中国語「すみません」「ごめん」など謝罪表現【对不起,不好意思,麻烦你】等の違いを解説!

語法・表現・フレーズ

こんにちは、百佳です。皆さんは中国語で「すみません」と言うとき、どのような言葉が浮かびますか?
最初に浮かぶのは、“对不起(duìbuqǐ)”や“不好意思(bùhǎoyìsi)”などではないでしょうか。

中国人からすると、「日本人は“对不起”や“不好意思”を使いすぎ」と感じるそうです。
中国では、この2つの言い方以外にも沢山の表現があります。

そこで今回は、中国語で「すみません」を表す言い方を紹介&解説していきたいと思います!

日本と中国:「謝罪」に対する考え方

まず、日本と中国では「謝る」行為に対して感覚の違いがあります。

日常的に「すみません」と言いがちな私たち日本人からすると、「中国人はあまり謝らない」という印象をお持ちの方も多いのではないのでしょうか。

この違いは、それぞれの「文化」が関係していると言われています。
以下で紹介していきたいと思います。

日本の「わびる」文化

上述の通り、日本人は普段、様々な場面で「すみません」と言っています。
道で人にぶつかりそうになったとき、満員電車で人混みをかき分けて降りるとき、他人に落とし物を拾って貰ったとき、目上の方からプレゼントを貰ったとき、店員さんを呼ぶとき、他人に何かをお願いするとき、などなど…

例文から分かるように、日本語の「すみません」には主に以下の3つの意味が含まれます。
①謝罪の意味 (人に何か迷惑をかけたとき)
②感謝の意味 (人に何かをしてもらったとき、手間をかけさせたとき)
③呼びかけ、依頼の意味 (店の人に呼びかけるとき、他人に何かを依頼するとき)

このように日本人は、協調性を重んじ、相手との関係や雰囲気を良好でスムーズなものにするため、軽い意味で「すみません」を使うと言われています。
これが外国人に日本特有の文化と捉えられ、日本の「わびる文化」として知られています。、

中国人の「面子」と謝罪

対して、中国人は「あまり謝らない」と思われがちです。

中国には「面子」を重んじる、という文化があります。
言葉通り、中国人は自分の自尊心を大切にしているため、「面子」が潰れることを非常に嫌います。

よほど自分に非がない限り謝らないのもそれが理由と言われています。
軽いことに対しても何かと謝る=自分の「面子」を失う と捉えています。
よって、日本人のように頻繁には謝らないのです。

私たち日本人は、中国語で「すみません」を表す言葉として、まず最初に“对不起”を習いますよね。
そのため、「すみません」「ごめんなさい」=“对不起” と考えがちです。
しかし、中国人が“对不起”と謝るときは、心からの謝罪を表す真剣な場面です。
中国語では、謝罪する気持ちの大きさによって謝罪表現も変わってくるのです。

以下から、紹介していきます!

【中国語】謝罪の表現10選+番外編

先程も書きましたが、日本語の「すみません」は、軽いことからやや重い場面で謝るとき、感謝するとき、そして人に呼びかけるときなど、あらゆるシチュエーションに対応できます。
しかし、中国語は、場面によって「すみません」の言い方も変わりますし。謝罪する気持ちの大きさや深刻さによっても表現は異なります。
日本人が持つ「すみません」の感覚を中国語にも当てはめてしまうと、間違った表現や誤解を生んでしまう可能性もあります。

