こんにちは、おいもです。
私は、2010年から2011年の1年間、北京にある首都師範大学に語学留学をしていました。社会人3年目での語学留学は、その後の私の人生にどの様な影響を与えてくれたのでしょうか。
今回は留学経験を振り返ってみたいと思います。
なぜ社会人で中国留学をしようとしたか
中国語へ関心を持つきっかけとなったのは、24歳の時に中国東方航空へ入社をしたことでした。
当時、同僚には中国語ネイティブの方や留学経験者がおり、支店長や経理担当者は中国から赴任してきていました。当然中国語が話せない私には、出来ない仕事がでてきます。幸運にも、いい先輩方に恵まれ、嫌な顔一つせず私を助けてくれました。
その環境もあって、私はポジティブに中国語を習ってみたいと考えるようになりました。周1日仕事の帰りに大学の夜間講座で勉強をし、日中は仕事で少し使ってみることを半年程繰り返しました。
中国への興味は高まり、もう少し中国語を学んでみたいから中国へ行ってみようと考えるようになりました。
北京の首都師範大学に決めた理由
中国留学を決めた後は、どの都市に留学するかを考えました。中国は面積が広く、地方は訛りも強いと聞いたので、首都である北京を候補にしました。
しかし、首都であれば訛りは少ないだろうと思ったのですが、実際は北京はRの発音で舌を巻くという、北京訛りがあります。学校では標準語を教えてくれますが、タクシーの運転手さんや地元の人は北京訛りが強く、授業で習った中国語とのギャップを感じました。
どの都市を選んでも、学校では標準語を習うことが出来ますが、外に出たら綺麗な標準語を話す人はあまり居ないとおもいますので、訛りにこだわらなくても良かったかなと思っています。
その後は学校選びです。私が首都師範大学を留学先に決めた理由は、日本語の分かる教師が居ということです。選択肢が多いと選びきれませんので、ちょうど良かったと思います。
費用はどのくらいかかるか
これから留学を検討する方は、やはり学費や生活費などの費用が気になるところかと思います。首都師範大学の学費は1年で28万円弱だったと思います(当時は人民元のレートが¥12ほど)。寮の部屋は1人部屋又は2人部屋が選べ、費用は1人部屋が約1,200円/日、2人部屋が約720円/日で、私は2人部屋を選びました。その方が費用も抑えられ、友達も出来やすいだろうと考えたからです。
社会人3年目で実家暮らしの私の予算は40万円ほどだったと思いますが、それでも1年間自分の資金のみで留学が出来るのはとても魅力的でした。
実際、食費も安く抑えることができ、朝は近くのスーパーで買った食パンを食べ、お昼はクラスメートと近くのレストランに行ったり、デリバリーで韓国料理を良く頼んでいました。タピオカの入った飲み物が3人民元、1回の食事も20人民元あれば十分でした。一方、コーヒは1杯30人民元、外食も洋食や日本食は高かったことを覚えています。
また、寮の費用も長期の旅行で不在にする際は部屋代を払わなくても良いように、荷物だけを友達の部屋に置いてもらい、自らは一度チェックアウトをして節約をしていました。贅沢は出来ませんでしたが、周りからの誘いを断る必要の無い程度には外食や旅行もできました。
様々な国の友達が出来た留学生活
中国に到着した時の私の中国語レベルは読み書きが少し出来る状態でした。しかし、寮の手続きでは、受付の人の言っていることが分からず「誰か日本人居ないかな?」と受付のスタッフが留学生を探しに行き、学校への手続きの際も他の日本人留学生に助けて頂きました。
到着して数日後の授業が始まる前には、クラス分けテストがあり、私は下から二番目のクラスでした。授業は教科書にそって進められるので、読み書きが得意な日本人には分かりやすい授業ですが、教科書の説明等が中国語と英語でしたので、分からない部分は予習復習が必要でした。日本人以外のクラスメイトは漢字を書くのは苦手でも、話をするのが上手な人が多く、バスのプリペイドカードを作る方法やおいしいお店を教えてくれました。
クラスには日本人、スペイン人、韓国人、タイ人、インドネシア人、ロシア人がいました。タイやインドネシアから来ている学生は若く、親御さんが華僑の為、留学している方が大半でした。
