【中国語】文末の“的”は何なのか?強調?

語法・表現・フレーズ

みなさん、こんにちは!

中国語の文章を読んでいると、よく文末に“的de”を見かけることがありますね。

文末にあるのとないのとでどういう意味の違いがあるの?と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、馴染のある連体修飾としての“的de”をおさらいし、分かりづらい文末での用法やその他特殊な使い方について見ていきたいと思います。

※“”の各語の用法、意味、例文は小学館中日辞典 第3版を参照しております。

おさらい:名詞を修飾する/名詞の代わりとなる【助詞“的”】

1.名詞を修飾する

まず最初は、「接続詞・助詞・感嘆詞以外の語や句の後につけて名詞の修飾語をつくる」用法です。名詞を修飾するために“的”が必要になります。

発音は軽声のdeです。「歌や伝統劇の歌詞においてはdiと読まれる」こともあり、“的”をへんとつくりに分けて「“地”と区別するために“bái(白)sháo(勺)」と呼ばれます。

詳しい文法解説は、名詞句の連体修飾語と“的”動詞・フレーズが、形容詞が連体修飾語になるときが参考になります。ここでは用法を押さえておきましょう。

最も良く使われる用法だと思うのでこちらは特に問題ないですね。

用例

  • 军队~生活/軍隊の生活.
  • 图书馆~杂志/図書館の雑誌.
  • 唱~人/歌う人.
  • 调查~对象/調査の対象.
  • 敏捷mǐnjié~动作/すばしこい動作.
  • 幸福~家庭/幸せな家庭.
  • 历来~习惯xíguàn/従来からの習慣.
  • 暂时zànshí~困难/一時の困難.
  • 一贯yīguàn~主张/一貫した主張.
  • 对政策zhèngcè~看法/政策に対する見方.
  • 关于台风~知识/台風に関する知識.
  • 嗒嗒dādā~马蹄声mǎtíshēng/ぱかぱかというひづめの音.
  • 轰hōng~一声炮响/ずどんと1発の砲声.
  • 他送来~皮包/彼が届けてきたかばん.
  • 农业发展~方针/農業発展の方針.
  • 糟糕zāogāo透顶~方案/まるでなっていない計画.
  • 我~父亲/私の父.
  • 民族~自豪zìháo/民族の誇り.
  • 中国~少数民族/中国の少数民族.

2.“……的”が名詞の代わりをする

用例

  • 我的笔忘带了,借你~使使/私のペンは忘れてきたので,君のを使わせてくれ.
  • 去参观~在门口集合/見学に行く人は入り口に集合のこと.

修飾を受ける名詞が文脈ではっきりわかる場合、“……的”が被修飾語を含む全体の代わりをします。「你的」で「あなたの」というような意味になります。

ただし、この代替には次のようないくつかの規則があります。

1.呼称や抽象的な事物の場合

被修飾語が一般の人・物をさすときはこれを省くことができあすが、呼称や抽象的な事物の場合は省くことができません。

  • 开会~(人)都到了吧/会議に出る人はみな到着しただろう.
  • 他~行李多,我~(行李)少/あの人の荷物は多いが,私の(荷物)は少ない.
  • 我们~老师比你们~老师年纪大些/私たちの先生はあなたがたの先生よりいくぶん年上だ.→呼称の「老师」は省略できない
  • 老王~意见明天去,我~意见今天就走/王さんの意見ではあす行くというのだが,私はきょうすぐ行くほうがよいと思う.→抽象的な「意见」は省略できない

2.修飾語が限定または分類を意味する場合

修飾語が限定または分類を意味する場合は被修飾語を省くことができます。

  • 两个孩子,大~六岁,小~三岁/二人の子供のうち,大きいのは6歳,小さいのは3歳だ.(分類)
  • 问题很多,要解决最主要~/問題が多いので,最も重要なものを解決すべきだ.(分類)
  • 给你一朵红~(花儿)/君には赤いのを1輪あげる.(限定)

3.修飾語が「動詞+“的”」の場合

修飾語が「動詞+“的”」の場合、被修飾語が「動詞の主語または目的語」になり得るときは、これを省くことができますが、そうでない場合はできません。

  • 游泳~(人)很多/水泳をする人が非常に多い.
  • 过去~(事情)就不谈了/過ぎ去ったことはもう水に流そう.
  • 伴奏bànzòu~声音太大,唱~声音太小/伴奏のほうは音が大きすぎるが,歌声のほうは小さすぎる.→“声音”は動詞“唱”の主語にも目的語にもできないから省けない.

