【中国語】どれくらい?<名量詞 ・動量詞 ・時量詞・差量>の違いと使い方
「5冊の本」「五本书」のように事物の量を数える場合(名量詞)、日本語でも中国語でもその事物の前に量を表す語が来ます。
しかし、動作の回数、時間量、比較した際の差分量については、日本語と中国語で異なります。
日本語では動詞や形容詞の前に置きますが、中国語では後に来ます。
※中国語の文法で、何かの「量(どれくらい?)」を表す品詞(※)を「量詞」といいます。
- 5冊の本(事物の量) →名量詞
- 1時間休む(持続・経過時間 ) →時量詞
- 一度食べたことがある(動作量 ) →動量詞
- 2歳年上だ →差量
上の例のように日本語 では動作の回数(動作量)、持続・経過時間(時量詞)、差量は述語(動詞や形容詞)の前に置きますが、 中国語では逆で述語の後ろになります。(名量詞は「5冊の本」と同様の語順で「五本书」となります)
- 五本书 →名量詞
- 休息一个小时(1時間休む) →時量詞
- 吃过一次(一度食べたことがある) →動量詞
- 大 两岁 (2歳年上だ) →差量
語順がややこしので、一度頭で理解しておくと良いでしょう。
本日は、この4種類の量に関する表現の語順を中心に解説していきます。
※意味で品詞が決まっているわけではありません。品詞の分類は諸説あります。一般的に量詞は、名量詞と動量詞に分けられますが、ここでは「量(どれくらい?)」を表す品詞として時量詞も入れています。
①物 →名量詞
日本語で物を数える場合、「1本、2件、3冊…」のように、何を数えるかによって数える単位が異なります。
中国語にもこのように事物を数える単位があります。
物の数量を数える言い方は、次の形が基本語順になります。
- 一 本 书
- 数詞 + 量詞 + 名詞
- (1 冊 の 本)
この数える単位を「量詞」といい、数字の部分を「数詞」といいます。
量詞の中でも、本や椅子など物を数えるときは「名量詞」を使います。
名量詞には、以下のように個体量詞、集合量詞、度量詞、不定量詞、借用量詞などがあります。
個体量詞
個体量詞は、個体として数えられるものに使います。
把
柄や取っ手が付いているものを数えるときに用いられます。
例
- 菜刀(包丁)
- 剪子(はさみ)
- 伞
- 扇子(扇子)
- 椅子(イス)
本
書籍、帳簿類などを数えます。
- 词典
- 书
- 小说
- 杂志
- 帐
根
細長いものを数えます。
- 火柴
- 冰棍儿
- 麻绳
- 绳子
- 钢管
集合量詞
対象となる事物を、1つのまとまりを持った集合として数えたり、全体を部分に分けて数えるときに使います。
副
組になったもの、対になったものを数えます。
- 手套
- 筷子
- 耳环
群
群れをなすものを数えます。
- 孩子
- 鸟
- 小岛
段
一定の時間や距離、事物の一部分を数えます。
- 时期
- 时间
- 文章
度量詞
長さ、重さ、面積、容積などを計る度量衡の単位。
- 丈(長さの単位。尺の10倍。約3.3メートル)
- 尺(長さの単位。寸の10倍。約3分の1メートル)
- 寸(長さの単位。尺の10分の1。)
- 分(長さの単位。尺の100分の1。)
不定量詞
不定量を表します。
“一点儿” “一些”。
結びつく数詞は“一”のみです。
借用量詞
名詞や動詞を臨時に借用した量詞。容器や場所や関連動作などで数えます。
杯
コップ、カップ、湯呑み茶碗などで数えます。
- 水
- 茶
- 咖啡
桌
机、テーブルで数えます。
- 菜
- 客
- 席
撮
指でつまんだものを数えます。
- 米
- 盐
- 芝麻
②持続・経過時間 →時量詞
時間量とは、次のような時間を数えます。
- 動作や状態の「持続時間」
- 事態が発生してからの「経過時間」
使われる動詞が、「休息(休む)」「坐(座る)」「学(学ぶ)」のように、①動作が継続しうる動詞の場合は、時間量は「持続時間」を表します。また、「去(行く)」「离开(離れる)」など②持続できず、動作や行為で変化を表す動詞(瞬間動詞)の場合は、「経過時間」を意味します。
①持続時間
動作の「持続する時間」を表す表現(時量詞)は、動詞の後に置かれます。
この時量詞は、「休息(休む)」「坐(座る)」「学(学ぶ)」のように、動作が継続しうる動詞と一緒に使われます。
- 咱们休息三十分钟吧。((私たち)30分休憩しましょう)
- 再坐一会儿吧。(もう少し座ってましょう)
目的語があるときには、次のような語順になります。
(1)動詞 + 目的語 + 動詞 + 時間量
まずは、「動詞 + 目的語 + 動詞 + 時間量」の語順で、「動詞を繰り返す形式」です。
- 她学汉语学了五年。(彼女は中国語を5年学びました)
※このとき前の動詞“学”は省略可能(她汉语学了五年。)です。
(2)動詞 + 時間量 + 目的語
次は、「動詞 + 時間量 + 目的語」のように、時間量を動詞と目的語の間に置いて定語(連体修飾語)にする形式です。
- 她学了五年汉语。(彼女は中国語を5年学びました)
※このとき、助詞の“的”を時間量と目的語の間に入れることがあります。
- 她学了五年(的)汉语。(彼女は中国語を5年学びました)
- 去大阪得坐三个小时(的)飞机。(飛行機で大阪に行くには3時間かかります)
- 我去过一次(※)常州。(私は一度常州に行ったことがあります)
※回数表現では“的”は入れません。
(3)動詞 + 目的語(人称代名詞) + 時間量
目的語が人称代名詞の場合には、通常、時間量は目的語の後に置かれます
- 我在公园等了她两个小时。(私は公園で彼女を2時間待ちました)
