【中国語】“找到”と“找着zháo”はどう違うか?

語法・表現・フレーズ

たまに教科書などで、“找到”ではなく、同じような意味で“找着zháo”が使われているのを見かけます。

これ、どのような違いがあるのでしょうか?

一般的に、「着zháo)」は中国語の結果補語として使われ、「~終わる」「~できる」「~見つける」など、動作の結果や達成を表します。

そうなると、“找到”とほぼ同じ意味になるような気もしますが、どう違うか?

今回は、李菲「“找到”と“找着zháo”の表現機能についての比較」(2013年)に基づいて検討してみたいと思います。

🧾 この論文の結論(わかりやすく要約)

🎯 1. 「找到」と「找着」は意味の焦点が違う

  • 找到

     →「見つけた“もの”(=対象)」に焦点がある

     → 新しい人物・物を物語に導入するのに使われやすい
  • 找着

     →「見つけられたかどうか(=行為が成功したか)」に焦点がある

     →「見つからなかった」「見つけた?」のように、否定文や疑問文に多く使われる

📊 2. 小説『玉観音』での用例分析からわかったこと

  • 找到:70例中、約半分(33例)が「導入」用途

     → その多くが「找到了 NP」(了付き)という形
  • 找着:6例だけで、全て否定や疑問文

     → 肯定の叙述文(~を見つけた)には一度も登場しなかった

🧠 3. 表現の違いは「厳密な文法ルール」ではなく、「よく使われる傾向(=緩い法則)」

例外もあるけれど、話の流れ(談話)を見ると、

 「找到」は“話題を導入する”役割が強く、

 「找着」は“行為が実現したかどうか”に注目したいときに使われる
ことが多い。

🔮 今後の課題

  • このような違いが他の動詞(例:买到 vs 买着)にも当てはまるか調べたい
  • 「対象 vs 行為実現」という焦点の違いが、どれだけ一般的な現象かを研究したい

“找到”と“找着zháo”の違いは?

では、この論文から学習者である我々は何を学べるか?まとめます。

結論、 一言でまとめると…

「找到」は“何を見つけたか”に注目、「找着」は“見つけられたかどうか”に注目する表現であり、それぞれ使われやすい場面や文型が異なるということが、小説の用例から明らかになった。

ただし、

ということですが、これらは「厳密な文法ルール」ではなく、「よく使われる傾向(=緩い法則)」である、ということです。

学習者としては、“找到”と“找着zháo”はほぼ同じ意味だが、使われやすい場面に異なる緩い傾向がある、ということを押さえておけば良いでしょう。実際に、ネイティブに聞いても意味は同じだ、と言われましたので、学習者は違いにそこまで気をつけなくても良いでしょう。

参考:李菲「“找到”と“找着zháo”の表現機能についての比較」(2013年、慶應義塾大学藝文学会『藝文研究』第105巻所収)

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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