HSK最高級6級は180点以上で「合格」?でもちゃんと使うには240点以上は必要

HSK・中国語検定

本記事では、「中国版のTOEFL」のHSK(漢語水平考試)最高級6級における「合格」という概念について考えてみたいと思います。

今のHSKは英語の語学検定TOEFLやTOEICのように、「合格」という概念がなくなり、300満点中の点数だけが表示される形式です。しかし、一般的には諸々の理由により180点以上を「合格」というようです。

そもそも、HSK6級において、なぜ「合否」の仕組みがなくなったのでしょうか。

(なぜこれを問うかというと、多くの人は「合格」したといいたいからです。そのほうが、圧倒的に伝達性が高いです。)

公式な説明はされていないので、あくまで予測に過ぎませんが、おそらく合否判定だけでは、会社の人事や大学などで正確に中国語力を見極めることができないからではないでしょうか。読解、聴解、作文の各パートで何点とれているのか、という具体的な能力で適切に中国語力を判定しましょう、ということなのでしょう。

ただ、何か基準があったほうが、受ける側のモチベーションや、それで中国語力を判断する人にとって有用であることも事実です。

HSK6級は180点で合格と対外的に言ってよい

結論、一般的に旧HSKと同じ6割を合格点として一種の合格と見なす慣行もある通り、180点以上であれば「合格」と言ってよいと思います。

理由は以下です。

(1)HSK公式サイトで6割で「6級の能力を有していると判定できる」と書いてある

HSK公式サイトに次のように書かれています。

※2013年試験より合否の表記がなくなりました。但し、6割(基準点:180点)以上のスコアで6級の能力を有していると判定できます。

(2)旧試験と基本は変わってない

旧試験と問題構成も点数も変わらないので、旧試験の180点という合格基準をそのまま使っても問題ないでしょう。

(3)中国の難関大学に留学する際に必要な基準を上回っている

中国国内の主要大学で要求されるHSK基準例」の通り、中国のトップ大学、難関大学のほとんどは6級ではなく、「5級で180点以上」を合格ラインにしてます(であれば6級で180点であれば当然合格ラインを超える)。

トップ大学の授業に中国語で参加するためのレベルなのですから、それはかなり高度な言語能力が要求されます。

ちなみにこちらの基準の中で、最も高いレベルが求められるのは、北京大学における「人文・社会専攻 HSK6級210点以上、作文65点以上」です。

(4)HSK6級180点以上で、通訳案内士の中国語筆記試験が免除

以下、引用

一般社団法人日本青少年育成協会/HSK日本実施委員会(事務局:東京都新宿区)は、中国政府教育部の委託を受けて、日本国内で中国語検定試験HSKを実施しておりますが、この度、HSKが、国家試験である「通訳案内士」の筆記試験免除の対象試験として採用されましたのでお知らせいたします。
 平成28年度より、通訳案内士試験ガイドラインが改定され、通訳案内士の筆記試験免除の対象となる資格が増えました。今回の改定により、HSK6級180点以上(旧HSK高等試験9級以上)の資格を有していれば、通訳案内士の中国語筆記試験が免除となります。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、通訳案内士の注目度はますます高まっていますが、平成27年度の外国語別合格者数及び合格率 ※ を見ると、英語1,822人(21.5%)に対し、中国語は86人(7.2%)とまだまだ少なく、中国語の通訳案内士は不足していると言われています。
通訳案内をできる中国語能力の基準として、「6級180点」を採用しています。
 
このような理由から180点以上であれば「合格」と対外的に主張しても問題ないと考えられます。

実際に“使える”レベルは240点以上

ただ、180点ギリギリで合格した学習者の内心は暗いでしょう。

なぜなら、このレベルで受かった人の多くが次のようにいいます。

手応えがなさすぎ。全然できなかった。聞き取れなかったり、意味を取れない文章が多すぎた、大体、半分もできてないだろうと思っていた。時間も足りなかった。作文はわりかしできたが、手書きなので誤字で曖昧なまま提出した。などなど。

もし6級を受けたことのある人が、HSK6級の点数である人の中国語レベルを判断するなら、HSK6級で180点ちょっとなら「大したレベル」ではない、と判断するでしょう。むしろ上手ではないと思うかもしれません。

なぜなら、読解にしても、リスニング(聴解)にしても、半分ちょっと(6割)の正解率ということは、意味理解できていない、という証拠だからです。読んだり聞いた中国語を(細部まで理解できていなくても)大筋理解できていれば、問題の8割程度は正解できるはずです。

逆に、全体8割の240点くらい取れていれば、一定の高度なレベルであると考えてもよいでしょう。

北京語言大学東京校のサイトに一つの基準が出ています。この学校は中国語学留学でお馴染みの北京語言大学の東京校で、全ての授業を中国語で行い、カリキュラムの軸は中国語の学習の4年制の大学のようです。要は、大学生が毎日ひたすら中国語で学びます。

サイトを見ると、3年次でHSK6級180点以上、4年次でHSK6級240点以上を目標としており、さらに「ビジネスレベルの中国語を習得 全員がHSK6級240点以上を取得」と目標設定しています。つまり、HSK6級240点以上をビジネスレベルとし、4年間しっかり学んだゴールとしているのです。(2016年5月時点の記載で、2022年ではこの基準はなくなっています)

「中国の大学」の卒業生が日本国内の大学生と就職競争をするならそれなりの実力としての武器が必要です。その武器となる中国語力の基準(大学4年で中国語に専念して到達するレベル)がHSK6級の240点です。

HSK6級で240点以上あれば、一定レベルで中国語が“話せる、聞ける”と想定できると思います。是非、HSKを目標にする方は、このレベルを目標にしましょう。

HSK6級で240点を取るためには?

HSK6級は、リスニング、読解、作文の3パートがありますが、日本人にとって一番難しいのは「リスニング」です。

ここで8割〜9割を取ることを目標にすることが必要になります。

リスニングができない原因は、一言でいうと、「単語や文法が“話せる、聞ける”レベルで身についていない」ということに尽きます。

さらに、この問題は、①中国語の音を知覚する処理が遅い、②聞いた中国語を処理して意味を理解するのが追いつかない、さらには、③聞いた内容を保持できない、という課題に分けられます。

そして、課題により必要なトレーニングが異なります。

読解や作文も効率的な攻略法がありますが、一人で取り組みづらいのは、リスニングです。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、具体的な目標設定をして、各学習者に最適なトレーニングを組み、体系的に課題を解決します。

毎日、無料カウンセリングを実施していますので、是非お気軽にご相談ください。

中国語学習メディアでは、中国語学習全体の戦略的な勉強法や、発音、文法の詳しい勉強法、音読や作文の目的ややり方についてまとめています。以下の記事も是非ご覧ください。

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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