【中国語】そこに“于”必要?何の意味があるのか?

語法・表現・フレーズ

みなさま、突然ですが下記の中国語の“于yú”の意味がわかりますか?

台风将今晚登陆(台風は今晩上陸します)

“将于”で一単語なのか?“于yú”で分けられるのか?など疑問に思うことでしょう。

実は“于yú”には、在 zài、给 gěi 、到 dào、向 xiàng、由 yóu 、从 cóng、对 duì 、对于 duìyúなど様々な意味があります。

本日はこの何の意味があるのあよくわからない“于yú”について様々な用法を確認していきたいと思います。

(各語の意味、例文は、白水社 中国語辞典(weblio)“yu”を参照しています)

【前置詞“于”①】動作・事態の発生する場所・時間

まずは、前置詞として(主に書き言葉に用い)(動作・事態の発生する場所・時間を示し)…で,…に,…においてを意味する用法です。これはほとんどの場合、在 zài に置き換えられます。

①(〔動詞+‘于…’の形で用いる.)

用例

  • 火车行桥上。=汽車が橋の上行く.
  • 鲁迅1881年生绍兴。=魯迅は1881年紹興生まれる.
  • 驰名全世界=世界中名をはせる.
  • 中华人民共和国成立1949年。=中華人民共和国は1949年成立した.
  • 民国甲寅。=民国甲寅の年生まれる.

②(〔‘于’+名詞+動詞〕の形で用いる.)

用例

  • 运动会将五月十日举行。=運動会は5月10日に行なわれる.
  • 通知已昨日发出。=通知は既に昨日出されている.

〔動詞+‘于…’〕の形は多く動作・事態が発生した結果,事物がどのような時間・場所に出現・存在しているかを示します。また場所を示す場合には〔‘于’+名詞+動詞〕の形より〔動詞+‘于…’〕の形の方が一般的です。

冒頭で紹介した「台风将今晚登陆(台風は今晩上陸します)」は、「事態の発生する時間」を表しています。ただ、これはなくても、「台风将今晚登陆」で成り立ちます。そのとき“に”というよなところを強調する意味合いになります。

【前置詞“于”②】動作・行為の行なわれる範囲や過程

前置詞 です。書き言葉で〔“于”+名詞+方位詞〕の形で、文頭または動詞の前に用い、

(動作・行為の行なわれる範囲や過程を示し)…(のうち)に,…(の中)で,…(のほか)に

を意味します。こちらも在 zài に近いです。

用例

  • 革命力量数十年的艰苦战斗中逐渐壮大起来。=革命勢力は数十年の苦しい戦いの中次第に大きくなっていった.
  • 买办阶级之外,帝国主义列强又使中国的封建地主阶级变为他们统治中国的支柱。=買弁階級のほか,帝国主義列強は更に中国の封建地主階級をも自分たちの中国支配の支柱としてしまった.

【前置詞“于”③】到達点や移行先

ことらも前置詞です。意味は、 (書き言葉に用い,〔動詞+‘于…’〕の形で到達点や移行先を示し)…に、です。给 gěi 、到 dào に近い意味です。

個人的にこの「(到達点や移行先を示し)〜に」を意味する用法はあまり見たことがありませんでした。

用例

  • 腐朽的势力让位新生的。=腐敗した勢力は新しく生まれたもの地位を譲る.
  • 不自责而委过人=反省せずに人過ちを押しつける.

【前置詞“于”④】動作の相手

こちらも前置詞で、 (書き言葉に用い,〔動詞+‘于…’〕〔動詞+名詞+‘于…’〕の形で動作の相手を示し)…に,…に対して、を意味します。向 xiàng に近いです。

用例

  • 求助人=人助けを求める.
  • 施仁政人民内部=仁政を人民内部対して行なう.

【前置詞“于”⑤】動作の対象や目標

前置詞 で、(書き言葉に用い,〔動詞+‘于…’〕〔動詞+名詞+‘于…’〕の形で動作の対象や目標を示し)…に、を意味します。

用例

  • 他致力文字改革工作。=彼は文字改革の仕事尽力した.
  • 献身教育事业=教育身をささげる.
  • 集中精力工作。=仕事精力を集中させる.

