【中国語】“之”とは何なのか?日本語の「の」?用法14選

語法・表現・フレーズ

みなさん、こんにちは!

中国語の文章を読んでいると、よく“之zhī”を見かけることがありますね。

これら、どのような意味を持つのか理解していますか?

日本語の「の」のようなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、それは1つの側面だけです。

今日は、その意味や用法がわかりづらい謎の“之zhī”について、文語文(昔の書き言葉)の代詞としての“之”の用法を4つ、現代でも使われる助詞“之”の用法を10、紹介したいと思います。

※“”の各語の用法、意味、例文は白水社 中国語辞典(weblio)を参照しております。

【昔の書き言葉】代詞としての“之”

まずは、文語文[昔の書き言葉]で「代詞」として使われてた“之”について①〜④です。こちらは現代において一般的に使われることはないですが、中国の方は学校では習うようです。

現代で使われる“之zhī”にも影響があることは間違いないので、学習者の立場からは、大体の用法を理解しておくとよいでしょう。

①文語文の代詞“之” 「彼,あれ,あの人」

“之”は文語文で「(3人称代名詞として専ら目的語に用いて人を指し)彼,あれ,あの人」を意味します。他,他们に近い用法です。

用例

  • 若嗣子可辅辅。=もしわが子に補佐する価値があるならば(彼を)補佐してやってくれ.
  • 不得与言。=彼と話し合う機会が得られなかった.
  • 群起而攻=多数の人がその人を非難する.

“之”が「彼」を意味するとは知らなかったですね…

②文語文の代詞“之” 「これ,それ」

上記①にも少し二ていますが、文語文の代詞“之”は「(3人称代名詞として専ら目的語に用いて事物を指し)これ,それ」を意味します。它,它们に近い用法です。

用例

  • 学而时习。=学んで時々それを復習する.
  • 我国的地下资源,是取不尽,用不竭的。=わが国の地下資源は,(これを)採っても尽きず,(これを)用いても使い切れない.
  • 我们要耐心帮助,不能操过急。=我々は忍耐強く助けるべきで,(これを行なって→)やり方がせっかちであってはならない.
  • 杀雁而烹=カリを殺しそれを調理する.

代詞としての用法なので、文脈で意味をどう取るか考える必要があります。

③文語文の代詞“之”「この,その」

次は、「(指示代名詞として用い)この,その」の意味です。現代の这,那に近い意味となります。

用例

  • 二虫又何知?=この2匹の動物に何がわかろう.
  • 子于归=この子を嫁に行かせる.

名詞の前に置かれているので特定はしやすいように思えます。

④文語文の代詞“之”「具体的な意味なし、語気を整える」

最後は、“之”を加えて4字句を作り「語気を整える(“之”そのものは具体的意味を表わさない)」という用法です。

用例

  • 不存,毛将安附?=(皮がなければ,毛のつき場所がない→)根本を失っては,枝葉のことに努めても効果がない.
  • 久而久=時が久しくなるにつれて.
  • 等闲视=等閑視する.

具体的な意味がないので、これは特定するのが難しそうです…

助詞

続いて現代でも使われる助詞として“之”を紹介します。基本的にどれも書き言葉に用いることが基本となります。

⑤助詞“之”「(…の所有するところ)…の」

まずは、書き言葉に用い「〔修飾語+“之”+被修飾語〕の形で,修飾語が被修飾語の所有者を示し)…(の所有するところ)の」の意味です。

用例

  • 以子矛陷子盾如何?=あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなるか?
  • 燕雀安知鸿鹄志哉。=ツバメやスズメのような小鳥にどうして鴻鵠のような大鳥の考えがわかろうか.
  • 黄河水滚滚流。=黄河の水は滔々と流れる.
  • 高山颠=高い山の頂.
  • 常情=人情の常.

この用法から日本語の「の」のイメージをを持つ人が多いのでしょう。

⑥助詞“之”「(存在する場所,関係する時間,所属・属性などを示し)…の」

次も書き言葉ですが、「多く〔複音節修飾語+‘之’+単音節被修飾語〕の形で4字句を作り、修飾語が被修飾語の存在する場所,関係する時間,所属・属性などを示し)…の」を意味します。「的de」に近い用法です。.

用例

  • 公民有受教育和参加政治活动权利。=公民は教育を受けまた政治活動に参加する権利を持つ.
  • 古老民歌闪耀着智慧光。=古い民謡は文明の輝きを放っている.
  • 四川被称为天府国。=四川は天府の国と呼ばれている.
  • 不义财=不義の財,人道に外れた手段で得た金銭.
  • 骨肉情=血を分けた肉親の間の情愛.
  • 破竹势=破竹の勢い,猛烈な勢い.
  • 促膝交=膝を交えて話し合える間柄.