文末にある【助詞“的”】

ここから本題となる分かりづらい文末にある助詞“的”について見ていきましょう。

1.(“……的”が述語になる)

a “是……的”の形で述語になる

  • 书是他~/本は彼のものだ.
  • 生活是愉快~/生活は楽しい.

これは上記の「“……的”が名詞の代わりをする」用法で、それが目的語ではなく述語になっている、というものです。ここも比較的理解はしやすいでしょう。

b “……的”が単独で述語となる

(1)「名詞・代詞+“的”」が所属関係あるいは原料を表す場合
  • 那支笔,谁~?/そのペンはだれのですか.
  • 那条围巾wéijīn人造丝~吧?/そのスカーフはレーヨンだね.
(2)「形容詞+“的”」で形容詞が単音節の場合
  • 这葡萄酸suān~/このブドウは酸っぱい.
  • 杯子里的酒满~/杯の中の酒はいっぱいだ.

[形容詞が描写形の場合]

  • 井水凉冰冰~/井戸水が氷のように冷たい.
  • 眼睛水汪汪~/目がぱっちりとしている.
  • 屋子干干净净~/部屋がきれいにかたづけてある.

[2音節形容詞の場合は前に“怪、挺tǐng、够”などの副詞やある種の助動詞を添える必要がある]

  • 你弟弟怪能干nénggàn~/君の弟はなかなかのやり手だ.
  • 心里挺高兴~/心中とてもうれしい.
  • 留学手续shǒuxù够难办nánbàn~/留学の手続きはなかなか難しい.
  • 一会儿就会高兴~/そのうち機嫌がよくなるよ.
(3)「動詞・主述句+“的”」の場合.
  • 这本小说借来~/この小説は借りてきたのだ.
  • 车票我买~/切符は私が買った.
(4)「四字句+“的”」の場合.
  • 屋子里乱七八糟zāo~/部屋の中がめちゃくちゃに散らかっている.
  • 大伙儿有说有笑~/みんなしゃべったり笑ったりしている.

**

形容詞の重ね型は連体修飾語や述語になる場合、基本的に語尾“的”が必要になります。こちらは基礎的な文法で学んでいますね。

2.動作の結果としての状態を表す

“……的”が「動詞+“得”」の後に置かれ動作の結果としての状態を表します。この用法は中々意味が取りづらいものです。

a 「形容詞+“的”」の場合

「形容詞+“的”」の場合、形容詞は程度副詞の修飾語を伴ったものか、あるいは描写型形容詞に限られます。

  • 写得很清楚~/非常にきれいに書いてある.
  • 炉子烧得通红~/ストーブは赤々と燃えている.
  • 脸晒shài得黑黑~/顔が真っ黒に日焼けしている.

ここで最後に“的”があることで「動作の結果としてその状態がある」ことが明確になります。「写得很清楚。」だと「非常にきれいに書く(書いた)」などと解釈可能ですが、「写得很清楚的。」とすると、「非常にきれいに書いてある」という結果としての状態という意味になります。

b 「四字句+“的”」の場合

  • 笑得前仰yǎng后合~/笑いこけている.
  • 忙得晕头yūntóu转向zhuànxiàng~/頭がくらくらするほど忙しかった.

こちらも同様で、最後の「的」があることで、動作の結果の状態を表現することができています。

3.肯定、已然

文末に用いて次のようなニュアンスを表します。

a 肯定を表す

肯定を表します。“的”を用いない文よりも判断を確認する気持ちが強くなります。

  • 他要去~/彼は必ず行く.(他要去/彼は行く.)
  • 我去过他家~/私は彼の家に行ったことがあるのです.(我去过他家/私は彼の家に行ったことがある.)

