【中国語】動詞と助動詞、助動詞と副詞の違いは?合計9観点で考察

語法・表現・フレーズ

ある学習者から素朴且つ難しい問題をいただきました。

それは以下のような問い。

助動詞と副詞って、何が違うんですか?

どちらも動詞を前から修飾して意味を追加しているように思います。

なかなか頭を悩まされる問題です…

今回は、動詞と助動詞の違いも含めて、助動詞と副詞の違いを考えたいと思います。

助動詞の定義は難しい?様々な学説

まず、そもそもある単語を、助動詞や動詞や副詞と分類することは実はとても難しいのです。なぜならさまざまな言語使用を分析すれば、例外があり、全てをもれなく1つの分類で行うことが大変だからです。

例えば、助動詞の定義を例にしても、そこには様々な見方があるようです。

例えば、次のような説があります。

  • 助動詞をあくまで動詞の中の一種と見て、助動詞として独立するまでになっていないと見る動詞説
  • 普通の動詞としてみる能願動詞説
  • 副詞として捉える副詞説
  • 助動詞を独立した品詞(助動詞)としてみる助動詞説

このような解釈の幅があるため、助動詞の数にしても、12個ある、27個、48個、など様々な主張があるようです。

助動詞と動詞の6つの違い

さて、本題に入ります。

以下、助動詞と動詞の主な違いを6つのポイントで見ていきましょう。

1.助動詞は重ね型がない

動詞の場合、「看」を「看看」や「看一看」のように重ね型にして使えますが、助動詞の場合、「能」を「能能」や「 会」を「会会」のようにすることはできません。

2.助動詞はアスペクト助詞(了,着,过)をとれない

動詞の場合は、「读」を「读了」「读过」「读着」とアスペクト助詞(了,着,过)をとることができますが、助動詞はそれができません。例えば、「应该」は、✗「应该了」「 应该过」「应该着」などとすることはできません。

3.助動詞は受け身にすることができない

動詞「知道」は「被知道」のように受け身にできますが、助動詞は「被会」「被能」のようにすることはできません。

4.助動詞は程度を表す副詞の修飾を受けられる

動詞は、「很 」など程度を表す副詞の修飾を受けて✗「很打球」とすることはできません、一方の助動詞は「很会打球」「非常能写文章」などと修飾を受けられます。

5.助動詞は名詞目的語をとれない

動詞は「学习汉语和英语」のように名詞目的語をとれますが、助動詞は✗「能汉语和英语」などと言うことはできません。

「会英语」というではないか?と思われた方もいるかと思いますが、その場合の「会」は動詞です。

6.助動詞は補語をとれない

動詞は「听到」「 听一个小时」などと補語をとれますが、助動詞は✗「 能到」「 能一个小时」のように補語をとることはできません。

助動詞と副詞の3つの違い

動詞と助動詞の違いがわかったところで、冒頭の学習者の疑問について考えてみましょう。以下、3つの点の違いがあります。

1.助動詞は否定があるが、副詞は否定がない

助動詞は「不会 」「不能」など否定にできますが、副詞は✗「 不非常 」「不极 」「不一直」など否定の形式をとれません。

2.助動詞は「不」を使って「A不A」を作れるが、副詞はできない

助動詞は、「你会不会说法语?」など「不」を使って「A不A」として使えますが、副詞は✗「已经不已经 」「非常不非常」のように使用することはできません。

3.助動詞は述語として使えるが、副詞は使えない

助動詞は「你会说韩语吗 ?我会」と述語として成り立ちますが、副詞は✗「 你也去吗 ?我也」のように述語として機能しません。

**

以上、かなりスッキリしたのではないでしょうか?

ただ、上記の定義もあくまでも語の使用方法などを中心に分類した1つの方法に過ぎず、それをどう学習に役立たせるかは学習者次第です。

参考文献に詳しい説明が書かれているので是非、ご一読ください。論文は検索したらネット上で読めます。

参考:

関連記事:【中国語】語順は謎?助動詞、介詞フレーズ、副詞、動詞の位置

アイコン

HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

HARUさんの他の記事を見る