学校の授業は午前中で終わります。お昼は近くのレストランやデリバリーを頼んで、午後は宿題をしたり、クラスメイトと観光に出かけたりしました。学校行事では、長江を散策しました。机に向かっての学習ももちろん大切ですが、中国語を勉強している同志との関りは私の留学生活を豊かにしてくれました。夜はタイ人のクラスメートがタイ料理のおいしいお店へ連れて行ってくれたり、韓国人のクラスメートが韓国焼き肉のおいしいお店に連れて行ってくれたりしました。
お酒を飲みながらの交流も楽しく、それは20歳を超えてからの留学の醍醐味だったと思います。
2人部屋にした寮ですが、最初のルームメイトはロシア人で、長く留学していた彼女は、すぐに外にアパートを借りて引っ越してしまいました。次のルームメイトは韓国人で、学校の単位取得目的で来ている彼女は殆ど授業に出席せず、半年後には嬉しそうに韓国に帰って行きました。
最後にルームメイトになったのは、イタリア人でした。彼女は本科留学生として首都師範大学に留学をしており、真面目でとても親切な人でした。部屋にはテレビと有料の冷蔵庫がついていました。冷蔵庫は有料なので使用せず、冬は朝食のサンドイッチ用に買ってきたチーズやハムを外に置いて保存していました。
次に活かしたいこと
残念だったことは、1点目が中国の学生とは建物が別々なので、現地の学生と接点が無かったことです。日本語を勉強している学生に日本語を教え、代わりに中国語を教えてもらう「相互学習」という方法で中国の学生と関わることが出来ましたが、日本語と中国語の割合を半分にすることを強い意志で臨まないと日本語ばかりを話して終わってしまうこともありました。それでも、幸いにも私はとてもいい学習相手が見つかり、中国のお正月「春節」に家に招待してもらい一緒に餃子作りを体験されてもらうことも出来ました。
2点目は授業が午前中しかなかったことです。午後も授業が在れば、もう少し中国語のレベルを上げることが出来たのではないかと思っています。人によっては午後個別の塾に行く人もいました。北京の「五道口」という場所にあると私も情報をもらい、夏休みの期間に何度が通いました。韓国人の学生が多く通い、定評のある塾で、学校のゆったりした授業とは別で、大勢の中でマイクをもって、テキパキと行われれ授業は気を抜くことの出来ないとても有意義なものでした。
1年を振り返って良かったこと
中国への留学は人生で1番楽しい1年であり、1番自主的に勉強をした1年にもなりました。2人部屋にはテレビもありましたが、もちろん中国語しか映りません。長期の休みになると帰国する人も多く、勉強をするしか時間を潰す方法が思いつきませんでした。空いている時間に自習室に行くと、韓国人の学生が多くいました。テストの点数に拘る彼らと一緒に勉強するのは、予備校に通っているような感覚でした。
1年間の留学がそろそろ終わるころ、旧HSK7級を取得できました。同じ頃、北京の王府井にある本屋で、中国語に翻訳された東野圭吾さんの「時生」という本を購入し、舞台が日本ということもあり、最後まで読み切ることができました。その他にも村上春樹の「IQ84」を購入し、こちらは難しく読み進めることが出来ませんでしたが、1年間の留学の成果を感じられたことは間違いありません。
これから留学をする方へ
社会人で実行した留学ですが、自分の意志で自分のお金で留学したことは、効率が良かったと思います。
学生で来ている方の中には、日本人同士で行動をし、休みになるとすぐに日本に一時帰国をする方もいましたが、私には費用の問題もあり、長期の休みは日本に帰ることも無く、学校で出来たスペイン人の友達と云南、、蘇州、上海、香港を旅行し、空いた時間は自習室に行ったりと、時間を中国語を学ぶために使うことができました。また留学できるチャンスがあるか分からない為、精一杯今学ぶという意志が強くあったと思います。
私の出会った社会人での留学生の中には志の高い人も多く、その後中医学の学校に行く人、現地の銀行で就職をする人、自分で会社を始める人もいました。私自身はビジネス中国語が出来たわけではありませんが、その後は中国で就職でき、また帰国後に入社した会社の上司に、「中国語が出来るというのが採用の決めてだった」と言われました。
この記事が、今後社会人で留学する方の役に立てれば幸いです。
おいも
中国東方航空に就職した際、中国語に興味を持ち学び始める。2011年中国に渡り、北京の首都師範大学で1年留学。その後ホテルニッコー大連で1年勤務。帰国後は、貿易事務をしながら2人の子供を出産。現在、マレーシアにて育児中。
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