【中国語】連体修飾語+名詞で「的」が不要なとき5選

語法・表現・フレーズ

中国語の「的(de)」は名詞を連体修飾(定語)するときに必要となります。

(主語、述語、定語、状語、補語、名詞、形容詞、動詞、介詞、連体修飾語などの文法用語がわからない方はこちらでまず理解しましょう)

この「的(de)」は基本的に日本語の「の」にあたりますが、常に必要なわけではなく、語の種類・慣用性・意味の違いによって変わります。

【的が不要な場合】≒ 熟語的に固定されているか、文脈的に明らかなとき

① 名詞+名詞(種類・属性を表す)

→頻繁に使われていて、 熟語として定着していれば「的」は省略可能

✅良い例:

  • 中国电影 Zhōngguó diànyǐng(中国映画)
  • 汉语老师 Hànyǔ lǎoshī(中国語の先生)

❌ダメな例:

  • ד中国的老师” → 文脈によっては「中国にいる先生」や「中国にとっての先生」のように意味がぼやける
  • ד汉语的老师” → 「英語の先生じゃなくて中国語の先生」と対比したいときにはOK

▶補足:

「的」を入れると、焦点が修飾語(中国・漢語)に強く当たる。

つまり、「他是汉语的老师,不是英语的老师」(彼は中国語の先生であって英語の先生ではない)など、対比・強調したい時には「的」を使う。

② 人称代詞+親族名詞・所属名詞

→ 所属が明らかな場合、「的」は省略するのが一般的

✅良い例:

  • 我妈妈(私の母)
  • 他哥哥(彼のお兄さん)
  • 我学校(私の学校)

❌ダメな例:

  • ×我的妈妈 → 書面語・強調したいときには可
  • ×我们的学校 → 文語的でやや硬い。口語では「我学校」が自然

▶補足:

日常会話では「的」は省略する方が自然。

ただし、強調や曖昧回避(誰のか明確にする必要がある)ときは「的」をつけてもよい。

③ 疑問代詞+名詞

→ 通常「的」は不要

✅良い例:

  • 什么书?(どんな本?)
  • 多少时间?(どれくらいの時間?)

❌ダメな例:

  • ×什么的书? → 不自然
  • 但し、「谁的书?」(誰の本?)のように所有を問うときは「的」が必要

④ 単音節の形容詞+名詞(熟語化している場合)

→ 熟語になっていれば「的」は省略できる

✅良い例:

  • 高山(高い山)
  • 好朋友(親友)
  • 旧书(古本)

❌ダメな例:

  • ×旧衣服 → 熟語ではないため、「旧的衣服」の方が自然
  • ×好人(人を褒めるときの「いい人」にはOKだが、語義が曖昧なときは避ける)

▶補足:

「的」をつけても間違いではないが、4音節になると自然に聞こえる(リズムが整う)

→ 例:「旧的衣服」(古い服)

⑤ 指示詞+数量詞連語+名詞(「这/那+数量+名詞」)

→ 「的」は不要。もし入れたら不自然

✅良い例:

  • 一本书(1冊の本)
  • 这两本书(この2冊の本)

❌ダメな例:

  • ×这一书 → 「一」は省略できるがこの形は不自然
  • ×这一本的书 → 「的」を入れると不自然または冗長

⚠「的」の有無で意味が変わるケース(要注意)

例1:

  • 中国朋友(中国人の友人)
  • 中国的朋友(中国にとっての友人/中国関係の友人)

例2:

  • 孩子脾气(子どもっぽさ/子どものような性格)
  • 孩子的脾气(その子どもの性格)

例3:

  • 成龙的书(ジャッキー・チェンの本)→ 所有関係
  • 成龙书(ジャッキー・チェンに関する本)→ 種類・属性

✅ 的が必要な場合(基本)

  • 動詞句・形容詞句で修飾するとき

     例:正在说话的教练(話しているコーチ)
  • 複数語にまたがる修飾語(長い形容)

     例:我们研究中心的一所新的学生宿舍(私たちの研究センターの1棟の新しい学生寮)

関連記事:【中国語の連体修飾語】複数ある場合の「並べ順」&「的」の付け方のルールとは?

💡分類まとめ(覚え方)

修飾語の種類 的の要否 備考
種類・属性名詞 × 中国电影 熟語化
所有・人称代詞 ×(〇) 我妈妈 書面・強調では〇
疑問詞+名詞 ×(〇) 什么书 / 谁的书 所有を問う時は〇
単音節形容詞 ×(〇) 高山 / 旧书 熟語なら×、他と区別なら〇
指示+数量詞+名詞 × 这两本书 的を入れると不自然
動詞・形容詞句 喜欢音乐的人 必須

✨補足:2種類の修飾語構造

  • 結合型:的なしで名詞に直結(熟語)

     例:中国电影、我妈妈
  • 組み合わせ型:的がある構造(文法的修飾)

     例:中国的朋友、我们的学校

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中国語における「的」の使用は、単なるルールというよりも「語感」や「慣用性」に深く関係しています。最初はルールに沿って判断することが大切ですが、実際に多くの文に触れ、「的」の使われ方に慣れていくことで、自然な感覚が身についてきます。

迷ったときは「的」をつけても通じることが多いため、正確さよりも「伝わる表現」を意識するのも大切です。繰り返し触れながら、自分の中の「的センス」を磨いていきましょう!

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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