイティブの音声を集中して聞いて特徴を洞察すること、文法ルールを思い出し作文をすること、文の構造を把握すること、などです。

3−4.ポイント②:感性的なアプローチも

基礎段階では、発音でも文法でも「理論」が先行します。これは、大人が外国語を学ぶ場合、子供のようにインプットの中で自然に身につけることは大変困難です。その代わりに、大人は理論的に学ぶことにより、効率的に外国語を学習することができます。

ただし、ここで押さえておきたいポイントは、理論や知識に気を取られ、生の中国語に向き合うことを忘れてはいけない、ということです。理論を基にトレーニングする一方で、同時に耳でたくさん中国語の音を「中国語の音」として聞き取ることも重要です。
生の中国語に多く触れ、観察し、特徴を見出す時間も十分に取ることで、より効果的な学習ができるでしょう。

************

以上、「発音」と「文法」の基礎という2つのポイントについて説明しました。これらのポイントは、語学学習の全ての段階に当てはまることなので是非心に留めておいてください。
次回は、「語彙」について説明します。

4.第2段階:中国語コア能力(使える語彙・表現力)の勉強法

中国語コア能力の勉強法

ここまで、中国語学習を3つの段階(「基礎」、「コア能力」、「実践」)に分けた上で、最初の「基礎」段階について書きました。まずは発音と文法の基礎をしっかりと固めることで、間違った発音や文法が固定化することを回避し、その後の学習効率が高まることを説明しました。

ここからは、中国語学習の第2段階であり、全体の学習の中心になるコア能力について説明したいと思います。

4−1.語彙数で見通しよくレベルアップ

語学(言語学習)において、その学習の中心となるのは「語彙力」と考えると学習計画の見通しがよくなります。“話せる、聞ける”レベルの語彙力を500、1000、2000、3000…と増やしていくと、レベルアップの道筋が開けます。

言いたいことを表現したり、聞いたことの意味を理解するためには、沢山の単語やフレーズを身につけている必要があります。もちろん、1つ1つの単語の意味が理解できることだけでなく、文法を使って、自然な表現の文を組み立てることや、見聞きした中国語の構造を捉え、意味を理解できること、更には自分の投げかけたい意図を適切な表現で中国語にできるような能力も含まれます。

ここでは、このような語彙力、表現力、フレーズ、それらの背後にある文法の応用力などををまとめて、コア能力と定義します。

以下、このようなコア能力を高める上で大切なことを3点紹介します。

4−2.コア能力のポイント①:「読める」と「話せる、聞ける」は異なる

コア能力は簡単に言えば、語彙力ですが、語彙力といっても、読める(見て、理解できる)語彙力と、「話せる、聞ける」レベルの語彙力を分けて考えることが必要です。

我たちは義務教育の英語学習により、前者の、読解や翻訳で使う語彙力の勉強に慣れているため、両者を混同しがちですが、これらは根本的に異なるアプローチが必要になります。

聞いて理解できる、話すときに使える、というレベルで語彙や表現を身につけるには、そのために特化したトレーニングが必要です。このトレーニングの方法としては、主に、音読、シャドーイング、リピーティングなどが有効ですがこのトレーニングを通して、文脈の中で意味を理解しながら、一定量、話したり聞いたりすることが決定的に重要となります。

4−3.コア能力のポイント②:文脈のある長い文章をベースに学習を進める

2つ目に大切なことは、文脈のある、ある程度の長さの文章をベースに語彙学習を進めることです。日本語とその中国語の単語が対に並んでいるようなリストはあまりおすすめできません。

その主な理由は、単語レベルで語の意味が定まらず、単語の使い方が身につかないからです。1つの語は、どういう人が誰に対して、どういう状況で発話したのかによって、その意味は変わってきます。単語リストで覚えると、単純に1語ずつ日本語を中国語に置き換える癖がつき、中国語ではそのような使い方はしないという不自然な表現が身についてしまいます。また、文脈がないので記憶に定着しずらいともいえます。

