【中国語の単位】「重さ」「長さ」「広さ」などを3種の度量衡で紹介
こんにちは!中国語漫画翻訳者のもりゆりえです。今回は「重さ」、「長さ・距離」、「面積」、「服などのサイズ」、「エネルギーの量」などに用いられる「中国語の単位」をご紹介します。
なお、今回ご紹介する「中国語の単位」として主に3種類の度量衡──SI単位(エスアイたんい:国際単位系が定める最も基本的な様々な単位の総称)として現在広く用いられている「メートル法の単位」、ヤードやポンドなど、かつての大英帝国構成国(香港を含む)で用いられていた「インペリアル法の単位」、そして中国で長年独自に用いられてきた「中国の慣用的単位」に分けてお送りします。
目次
【中国語】「重さ・重量」の単位
中国の慣用的単位
<写真は2006年の中国留学中に訪れた上海の路地裏。スイカが量り売りされている>
「斤(jīn)」は、野菜や果物などの量り売りで頻繁に目にする単位です。
以前こちらの記事でもご紹介したように量り売りでは端数が出やすいため、中国への語学留学時に果物などを買う際、私も端数の値引き交渉はほぼ毎回行っていました。
斤(jīn):斤(1斤=現代の500グラムに相当)
例)昨天我买了六斤米。:昨日、米を3キロ買った。
两(liǎng):両(1両=現代の50グラムに相当)
メートル法の単位
「g(グラム)」や「kg(キログラム)」などを含む「米制(mǐzhì):メートル法」の単位は、「10進法に基づく規則性」があり、その分かりやすさから「国際単位」として広く世界中で使用されています。現代の中国でも一般的に使用されており、そのほとんどが原音のフランス語から音訳されたものです。
毫克(háo kè):ミリグラム
克(kè):グラム
公斤(gōng jīn):キログラム
例)行李刚刚二十公斤,没超重。:荷物は20キログラムかっきりで、重量超過していない。
(例文参考:白水社 中国語辞典)
吨(dūn):トン
インペリアル法の単位
1824年にイギリスで標準化され、当時の大英帝国構成国とその植民地で広く使われた度量衡は「英制单位(yīng zhì dān wèi):インペリアル法(帝国単位)」と呼ばれ、現在この「インペリアル法」を標準単位として用いている国は、アメリカ、ミャンマー、リベリアの3か国のみと言われています。
なおインペリアル法の生まれたイギリスでは、公式にはメートル法を採用しているものの、日々の買い物や生活では、依然インペリアル法の単位が使用されています。1841年1月26日から1997年6月30日までイギリス領であった香港は、現在でも慣習的にインペリアル法の単位が使用されているといいます。
こちらも原音の英語から音訳されている物が多く見られます。
盎司(àng sī)/英两(yīng liǎng):オンス
磅(bàng ):ポンド
【中国語】「長さ・距離」の単位
中国の慣用的単位
中国で慣用的に使用されてきた、長さや距離の単位です。
寸(cùn):寸(1寸=現代の33.3ミリメートルに相当)
尺(chǐ):尺(1尺=現代の0.333メートルに相当)
丈(zhàng):丈(1丈=現代の3.3メートルに相当)
里(lǐ):里(1里=現代の500メートルに相当)
メートル法の単位
「メートル法の重さの単位」でもご紹介したように、こちらの多くも原音のフランス語から音訳されたものです。
毫微米(háo wēi mǐ):ミリミクロン
毫米(háo mǐ):ミリメートル
公分(gōng fēn)/厘米(límǐ):センチメートル
米(mǐ):メートル
公里(gōng lǐ):キロメートル
例)一公里等于二华里。:1キロメートルは2華里に等しい。(※2華里=2里)
(例文参考:白水社 中国語辞典)
インペリアル法の単位
こちらも「メートル法の単位」と同様、原音から音訳された物もありますが、意訳されたもの(例:「英寸」「英尺」など)も見られます。
「英寸(インチ)」は、日本と同じくテレビのサイズに使用されています。
英寸(yīng cùn)/吋(cùn):インチ
