【中国語】動詞の前後にある謎の量詞【点・下・些】

語法・表現・フレーズ

みなさん、こんにちは!

中国語の文章を読んでいると、よく動詞や形容詞の前後に“一点”、“一些”、“一下”を見かけることがありますね。

これら、どのような意味を持つのか理解していますか?

今日は、その存在意義がわかりづらい謎の“一点”、“一些”、“一下”について解説します。

※“”、“”、“”の各語の用法、意味、例文は白水社 中国語辞典(weblio)を参照しております。

数詞と量詞

日本語で物を数えるとき、1本、2個、3冊、4台…など、何を数えるかによって数える単位が異なります。

中国語にも「量詞」という数える単位があります。

  • 一    本    书
  • 数詞 + 量詞 + 名詞
  • (1 冊 の 本)

この数える単位を「量詞」といい、数字の部分を「数詞」といいます。

以下、紹介する“点”、“下”、“些”は、どれも量詞としての用法になります。つまり、“一点”、“一些”、“一下”は数詞“一”と量詞が組み合わさったフレーズになります。

量詞:点 diǎn

以下、量詞 “点”は、(多く動詞の後に用います。少量の事物を数えます)少し、ちょっと、わずか、を意味します。

①動詞 + [一]点儿 + 名詞

用例

  1. 我有儿事。=私,少し用事がある.
  2. 我去买儿东西。=少し買い物しに出かける.
  3. 多做一儿工作。=(何かに比べて)より多く仕事をする.

②動詞・形容詞 + [一]点儿

動作・行為・性質・状態の数量・程度が、「(他のものに比べて)少し・幾らか・ちょっと(…する・である)」という意味を示します。

用例

  1. 节省一点儿。=少し節約する.
  2. 请您包涵儿。=どうかお許しください.
  3. 简单儿。=ちょっと簡単である.
  4. 我的表快了儿。=私の時計は幾分進んでいる.

③形容詞+ 点儿 +名詞 or 形容詞+名詞+ 点儿

形容詞+ 点儿 +名詞 or 形容詞+名詞+ 点儿、の形で命令請求文(〜してください、しなさい)に用います。

この用法は、形容詞は“大”、“小”、名詞は“声”だけですのでこれだけ覚えましょう。

用例

  1. 点儿声说!=声を大きくして話してください!
  2. 点儿声说!=声を小さくして話してください!
  3. 大声点儿说!=大声を出して話しなさい!
  4. 小声点儿说!=小声で話しなさい!

④一点儿[也/都]不(没有)+動詞・形容詞、一点儿+名詞[也/都]不(没有)

少しも…しない・していない,少しの…もない」という意味を表します。

上の3つと異なり、動詞の前に「一点」が来ています。

用例

  1. 一点儿不懂。=彼はちっともわかっていない.
  2. 一点儿没考虑。=少しも考えていない.
  3. 我的表一点儿也不快。=私の時計は少しも進んでいない。
  4. 一点儿进步都没有。=彼は少しの進歩もない.

量詞“点”のポイント

  • “点”は数を数えることのできる事物に用いることが少ないので、“一些人”は成立しますが、“一点人”は成り立ちません。
  • “些”は不定の数量を示すことが主であり,必ずしも数量の少ないことを示すわけではありません。一方、“点”は常に数量の少ないことを示します。
  • “点”の前に数詞を用いる場合、数詞は“一”、“半”に限りますが、話し言葉ではしばしば“一”を省略します。
  • “一点儿”を文頭に用いることはできますが、“点儿”を文頭に用いることはできません。

量詞:些 xiē

量詞“些”は(不定の数量を示し)幾つか、幾らか、少し、を意味します。

①動詞 + “些”

動詞+ “些”‘の形で、目的語に用い、動作の目的を示します。

用例

  1. 各种资料都买了。=各種の資料をいずれも幾らか買った.

②“些” + 名詞・疑問代名詞

用例

  1. 他写了论文。=彼は論文を幾つか書いた.
  2. 来了朋友。=友人が何人かやって来た.
  3. 你买了什么?=君は何と何を買ったの?
  4. 你到中国旅行都参观了什么地方?=君は中国へ旅行していったいどことどこを見学したか?

③形容詞・動詞 + “些”

形容詞・動詞 + “些”の形で目的語に用い、(他のものに比べて)少し、幾らか、ちょっと(…である,…する)という意味になります。

用例

  1. 动作快。=動作はもう少し速く.
  2. 声音再大。=声はもう少し大きく.
  3. 近来她稍微瘦了。=近ごろ彼女はちょっとやせた.
  4. 你比他略微高。=君は彼よりやや背が高い.
  5. 你要留神。=君はもう少し気をつけなくちゃ.
  6. 这车能不能开快?=この車はもう少しスピードが出せないのか?

量詞“些”のポイント

  1. 一般に数を数を数えることのできるものには“些”を用いますが、“点儿”は用いません。
  2. “点儿”は数量の少ないことを示すのが主ですが、“些”は不定の数量を示し,必ずしも数量の少ないことを示すとは限りません。“有些事”は「幾つかの用事がある」ことを示すのに対し、“有点儿事”は「ちょっと用事がある(用事はおおむね1つである)」ことを示します。
  3. “些”の前に数詞を伴う場合、数詞は“一”に限られ,話し言葉ではしばしば“一”を省略します。

量詞:下 xià

量詞“下”は、主に、動作・行為の回数を数えます。

①瞬間的な動作・行為を数える

用例

  1. 撞了三钟。=鐘を3度突いた.
  2. 我敲门敲了很多,他才听见。=私が何度もドアをノックして,やっと彼に聞こえた.
  3. 他的心扑通跳了一下。=彼は心臓がどきっとした.
  4. 他不小心碰了一下桌子上的茶杯,茶杯倒了。=彼は不注意で(手を)机の上の湯飲みに当ててしまい,湯飲みが倒れた.

“下”は意志的な動作・行為に対しても,非意志的な動作・行為に対しても用いることができます。しかし、動詞を繰り返して用いる表現は意志的な動作・行為にしか用いることができないので、非意志的な行為を述べている最後の2例の“跳了一下”、“碰了一下”をそれぞれ “跳了跳”、“碰了碰”とすることはできません。

②少し(の間)、ちょっと(の間)

(数詞“一”を伴い、非瞬間的な動作・行為に対して用い)少し(の間)、ちょっと(の間)、の意味です。こちらはよく目にするのではないでしょうか。時間的に「少し」という意味が中心にあります。

用例

  1. 请等一下。=少しだけ待ってください.
  2. 请你出去一下,我们有点事情要个别谈谈。=少しの間外に出ていていただけませんか,私たちは少し個人的に話すことがありますので.
  3. 袁先生,我介绍一下,这是王教授。=袁先生,ご紹介致します,こちらは王教授です.

“等一下”と“等一等”、“介绍一下”と“介绍介绍”はそれぞれほぼ同じ意味ですが、前者の方がよりフォーマルな表現です。

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以上、中国語でよく見かける動詞や形容詞の前後にある“点”、“些”、“一下”の意味と用法を確認しました。

是非、例文を手がかりに違いを掴んで使い分けをしてみてください。

参考:“”、“”、“一下”(白水社 中国語辞典 from weblio)

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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