この「的」もその有無の違いがわかりにくいものです。最後に“的”があったほうが「判断を確認する気持ちが強い」ということです。日本語に翻訳にするのが難しいですが、2番目の例でうは、“的”なしの文が「〜ことがある」になっているのに対して、“的”がある場合は「〜ことがあるのです」と語気を強めた翻訳になっています。

b 已然を表す

已然(動作がすでに発生済みであること)を表します。次のように,文によっては“的”を用いなければ未然となります。

  • 我用圆珠笔yuánzhūbǐ写~/私はボールペンで書いた.(已然)(我用圆珠笔写/私はボールペンで書く.(未然))
  • 我们由北京出发~/われわれは北京から出発した.(已然)(我们由北京出发/われわれは北京から出発する.(未然))

こちらの“的”も、重要ですが見落としがちな意味合いを付加しています。“的”があることで、「書く」という未然が、「書いた」(已然)となります。

【助詞“的”】その他の特殊な用法

次に、文末ではないですがあまり見かけない特殊な“的”の用法を見ていきましょう。

前者が後者の役割を果たすことを表す

人をさす名詞・代詞と職務・身分を表す名詞との間に“的”を用いた場合は,前者が後者の役割を果たすことを表します。

  • 今天开会,你~主席/きょうの会議ではあなたが議長です.
  • 你到这儿来,谁~介绍人?/あなたがここに来られたのはどなたの紹介ですか.
  • 今天吃饭,我~东/きょうの食事は私がおごる.▶“东”は主人役.

その人が動作の対象であることを表す

一部の動詞の目的語に,「人をさす名詞・代詞+“的”」を修飾語として加えたとき、その人が動作の対象であることを表します。

  • 别生我~气/私に腹を立てるな.
  • 你是不是要告我~状zhuàng?/君は私のことを告げ口するつもりか.

すでに発生した動作の主語・目的語・時・場所・方法などを強調

動詞とその目的語の間に“的”を挿入して、すでに発生した動作の主語・目的語・時・場所・方法などを強調すします。しばしば“是”が挿入されます。

  • (是)他买~票/切符を買ったのは彼だ.(主語の強調)
  • 回来(是)坐~飞机/帰りは飛行機に乗った.(目的語の強調)
  • 我(是)十一点离开~图书馆/私は11時に図書館から出た.(時を強調)
  • 你(是)在哪儿念~大学?/通った大学はどこですか.(場所の強調)
  • 我们(是)按规定做~处理/われわれは規定に照らして処理したのだ.(方法の強調)

原因・条件・状況などを強調

文頭の句の末尾に用い、原因・条件・状況などを強調します。

  • 大星期天~,你怎么不出去玩儿呢?/せっかくの日曜日なのに,なぜ遊びに出かけないのですか.
  • 无缘无故~,你着zháo什么急?/わけもないのに,どうしていらいらするんだ.
  • 走啊走~,天色可就黑下来了/さんざん歩いているうちに,日がとうとう暮れかかってきた.

「…といった類」の意味

並列した語句の後に用い、「…といった類」の意味を表します。

  • 钳子qiánzi,改锥gǎizhuī~,放在这个背包bēibāo里/ペンチとかドライバーはこのリュックに入れる.
  • 破铜烂铁làntiě~,他捡jiǎn来一满筐kuāng/彼は銅のかけらやらくず鉄やらをかごいっぱいに拾ってきた.

**

以上、中国語でよく見かけるがいまいち意味がわからない“的”の用法を確認しました。あってもなくても同じではないか?という先入観がありましたが、しっかりとした意味やニュアンスの違いを生んでいましたね。

是非、例文を手がかりに違いを掴んで使い分けをしてみてください。

※“”の各語の用法、意味、例文は小学館中日辞典 第3版を参照しております。

アイコン

HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

HARUさんの他の記事を見る