⑦助詞“之”「時間・場所・位置・範囲を限定」

書き言葉に使い、「〔複音節修飾語+‘之’+単音節方位詞〕の形で4字句を作り,被修飾語が修飾語に対する時間・場所・位置・範囲を限定する」意味です。

之后 zhīhòu ,之际 zhījì ,之间 zhījiān ,之内 zhīnèi ,之前 zhīqián ,之上 zhīshàng ,之外 zhīwài ,之下 zhīxià ,之中 zhīzhōng  のような形で使われます。

用例

  • 四海内皆为兄弟。=四海の内は皆兄弟なり.
  • 这项工程要五年内完成。=このプロジェクトは5年以内に完成しなければいけない.
  • 我跟他相比下,觉得很惭愧。=私は彼と比べると,実に恥かしい.
  • 出乎意料外。=予想を上回った,予想外だった.
  • 当我们访问贵国际=私たちが貴国を訪れたおりには.
  • 日中两国间的交流=日中両国間の交流.
  • 在我们预料中=我々の予想どおりであった.
  • 找不到安身处=落ち着いて暮らす場所がない.
  • 春夏交=春と夏の季節の変わり目.

具体的な意味があるというよりは、「複音節修飾語」と「単音節方位詞」を繋ぐ目印になっているようです。こちらは書き言葉ということですが、けっこう日常的に中国で口語でも使われているのを聞いたことがあります。

⑧助詞“之”「…の(たぐい・部類・徒・衆・連中・やから)」

8番目は、「(書き言葉に用い,〔修飾語+‘之辈(之类・之列・之徒・之众)’〕などの形で4字句を作り)…の[たぐい・部類・徒・衆・連中・やから]」の意味です。

  • 这本书被排在畅销书列。=この本はベストセラーに数えられている.
  • 蔬菜、水果类=野菜類や果物類.
  • 无能辈=能なし連中.
  • 乌合众=烏合の衆.
  • 不法徒=無法者.
  • “四人帮”流=「四人組」のやから.

2番目の例「之类」はよく見聞きしますが、同様の用法がこんなにありました。恥ずかしながらあまり見た記憶がなかったです。

⑨助詞“之”

9つ目は、書き言葉で「〔主語(主語+“之”+述語)+述語〕の形で用い)…の…であることは…」の意味です。

用例

  • 投考人数多,远远超过招生委员会的估计。=受験生の人数の多いことは,入試委員会の予想をはるかに上回った.
  • 她绣花手艺高,在厂内早有定评。=彼女の刺繡の腕前の優れていることは,工場内で以前から定評がある.
  • 儒教对日本影响深远,是难以衡量的。=儒教が日本にもたらした影響の深遠なことは,測り知れない.

こちらの用法は、日本語の「の」にも似ており、「的」でも置き換えができそうです。

⑩助詞“之”「“的”が幾つも重なる場合に使う」

10個目の“之”は、書き言葉に用い「1つの文中に語と語の関係を示す“的”が幾つも重なる場合,複雑な修飾関係を明確にするために」使われます。

用例

  • 感性的认识是属于事物片面的、现象的、外部联系的东西。=感性による認識とは事物の一面的な,現象だけの,外界に頼るものを指して言う.
  • 实践的观点是辩证唯物论的认识论第一的和基本的观点。=実践主義的観念は弁証法的唯物論における認識論の最も大切な基本的な意義を持つ観念である.

こちらの使用目的は明確ですね。くどくならないように「的」の代用としての“之”です。

⑪助詞“之”「そんなに,こんなに」

この“之”は書き言葉で「〔数量詞[+名詞]+“之”+単音節形容詞〕の形で用い;…の数量に達するほど)そんなに,こんなに」の意味です。

用例

  • 参加集会和游行的,有十万人多。=集合とデモに参加した人々は,10万人にも達した.
  • 这个遗址在地下埋藏了两千年久。=この遺跡は地下で二千年もの間眠っていた.
  • 物价竟达如此高,叫人怎么生活呀!=物価がこんなに上がって,どうやって生活しろと言うのだ!

⑫助詞“之”「際立って,ずば抜けて,格段に…だ」

こちらの用法は、書き言葉で「〔“非常之[地]”+形容詞〕の形」で使います。「際立って,この上なく,ずば抜けて,格段に…だ」と強調する意味があります。

用例

  • 西湖非常美。=西湖はずば抜けて美しい.
  • 问题非常复杂。=問題は格段に複雑である.
  • 城乡差别非常大。=都市と農村の差はこの上なく大きい.

⑬助詞“之”「…の1つ」

13番目は書き言葉「“…之一[…之二]”の形で用い;…の中の)一つ・一人である」の意味です。

用例

  • 他是我们班学习最好的同学一。=彼は私のクラスの最も勉強のできる級友の一人である.
  • 这是亟待解决的问题一,…这是亟待解决的问题之二。=これは早急な解決の待たれる問題の第一であり,…これは早急な解決の待たれる問題の第二である.

この用法は口語でもよく使いますね。

⑭助詞“之”「“…分之…”の形で…分の…」

最後の用法は、書き言葉に用い「“…分之…”の形で分数を示し)…分の…」の意味です。

用例

  • 二分一=2分の1.
  • 五分二=5分の2.
  • 百分五十=100分の50,50パーセント(%).
  • 千分十五=1000分の15,15パーミル(‰).
  • 三又二十五分一=3と25分の1.

こちらの用法も、パーセントの表現でお馴染みですね。

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以上、中国語でよく見かけますがいまいち意味がわからない“之”の意味と用法について、

文語文(昔の書き言葉)の代詞としての“之”を4つ、現代でも使われる助詞“之”を10つ紹介いたしました。

是非、例文を手がかりに違いを掴んで使い分けをしてみてください。

※“”の各語の用法、意味、例文は白水社 中国語辞典(weblio)を参照しております。

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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