社会人1年目で中国に1年留学して救われた話【大連外国語学院(2012年)】前編
「留学すると、人生が変わる。」「価値観が180度変わる。」という人がいますが、実際は違います。価値観が変わったり、人生が変わったりするのは、留学先の文化や人を自分の中で精神的に受け入れて、消化できた人だけです。
ではあなたは留学先の文化や人を自分の中で精神的に受け入れて、消化できたのですか? という話ですが…
私は…できたのです。
こんにちは。Kと申します。
2012年の2月から1年間、中国の大連で語学留学をしておりました。たった1年という短い間の留学でしたが…その一年は私の人生に大きく影響を与えるものとなりました。
今回、私の留学体験を通じて
- 実際に留学するまでに何が必要なのか?
- 語学レベル0(入門レベル)で留学したらどうなるのか?
- 留学してからどんな勉強をしたのか?
- どのくらい中国語が喋れるようになるのか?
- 留学を成功させるポイントとは何か?
を前編(本記事)と後編に分けて、語っていきたいと思います。
拙文ではございますが、何卒お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
※冒頭の写真は大連で大黒山に登ったときに撮影したもの。
目次
留学のきっかけは…友達の言葉
2011年の夏。
同期が額に汗して仕事に精を出す中、私は失意のどん底にいました。
大学卒業後に就職した会社で営業として働いた私は、想像を絶する業務の苛烈さを目の当たりにして会社を光の速さで辞めてしまったのです。
暗い部屋の中で一人になっていると
「今頃同期は新入社員としてどんどん経験を積んでいるのか…」
「自分は何をすべきなのだろう。何をしたいのだろう…」
などという考えが頭をよぎり、より一層鬱屈とした気分に支配されるのでした。
そんな私に救いの手を差し伸べたのは… 中国人の友人でした。
「中国に留学でもしてみたら?」
その友人からすれば、ただのその場の思い付きで言った言葉なのかもしれません。が、その時の私にとってそれは救いの言葉になったのです。
哈爾浜(ハルビン)の思い出
実は私は大学在学中に中国に行ったことがありました。私に救いの手を差し伸べた、その中国人と一緒に彼の故郷、哈爾浜(ハルビン)へ旅行に行ったのです。
自由で楽しかったな…
「中国に留学でもしてみたら?」
その言葉がきっかけになり、思い出した中国の哈爾浜(ハルビン)の景色。思い出の中にある、中国が持つ不思議なエネルギーが私の心を動かしたのかもしれません。
まだまだ暑さが残る8月下旬の昼下がり、私は気づくと留学への準備を始めていました。
中国留学は…安い
先立つものが無ければ、当然留学はできません。ということで私はまず留学費用について調べ始めました。驚いたのは…その安さです。
私が大連外国語学院へ留学した時の金額を一例として見てみましょう。
2012年2月当時(1元=12.5円の時)の語学留学1年でかかった費用
- 学費:16,500元(206,250円)
- 寮費:16,800元/年(210,000円)
- 食費:10,950元/年(136,875円)(一日30元で計算)
- 航空券:往復10万円前後
- 留学保険:5,000円前後
計658,125円
他申請費、教材費、現地での交遊費などを合わせても…100万円かかりませんでした。激安です。
2023年2月現在だと円安(1元=19円)なので、総額で120万円くらいでしょうか。それでも安いですね。
下記サイトによるとアメリカ留学では、1年の語学留学で総額300〜400万円かかるそうなので、中国留学がいかに安いかがわかると思います。
参考:留学情報館 【完全版】1年間のアメリカ留学にかかる費用の相場と節約法
私は留学費用は決して貯められない金額ではない。ということを知りました。
語学力ゼロでも留学エージェントを使えばOK
ここまで記事をお読みいただいて、
「中国に観光へ行ったりするくらいだから、この時点で中国語はある程度できたのね。」
と思った方には申し訳ないのですが、この時点で私は中国語を含め語学勉強の経験は一切なく、自信をもって言える中国語は「你好」、「谢谢」、「好吃」「好喝」くらいのものでした。言うなれば語学力はまっさらなゼロでした。
ハルビン観光で中国人の方と食事をした際、哈爾浜ビールを飲んだ感想を求められ、「ハオチ―!!」と大声で叫んで笑われたこともあります。
よって、入学までの手続きについては留学エージェントにお願いしました。全ての手続きを丸投げしたのです。
- 留学先大学との入学手続きなどのやり取り
- 航空券手配、留学ビザ手配、
- 現地到着後、学校へ行き学費を支払うまでの付き添い
- 現地でのSIMカードの契約
を丸投げしました。
依頼内容や、留学期間の長さによって費用は変わります。以下、日中文化交流社様の費用一例です。
これらのエージェントを利用すれば、語学能力ゼロでも留学ができるということですね。
留学までに実際に私がやったこと
留学までの確実な道筋が決まった私がやったことと言えば…
お金を貯めた
お金を貯めることでした。ただひたすらにバイトしました。
中国の語学留学は一般的に3月前後入学の春学期、9月前後入学の秋学期に分かれています。3月前後入学の春学期の入学手続き締め切りは1月末でしたので、それまでにお金を貯める必要がありました。
本当に気持ち程度の勉強
そして、中国語入門の本を1冊だけ勉強しました。本当に基礎的な単語や、声調についての勉強です。この時点では2声と3声の違いが全く分からなかったのを覚えています。
こんなの文脈で判断するしかないだろ…愚かにも本気でそう思っていました。
そして中国へ
そして…2012年の1月末。
辛い期間を乗り越え、どうにかお金を貯めることができた私は中国へ飛びました。
飛行機内のほとんどが中国人の方だったため、搭乗した瞬間中国へ到着したかのような感覚があったのを覚えています。
留学先の大連外国語学院へ到着した私は…高級班、中級班、初級班、入門班とクラスがある中で、ストレートで入門班へ入りました。一番レベルの低いクラスです。
念願だった中国留学を達成し、ウキウキな私。
しかし現実という超大型巨人は容赦なく襲い掛かってくるのでした。
ぼっちの功罪
留学失敗でよくあるのが、常に自分と同じ国の人とつるんで、常に母国語でコミュニケーションをするというパターン。
本当によくある悲劇です。
幸い(?)にも、私といえば会社を辞めて留学を決めた、いわゆる「ぼっち」でしたので一緒に行動する日本人がおらず、この失敗パターンに嵌る心配は1%もありませんでした。
しかし!
