なぜ【音読】は最強の中国語勉強法なのか?

勉強法・学習メソッド
中国語音読

みなさん、こんにちは!冨江です。

本日は、最強の中国語勉強法といっても過言ではない音読」について徹底解説したいと思います。

音読というと、発音練習のような初学者向けの基礎的な学習方法だと思っている人は多いのではないでしょうか?私も実はそう思っており、2016年までの15年以上の言語学習では、音読をほとんど取り入れていませんでした。

しかし、あるきっかけから音読の効果を体感し、さらに理論的な裏打ちに納得することで、音読にのめり込みました。

私は中国で中国語を使って様々なプロジェクトを行ってきましたが、音読に真面目に取り組んでから圧倒的に語学力(話す聞く)が高まり、中国語での人間関係構築、会議やヒアリング、交渉などできる仕事の幅が圧倒的に広がったと言えます。現在は、自分の学習の中心に据えるだけで、運営する語学学校の中心的なトレーニングとして学習者に推奨しています。

以下、音読がただの発音練習ではなく、語学のど真ん中の課題に取り組む最強の勉強法であることを説明し、中国語学習において具体的にどのように活用すべきかを説明いたします。

音読(只管朗読)は発音練習ではない

私は長年、英語と中国語の言語学習を行ってきました。

そして、おそらく、何度か先生や先輩などから「音読」を勧められてことがあります。しかし、そのようなアドバイスに聞く耳を持たず、音読をすることはありませんでした。

というのも、当時の私にとって音読とは、発音の練習のようなイメージしかなかったからです。発音は大事だろうけど、語学力で伸ばしたいセンターピンはそこじゃないと思っていました。

あるとき、私はある日本人の先生に中国語の発音矯正をしてもらったことがあります。その先生は、日本人だったこともあり、教え方がよく、何より本人が上手だったので、私は聞く耳を持ち、2〜3ヶ月の間、発音練習(音読)をいっぱい行いました。その結果、発音がよくなったのはもちろんですが、それ以上に中国語を話すこと、聞くことに効果があるという実感があったのです。

しかし、私が習った先生は発音矯正という位置づけで音読を行っていたので、私はそれ以上の効果を期待できず、その後、特に音読を続けることはなかったです。(その後、この実感を裏付ける言葉に出会いました。)

音読で「場面別文例の暗記病」を克服

中国語音読

みなさんは、「只管朗読」という言葉を聞いたことがありますか?英語業界では有名のようですが、私は恥ずかしながら長年知りませんでした。「只管朗読」は、同時通訳の神様と言われ、サイマル・インターナショナル創業者である國弘正雄氏の造語です。

曹洞宗の開祖・道元が説いた「只管打座」(ひたすら座禅しなさい)にかけて、「ひたすら朗読(音読)しなさい」という意味で使われています。今では英語学習の王道として広く知られているようです。

私はそれまで知らなかったですが、友人の勧めで國弘正雄『國弘流英語の話しかた』を拝読し、知ることとなりました。(以下、本書からの引用は最後に括弧書きでページ数を示します)

その國弘正雄氏は、本書で音読は、発音練習を超えて言語学習にとって最も大事な学習法であることを説いています。言語学習者なら誰でもぶつかる疑問でありつつ、今まで誰からも言語化されていなかった問題点が明確に述べられ、その対処法まで解説していたことに、大変感銘を受けました。

國弘氏は、本書で次のように述べています。

英会話とは、挨拶や、買い物、レストランでの注文の仕方、切符の買い方、時候の挨拶など、場面によって分類された決まり文句を丸暗記して、実際の現場で、そのままオウム返しのように使うことだと信じている人が大半のようです。(154)

これを、「場面別文例の暗記病」と呼び、ただひたすら場面別に例文やフレーズを丸暗記する学習法を否定しています。

私たちは、日々の新たな場面や話題に直面して、その場で臨機応変に新たな文を自分で作っています。既にある場面を想定して作られた例文を1つずつ吸収していくようなやり方では、自分で文を創造することができません。それでは、どんな方向に進むかわからない会話というコミュニケーションに対応することはできません。

國弘氏は、音読という学習法で、この「場面別文例の暗記病」を克服できるといいます。

中国語学習者が夢見る「活用自在」とは?

