【中国語】「瞬間動詞」「継続動詞」「状態動詞」とは?アスペクトによる動詞の分類

語法・表現・フレーズ

中国語の動詞は「アスペクト※」に基づいて、以下のように分類できます。これは、動作が「いつ起こるか」ではなく、「どのような状態にあるか(始まった・続いている・終わった等)」を示す観点での分類です。

※アスペクトとは動作の時間的な状態(完了、継続、経験など)を意味します。

関連記事:中国語の動詞はどう分類する?10分類と10メリット

① 瞬間動詞(瞬时动词)

意味:一瞬で完了する動作。時間的幅がない。

  • 例:死(sǐ)死ぬ、哭(kū)泣く、买(mǎi)買う、跳(tiào)跳ぶ、进(jìn)入る
  • 特徴:継続アスペクト「着」「在」「正在」などと結びつかないことが多い。

📝例文:

  • 他死了。(Tā sǐ le.)彼は死んだ。
  • 我买了一本书。(Wǒ mǎi le yī běn shū.)本を一冊買った。

② 継続動詞(持续动词)

意味:ある期間にわたって継続する動作や状態。

  • 例:看(kàn)見る、听(tīng)聞く、吃(chī)食べる、说(shuō)話す、学习(xuéxí)学ぶ
  • 特徴:「着」「在」「正在」などの継続アスペクトとよく組み合わせられる。

📝例文:

  • 我在看书。(Wǒ zài kàn shū.)私は本を読んでいます。
  • 她正在吃饭。(Tā zhèngzài chīfàn.)彼女は食事中です。

③ 状態動詞(状态动词)

意味:行動ではなく「ある状態」を表す。進行・完了しない。

  • 例:知道(zhīdào)知っている、喜欢(xǐhuān)好きだ、懂(dǒng)理解している、有(yǒu)ある
  • 特徴:「了」「着」「在」などとあまり結びつかない。

📝例文:

  • 我喜欢你。(Wǒ xǐhuān nǐ.)私はあなたが好きです。
  • 他懂中文。(Tā dǒng Zhōngwén.)彼は中国語がわかる。

④ 漸進動詞(渐进动词)

意味:動作が少しずつ進むもの。開始と完了の間に経過がある。

  • 例:变(biàn)変わる、熟(shú)熟れる、老(lǎo)年を取る、累(lèi)疲れる
  • 特徴:進行中の状態にフォーカスされやすい。

📝例文:

  • 天慢慢黑了。(Tiān mànmàn hēi le.)空がだんだん暗くなった。
  • 他变得很成熟。(Tā biàn de hěn chéngshú.)彼は成熟してきた。

動詞をアスペクトで分類するメリット

 

中国語の動詞をアスペクト(Aspect)に基づいて分類することで、学習者には以下のような 実践的で深いメリット があります。特に、文法理解・語順の正確性・自然な会話力の向上に大きく貢献します。

 1. アスペクト助詞(了・着・在など)の正しい使い方がわかる

🔸 説明

動詞の性質(瞬間動詞・継続動詞・状態動詞など)を理解していれば、それに合ったアスペクト助詞を 自然に選択 できます。

🔹 例

  • 「他死。」(Tā sǐ le.)→OK(瞬間動詞+完了の了)
  • 「他死。」(Tā sǐ zhe.)→❌ 不自然(瞬間動詞と継続助詞は合わない)

🟩【メリット】

「了」「着」「在」などをむやみに暗記せず、動詞のタイプから自然に判断できるようになる

 2. 不自然な中国語表現を避けられる

🔸 説明

意味的に合わないアスペクト助詞を使ってしまうと、ネイティブには不自然に聞こえる文になってしまいます。

🔹 例

  • 「我知道了。」(Wǒ zhīdào le.)→OK(新たに知った)
  • 「我正在知道。」(Wǒ zhèngzài zhīdào.)→❌ 不自然(「知道」は状態動詞なので進行しない)

🟩【メリット】

誤った文法ミスを減らせる → 検定試験やビジネスシーンでも自信が持てる。

 3. 会話での語順・文の構造が理解しやすくなる

🔸 説明

アスペクトは中国語の文法構造に深く関わっています。語順や副詞との相性を理解する上で大切です。

🔹 例

  • 「她正在唱歌。」(Tā zhèngzài chànggē.)→OK(継続動詞)
  • 「她正在死。」→❌(「死」は瞬間動詞で進行中という概念に合わない)

🟩【メリット】

語順の感覚が養われ、作文力が上がる。

 4. 語彙の理解が深まる

🔸 説明

単に「意味」だけで覚えるのではなく、「どんな時間的性質がある動作なのか」を意識することで、語彙の使い方の理解が一段深くなります。

🔹 例

  • 「看(見る)」→ 継続動詞 → 「正在看」「看着」「看了」すべてOK
  • 「跳(跳ぶ)」→ 瞬間動詞 → 「跳了」OK、「正在跳」→ 瞬間性が薄れるので連続ジャンプのような意味になる

🟩【メリット】

文のニュアンスの違い(たとえば「正在跳」と「跳了一下」のような違い)も理解できるようになる。

 5. 中国語独特の「動詞中心構造」に慣れる

🔸 説明

中国語は動詞を中心に文法が展開される言語です。英語や日本語のように時制が明示されるのではなく、動詞のアスペクトが「時間の流れ」を表します。

🟩【メリット】

「今は○○中だ」「もう終わった」「これから○○する」のような時間表現を、ネイティブの感覚で言えるようになる。

 6. 試験対策にも役立つ

  • 中国語検定(中検)、HSKでは「了・着・在」の使い分けが頻出。
  • 読解問題・作文問題でも「動詞の種類とアスペクト」がカギになる問題が多い。

🟩【メリット】

文法的な裏付けがある解答ができ、得点が安定する。

 7. スピーキング・リスニング力の向上

  • 相手がどのアスペクトを使ったかで「その行動は終わってるのか?続いてるのか?」を判断できる。
  • 自分が表現するときも 「買ったばかり」「今まさに読んでる」 といった違いをハッキリ伝えられる。

🟩【メリット】

実際の会話での理解度が上がり、自然な表現が可能に。

🔚 まとめ

アスペクトに基づく動詞分類は、以下の力を総合的に引き上げます:

  • ✅ 正しい文法判断力
  • ✅ 不自然な表現の回避力
  • ✅ 単語と表現のニュアンス把握力
  • ✅ 会話・作文・読解など4技能全体の底上げ

つまり、「話せる・聴ける」中国語力をつけるための土台になる知識です。

できればたくさんの中国語に触れて自然に体得するのがベストですが、理論的に把握しておくと効率UPします!

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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