こんにちは!中国語学習者のまてぃです!
私は大学時代に中国語(普通語)を勉強していた当時3年目に、意を決して1年間台湾に交換留学に行きました。
今まで勉強してきた中国語を実践するチャンス!と思い現地に着いた1日目。自分が言っていることが伝わらない。相手が言っていることがあまり聞き取れない。と自分が勉強してきた中国語に自信を喪失してしまった経験があります。
それもそのはず、普通語と台湾の中国語には表記方法、発音、表現に大きな違いがあったからです!
今回はみなさんが私と同じところで躓かないように、その3つの違いについて私が克服した方法と一緒にご紹介していきます!
目次
普通語と台湾華語
中国語、または普通語と呼ばれるものは、中国大陸で使われる汉语のことを指します。基本的には中国大陸での共通語とされている言語を意味します。
それに対し、台湾で使われる中国語は台湾華語などと呼ばれ、台湾で使われる「中文」のことを指します。台湾には台湾華語以外にも台湾語という第二言語も存在しています。台湾の人々の祖先は大半が福建省からの移民のため、福建省の閩南語をルーツとして独自に発展した言語だとされています。
台湾華語と普通話には表記方法、発音、表現の違いがあることから、同じ中国語の様で、中国大陸での普通語と明確に区別されて扱われます。では、今回は実際にこの3つの観点で違いを見ていきましょう!
1.台湾華語は【表記方法】が違う
台湾到着してすぐに驚いたこと、それは表記方法の違いでした!
簡体字よりも圧倒的に複雑な漢字でしたが、じっくり見てみるとどことなく日本の漢字と似ている漢字も多い印象。よく見てみると、中華圏で古くから使用されている漢字だということを知りました。
①簡体字ではなく繁体字を使う
中国語学習者の方なら簡略化された漢字、簡体字を目にすることに慣れていらっしゃる方も多いかと思います。ですが、台湾で現在使用されているのは繁体字と呼ばれる漢字です。
中国本土でも同じ繁体字が中華人民共和国において文字革命政策が行われる以前には使用されていました。しかし、現在は台湾に加え、香港、マカオ、そして海外の一部中華人文化圏でのみ使用されている表記方法です。
繁体字の表記は日本語で使われる漢字と共通しているものも多く、日本語よりさらに画数を増やした漢字というような捉え方をしていただけるとわかりやすいです!
関連記事:【中国語】「簡体字」「繁体字」とは?生まれた歴史と日本の「常用漢字」の共通点
②拼音ではなく注音で入力する
先ほどの漢字の違いの他に、文字を入力する際には簡体字のようにローマ字拼音を入力しないという違いもあります。
台湾では拼音の代わりに写真のようなこの不思議な記号、注音(ちゅういん)を使って入力します。
仕組みとしては子音となる記号、母音となる記号に大まかに分かれており、それらを声調と組み合わせて入力していきます。
特徴としては、拼音はローマ字を1音ずつ記入していくのに対し、注音では母音となる記号は1つの記号に複数の文字が振り分けられていることなどが挙げられます!
③文章の書き方
普通語では横書きが一般的とされていますが、台湾華語では横書きと縦書きの両方を使います。街中の広告などの文章で縦書きを見かけることもよくあります。
また、文章を書くときに普通語の句読点は日本語と同じ位置なのに対し、台湾華語では中央にあり、宙に浮いているように見えます。最初は慣れないですが、音読するときには読み上げやすくとても便利です!
そのほかにも鉤括弧を使用するとき、普通語では“”の記号を使用しますが、台湾華語では日本と同じように「」の記号を使用します。
表記方法の違いを克服するためにしたこと
最初現地の漢字も読むことができなかった私は、表記方法を克服するために拼音入力繁体字表記をスマホに設定することから始めました!慣れている拼音入力から始めることで、発音と新しい表記を頭の中で繋げていくことができます。
現在使われているパソコンやスマートフォンでは言語入力設定の際に、言語と入力方法をカスタマイズして設定することができます。
最初から無理して注音を使う必要はありません。最初から使おうとするとタイピングの速度が遅くなってしまい、生活に支障が出てしまいかねませんよね。
もし注音を勉強したい場合は、注音変換ができる辞書アプリなどを有効活用しましょう。単語を入力すると、各単語の注音表記が表示されるため、単語ごとにまとめてで記号の組み合わせを覚えていくことをお勧めします。
2.台湾華語は【発音】が違う
中国語を勉強したての頃発音にかなり苦戦して「10+4=14」「14是14」「10是10」「4是4」とおまじないのように早口言葉を唱えていた日々。ようやくマスターしたと思っていた矢先に台湾で買い物に行くと、10 ( shí )と4 ( sì )聞き間違いの嵐でした。
なぜこの聞き間違いが連発してしまったのか、続いては、私が大変苦戦した発音の違いについてお話ししていきます!