英尺(yīng chǐ)/呎(chǐ):フィート
码(mǎ):ヤード
英里(yīng lǐ)/哩(lǐ):マイル
<画像は75寸电视尺寸长宽高多少?适合多大客厅使用?选对不踩坑 (baidu.com)より>
【中国語】「広さ・面積」の単位
メートル法の単位
現在、中国国内で正式に使用されている面積の単位は、「平方公里(km²)」、「公顷(hm²)」、「平方米(m²)」の3種類だと言われています。
「ヘクトメートル(hm²)」は、日本ではあまり耳慣れない単位かと思いますが、面積のSI単位のひとつで、日本の計量法で規定された「土地の面積の計量に限定して使用できる特殊な単位『ヘクタール(ha)』」と同等の面積を指します。
なお「ヘクタール(ha)」自体は、「SI単位と併用できる非SI単位」にあたり、「アール」は非SI単位にあたります。
平方毫米(píng fāng háo mǐ):平方ミリメートル
平方厘米(píng fāng lí mǐ):平方センチメートル
平方米(píng fāng mǐ)/平米(píng mǐ):平方メートル/平米
平方公里(píng fāng gōng lǐ)/平方千米(píng fāng qiān mǐ):平方キロメートル
公亩(gōngmǔ):アール
公顷(gōng qǐng):平方ヘクトメートル(ヘクタール:「アール」の100倍)
インペリアル法の単位
香港では不動産の売買などの際に、メートル法の単位と合わせてインペリアル法の単位も用いられているようです(参考:【2023香港內地地產詞彙對照表】內付尺價兌換平方米價公式 | 樓市資訊 | 香港置業 (hkp.com.hk))。
平方呎(píng fāng chǐ):平方フィート
※1平方米 = 10.764平方呎
平方码(píng fāng mǎ):平方ヤード
中国の慣用的単位
「市亩(shìmǔ)/亩(mǔ)」は、中国で慣用的に使用されてきた独自の面積単位で、「1亩=60平方丈」にあたります。60を基準としたのは、年月が60年で一巡りするという「六十干支」などの思想の影響とされています(参考:亩(中国市制土地面积单位)_百度百科 (baidu.com))。
市亩(shìmǔ)/亩(mǔ):1ヘクタールの15分の1 (6.6667アール)
※1平方丈=1丈(約3.3m)×1丈=10尺×10尺=100平方尺
※1丈=約3.3m 1尺=約0.333m(約33.3cm)
【中国語】「体積」「容積」の単位
中国では、体積、容積ともにメートル法が使用されています。香港では時々容積に「加仑(jiā lún):ガロン」などのインペリアル法の単位が用いられることもあるそうですが、基本的にはメートル法の単位が使われているようです。
体積の単位
立方毫米(lì fāng háo mǐ):立方ミリメートル
立方厘米(lì fāng lí mǐ)立法センチメートル
立方分米(lì fāng fēn mǐ)/立方米(lì fāng mǐ):立方メートル
容積の単位
毫升(háo shēng)/西西(xī xī):ミリリットル(cc)
分升(fēn shēng):デシリットル
公升(gōng shēng):リットル
千升(qiān shēng):キロリットル
【中国語】「スコア」「ポイント」の単位
テストなどスコアの単位には、「分(fēn)」が使用されます。誤って日本語のスコアの単位「点(てん)」を使うと、後述する時間の単位「点(diǎn):〇時」と勘違いされてしまうかもしれませんので、注意しましょう。
また、買い物や航空機を利用した際に付与されるポイントの単位には「积分(jī fēn)」が用いられます。
分(fēn):〇点(テストなどの点数)
例)数学考试得零分。:数学の試験で零点を取った。
(例文参考:白水社 中国語辞典)
积分(jī fēn):合計点、積算ポイント(→ショッピングポイントや航空機のマイレージなど)
例)淘宝商城积分在淘宝全商城购物通用,有效期长达一年以上。:訳)タオバオモールポイントは、タオバオモールでの全てのお買い物に利用でき、1年以上有効です。