それゆえ、語彙を増やすには例文の中で、その適切な用法とともに理解し、身につけることが重要です。さらに、1文ではなく、文脈がより充実している文章であれば、更にその用法が確かなものになります。また、文章単位で学習を行ったほうが、学習体験として明らかに面白く、記憶に残りやすいという利点もあります。

PaoChaiでは、コア能力の中心を「音読ジョグ」というトレーニングで行います。音読についてさらに理解を深めたい方は、中国語の音読トレーニングをご覧ください。自由作文や借文、瞬間中作文なども有効です。さらに詳しくは、中国語作文のやり方をご覧ください。

4−4.コア能力のポイント③:測定可能で目的に適した目標設定(リピーティング)

語彙学習を進める上で、その語彙を「身につけた」という基準は、どこに置くのがよいのでしょうか。必ずしも明確な基準を置く必要はないですが、線引しておくと、身についてないまま先に進むことを避けることができたり、次に進むタイミングがわかったりと便利です。

いくつか重要な指標がありますが、あえて1つだけに絞るとすると、「リピーティングできるようになること」を目標にするのがよいでしょう。リピーティングとは、通訳学校などの訓練でも使われていますが、ポーズ(文の区切れ)のある中国語ネイティブの音声を再生し、「中国語音声を聞いた後、ポーズの間にそれを同じように繰り返し発話するトレーニング」です。

一見そこまで難しくないと思われるかもしれませんが、音真似だけでは対応できません。聞いた内容を反復するには、速く正確に中国語の音を口から出せることだけでなく、短期記憶でその内容を保持する必要があることから、瞬時に意味を深く理解できている必要があります。そのような実践的な理解度を測れることから、リピーティングができるか否かは、(上述の意味での)語彙力習得における優れた指標として利用できます。

************

以上、中国語学習の中心となる「コア能力」学習について説明しました。「話せる、聞ける」レベルで語彙を身につけるために、ある程度の長さのある文章をベースに、音読やリピーティングなどのトレーニングを中心に進めることを提案しました。

5.第3段階:中国語 実践能力(瞬発力)の勉強法

これまで、中国語学習を3つの段階に分けた上で、最初の「基礎」段階と「コア能力」段階について書きました。

まずは、「基礎」段階で、発音と文法をしっかりと固めることで、間違った発音や文法が固定化することを避け、その後の学習効率を高めることができる、ということについて説明しました。

発音と文法の基礎ができたら、あとは「話せる、聞ける」レベルで語彙を身につけることが、その後の学習の中心になります。ここでは、ある程度の長さのある文章をベースに、音読やリピーティングなどのトレーニングを中心に語彙を身につけていくことを提案しました。

以下、最終段階である「実践」について説明します。

5−1.実践段階

基礎~コア能力段階までは、本番のための準備という位置づけであり、机上での「勉強」という側面が強いです。
しかし、最後の段階は、「勉強」ではなく、実際に中国語を使っていく「実践」になります。

前にも書いた通り、外国語学習は、その言語を使って「言語行為」できるようになることが目的です。つまり中国語で、感謝、同意、謝罪、命令、陳述、質疑、招待といった意図のある行為をすることです。

さらに、これらを組み合わせて、中国現地の人々と交流したり、ビジネスをしたりすることや、日本にいながら、中国語で本を読んだり、中国のドラマを観賞することも、言語行為といえます。

5−2.実践段階の評価軸

この段階での評価軸は自分自身で決めていきます。言語行為としての実践ができたら言語(中国語)の運用はうまくいっていると評価できます。

言語を使って何をするかは、各自の自由です。文法知識を知らないとか、語順が間違っている、発音に問題があるというようなことも、自分の評価軸に照らし合わせて、どこまで改善していくかを検討することが大事だと思います。

実践をしていく中で、例えば読書で単語がわからなかったり、会話で言いたいことが言えなかったり、聞き取れなかったり、などの問題が出てくるでしょうから、そこで見つかった課題を「勉強」として取り組んでいきます。(これは、本質的には私たちが普段母語でやっていることと同じです。)