①台湾華語にない発音
R化(アル化)
まず最初に困った点、それが「R化がない」という点です。
中国語を勉強し始めた時、発音に苦戦しがちな「儿」という巻舌音ですが、台湾ではあまり使用されることがありません。
具体的に説明すると、R化する以前の単語の原形をそのまま発音する場合やその後ろに代わりとなる他の文字を足して発音する場合などが挙げられます。
普通語 | 台湾華語 |
花儿 ( huā ér ) | 花 ( huā ) |
这儿 ( zhè ér ) | 這 ( zhè ) , 這裡 ( zhè lǐ ) |
一点儿 ( yī diǎn ér ) | 一點 ( yī diǎn ) , 一點點 ( yī diǎn diǎn )」 |
そり舌音
台湾華語では、zhi ,chi, shi, ri などの「そり舌音」は舌を使わず発音するため、zi ci siの発音と似ているように聞こえることがよくあります。また、 riの発音は話者によってはziに近いような発音をすることもあります。この背景には古くから使われていた台湾語の中で、そり舌の発音がないということが関係していると言われています。
②軽声と鼻母音(nとng)
軽声をほとんど発音しない
普通語での軽声は、声調記号がついていない語がある場合、前の語に軽く添えるように短くはっきり発音をします。しかし、台湾華語では「子」で終わる単語や同じ文字を2つ並べた単語以外はほとんど軽声を使用しません。そのような場合は、第一声のように長く平らに発音したり前の読みに合わせて声調があてられたりします。
軽声を使用しないため、柔らかいものごしのように聞こえることから、普通語話者にとって台湾華語は女性的な話し方のイメージがあるとされています。
また、台湾華語では全体的に声調をはっきりと発音しないため、普通語と比べ高低差の少ない平坦な発音に聞こえます。
普通語 | 台湾華語 |
东西(dōng xi) | 東西(dōng xī) |
※台湾華語の部分は発音をあくまで発音を書き起こしたものであり、正式な拼音ではありません。
鼻母音(nとng)の区別がない
普通語において、鼻母音(びぼいん)nとngの区別は学習者が苦戦するところです。しかし、台湾華語ではこの区別をせずどちらもnの発音になります。そのため、engやangの発音もenやanという風に聞こえます。
背景には、先ほどと同じく台湾語の発音からの影響もあるとされています。現地の学校教材などではしっかりと区別をして教えられるものの、実際に話すと同じになってしまっている方が多いそうです。
苦戦しやすい部分が1つなくなると思うと普通語学習者にとっても嬉しいですよね!台湾で生活を考えているのであれば、この違いを特に意識しなくてよいと思います。
一方、中国大陸での生活を念頭に普通語を学ばれるのであれば、やはりnとngの違いを意識し、使うときは注意してくださいね!
③同じ漢字だけれど読み方が異なる
台湾では普通語と同じ漢字でも読み方が異なる単語が存在します。普通語の読みでも通じることはありますが、相手に言い直される場合が多くあります。
子音、母音が異なる
例えば、ゴミを意味する普通語の垃圾(lā jī)。台湾華語では同じ漢字でも母音と子音が変化し、垃圾(lè sè)と発音します。
普通語 | 台湾華語 |
和 ( hé ) | 和 ( hàn ) |
血液 ( xuè yè ) | 血液 ( xiě yì ) |
蜗牛 ( wō niú ) | 蝸牛 ( guā niú ) |
声調が異なる
例えば、成績を意味する普通語の成绩(chéng jì)。台湾華語では後ろの字が第一声になり、成績(chéng jī)と発音します。
普通語 | 台湾華語 |
期待 ( qī dài ) | 期待 ( qí dài ) |
休息 ( xiū xī ) | 休息 (xiū xí) |
企业 (qǐ yè) | 企業 (qì yè) |
実際に私が台湾で勉強した中で(私の経験では)このようなケースは10%にも満たない程の量でした!今回紹介したのはあくまで例外ばかりですので、普通語学習者の皆さんもご安心くださいね!
