中国留学で中国語の<実践>を!「有意味」の概念を手がかりに
みなさん、こんにちは!PaoChaiの中国語学習コーチの冨江です。
よく英語や中国語など語学の世界では、「実践が大事だ!」「実践あるのみ」というような主張を見かけます。
たしかに、実践の重要性は誰もが認めるものでしょう。
ただ、「実践」って何?と素朴な疑問も湧いてきます。
中国語学習における<実践>とは?
そこで、
本日は、語学(主に中国語)における実践について私見をまとめてみたいと思います。
実践というとありきたりなので、語学の観点でいう実践をここでは括弧付きで<実践>と表記します。
<実践>とは、要するに実際のリアルな状況の中で言語を使用することです。それは、「いま、ここ」と関係のない場面を想像し、思い浮かべて言葉を話したり、聞いたりするのではなく、自分事として、目の前の状況に対応するために言語を使うことです。
この<実践>と対極にあるのが、よく語学教室などで行われる単語帳や場面別フレーズ集を使った勉強や、さらにはロールプレイなどです。私は、ロールプレイを含めこのような架空の場面を想像して行う練習やトレーニングが嫌いで、おすすめもしていません。
「有意味」という条件
私は、作られたものではなく、実際の有意味な言語使用をベースに学んでいくのが良いと考えています。つまり、<実践>です。
読解でも、教科書を読むのではなく、中国語であれば、中国人が中国の書店で買って読むような本を使ったほうよいでしょう。(何を読むか、レベルは別途検討する必要がありますが)
もちろん、一定のレベルでないとこのような留学の環境を生かせないでしょう。中国語を例に考えれば、基礎的なことは教科書で学ぶ必要があります。最初は文法や単語を教科書や参考書を使って頭で覚えていきますが、あるレベルまで来たら、それらを駆使して自分で有意味に使ってみることが上達への近道だと思います。
ここでいう「有意味に使う」というのは、目の前の状況に合わせて言ってみたいことを、文法と知っている単語を応用して、文として組み立てて、声に出してみるとか、あるいは、ある状況の中で、周りの人が言っていることを理解しようとする、というようなことです。
留学は<実践>の宝庫
さて、ではどうやったら<実践>を沢山できるでしょうか?
答えは簡単、その言語圏で生活するのです。中国語なら中国で生活するということ。
留学、が一番手っ取り早いですね。
留学で学習言語が日常的に使われている環境にいけば、学習者は嫌でも有意味な言語使用<実践>を沢山しなくてはいけなくなります。
カフェで「在这里吃?带走?(ここで食べるか、持ち帰りか)」など、聞かれたとして、それを日本にいながら教科書の場面として学ぶのと、上海(中国)のスタバで実際のお店で店員さんから聞かれるのでは、その音声への関心や集中度、発話への推測や、文脈の臨場感などが圧倒的に違います。
こういう環境にいれば、こういうときにはこう言えばいい、というのが自然と(理屈はわからなくても)習得できるようになります。子供が言語を学ぶ過程に近いかもしれません。状況の中で、意味を推測しながら言語に触れていくからです。
まずはインプットの<実践>を!
ただ、一つ注意点があります。話したり書いたりする場合、自分でオリジナルな文を作るというのは危険です。往々にして母語の発想にとらわれて、ネイティブが使わないような不自然な表現を作ってしまいがちです。例えば、「泣き止む」という日本語を中国語にしようと思って、「停(とまる)」と「哭(泣く)」を辞書で見つけて、「停哭」と言ってしまうと、意味は伝わるもののネイティブが違和感を持つ中国語になってしまいます。(泣き止むは「不哭了」)
なので、有意味な使用といっても、自分で文を作ってみるのもいいですが、まずは沢山読んだり聞いたりして、自然な表現に触れることをおすすめします。それにはドラマ鑑賞や読書(多読)が最適です。
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以上、留学では、語学の上達で大切な有意味な言語使用<実践>が沢山できるという話をまとめました。
実際、日本でも中国語や英語の無料コンテンツは沢山ありますし、ネイティブの方も場所によって沢山いるでしょうから、頑張れば国内でも似たような環境を作ることはできると思います。
しかし、常に有意味な言語の使用を強制される海外の環境(=留学)には及ばないでしょう。
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冨江コーチ
東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。
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