【台湾華語能力試験】TOCFLとは?台湾で大学院修了した私が実際に受験して分かったHSKとの違いと対策法

こんにちは!naoです。
TOCFL(華語文能力測験)は、台湾版HSKとも呼ばれる、台湾で中国語を学ぶ人向けの公式試験ですが、「HSKとどう違うの?」「難易度はどれくらい?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
基本的に、HSKは北京語ベースの普通語をテストするのに対して、TOCFLは台湾華語の能力を測る試験です。普通語と台湾華語は共通するところも多いですが、違いも様々なレベルであります。
関連記事:中国語【台湾華語】とは?【普通語】との3つの違いを台湾留学生が徹底解説
私はこれまで、TOCFLとHSKをそれぞれ2回以上受験した経験があり、その中で実際に両者の違いや難易度のギャップを感じてきました。
そこでこの記事では、TOCFLの概要を紹介するとともに、私が実際に感じたHSKとの違いや効率的な対策法について詳しく解説していきます!
目次
TOCFLとは?試験の特徴と受験するメリット
出典:TOCFL 公式サイト
TOCFLとは何か?
TOCFL(Test of Chinese as a Foreign Language:華語文能力測験)とは、台湾教育部が認定する中国語能力試験で、台湾での留学・就職・ビザ申請などに広く活用されています。
試験レベルは大きく「Band A」、「Band B」、「Band C」の3つに分かれており、さらにその中で2つのレベルに細分化されています。
また、各レベル、聴解問題50問と読解問題50問の計100問が出題され、試験時間は120分(聴解問題60分、読解問題60分)と定められています。
HSKとの違いは?
HSKとの基本的な違いとしては、下記のような項目が挙げられます。
項目 | TOCFL(華語文能力測驗) | HSK(漢語水平考試) |
主催機関 | 台湾教育部 | 中国国家漢弁(孔子学院) |
使用地域 | 台湾 | 中国本土 |
使用する漢字 | 繁体字 | 簡体字 |
試験レベル | Band A(入門級:A1・基礎級:A2)、Band B(進階級:B1・高階級:B2)、Band C(流利級:C1・精通級:C2) | HSK1~9級 (HSK7以上でスピーキング追加) |
試験科目 | リスニング・リーディング(セット)、 スピーキング、ライティング(個別受験) |
リスニング・リーディング・ライティング(セット)、 スピーキング(個別受験) |
試験の頻度 | 日本では年に2回、東京地区、大阪地区にて開催 | 日本では月1回ほど、全国各都市にて開催 ※HSK7以上は年2回 |
受験方式 | 回答選択方式(マークシートを使用) | 紙ベース・ネット試験 |
費用 | 各レベル共通 7,500円(税込) | 1級:3,850円、2級:5,060円、3級:6,600円 4級:7,920円、5級:9,900円、6級:11,550円 7-9級:37,400円 【スピーキング】初級:6,050円、中級:7,150円、高級:8,250円(全て税込) |
申し込み方法 | 公式サイトでオンライン申し込み | インターネット、郵送 |
参考:TOCFL 日本版公式サイト、HSK 日本版公式サイト
また、それぞれのレベル感の比較は下記の通りです。
出典:TOCFL 公式サイト
ここからも、TOCFLの方がHSKよりも全体的にレベルが高くなっていることが分かります。
TOCFLを受験するメリット
TOCFLを受験するメリットとしては、下記のような点が挙げられます。
- TOCFL認定資格が公式証明になる(ビザや奨学金申請の要件として使われる場合がある)
- 台湾留学・就職に有利(大学入学・企業採用で利用可能)
- 台湾華語(繁体字)に対応(台湾で実際に使われる表現や単語を学べる)
- リスニングが実生活向き(台湾の話し方やスピードに慣れやすい)
特に①・②については、私自身も、台湾政府が提供する外国人向けの奨学金制度「台湾奨学金」の申請や、高雄師範大学大学院への進学においてTOCFLの認定書が必要だったため、受験し提出した経験があります。
実際に受験して感じたTOCFLとHSKのギャップ
ここからは、私が実際に受験したリスニングとリーディングについて、TOCFLとHSKの違いを紹介していきます。
リスニングの難易度の違い
私はHSK6級とTOCFL Band Cを受験しましたが、その際に強く感じたのは、リスニングの難易度が異なるという点です。
HSK6級のリスニング試験では、比較的ゆっくり且つはっきりとした標準的な発音が使われますが、TOCFL Band Cは実生活に近い話し方で、スピードが速く、言い換えや省略表現も多く含まれています。
