【中国語】単数でも<“一个”(数量詞)>が必要?日本人にとって難しい3つの理由 

語法・表現・フレーズ

みなさん、中国語の数量詞って難しいですよね?

でも何が難しいのか?

これについて、日本語母語話者の日本人の観点で考えてみましょう。

関連記事:【中国語】この“个”は何!?必要なのか?どういう意味があるのか?

【中国語】数量詞が難しい理由1:抽象名詞は何の単位で数えるか?

まず、数量詞が難しい理由は、日本語と中国語の違いから来ます。

まずは、抽象名詞の数量詞です。

日本語では抽象名詞(におい、叱責、希望など)に量詞を使いませんが、

中国語では抽象名詞に数量詞を使います。

なので、日本人からすれば、中国語の抽象名詞をどう数えていいかわかりません。

例えば下記の数量詞は日本語には表現されていません。

  • 我闻到一股香味儿。 (いいにおいがした)
  •  受了一顿批评。(ひどくしかられた)
  • 心里存着一线希望。(心に望みを抱いている)

なぜ、「香味儿」が「股」で数えられるのか、 「批评」が「顿」なのか、この辺りは納得のいくような説明ができないようです。

なので、そのまま覚えるしかなく難しい!ということです。

【中国語】数量詞が難しい理由2:単数をいちいち言う

みなさん、以下の日本語文を中国語にできますか?

  • 前から人が歩いて来ました
  • 私はパソコンを持っています

早速答えを言うと、次のようになります。

  • 前边儿走过来了一个人。
  • 我有一台电脑。

ここで、「あれ?」と疑問に思ったことがあるはずです。

赤字に注目してください。

そう、中国語には「一人の」「一台の」が入っています。(※日本語文には明記していませんが、「一人の」「一台の」だった場合です)

このあたりが中国語の数量詞の難しいところです。

 

つまり、

結局何が難しいのか?

 

日本人にとって、日本語では単数のものについて、話し手と聞き手が単数だとわかれば数量詞を使いません。いちいち「ひとつの」と日本語では言いません。しかし、中国語では場合によっては言う必要があります。

どういう場合か?

以下、主に3つあります。

①所有と存在の目的語は単数も複数も数量詞が必要

まずは、「所有と存在の目的語は単数も複数も数量詞が必要」という場合です。

以下、例を見ればわかりやすいです。

所有

  • ✗ 我有电脑。
  • ◯ 我有一台电脑。

存在

  • ✗ 她家前面有便利店。
  • ◯ 她家前面有一家便利店。
  • ✗ 前边儿走过来了人。
  • ◯ 前边儿走过来了一个人。

②過去に行われた動作の目的語は単数も複数も数量詞が必要

2つ目は、過去に行われた動作の目的語は単数も複数も数量詞が必要というルール。

  • ✗ 昨天看了电影。
  • ◯ 昨天看了一部电影。

③目的語の前に修飾語があれば、その修飾語の前に数量詞が必要

最後は、目的語の前に修飾語があれば、その修飾語の前に数量詞が必要というもの。

  • ✗ 这是很重要的问题。
  • ◯ 这是一个很重要的问题。(or 这是个很重要的问题)
  • ✗ 他有好哥哥。
  • ◯  他有一个好哥哥(or 他有个好哥哥)

**

この他にも、

二重目的語構文で、直接目的語に数量詞がないと文が言い切れなくなります。(後に何か続く感じになってしまいます)

  • ✗ 我送她画儿。(私は彼女に(1枚の)絵を贈ります)
  • ◯ 我送她一张画儿。

こうした細かいルールが他にもあるようです。

【中国語】数量詞が難しい理由3:ルールが明確でない

中国語において上記3つの場合は、単数でも「ひとつの」(一个)を言う必要があるのです。

学習者からよくある質問は「数量詞って必ず必要なのか?」と聞かれますが、

このルールがわかれば完全解決〜!と、なるでしょうか?

そうは問屋が卸しません。

難しい3つのルールがあるだけではなく、

さらに状況を悪くするやっかいなことは、

常にこのルールが当てはまるわけではないということです。

例えば、「我有电脑。」というのは先のルールに照らし合わせれば、不自然な文になるはずです。しかし、「君はパソコンかipadは家にあるか?」などと聞かれた答えとしては自然に使えます。

また、さらに言うと、

上記の①〜③について、一部の教科書や論文などでは「ひとつの」(一个)がないと「間違い」とされますが、実際にいろいろな中国語母語話者にヒアリングしてみるとそうでもないようです…

特に①と②は全然自然で問題ないと考えるネイティブもいます。③はたしかに「ひとつの」(一个)があったほうがいいと考える人が多いようです。

だったらもう単数の場合は、目的語の前に修飾語があれば、その修飾語の前に数量詞が必要という場合だけ、「ひとつの」(一个)をつければいい!と割り切って考えてもいいかもしれません。

**

以上、では日本人として、中国語の数量詞にどう向き合うべきか?

答えは2つです。

  1. 抽象名詞の数量詞は理屈抜きで頑張って覚える
  2. 単数の場合でも、目的語の前に修飾語があれば、その修飾語の前に数量詞が必要と割り切る

できるだけ沢山の中国語を見聞きし、ボトムアップでルールを習得していきましょう。

長期的な視点が必要ですね(^^)

参考

  • 郭春貴「日本人にとって難解な中国語文法」
  • 郭春貴「日中両国語の数量詞の用法と相違」

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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