【中国語】 “一点儿”と“有点儿”の違いを解説!どちらも「ちょっと」ではない?

語法・表現・フレーズ

中国語を勉強していると、よく出てくる “一点儿”“有点儿”。

みなさん、その違いをどれだけ説明できますか?

今回は意外と理解されていない “一点儿”と“有点儿”の違いを深掘りしていきたいと思います。

“一点儿”は一般的に比較文の差を示す場合に使われることからわかるように、比較した結果としての「ちょっと、少し」という差分を表し、形容詞や動詞の後に来ます。一方“有点儿”は比較の差ではなく、話し手にとって好ましくないことについて主観的に「少し、ちょっと」というときに使い、形容詞や動詞の前に置きます。

以下、詳しくみていきましょう。

(各語の意味、例文は、白水社 中国語辞典(weblio)の“一点儿”と“有点儿”を参照しています)

関連記事:【中国語】動詞の前後にある謎の量詞【点・下・些】

一点儿 yì diǎnr

一点儿【数詞+量詞】ちょっと、少しばかり

まずは、数詞(一)+量詞(点儿)の形で「 (一般に個数で数えられないものについて)ちょっと,少しばかり」の意味の使い方を紹介します。

意外に一(数詞)+点儿(量詞)の組み合わせだと知らない人が多いと思います。これがわかると理解しやすくなると思います。

①動詞の後で目的語に用いる

まずはよく見かける、“一点儿”を「少しのもの」として名詞的に目的語として使う用法です。

用例

  • 你有钱,借给我一点儿。=君,金を持っていたら,私に少し貸してください.
  • 这事我知道一点儿。=この事については私は少し知っている.
  • 你多吃一点儿吧。=もう少したくさん食べなさい.
  • 这些饭不够你吃再给你添一点儿。=これだけのご飯では君に足りないなら,もう少し足してやろう.

※“一”は省略することができます。

②名詞の前で連体修飾語に用いる

名詞の前で“一点儿”を連体修飾語として使う用法です。“有点儿”にも言い換え可能です。

用例

  • 喝了一点儿酒。=(少しの酒→)酒を少しばかり飲んだ.
  • 我有一点儿钱,可以借给你。=私は少し金を持っているから,君に貸してもよい.
  • 桌上没有一点儿灰尘。=机の上にはほこりが少しもない.
  • 这是我的一点儿心意。=これは私の少しばかりの気持ちです.

※動詞の後に用いる場合は“一”を省略することができます。

③形容詞の後に用い,程度・数量のわずかな増加・減少を示す

形容詞の後に“一点儿”用い、程度・数量のわずかな増加や減少を示します。

用例

  • 你的表快一点儿。=君の時計はちょっと進んでいる.
  • 我比他高一点儿。=私は彼よりちょっと背が高い.
  • 一点儿上街=少し早く町に出る.
  • 一点儿声说=(少し声を大きくして→)もう少し大きな声で話す.

※“一”は省略することができます。

④“这么”“那么”の後に用い「形状が小さい」「数量が少ない」ことを強調

“这么”“那么”の後に用い、「形状が小さい」「数量が少ない」ことを強調します。

用例

  • 壶里水只剩下这么一点儿了。=ポットにはこれっぽっちの湯しか残っていない.
  • 西瓜还没有长好,只有这么一点儿大。=スイカはまだ十分大きくなっていない,たったこれっぽっちの大きさだ.
  • 那么一点儿粗的绳子禁不住。=あれっぽっちの太さのロープではとてももたない.

※“一”は省略することができます。

一点儿【副詞】少しも、ちっとも、少しの…も

(‘一点儿[也]不(没[有])’‘一点儿[都]不(没[有])の形、

または〔‘一点儿’+名詞+‘都不(也不)’〕〔‘一点儿’+名詞+‘都没[有](也没[有])’〕の形で用い

「少しも、ちっとも、少しの…も」の意味です。

用例

  • 一点儿也不累。=私は少しも疲れていない.
  • 互相间一点儿都不了解。=互いに少しも理解し合っていない.
  • 一点儿用处也没有。=(少しの用途もない→)何の役にも立たない.
  • 一点儿钱都不要。=一銭の金も要らない.

有点儿 yǒudiǎnr

有点儿【副詞】ちょっと、少し

まずは、副詞の用法です。副詞は主に連用修飾です。

  • “有点儿” + 消極的意味を示す動詞・形容詞
  • “有点儿” + 積極的意味を示す動詞・形容詞

の形で用い、ちょっと、少しの意味です。

①婉曲表現

説明が長くなりますが、この“有点儿”は「好ましくない状態・性質を直接的に述べることを避けて控えめに表現したり,時に程度が甚だしいのにわざとそれをアイロニカルに言って相手に理解させようとする場合」の「少し」です。

用例

  • 这个人有点糊涂。=こいつは少しいかれている.
  • 他今天有点紧张。=彼は今日ちょっとぴりぴりしている.
  • 我身上有点不舒服。=私は少し体の具合がよくない.
  • 有点顽固。=彼はちょっと頑固だ.
  • 对一个天真无知的孩子实行打击报复,这种做法有点未免太过分了吧!=天真爛漫な子供に対して報復をする,こんなやり方はいささか行き過ぎているようだ!

②程度が高くない「ちょっと」

この“有点儿”は、心理活動や発展・変化の程度が高くないことを示す場合に使います。

用例

  • 这个人我有点面熟。=この人は幾らか見覚えがある.
  • 有点想家。=私はちょっと家が恋しい.
  • 这里的风景有点像北京郊区。=この風景は北京の郊外に少し似ている.

③「少し」の意味をより強調

最後の副詞“有点儿”の用法は、“稍微”共に用いて「少し」の意味をより強調する場合です。

用例

  • 爸爸稍微有点生气。=お父さんは少々腹を立てている.
  • 学习稍微有点吃力。=勉強は少々骨が折れる.

有点儿”は‘我心情有点舒暢了(私は気持ちが少しのびやかになった)のように好ましい変化の表現には用いることができますが、好ましい状態や性質の表現には用いることはできない。「这本小说有点好看」(この小説はちょっとおもしろい)のような表現は不自然となります。

似た単語で“有些”があります。“有点儿”は後に形容詞や動詞を伴わずに単独で用いることもありますが、“有些”はこのような用い方はできません。你是不是不满意?—嗯,有点儿。(「君は不満なのでは?」—「ええ少し」)

有点儿【動詞+量詞】少し…ある

動詞+量詞としての“有点儿”です。

(〔主語(場所)+‘有点儿’+目的語(名詞)〕

〔主語+‘有点儿’〕の形で用い)

の形で、…には…が少しある、(…は)幾らかあるの意味になります。

この場合“有”が述語になります。

用例

  • 瓶子里还有点酒。=瓶の中にはまだ少し酒がある.
  • 你应当有点勇气。=君は少し勇気を持つべきである.
  • 剩饭还有点。=ご飯の残りはまだ少しある.
  • 工作有了点儿起色。=仕事に少し活気が出た.

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以上、中国語でよく見かける“一点儿”と“有点儿”の意味と用法を確認しました。

ポイントは、同じ「少し、ちょっと」でも“一点儿”は比較の差分であり、“有点儿”は、主観的な不満を表すことを覚えておきましょう。

是非、例文を手がかりに違いを掴んで使い分けをしてみてください。

参考:“一点儿”と“有点儿”(白水社 中国語辞典 from weblio)

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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