中国語音読

中国語に限らずですが、言語学習者にとっての漠然としたゴールは、自由に学習言語を話したり、聞いたりできるようになることです。どんな中国語も聴き取りができて、言いたいことを中国語で作文でき、それを自然な発音で発話できることです。このような状態を國弘氏は「活用自在」といいます。

上述の「場面別文例」をただ覚えていく、という学習法で、果たしてこの活用自在に到達できるのでしょうか?少し考えてみれば、私たちが普段話している文や文章は、予め用意された台本によって話す役者の台詞とは異なります。常にアドリブの連続となります。

ここで多くの学習者は絶望するでしょう。無限とも思える組み合わせをマスターできる道筋が、まったく見えません。

私は、この問題について真っ向から向き合い、さらに解決策を提示している先生や本にそれまで出会ったことがありませんでした。そもそも、この問題を言語化している人を見たことありませんでした。

國弘氏は、「場面別文例の暗記病」を克服する方法として音読を挙げていますが、次のように述べます。

(1)他人が書いた英語をそのまま繰り返し朗読するという行為が、(2)自らの文を生み出すという行為につながるという確信が持てなくてもは、とても只管朗読などは続けられません。(159)

つまり、音読が「場面別文例の暗記病」を克服するが、それを信じることができなければ、音読にコミットすることなどできない、ということです。活用自在にたどり着くには「覚える量が足らないからだ(158)」という一般的な正論に対抗し、國弘氏は学習者がアクションを取れるような道筋を示すべく、音読がなぜ有効なのかを説明します。

音読は活用自在に繋がる

國弘氏は『國弘流英語の話しかた』の中で、なぜ音読が活用自在に繋がるのか、以下のような項目に分けて説明しています。

  • 主題レベルの活用自在
  • 概念レベルの活用自在
  • 文法と活用自在・構文レベル
  • 文法と活用自在・発想レベル
  • 単語レベルの活用自在
  • 英語を使うことと活用自在

実際、これらを読んでいくと、音読がなぜ活用自在に繋がるかの理論的な説明というよりは、各項目で具体的にどのような勉強すれば活用自在になるかという学習法を解説しているように思えました。

ただ、その学習法はどれも至極、本質的であり、これをやれば確かに活用自在に繋がるという確信を与えてくれる内容です。例えば、「言いたいこと」を網羅的に表現できる力をつけるには類義語辞典が使えるとか、文法学習は、基礎をやった後に、文法的な関心を持って沢山の英語に触れる、などというようなことです。詳しく吟味したい方は、是非、『國弘流英語の話しかた』を読んで、音読がなぜ大切なのかを理解してみてください。

結論だけ見れば、活用自在になるためには、内容を十分にした文章を、沢山音読するといことになります。

重要なことは、以下引用するように、音読とはただの発音練習ではなく、活用自在への手段であることを理解することです。そして、一般的には想像もつかない学習量が必要なのです。

只管朗読とはただ単に他人の英文を朗読するのが目的ではなく、明確に活用自在を志向するものだということを胸に刻んでください。第一歩として、そのままの形で朗読するという作業があるのです。私の場合、その回数は基礎となる中学のテキストで五百回ほどでした。この回数が、みなさんにそのままあてはまるかどうかはわかりませんが、ともかく述懐やそこらでは無理なことは間違いないようです。(164)

音読の3つの効果

音読の3つの効果

ここでは、音読の重要な効果を3点紹介します。

①意味理解力の向上(語順でそのまま理解)

まずは、よく言われる音読のメリットです。声を出して読むことで、日本語に変換して理解せず、文頭から中国語をそのままの順番で理解する力を鍛えることができます。中国語を中国語のまま理解する習慣がつきます。