(例文参考:淘宝商城积分_百度百科 (baidu.com))
<天猫(Tモール)のポイント引換券/画像は天猫积分兑换无门槛天猫购物券 (sohu.com)より>
【中国語】「電力」の単位
日本の電圧は100ボルトですが、広大な中国では220ボルトという高めの電圧が採用されていますので、注意が必要です(ちなみに私は留学時に日本から持参した電子辞書をうっかりそのまま充電してしまい、留学開始早々に壊してしまいました…)。
中国で日本の電化製品を扱う際は、変圧器を持参するか、グローバル対応の製品を持って行きましょう。
瓦特(wǎtè):ワット
千瓦(qiānwǎ):キロワット
例)千瓦小时(qiānwǎxiǎoshí):キロワット時
伏特(fútè):ボルト
安培(ānpéi):アンペア
赫兹(hèzī):ヘルツ
【中国語】「データ容量」の単位
比特(bǐtè):ビット
字节(zì jié):バイト
千字节(qiān zì jié):キロバイト
兆字节(zhào zì jié):メガバイト
千兆字节(qiān zhào zì jié)/京字节(jīngzìjié):ギガバイト
太拉字节(tài lā zì jié):テラバイト
像素(xiàng sù):ピクセル
磅(bàng)/点(diǎn):ポイント(文字の大きさ)
例)十磅铅字:10ポイントの活字(参考:ポイントを中国語で言うと – コトバンク 日中辞典 (kotobank.jp))
【中国語】「大きさ」の単位
中国で服や靴を買うとき、ファストフード店などで異なるサイズのメニューを選ぶときなどに、使用する単位です。
服や靴の大きさ
日本でも服のサイズ表記に「9号」や「11号」があるように、中国でも服などのサイズの単位には「号(hào)」が用いられています。また、日本では「号」以外に、英語の「Large」、「Medium」、「Small」のそれぞれの頭文字をとって「Lサイズ」、「Mサイズ」、「Sサイズ」という表記が使われることもありますが、中国では「大」、「中」、「小」を「号」の前に置き、サイズを表します。
ただし、「中号(Mサイズ)」と表記されていても、日本の商品と同じサイズ感であるとは限りません。私も一度中国でTシャツを購入した際に、肩幅がきつくて入らなかったことがあります(日本でMサイズのTシャツを着て、肩幅がきつかったことはそれまで一度もありませんでした)。
もちろん日本国内でもメーカーごとにサイズ感が違うことはありますので、一概に「中国の服のサイズは日本より小さめ」とは言えませんが、もし中国で服を購入する際は、一度試着してから買うことをオススメします。
一方靴のサイズ表記に目を移すと、日本で「cm」が一般的に使用されているのとは異なり、中国では「号(hào)」が使われることが多いようです。また、号数は一般的に「欧洲码(ヨーロッパサイズ)」に準じていると言われています。
自分の普段使用している靴と同じサイズを知りたい場合、「(中国サイズ+10)÷2=日本のサイズ」で算出できます(例えば私の靴のサイズは24.5㎝ですが、中国で靴を購入する場合「(39+10)÷2=24.5」となるため、39号を購入すればいいということが分かります)。
計算が面倒な方は、下の対応表で中国のサイズを確認し覚えておくと便利です。
<画像は中国の靴のサイズとジュースのサイズ | 日本語教師のいろはにほへと~中国の大学編~ (bloggle.jp)より>
おまけ:ファストフードメニューのサイズ表記
日本では、ファストフードのドリンクやサイドメニューの大きさも、服のサイズと同様「L、M、S」が使われていることが多いですが、中国では服のサイズと同様に「大、中、小」+「杯」/「アイテム名」で表記されます。
厳密には「単位」と言えませんが、注文するときの参考にしてください。
大杯(dà bēi):Lサイズドリンク
中杯(zhōng bēi):Mサイズドリンク
小杯(xiǎo bēi):Sサイズドリンク
大薯條(dà shǔtiáo):Lサイズポテト
