【WeChat】中国人とチャットするときの4つの注意点

中国文化・歴史中国語実践者

 こんにちは!中国語漫画翻訳者のもりゆりえです。皆さんは友人とのやり取りや仕事の連絡などで、どのようなメッセンジャーアプリを使っていますか?例えば私のように、友人との連絡では「LINE」を、仕事では「Chatwork」や「Slack」を使用しているという人も、多いのではないでしょうか。

 中国には「WeChat(ウィーチャット)」というメッセンジャーアプリがあります。私はこの「WeChat」を中国の翻訳会社との仕事のやり取りや、中国の友人とのやり取りなどで日常的に使用しているのですが、彼らとやり取りを重ねる中で、日本人を相手にするときと違う点に注意を払ってメッセージを送るようになりました。

 今回は私の経験を交えながら、主にWeChatを使って中国の人や企業とメッセージをやり取り(チャット)する際に気をつけた方がいいポイントを、4点ご紹介します。

「WeChat(ウィーチャット)」とは?

「WeChat」は、中国や海外の中国語話者の間で広く使用されているメッセンジャーアプリです。中国語では「微信(wēi xìn)」と呼ばれており、個人間やグループ間でテキストや音声のメッセージをやり取りすることができます。日記機能やお財布機能などもついており、日本で広く普及している「LINE」とよく似ていると言うと、イメージしやすいかもしれません。

 私は中国の友人とはもちろん、取引先の中国の翻訳会社とも、このWeChatを使って連絡を取り合っています。そしてその会社とはメッセージのやり取りだけでなく、成果物(翻訳データ)や請求書の送受信をするときにも頻繁に利用しています。

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【WeChat】注意点➀:なるべく早く返信しよう

 まず私が中国の方とメッセージをやり取りするとき最も注意していることは、とにかく早く返信するということです。

 私の周りの中国の友人や取引先の担当者の方は皆、非常に早く返信をくれる方ばかりです。こちらがメッセージを送った直後に、返信や返答がくることも少なくありません。

 返信のスピードは、当然個人の性格や相手との関係性によっても違うでしょう。しかし自分も含め私の周りの日本人は、よっぽど急ぎの件でなければ、間髪入れずに返信するという人は多くないように感じます。あまりにすぐ返信すると、相手に「早く返信しなければ」とプレッシャーを与えてしまう気がするからです。実際、自分がメッセージを送った直後に日本人の友人から返信が来た経験は、私にはほとんどありません。

 そのため私の場合、偶然スマホを開いた瞬間に日本人の友人からLINEのメッセージが来たと通知があっても、あえて一定時間をおいてから(20~30分、場合によっては2~3時間後くらい)LINEのアプリを開いてメッセージの詳細を確認し、返信するようにしています(アプリを開かなくても、スマホの通知画面でメッセージの冒頭部分だけ確認し、急ぎかそうでないかを判断できるようにしています)。

 しかし以前私は、この「返信を寝かせる」癖のせいで中国出身の友人から誤解されそうになったことがありました。

 ある日、その友人から「○○日に遊べる?」とメッセージが来ました。他の用事の最中だったこともあり、ついいつもの癖で3時間ほど返事をせずにいたところ、彼女から「都合悪いならいいよ」とメッセージが来て、慌てて返信したという経験をしたのです。

 それ以降中国の方とメッセージをやり取りする際は、わざと少し返信を遅らせるくらいなら、すぐにでも返信したほうがいいと思うようになり、できるだけ早く返信するようになりました。

【WeChat】注意点②:すぐ返答できないときは「確認済」と返信

 

 しかし、毎回すぐに返答できないこともあるでしょう。そういうときは、とりあえず「メッセージを見たよ」という趣旨の一言を送ると、相手も安心するようです。

 私は時々、中国語の翻訳が分からない箇所をWeChatで中国の友人に聞くことがあります。その際彼女はよく「让我想想哈(ちょっと考えさせてね)」、「我需要些时间查查(ちょっと調べるね)」とまず私に送り、しばらくしてから質問に返答してくれることが多くあります。

 WeChatにはLINEのように、相手がメッセージを確認した際に自動的に表示される「既読」がつく機能がないため、そのようなメッセージを送ってくれる人が多いのかもしれません。

 しかしLINEで連絡を取り合っている、日本国内に住む中国出身の友人も同じように「メッセージを確認したよ」とまず返信をくれることがほとんどです。そのため私も、すぐに返答ができそうにないときは、なるべく「確認済」という趣旨の返信を送るようにしています。