余談ですが、私も留学中、どんなことにも“对不起”を使っており、中国人の友達には「友達なのにどこかぎこちなく感じる」と言われてしまった経験があります…。

皆さんもしっかり中国語の謝罪方法を学習し、正しい使い方をマスターしましょう。

本当に悪いことをしたとき:对不起duìbuqǐ

自分が深刻な過ちを犯したときなど、非を重く受け止め謝る場面に使います。
相手に謝る言葉が見つからない、「申し訳が立たない」という意味もあります。

日本語では、「申し訳ございません」に相当します。

例文
对不起,这是我的错。:すみません、これは私のミスです。

对不起は、他の表現に比べて重い謝罪を表す言葉です。よって中国人も、よほど自分が本当に悪いことをしたとき以外はあまり使いません。

一番よく使われる「すみません」:不好意思bùhǎoyìsi

一番よく使われる表現です。

日本語の「すみません」に近い表現です。
なので、日本人でも気軽に使うことができる表現だと思います。友達など親しい間柄で使われることも多いです。
人とぶつかったときや、軽いミスをしたときなど「ごめんなさいね」、という意味で使うことができます。
また、「恥ずかしい」の意味もあります。

例文
不好意思,我回复晚了。お返事が遅くなり、すみません。
・我有点不好意思。私はちょっと照れくさかった。

“不好意思”より改まった表現:抱歉bàoqiàn

比較的軽い失敗をしたときなどに使われます。「申し訳ない」気持ちを表します。
“对不起”よりは、程度が軽く、不好意思よりは改まった表現です。

例文
抱歉,我迟到了。:遅くなりすみません。
・我觉得很抱歉。:申し訳なく思う。
・这件事,我觉得十分抱歉。:このことについては、本当に申し訳なく思っています。

“对不起”、“不好意思”、“抱歉”の謝罪の深刻度は以下のようなイメージになります。
“对不起”≧“抱歉”>“不好意思”

フォーマルな場面での謝罪行為:道歉dàoqiàn

“抱歉”と似ている表現として、違いが曖昧な方も多いと思います。

違いを挙げるとすれば、焦点を当てる観点が違います。以下にまとめました。
“抱歉”:「申し訳なく思う気持ち」に焦点が置かれる。※“抱歉”の例文参照。
“道歉”:「謝る行為」そのものに焦点が置かれる。“向”+“道歉”の形で「謝る」行為を表す。

そして、表す謝罪の程度にも違いがあり、
“抱歉”は日常的な些細なミス
“道歉”は深刻な問題や正式な場合

に用いられます。

例文
・我向你道歉。:あなたに謝ります。
・我代表公司向客户道歉。:会社を代表し、お客様にお詫び申し上げます。

また、“对不起”と“道歉”では、“道歉”の方がより正式・公式な場所で使われます。
“对不起”は日常で本当に申し訳ないと謝るときでも使うことができます。しかし、ここでもやはり“道歉”は「謝る行為」そのものを表す、という違いがあります。

人に面倒をかけるとき:麻烦你máfannǐ

「すみませんが」、「お手数おかけしますが」をという気持ちを表します。
“麻烦”には煩わしい、面倒であるという意味があります。

人に何か依頼するときに使われます。
人に何かやってもらったときなど、「ご面倒をおかけしました、ありがとうございます。」と感謝の気持ちを表すこともできます。
“不好意思”と同じく、日常的に言われている表現で、日本人でも気軽に使うことができると思います。

実際私も留学中、少し年上の友達に課題を教えてもらいたいときなど、頻繁に使っていました。

例文
麻烦你了。:あなたには面倒をかけたね。
麻烦你,关上窗户好吗。:すみません、窓を閉めてもらってもいいですか?(ありがとうございます。)

道をあけてほしいとき:请让一下qǐngràngyíxià

これは、電車などでよく使われる表現です。
「道を通して下さい」、「道をあけてください」と言う意味です。
一般的には「ちょっとどいてください」と言う意味で、“让一下”と言うことが多いです、

私も地下鉄でよく使いました。
日本語の、「すみません、降りまーす!」という感覚に近いと思います。

例文
・请让一下。:すみません、ちょっと道をあけてください。

何かを尋ねたいとき:请问qǐngwèn

これは、人に何か尋ねるするときに、前置きとして使われます。
例えば、人に道を聞きたいときに、“请问”と言って話しかけるイメージです。
日本語だと、知らない人に「すみません、ちょっと道を教えてください」と尋ねるときの、「すみません」(呼びかけ)の部分に近いです。

ちなみに、学校の先生などに分からない問題を質問するときなどは、“我想问一下”を使うことで、「先生、ここの問題を教えてください」という気持ちを表すことができます。

例文
请问,您是?:どちらさまですか?
请问,去火车站怎么走?:すみません、駅まではどう行けばよいですか?