5−3.実践への移行タイミングと語彙学習の継続

早い段階で、“中国語を使って何かをする”という「本番」に移行しましょう。

“話せる、聞ける”レベルで2000~3000語程度を身につけた後はどんどん実践をしていくのが良いと思います。このような実践は勉強と比べてやりがいがあります(そもそもそれが目的だったはずです)。さらに、実践の中で、モチベーションが更に強化されるようなことが起こる可能性もあります。

もちろん、語彙数が少なければできることが限られてくるので、コア能力段階の学習(音読、リピーティングなど)は今後も並行して行う必要があります。

************

以上、中国語学習の見通しをよくするため、大きく「基礎」「コア能力」「実践」の3つの段階に分けて説明しました。

繰り返しになりますが、ここで一番重要なことは、自分で語学力の軸を持つということです。

ただし、そのような明確な目標がある人は稀でしょう。まずは、何となくの興味から、成長を楽しんでいければ良いと思います。学習初期段階では、漠然としていた目標も、本当に中国語に興味があれば、レベルが上がってくると、次第に具体的な目標(中国語を使って何かをしたい)が見えてくるはずです。

もし、いつまでもそのような目標がなく、ただただ語学検定ばかりを目標にしているのでは、そもそも本当に中国語の学習を続けていくべきか再考したほうがいいかもしれません。

中国語の学習にあたって、最初は意図的に、徹底して「勉強」として効率的に取り組み、できるだけ早く実践をしながら学ぶ段階に移行することをおすすめします。こうすることで、準備のための退屈な勉強は最小限に抑えて、実践をしながら語学力を高めることができます。

最近では、オンライン中国語会話サービスを使えば、月額1万円程度で毎日様々なネイティブと25分間(週末だけなら5000円以下)話すことができます。中国に興味のある人にとってはなんともありがたい環境でしょう。

私たちPaoChaiオンライン中国語コーチングは、実践的に中国語を身につけたい学習者を応援しています。今回までお伝えしてきた中国語学習の考え方(「基礎」「コア能力」「実践」という見取り図)に興味のある方は、毎日無料カウンセリングを行っていますので、是非、PaoChaiオンライン中国語コーチングにご相談ください。各自に最適なプランをご提案させていただきます。

6.中国語学習の実行段階

中国語の勉強を実行

ここまでは、学習法について説明しました。つまり、何をどのように、どれくらいやるか?という点についてです。

あとは、実行あるのみですが、それが一番むずかしい!

そこで、次に実行段階について検討します。

6−1.中国語独学完全マップ

中国語学習に限らず何かの目標を達成する場合、まずは次の3ステップで考えるのではないでしょうか。

1.目標設定

対象(中国語)を習得する目的を考え、適切な目標設定をする

2.学習計画

目標と現状を踏まえて、効果的且つ効率的な学習計画(何を、どのように、どれくらいやるか)を立てる

3.実行と継続

学習計画を実行し、長く続ける

中国語独学完全マップ

本記事では、ここまで上記の1「目標設定」及び2「学習計画」の核となる考え方を説明してきました。

この考えに基づき、PaoChaiでは「中国語独学完全マップ」というコンテンツを提供しています。

「中国語独学完全マップ」は、中国語レベルをLv.01〜Lv.20(+実践Lv.01〜Lv.10)という具体的な目標を示し、何を、どのように、どれくらい行えばいいのかを具体的な学習計画と学習内容に落とし込んだものです。

1000以上のタスクがあり、そのうち300程度を公開しています。タスクを順番に進めていくシンプルな学習の全体像なので、迷わずいつでも学習を開始でき、たまに休んでもすぐに途中から開始し、学習の軌道に乗れて継続できます。

中国語学習を実行するには2つの方法が考えられます。1つは無料で「中国語独学完全マップ」を見ながら1人で学習する、というやり方。こちらはやることは明確なのでしっかり読み込んで着実にこなしていけば闇雲に独学するよりは遥かによい方法だと思います。