②話せる聞ける語彙・表現力アップ

次に、語彙力アップという効果です。文脈を意識し意味を理解した中国語を繰り返し発話することで、“話せる聞ける”中国語の単語・フレーズが増えていきます。

実は、こちらが音読が語学の王道といわれる所以だと思います。なぜなら、語学は、いかに使える語彙を増やしていくかが中心的な課題だからです。しかも、読んでわかるレベルではなく、聞いてすぐに理解できたり、話すときにパッと出てくるレベルで、千、2千、3千…と語彙数を増やしていく必要があります。

また、語彙を単語として1つずつ独立して覚えるというよりは、文脈の中でその使用法とともに、一緒に身に着け、単語を入れ替え、文法を駆使して使えるような語彙力です。

③発音力の向上

様々な中国語を声を出して音読することで、自然な発音で中国語を発話できる口を作ることができます。

いくら作文力があり、中国語の文章を書けても、それを口に乗せて発話することあできなければ相手に伝わりません。日々、長い文章を読み込んでおけば、必要なときに一言二言話すのが簡単に思えるでしょう。

中国語で音読をする上での注意点

音読のトレーニングをする際に気をつけるべき注意点があります。

①前提となる自己モニター能力

まず、前提として発音の「自己モニター能力」が必要です。これは、母音、子音、声調の観点で、自分の発音に問題ないか判断できることです。中国語は母音が38個、子音21個もあり、2音節の単語なら20パターンの声調があります。これらを正確に読め、自分の発音を自分で修正できないと、悪い癖がついてしまいます。

②100%完全理解

中国語の意味と構造を理解した上で、音読しましょう。初めて読む中国語は、まだ音声面に気を取られ、中国語の文構造、意味の把握が十分でないかもしれません。回数を繰り返すうちに文構造、意味を徐々に自分のうちに落としこみ、音読が終える時は完全に理解しながら発話実感を伴った読みが実現することを目指します。中国語の文を暗記しようとする必要はありません。

文構造、意味がすんなり入ってこない文、フレーズには特に注意を払います。頭で理解できても音読のような肉体的作業でスムーズに入ってこない部分は自分の弱点です。音読ですんなり入らないものはリスニングしても聴き取れないものです。

③まずは極端にゆっくり

こうした箇所はペースを落とし、食べ物をよく咀嚼するように読むことも行ってみるといいでしょう。こうした、「もつれ」をとくために極端すぎるくらいに、自分で確実に制御できるスピードで読んでみましょう。慣れてきたら自然とスピードが上がっていきます。

ネイティブの発音を真似する > 知識

発音学習期間は、ネイティブの発音を繰り返し見聞きして、真似しましょう。

おすすめの方法は、発音の仕方を(日本人の大人が学習しやすいように)理論として理解し、“発音できる”ようになるようにトレーニングします。

しかし、ここで注意点があります。

発音の仕方を知識で学ぶことで効率的な学習ができますが、一方で言語化された知識では伝えきれない感覚的な部分もあります。

理想的には、子供が言語を身につけるように、ネイティブの音声を何回も聴いて音真似して同じ発音を出すことですが、それでは(一般的には)時間がかかりすぎてしまいます。大人が中国語を学ぶ場合は、理論的な学習と組み合わせると効率的です。

この2つの事実を理解した上で学習を進めましょう。つまり、理論を活用し効率的に学習する一方で、学習者が本当に目指すべきは、言語化できない(教科書などに書かれていない)「ネイティブの音声」であることです。そのために、ネイティブの音声を沢山聴いて真似してください。

中国語音読トレーニングのやり方

中国語音読のトレーニング方法

中国語のピンイン表と、声調20パターンが読めれば、理屈としては、どんな難しい単語でも発音できるようになります。もっと長い語句、文、文章を音読できるようにするには、ただ単語を1つずつ読むだけでは足りません。以下、長い文を読むためのコツです。

まずは単語を順番に読む

やり方はシンプルです。まずは、単語を順番に読んでいきます。

例えば、以下のような文があったとしましょう。

慢跑/的/时间/取决/于/慢跑者/的/训练/程度
mànpǎo de shíjiān qǔjuéyú mànpǎozhě de xùnliàn chéngdù

上記の「/」のように、単語レベルに区切れば声調20パターンと同じなので、読めるはずです。まずは、はっきりと声調のメリハリをつけ、母音子音を意識して正確に発音してみましょう。