中国語レベルが低かった私は、中国人はおろか他国から来た留学生ともコミュニケーションをとる事ができないという、別の悲劇に見舞われていました。
追い打ちをかけるかの如く、ケータイはプリペイド式、パソコンは持ってきておらず、暇つぶしや現実逃避もできず…
周りは大学生ばかりで、私は無職…
私は辛いことがあれば楽な方に逃げてきた人間です。このような状況下で、一番楽だったのは…
勉強でした。
人生で初めて、勉強の事だけを考えた生活を送りました。
朝は6時に起き、勉強、7時にご飯を食べたら勉強。授業は8時ごろに開始し、お昼ごろに終わるのですが、お昼を食べたらそのあとは18時くらいまで寮に引きこもり、勉強しました。そして、夕ご飯を食べたらシャワーを浴び、また10時頃まで勉強しました。
一日に13時間は勉強していたと思います。
休憩時間に漫画(NARUTO)を読んでいましたが、それも中国語版。
とにかく全ての欲望を後回しにし、ただただ勉強をして寝るということを繰り返したのです。
学生寮が2人部屋でプライベートもあってないようなものだったのですが、それも勉強に拍車を掛ける要素になっていました。
中国留学で使用した勉強グッズ
一般的な中国留学ブログでは「留学時に文法書や参考書を持って行ったほうがいい。」というようなアドバイスがあると思いますが、私は入門班から始めるのであれば、参考書、文法書は不要ではないかと考えています。入門班で学ぶ文法は、文法書を使うほど難しくないからです。
持っていって本当に役立ったものは…電子辞書。これだけでした。
※使っていたのはSHARP シャープ 中国語手書き対応 コンパクト カラー電子辞書 ブラック系 PW-AC30-Bという電子辞書。
他に使ったものと言えば学校指定の教科書と、HSKの問題集だけでした。
初級班以上になってくれば、テキストの分量が増えてくるので難しいかもしれませんが…入門班のテキストであれば、教科書の内容一字一句を全部記憶することも可能です。
中国留学中の勉強方法
そして、勉強は「授業自体をテストととらえて、毎回100点満点を取る意識」で行っていました。具体的に言うと…
予習
- 漢字の意味、発音、使い方、書き方は覚えておく
- テキストについては見なくても正しいピンインで発音できるようにする
- 文法については調べて、例文を2.3個作っておく
- わからない部分があれば、先生にどのように聞くか質問をまとめておく
- テキストを5回くらいはシャドーイングしておく
- リスニングできるなら(CDなどがついていれば)聞いて、自分の発音やそのスピード、リズムがおかしくないかチェックしておく
- 先生が質問してきそうなことを想像し、回答を考えておく
授業中
- 先生の発言を一字一句聞き逃さないよう集中する
- 課題があれば真っ先に手を挙げる
- わからない人を助けられるようにする
- 先生に質問してもわからない部分は飛ばす←重要
復習
- まず宿題を終わらせて
- その日勉強した範囲の復習
- 授業で新しく知った単語や文法があればそれを覚える
- 前の課の単語、テキストを忘れていないかチェック
というように基礎的な方法を繰り返し行ったわけです。とりあえずこれらができていれば、授業が楽しみになってきます。
このような形で不安を抱えながらも、愚直に勉強を続けること三か月…
気づくと私の手には「中国語能力:初級」が握られていました…
K
大学卒業後、就職するも挫折し光の速さで退職。失意のどん底の中、藁をもすがる思いで2012年2月中国大連へ1年間語学留学。結果いろいろと救われた。現在は日本で会社員をしている2児の父(80後)。
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