ただし、不定の時間量を表す“一会儿”については目的語の前後どちらにも置くことができます。
- 等我一会儿((私を)ちょっと待ってください)
- 等一会儿我((私を)ちょっと待ってください)
②経過時間
瞬間動詞(※)の場合、動詞の後に時間量を置くと、その事態が発生してからの経過時間を表します。
- 她去香港已经两年多了。(彼女は香港に行って既に2年余が経ちました)
- 他离开日本就要三年了。(彼は日本を離れてもうすぐ3年になります)
※「瞬間動詞」とは、持続できず動作や行為で変化を表す動詞です。「毕业(卒業する)」「 结婚(結婚する)」「 死(死ぬ)」などがあります。
語気助詞“了”と時間量
動作が持続可能な動詞:持続時間
次の2つの例文を見てください。違いは、最後に語気助詞“了”の有無のみです。
- 她学汉语学了五年。(彼女は中国語を5年学びました)
- 她学汉语学了五年了。(彼女は中国語を5年学んでいます)
①は、過去のある時点において,その時間量(5年)に達したことを意味します。一方②は,現在その数量に達したところだという現時点での報告となります。文末に置かれた語気助詞の“了”は必ず現在という時点と関連を持ちますので、このような解釈になります。
②の現時点での報告の場合、現在まで続けてきた動作を今後も続けるか否かについては、どちらの可能性もありえます。(「5年学んできたが、もうやめる」でも「5年学んできたので、さらに頑張る」でもどちらでも表現できます)
瞬間動詞:経過時間
上述の内容は、動作が持続可能な動詞の場合についてです。瞬間動詞に時間の長さを表す語句がつく場合は、②の形をとり、瞬間的に動作が終わってから現在までの経過時間を表します。
- 他死了十年了。(彼が死んで10年になります)
③動作量 →動量詞
動作量
物の数量を示す「名量詞」と時間の量を表す「時量詞」に続き、
最後は、動作・行為の回数を数える単位である「動量詞」を説明します。
動作の回数(動作量)を表す表現(数詞+動量詞)は、(時間量と同様に)動詞の後に置かれます。
- 去过三次(3回行ったことがあります)
- 我看过一遍(一通り見たことがあります)
目的語があるときの語順は次の通りです。紛らわしいので要注意です。
(1)動詞 + 動作量 + 目的語(一般名詞)
目的語が一般の名詞のときは、「数詞+動量詞」で表される動作量は、動詞の後、目的語の前に置かれます。
- 我吃过一次四川菜(私は四川料理を一度食べたことがあります)
- 见了一次面(一度会いました)
- 排了一个小时的队(1時間列に並びました)
(2)動詞 + 目的語(人称代名詞) + 動作量
目的語が人称代名詞のときには、通常、動作量は目的語の後に置かれます。
- 她打了我一拳(彼女は私を1発ひっぱたきました)
(3)動詞+地名や人名+動作量 or 動詞+動作量+地名や人名
目的語が(具体的な)地名や人名のときには、動作量はその前後どちらにもおけます。
- 我见过小李一次。(私は李さんに1度会ったことがあります)
- 我见过一次小李。
- 我去过西安一次。(私は西安に1度行ったことがあります)
- 我去过一次西安。
動作量・時間量どちらの場合でも、話題として意味上の目的語を文頭に置くこともできます。
- 我看了两遍这本漫画。(私はこの漫画を2回読みました)
- 这本漫画我看了两遍。(この漫画は、私は2回読みました)
- 他学了五年日语。(彼は日本語を5年間勉強しました)
- 日语他学了五年。(日本語は、彼は5年間勉強しました)
その他の時間表現
「いつのことか?」という「時点」
「いつのことか?」「いつやったか?」という「時点」を表す時間の表現(時間名詞)は、動詞の前です。
- 您几点出发?(あなたは何時に出発しますか?)
- 我三点钟来接你。(私は3時にあなたを迎えに来ます)
動作の行われる時間や回数の範囲を定める表現
動作の行われる時間や回数の範囲を定める表現も、述語となる動詞の前に置かれます。
- 我一天使用两个小时的电脑。(私は一日2時間パソコンを使います。)
- 这药一次吃两片儿。(この薬は一度に2個服薬します。)
- 这几年我每年去两次南京。(この何年か私は毎年2回南京に行っています。)
動作・行為が行われなかった期間
動作・行為が行われなかった期間も、動詞の前に置かれます
- 一个月没见了。(1ヶ月の間、会っていません。)
- 他好久没来上课。(彼はしばらく授業に来ていません。)
差量
どちらがどれだけ多いか、少ないか、軽いか、重いかなど、比較した結果の差分を表現する数量(差量)は、形容詞の後ろに来ます。
- 姐姐比我大四岁。(姉は私より4歳年上です)
- 这个橘子比那个轻一斤。(このオレンジはあれより1斤軽いです)
- 这种清酒比那种便宜一万日元。(この日本酒はあれより1万円安いです)
この差量も、時間量や動作量と同様に、述語となる形容詞の後ろに置きます。
**
以上、中国語の文法で、何かの「量(どれくらい?)」を表す表現について説明しました。
- 事物の量 →名量詞
- 持続・経過時間 →時量詞
- 動作量 →動量詞
- 差分 →差量
動作の回数や持続時間、継続時間、差量に関する表現は、文の中でどこに置くか?
使えるようになるには、たくさん文章を読んだり、ドラマを見るなどして慣れることも必要になります。
まずは、頭で理論的に理解しておきましょう!
HARU
兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。
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