しかし、一人で学ぶ場合、リスクが伴います。

中国語独学完全マップを使えば、間違ったことをして遠回りするリスクは減らせますが、以下の通り独学は危ない、ということはご留意ください。

6−2.独学が危険な4つの理由

やる気のある人は最初から独学で勉強しがちですが、私個人はおすすめしません。才能のある人は成功するかもしれませんが、私自身は独学で中国語を学び、かなり遠回りしてしまいました。

当時は、英語を自分で身につけた自信があったので、お金を払って語学するという発想はそもそもなかったですし、お試しで受講した中国語レッスンにも惹かれるものがなく独学でやりました。

今思うと明確な目標がないままバラバラな学習方法で、知っておくべき基礎的な文法が抜けていたり、発音を疎かにしてかなり後で修正するのが大変でした。最初からその道のプロに導いてもらえばよかったと後悔しています。

私は独学で中国語を学習したので、教材などに支出したお金は5年程度で合計しても1万円程度だったと思います。しかし、だらだらとやってしまい多くの時間がかかってしまいました。この無駄に費やした時間は相当な金銭的な価値に相当するでしょう。

もし、学習者の方が“節約として”独学をするならそれは本末転倒です。なぜ「独学」だと効率が悪く無駄な時間がかかってしまうのか。それは、次のような致命的な4つの問題があるからです。

  1. 目標設定と学習計画が効果的に立てられない
  2. 学習中に理解できないことがあったら止まってしまう
  3. 変な癖(特に発音)がついてしまう
  4. モチベーションが続かない

これを独学で乗り切るにはかなりのやる気と学習を管理する能力が求められます。リスクは高いです。独学を続ける場合、これらの問題が生じ、高度なレベルまで到達するのに何年もかかってしまう可能性が高いです。

7.学校に行くならPaoChaiオンライン中国語コーチング

そこで、おすすめは、PaoChaiオンライン中国語コーチングを利用するというやり方です。中国語学習法およびモチベーション管理を熟知した中国語学習コーチの毎日の徹底伴走サポートを受けながら、長期的な視点で確実に成果を出します。

独学で生じる4つの問題を解決して最短で中国語で話せる、聞けるようになります。より具体的にどのようなサービスであるかはPaoChaiのHPをご覧ください。

8.中国語の学習戦略をまとめる理由

ここでは、どのような問題意識と経緯でPaoChaiの中国語学習の全体像をまとめることになったのかを書きます。

私は長らく「最短で中国語を“使える”ようになる方法」を考えてきました。なぜなら、めんどくさがりで集中力が保てない私はできるだけ効率的に結果を出したいと思っていたからです。そのソリューション(解決策)ができればこれから中国語を学ぶ人のためにとって有益なものになると考えていたからです。

8−1.語学の成功に必要な3つの要素

試行錯誤しまとめていると、自らの語学経験、中国語達人の学習方法のヒアリング、第二言語習得の研究結果という3つの観点から、「音読とシャドーイング」、「学習量の確保」、「短期集中」というキーワードにたどり着きました。これは総じて科学的なアプローチといえるでしょう。

まず、自らの経験として、語学力の根幹ともいえるスピーキングとリスニングが伸び悩んでいたとき、「音読」に真面目に取り組むことでブレイクスルーした経験がありました。より正確にいうと、中国語で伝わる発音で発話できて、聞き取れる語彙、単語やフレーズが増えたといえます。

次に中国語の達人の勉強方法です。私がこれくらい上手に中国語を使えれば理想的だと思える中国語の達人にヒアリングをし、「学習量」と「音読」が決定的に重要と理解しました。中国駐在20年以上の中国ビジネスのプロ、北京大学の卒業生、指導経験豊富な中国語講師、中国語教育研究者等日本人でゼロから勉強して中国語を高度なレベルで身につけた方たちです。共通する結論は、どれだけ効果のあるトレーニングに時間を割いたかという学習量の確保と、意味を理解した中国語を音読するという学習方法です。