発音の違いを克服するためにしたこと
私が発音の違いを克服するためにしたこと、それは台湾華語に耳を慣らすことでした。実際に、留学中は簡体字の字幕付きの台湾映画や台湾Youtuber動画などをスキマ時間に見ていました。そして徐々に耳を慣らしていき、字幕も簡体字から繁体字へ変更していきました。
現在は日本国内でも台湾映画などを動画ストリーミングサービスで簡単に見ることができます。また、サービスによっては簡体字中国語の字幕をつけることもできます。Youtubeなどでも字幕付きのものを見るようにしましょう!
また、台湾に実際に行く機会があれば夜市などを訪れてみてください!そして人との会話が多く生まれる場所で実際に中国語を使って交流してみてください!発音の違いを実感することができますよ!
3.台湾華語では【表現】が違う
今まで勉強していた普通語とは違うことにショックを受けた点。そして同時に興味深く思った点、それが表現の違いでした!
①日常会話の表現
違いに気がついてすぐに使い方を変えた部分が日常会話の表現です。1番の違いは、「ありがとう」と「どういたしまして」の言い方でした。
谢谢と不客气がセットだと思っていましたが、実際現地に着くと謝謝喔や謝啦など様々な言い方を耳にしました。また、不客气の代わりに不會や沒事と言われることが大半でした。不客气に関しては台湾の滞在中に聞くことがほぼなかったのも驚きでした!
ほかにも台湾華語のみで頻繁に使われる日常会話表現もたくさんあります。
普通語 | 台湾華語 |
早上好/中午好/晚上好 | 早安/午安/晚安 |
早饭/午饭/晚饭 | 早餐/午餐/晚餐 |
吃饭了吗? | 吃飯了沒? |
②語尾に1音を付ける
台湾華語では、日常会話の中で語尾に啊 (ā)や 喔(ō)を付けることが多くあります。
日本語では「だよ」のように、役割語に近い使い方をします。そのため、特に文章上の意味への影響はありません。しかし、文章全体が優しい雰囲気になるため、友人や家族など親しい関係性の人との会話で使われます。
中では唷(yō)や囉(luō)などのように女性独特の「だわ」という口調にあたる表現もあります。台湾華語話者の日常会話をよく聞いて分析してみるのも面白いですよ!
また、文章の後ろに足すだけなので簡単に実践できる部分でもあります。機会がありましたらぜひ使ってみてください。
③使用する単語が違う
また、台湾では中国と同じ意味を指す言葉でも全く別の単語を使って表現することがあります。
例えば、自転車を意味する普通語の自行车(zì xíng chē)は台湾華語では腳踏車(jiǎo tā chē)と表現します。
どちらも漢字から自転車へと連想できるものの、「自分で進める車」と「足で踏む車」で観点の違いもあり面白いですね!
表現の違いを克服するためにしたこと
私は表現の違いを克服するために、新しく学んだ表現はその日からすぐに使うように心がけていました!
表現の部分は単語の違いなどシンプルなものが多く、普通語学習者も実践しやすい部分だと思います。
そして1番効果的だったのが間違いを指摘してくれる友人を持つこと。オンラインのチャットでもOK!実際に台湾の方とフラットな日常会話を練習してみましょう!
違いを理解して台湾華語もマスターしよう!
この記事では普通語から勉強し始めた私からみた台湾華語と普通語の違いを紹介いたしました!
大学に入って普通語を勉強して3年目に台湾へ。実際に普通語との違いに戸惑うこともありましたが、少しずつ理解して行ったことで3ヶ月ほどで慣れることができました!
普通語と台湾華語「表記方法」「発音」「表現」の観点からの分析いかがでしたでしょうか。
もし普通語も台湾華語もどちらも勉強したいというあなたには、普通語から勉強することをお勧めします!正確な発音を学んでから台湾華語のように変化バージョンを楽しむのが良いですね。
普通語だけでなく台湾華語のことも知ることで中国語という言語自体やその背景にある歴史や文化への深い理解へ繋げていってみてください!
まてぃ
神奈川県出身のZ世代。語学大好き。元々英語漬けだったが、大学の台湾短期研修をきっかけに中国語に目覚め、在学中1年間台湾銘傳大学に留学。卒業後は国立台湾大学ジャーナリズム学科修士課程に進学。現地企業などでの経験を経て現在は日本を拠点に中国語翻訳などを中心に活動中。TOCFL高階級。HSK6級。心揺さぶられる言葉や文章が大好物です。
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