中薯條(zhōng shǔtiáo):Mサイズポテト
小薯條(xiǎo shǔtiáo):Sサイズポテト
【中国語】エネルギーの単位
日本では食品のエネルギーを「カロリー」で表記することが多いですが、中国では「千焦(qiān jiāo):キロジュール」で表記されることが多いようです。
実際のところ、国際的にはSI単位である「J(ジュール)」の使用が推奨されているものの、日本では食品のエネルギー量の単位に限って「cal(カロリー)」が使用されています(参考:熱量 – ATOMICA – (jaea.go.jp))。
なお、「1cal=4.18605J」とされているため、仮に中国で食品のエネルギーをカロリーに換算したい場合、表示されたキロジュールの数字を4.18605で割る必要があります。
卡路里(kǎ lù lǐ)/卡 (kǎ):カロリー
千卡 (qiān kǎ):キロカロリー
焦耳(jiāo ěr):ジュール
千焦(qiān jiāo):キロジュール
<「能量(エネルギー)945千焦(キロジュール)」と書かれている。/画像は薯条 | 小食 | 麦当劳官网 (mcdonalds.com.cn)より>
<「エネルギー 223kcal」と表記されている。中国の小薯條945kjをkcalに換算すると「945(kj)÷4.18605=225.74…(kcal)」となる。/画像はマックフライポテト® | メニュー情報 | マクドナルド公式 (mcdonalds.co.jp)より>
【中国語】「時(とき)」の単位
中国語の「時間」、「日」、「週」、「月」、「年」に用いられる単位です(中国語の「時間の表現」について、くわしくはこちら)。それぞれの単位の前に、任意の数字を置いて使用されます。
点(diǎn):〇時
分(fēn):〇分
刻(kè):〇分(15分単位)
秒(miǎo):〇秒
个小时(ge xiǎo shí):〇時間
天(tiān):〇日
个星期(ge xīng qī):〇週間
个月(ge yuè):〇か月
年(nián):〇年
【中国語】漢方薬の調合などに用いられる単位
「中药(zhōng yào):漢方薬」などの調合の際には、今もなお中国の伝統的な単位が使用されているようです。
斗(dǒu):斗(現代の10リットル相当)
升(shēng):升(現代の1リットル相当)
合(gě):合(現代の100ミリリットル相当)
勺(sháo):勺(現代の10ミリリットル相当)
【中国】伝統的単位を用いた成語/慣用句
最後に「中国の伝統的な単位」を用いた成語や慣用句をご紹介します。
不为五斗米折腰(bù wèi wǔ dǒu mǐ zhé yāo ):五斗の米(=わずかな見返り)を得るために屈することはしない。
得寸进尺(dé cùn jìn chǐ):<成>1寸進んだら次は1尺進もうとする→次から次へと要求する、欲望に限りがない。
例)不要得寸进尺。:悪ノリするな。
★★★
いかがでしたか?
現代の中国で用いられている単位には、国際的基準であるSI単位はもちろんのこと、中国の慣用的単位、香港で用いられる「インペリアル法」の単位など、様々な種類の単位が使用されていることが分かりました。また日本ではお馴染みの「カロリー」や「ヘクタール」が、中国を含め国際的にはあまり使われていないことも、個人的には意外な発見でした。
皆さんも中国での旅行や買い物の際には、今回ご紹介した中国語の単位をぜひ活用してみてください。
※文中の引用文の赤字は、全て筆者による。
もりゆりえ
広島県東広島市出身。尾道市立大学美術学科卒業。高校時代に読んだ漫画「封神演義」をきっかけに中国語学習を開始。大学卒業後中国に渡り、浙江大学に10ヵ月間の語学留学(2005年〜2006年)をする。留学中に、「第二届中国国際動漫画節」に参加。現在はフリーランスの中日漫画翻訳者として活動中。趣味は中国のマンガアプリでマンガを読むこと。
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