「お邪魔しました」を表す:打扰你了dǎrǎonǐle

「お邪魔しました」を表します。
日本語の「失礼します/しました」にも相当すると思います。

例文
・不好意思,在你放假时打扰了。:休暇中にすみません。

わざとではないことを伝えたいとき:我不是故意的wǒbúshìgùyìde

「わざとではないんです」の意味を表します、

例文
我不是故意的,请原谅。:わざとではないんです、お許しください、

自分のミスを認めるとき:我错了wǒcuòle/是我不好shìwǒbùhǎo

自分が間違っていたことを認めるときに使います。
この表現は、生徒が先生に謝る場面など、ドラマでもよく見かけます。

例文
・对不起,都是我不好。:ごめんなさい、みんな私が悪いんです。

番外編:店員さんを呼ぶときは何と言ったらいい?

最後に、レストランなどでの場面を紹介したいと思います。

日本語では注文するときなど、「すみません!」、「お願いします」と言って店員さんを呼びますよね。この感覚で、中国でも“对不起!”や“不好意思!”と呼んでしまうと、通じないです。もちろん、反応してくれる人もいるとは思いますが、少し不自然です。
私も留学初期は、店員さんを呼ぶとき“对不起”や“不好意思”と言っていたので、もちろん振り返られることは少なかったです…。今から考えると恥ずかしいですし、信じられません(笑)

中国で料理を注文するときは、“服务员!”、“你好”などと言い店員さんを呼びます。
昔は、“小姐!”などと言って、呼びかけていたときもあったみたいですが、これは上品な呼び方ではないとされ、今ではあまり言われることは無くなりました。※しかし、私がいた広州ではご年配の方などはこのような呼び方をしていました。

ちなみに、広州など南方地方では、“美女!”、“帅哥!”という呼び方が主流でした。
女性でしたら“美女!”、男性でしたら“帅哥!”といった感じです。

皆さんも、次からは“服务员!”をぜひ使ってみてください☆

まとめ

ここまで、中国語での「すみません」、「ごめんなさい」の言い方を紹介してきました。
まとめると、広い状況に対応可能な日本語の「すみません」を、中国語にも当てはめてしまうと不自然な表現になってしまうこともある、ということです。

そして、私たちが最初に教科書で習う“不好意思‘や”对不起“は、いつでもどんな場面でも適しているわけではなく、謝罪する気持ちの大きさなどによって使い分けなければならないことも分かりました。

皆さんも今回ご紹介した表現を、ぜひ明日から実践してみてください。より実用的な中国語が身につくと思います。

参考文献

・園田茂人著『中国人の心理と行動』NHKブックス、2001年。
・陸慶和著『こんな中国人 こんな日本人』関西学院大学出版会、2001年。
・味園由美著『中国語会話パーフェクトブック 実用的な日常会話表現3240』ベレ出版、2005年。
・日本語の「すみません」3つの意味は下記学校のWebサイトを参照。
神戸東洋日本語学院 いろんな意味がある言葉「すみません」
・各単語についてはWeblio日中・中日辞典 意味と例文を参照。
对不起不好意思抱歉道歉麻烦请让一下 例文请问打扰不是故意 例文是我错了 例文
是我不好 例文

 

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百佳

高校の時に中国ドラマに出会い、大学では中国語を専攻。3年時には広州・中山大学に1年間留学。卒業後は羽田空港国際線にて航空会社や化粧品会社の通訳業務に携わる。3年間の社会人生活を経て、大学院に入学。主に翻訳学を専攻し、中国言語文化学分野において修士号を取得。HSK6級保有。皆様の中国語学習に役立つ記事を届けられたらと思います。長野県出身。90后。

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