最後に、第二言語習得の研究成果を見ると、語学は「知識」よりも身体で覚える「技術」が重要でスポーツに近いものであることが言われていることがわかりました。義務教育で沢山勉強した英語がなぜ身につかないか?そのほとんどの理由は「知識を技術に変えるトレーニング」が足りないということです。そして、音読とシャドーイングがまさにそのトレーニングです。さらに、いくつかの研究から「短期集中が効果的」とも言われています。

まとめると語学習得で重要なことは以下の3つです。

  1. 音読(とシャドーイング)
  2. 学習量の確保
  3. 短期集中

8−2.最短で中国語を“使える”ようになる

これらを基に戦略的な学習法を考えました。

「最短で」というのは、少ない投下時間で、ということで明確です。そこでまず重要なのは、この“中国語を使える”ということをどうSMARTな目標に落とし込むか、です。SMARTとは具体的(S)、測定可能(M)、達成可能(A)、目的(使える)に関連している(R)、時間制約がある(T)という意味です。何らかの目的を持って学習をするには、この条件を備えた目標に向かうのが効率的です。

一般的に語学は英語であればTOEICやTOEFLの点数や英検のような資格試験をマイルストーン的に目標にして学習を進めます。しかし、往々にしてそれは知識偏重になり、“使える”実感の乏しい語学力になりがちです。一方で、OPIのようにテスター資格を持ったテスターが1対1のインタビュー形式で、いろいろな質問をして口頭運用能力を測定するテストもあります。ですが、総合的な評価であり、評価やフィードバックが返ってきてもどう学習に活かすのが難しいですし、コストも大変かかります。

音読ベースで学習を進めることを前提に試行錯誤した結果、“使える”により直結し学習に利用しやすい指標を見出しました。

それは、コア能力の段階では、「ある程度の長さのある様々な文章を伝わる発音で読める」ことと、新出語彙を含む中国語音源のリピーティングができる、ことです。また、実践能力の段階では、自分で評価を決められる形式で学習するという方式です。

残るは、「学習量の確保」と「短期集中」です。

学習量を確保するために、

やることを明確化。勉強すると決めたらすぐに取り組めるように、学習単位をタスクという小さな宿題に分け、そのタスクの目標ややるべきことを具体的に設定しました。

成長実感でモチベーションを維持。長めの文章を上手に読めると“使える”感覚を得ることができ成長実感となり、やる気が出てきます。どんどん新しい文章を読めるようになりたくなります。

やることをシンプルに。4技能を音読中心の学習にまとめているのでシンプルな学習ができます。第二言語習得の分野でも、4技能をバランスよく高めることが言われています。読む、書く、聴く、話す、をバラバラに学習するのは大変です。音読とシャドーイングに集約して、全てを高められるのであれば学習はとても実行しやすくなります。成長実感もあるのでイメージとしては、いつでもどこでも取り組めるジョギング(pǎo bù)のようなものです。実はこれが、Paochaiの名前の由来です。

また、学習内容を30分から1時間のタスクに整理しているので、スケジュール管理がしやすいというメリットがあります。1日2タスクなど決めて一気にやることが望ましいです。PaoChaiでは「オンライン中国語コーチング」という3ヶ月短期集中のプログラムを提供しています。

9.まとめ

以上、長くなりましたが中国語を戦略的に学ぶ方法を説明しました。

一般的な教科書や語学スクールではそもそもどのような目標設定(何を良いとするのか)で、そこからどう学習計画(カリキュラム)が導かれているのかは曖昧ですし、公表されていません。

あまり具体的に指示すると学生から考える機会を奪うというような考えもあるのかもしれませんが、明確に目標設定をし、学習計画立てることにより、学習効率が高まります。さらに、今後の見通しをよくして長期的に継続して勉強するために重要なのではないでしょうか。

以上、中国語の学習法を詳しく説明しました。中国語学習中のみなさんの参考になれば幸いです。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、このような本質的な考えにより中国語学習サポートを行っております。

ゼロからの初心者から既に中国で仕事・生活をしている学習経験者まで、無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。毎日開催しております。

アイコン

冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

冨江コーチさんの他の記事を見る