口が疲れているか?口の筋トレ

中国語の発音を始めて最低でも数ヶ月は、口の形をしっかりと作ることを意識しましょう。

多くの日本人は、口の形を作らず音が浅く曖昧な音になり伝わりづらい発音をしていることがあります。口の形をはっきり作ると、深く特徴がはっきりと出た伝わりやすい音になります。

基本的に各ピンインの口の形を決めるのは「母音」であり、それはさらには単母音の組み合わせになります。詳しくは以下、音読のチェックポイントをご覧ください。

単語から文へ

単語レベルから、語句、文、文章と、より長い中国語の発音練習をする場合、単語をただ連続で読むとロボット(音声合成AI)のように、ぎこちなくなってしまします。個々の単語の羅列のようにならないように、以下のトレーニングをしましょう。

  1. 音声の特徴を書き込む
  2. リピーティングする
  3. 区切りごとに何回も読む
  4. シャドーイングする
  5. ディクテーションしてから音読に入る
  6. 漢字だけで読む
  7. 文字を見ずに読む
  8. 暗唱する

詳しくは以下の音読のコツをご覧ください。

中国語音読のおすすめ教材

初級者から上級者まで、まだ音読学習をあまりやったことがない方は、李軼倫 先生の『はじめよう中国語音読 初級編』をおすすめします。李先生は、NHK国際放送のアナウンサーで中国語教育の専門家です。

本書を勧める理由は3点あります。

1.音読のポイントが書いてある

どこで一息置くか、どこを繋げて一気に読むかなどがわかりやすい)

2.語彙が親しみやすい

自分や家族のこと、日本の紹介など、今後使いそうな語彙が学べます。

3.文章の長さがちょうどよい

初級編は1つの文章が80文字程度、中級編は130字程度と文脈がありつつも難しすぎない。

また、以下You Tubeに李先生自らの解説動画もあるので参考にしてみてください。

その他も何冊か中国語の音読に適した本があります。6冊をピックアップし、それぞれの特徴を以下のページで紹介しているので参考にしてみてください。

音読に取り組むきっかけを

以上、音読が、中国語学習のど真ん中の学習法であること、その効果、やり方を説明しました。冒頭で述べた通り、私も長年、語学に取り組んできたにも関わらず、音読を行っていませんでした。しかし、音読中心の学習に変えて、明らかに中国語力が高まりました。

音読の効果は、実際にやってみないとピンとこないでしょう。いくら音読の魅力を説かれても、実際に行動するのは難しいかもしれません。なんとなく本を読んだり、知り合いや先生から勧められた程度では、なかなかここまでやらないのが現実です。私も、自分の語学力に課題を抱えつつ、発音練習に好感があり、さらに語学の名著との出会いなどが重なりようやく実行に移しました。

中国語を学習中のみなさんが、何かのきっかけで一度、音読を体験してみることを祈ります。数回読むだけではだめで、意味と構造を理解した上で、基礎的な発音に問題がない状態で(最初は)100回単位で読み込む必要があります。今までの言語学習で味わえなかった疲れや伸びを感じることができるでしょう。

PaoChaiオンライン中国語コーチングでは、音読で鍛えられる体幹的な語彙・表現力を「コア能力」とし、さらにこれらを具体的な状況で瞬発的に使える「実践能力」と捉え、本質的な語学力を高めるための全面的サポートを行っています。興味のある方は是非、HPをご覧になってください。

今回は、中国語の音読トレーニングを中心にまとめましたが、より包括的な中国語学習全体の勉強法や、発音、文法の勉強法については以下の記事もご覧ください。

アイコン

冨江コーチ

東京都出身。早稲田大学国際教養学部卒業。中国ビジネス9年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。新HSK最上級6級合格。復旦大学短期留学(2007年)。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

冨江コーチさんの他の記事を見る