【WeChat】注意点③:複雑な要件は電話or音声メッセージも◎

 メッセージが長文になったり、何度も送受信しそうなら、いっそ電話や音声メッセージなどのほうがいいかもしれません。

 私も中国の友人たちとWeChatで連絡する中で、ひとつの要件に対してやり取りが長くなりそうな場合、相手から「现在能打电话吗?(今電話かけていい?)」と連絡が来ることが少なからずあります。その後電話でのやり取りが始まったり、場合によっては音声メッセージで返信が来ることも多くあります。

 主にLINEで連絡を取り合う日本人の友人と比べてみると、私の場合、相手と直接電話する機会はとても少なくなったように感じます。文字でのやりとりの方が、お互い好きな時間に気兼ねなく連絡できるからでしょうか。多少時間はかかっても、その方が楽だと感じる人の方が、私を含めて周りの日本人には多いように感じます。

 しかし私の周りの中国の友人は、音声メッセージや電話の方が効率がいいと思ったら、そちらを躊躇せず選択する人が多いような印象です(※ただしこちらは、私の経験では友人同士の場合に限ります。ビジネスでは必要以上の長文は嫌がられますが、文面でのやり取りが基本ですので、ときには長文にならざるを得ないこともあるかと思います)。

 以前こちらの記事でもご紹介したように、例えば人と会う約束をする場合も、日本人の友人だと何日も前にLINEなどで相手の予定を確認する人が多いのですが、中国人の友人の場合は、前日や当日に直接電話して、相手の予定を確認する人の方が、私の周りでは多いです。彼らを見ていると、やはり日本人よりも効率を重視している人の割合が多いように感じます。

【WeChat】注意点④:ビジネスの文面も、極力短く簡潔に

 日本では仕事でやり取りするメッセージは、特に文面が長くなりがちです。「お世話になっております」などの挨拶から始まり、丁寧で婉曲的な言い回しをすることが多いのも、その理由でしょう。また日本では、社外の人間との連絡手段としてメッセンジャーアプリを利用する企業は、まだそこまで多くはないのではないでしょうか。実際私がこれまでお世話になった日本の企業の多くは、メールでのやり取りが基本です。

 しかし私が今取引している中国の翻訳会社は、連絡やデータのやり取りにWeChatを利用しています。それもあってか、全体的に文面が短く簡潔、そして非常にフランクです。

 例えば最近送られたメッセージに、以下のような文面がありました。 

「哈喽,老师。早上好。最近有一个测试,您有兴趣吗(^^♪」

(Hello、先生。おはようございます。翻訳のテストがあるのですが、ご興味ありますか?)」

 日本のビジネスメールのような「お世話になります。○○会社の○○でございます。」といった文面は、初回の挨拶のときだけでした。それ以降は、このような要件のみの短文がほとんどです。文面に絵文字やスタンプが入っていることも少なくありません。

 もちろん、全ての中国の企業がこのようなスタイルではないでしょうが、これまで私が取引してきた日本の企業とあまりに違いが大きかったため、非常に驚いたのを覚えています。

<私が「翻訳の原文データが届いていない」と送った際、担当者から届いたスタンプ>

WeChatのやり取りで大事なのはスピード、効率、簡潔さ

 中国の方とメッセージをやり取りする際は、何よりも素早い返信を心掛けた方がいいでしょう。特にビジネスでは、日本よりもさらにスピーディーで効率的であることが重視されているように感じます。

 特にWeChatを利用する場合「既読」がつかないことも考えて、相手からメッセージが届いたら、まずは「メッセージを確認したよ」と返信した方が親切でしょう。そのひとことをとりあえず送っておけば、本題についての返答は時間があるときで問題ありません。しかしなるべく早めの返答を意識することは、やはり重要です。そして文面は、相手が理解しやすいようにポイントを押さえ簡潔にまとめることも、忘れてはいけないポイントでしょう。

 今回の記事が、中国の方とメッセージをやり取りする際の参考になれば幸いです。

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もりゆりえ

広島県東広島市出身。尾道市立大学美術学科卒業。高校時代に読んだ漫画「封神演義」をきっかけに中国語学習を開始。大学卒業後中国に渡り、浙江大学に10ヵ月間の語学留学(2005年〜2006年)をする。留学中に、「第二届中国国際動漫画節」に参加。現在はフリーランスの中日漫画翻訳者として活動中。趣味は中国のマンガアプリでマンガを読むこと。

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