【前置詞“于”⑥】動作の起点や出来事の来源

前置詞で、 (書き言葉に用い,〔動詞+‘于…’〕の形で動作の起点や出来事の来源を示し)…より,…から,…に、を意味します。由 yóu 、从 cóng に近いです。

用例

  • 经验产生实践。=経験は実践より生まれる.
  • 家贫无书,每假借藏书之家。=家は貧しく本もなかったので,いつも蔵書家から借りた.
  • 青出蓝((成語))=(青は藍より出ずる→)出藍の誉れ.

【前置詞“于”⑦】事態の原因

前置詞で、 (書き言葉に用い,〔形容詞+‘于…’〕の形で事態の原因を示し)…で,…(であること)に、を意味します。

用例

  • 家庭琐事=家の雑用忙しい.
  • 不识字=字が読めないこと苦しむ.

【前置詞“于”⑧】影響を与える対象や方面

前置詞で、 (書き言葉に用い,〔形容詞+‘于…’〕〔‘于’+名詞+形容詞〕の形で影響を与える対象や方面を示し)…に(とって)、を意味します。对 duì 、对于 duìyú に近いです。

用例

  • 有利生产=生産有利だ.
  • 人民有益=人民にとって有益だ.

【前置詞“于”⑨】状態や属性が成立する方面・範囲

前置詞で、 (書き言葉に用い,〔形容詞+‘于…’〕の形で状態や属性が成立する方面・範囲を示し)…に,…が、を意味します。

用例

  • 记诵,而短理解=暗記は長じているが,理解力欠けている.
  • 实现=実現すること難しい.

【前置詞“于”⑩】動作主

前置詞で、 (書き言葉に用い,受動文で〔動詞+‘于…’〕の形で動作主を示し)…に(よって)を意味します。限于 xiànyú と近いです。

用例

  • 昨天棒球比赛北京队一比三负上海队。=昨日の野球の試合で北京チームは上海チーム1対3で敗れた.
  • 这里原有一座古塔,清代时毁地震。=ここにはもともと古塔があったが,清代に地震によって壊された.
  • 见笑人=人笑われる.

【前置詞“于”⑪】比較の対象・基準

前置詞 で、(書き言葉に用い,〔形容詞+‘于…’〕または‘相当于…’‘等于…’‘区别于…’の形で比較の対象・基準を示し)…より,…に、を意味します。

用例

  • 苛政猛虎。=過酷な政治はトラよりも害がひどい.
  • 霜叶红二月花。=紅葉は2月の花よりも紅なり.
  • 观众每天不少三千人。=観衆は毎日3000人下らない.
  • 他的死重泰山。=彼の死は泰山よりも重い.
  • 日历本上的星期日用红字印刷,以区别其他日期。=日めくりカレンダーの日曜日は赤字で印刷されていて,他の日区別されている.

【付属形態素“于”】

最後は、付属形態素(※)です。

※付属形態素とは、それ単独では単語にならないもの。

①(動詞性造語成分の後に用い,場所・範囲・到達点などを目的語にとる動詞を作る.)

⇒在于 zàiyú 、处于 chǔyú 、属于 shǔyú 、至于 zhìyú 、归于 guīyú .

②(形容詞性造語成分の後に用い,方面・目標などを目的語にとる動詞を作る.)

⇒勇于 yǒngyú 、敢于 gǎnyú 、乐于 lèyú 、易于 yìyú 、善于 shànyú .

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以上、中国語の“于”の用法をそれぞれ確認しました。

“于”は、在 zài、给 gěi 、到 dào、向 xiàng、由 yóu 、从 cóng、对 duì 、对于 duìyúなど様々な他の前置詞の意味を持ち合わせており、掴みどころがなく正直よくわかりませんね(笑)。困ったら“于”を使えるので量詞の“”のような万能性があるとも言えます。基本は書面語なので、あまり会話では使うことはないでしょうが、沢山の意味を持つので文脈に合わせて意味を取れるよにしておきましょう。

このように、核となる意味と品詞を覚えて、例文を参考に用法を身につけましょう。

(各語の意味、例文は、白水社 中国語辞典(weblio)“yu”を参照しています)

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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