例えば、TOCFLでは台湾人が日常的に使う「蠻(滿)〜的 (mán ~ de)」(結構〜だ)や「吃到飽(chī dào bǎo)」(食べ放題)、「〜囉(lo)」(語気助詞)のような特有の表現が度々登場するため、より実践的な聞き取り能力が求められました。
リーディングの特徴と語彙の違い
リーディングについては、まず根本的な違いとして、HSKでは簡体字、TOCFLでは繁体字が使用されます。
また、私が受験したHSK6級とTOCFL Band Cに関しては、HSK6級は形式がシンプルで、文法問題が比較的多くなっているため、問題文を素早く処理するスキルが必要となりますが、一方でTOCFL Band Cは、文章全体の理解を問うような内容が多いため、実践的な読解力が求められるという印象を受けました。
さらに、HSKではビジネス文書やフォーマルな文章が多く登場しますが、TOCFLでは日常会話のフレーズが多く、リアルな場面を想定した問題が多数出題されています。
このほか、リスニングと同様、使用される語彙の違いも大きく、中国本土で一般的な単語と台湾で使われる単語が異なるため、台湾で学ぶ人には断然TOCFLの方が実用的だと感じました。
TOCFL対策法|効率的な勉強方法
(筆者撮影)
リスニング対策
前述した通り、TOCFL Band Cのリスニング試験では、台湾特有の発音やスピードの速い会話が頻繁に登場するため、台湾華語に特化したリスニング練習が必要です。
私がBand Cを受けるにあたって実際に行ったリスニング対策は、下記3つです。
- 台湾のニュース番組を見る(例:「公視新聞」、「台視新聞」等)
- →フォーマルな表現方法に慣れる
- 台湾のバラエティ番組やドラマを見る(例:「娛樂百分百」、「極品絕配」等)
- →日常会話や実際使われている言い回しに慣れる
- シャドーイング練習を行い、発音やイントネーションを意識する
- →話すスピードやネイティブの発音方法を習得し、体に覚えさせる
特に私は台湾のバラエティ番組が好きでほとんど毎日見ていたため、耳や思考回路が完全に台湾華語モードに切り替わった状態で試験を受けることができ、その結果、リスニング内容をスムーズに理解することができました。
リーディング対策
TOCFL Band Cのリーディングは、繁体字に慣れることが必須なほか、台湾華語の実用的な語彙が多いため、HSK6級を学習した人でも台湾独自の単語や表現に注意する必要があります。
私がBand Cを受けるにあたって実際に行ったリーディング対策は、下記の通りです。
- 台湾のニュースサイトを読む(「中央社」、「自由時報」、「聯合報」等)
- →フォーマルな文章をスムーズに読んで理解する力を強化
- 台湾のバラエティ番組やドラマに表示される字幕を活用
- →繁体字を素早く読んで理解する力を強化
- 台湾の語学学校でよく使用されているテキスト「新版實用視聽華語」による学習
- →基礎を固める
- TOCFL公式問題集を解く
- →試験形式に慣れる
この中でも特に、台湾のバラエティ番組やドラマに表示される字幕を活用した学習が私にとって効果的だったと感じています。
台湾のテレビ番組は基本的に全て中国語字幕が表示されるため、ネイティブの話すナチュラルなスピードの中国語を聞きながら、字幕を瞬時に理解するという作業を日常的に行うことで、繁体字を読むことへの抵抗がなくなり、試験でも素早く読解することができました。
まとめ
TOCFLは、台湾への留学や就職を考えている方にとって必要不可欠と言っても過言ではないほど、台湾において権威のある中国語能力試験として位置付けられています。
今回紹介したように、HSKとTOCFLには大きな違いがあり、HSKはビジネス文書やフォーマルな文章が多く、中国本土の標準的な中国語を学ぶのに適している一方で、TOCFLは日常会話のフレーズが多く、台湾の文化や生活習慣に関連した内容が中心です。
そのため、今後TOCFLの受験を考えている方は、単なる試験対策ではなく、実際に使える中国語を意識した勉強が重要となるでしょう。ぜひ私が実際に行った対策法を参考にしていただき、試験に向けてしっかり準備を進めましょう!

nao
三重県出身90後。大学時代に台湾に1年間交換留学し、中華圏に興味を持ち本格的に中国語を学び始める。卒業後は台北にある日系コンサート制作会社で日本人アーティストのアテンドなどを担当し、計4年間中国語にどっぷりつかる生活を送った結果、新HSK6級をリスニング満点で取得!その後、中国語の翻訳・通訳に従事。周杰伦や韦礼安など、C-POPが大好き。高雄師範大学大学院修了。
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