中国語の習得が“簡単”な3つの理由

勉強法・学習メソッド

中国語(標準中国語、普通話)は学習者によっては難しい言語とされることもありますが、いくつかの点で比較的習得がしやすい部分もあります。

以下の3つ挙げてみたいと思います。

1. 文法のシンプルさ

中国語の文法は他の言語に比べて非常にシンプルで、以下のような特徴があります。

動詞の活用がない

英語や日本語などでは、動詞は時制や主語に応じて形が変わりますが、中国語ではそうした変化がありません。例えば、英語では「I go(私は行く)」「I went(私は行った)」のように動詞が変化しますが、中国語ではどちらも「我去 (wǒ qù)」で表現されます。時制は文の他の部分で表すので、動詞自体の形は変わりません。

時制表現が簡単

過去や未来の出来事を表す場合、動詞の形を変える代わりに、時間を示す副詞や特定の語(例えば、「了」や「过」など)を追加するだけです。例えば、「私は昨日行きました」は「我昨天去了 (wǒ zuótiān qù le)」と表現され、「去」に「了」を付け加えることで過去の意味を示します。

語順が安定している

中国語の語順は基本的に「主語 + 動詞 + 目的語」という形で、英語や日本語に比べても安定しています。例:「我吃苹果 (wǒ chī píngguǒ)」(私はリンゴを食べます)。この語順はほとんど変わらないため、基本を覚えやすいです。

(というようり、さらに言えば中国語は孤立語であり、語順で単語間の関係を決めています)

性・数の変化がない

フランス語やスペイン語など多くの言語では、名詞が男性形や女性形で変化したり、複数形で変わったりしますが、中国語にはこれがありません。例えば、「犬」は「狗 (gǒu)」で、複数であっても「狗」はそのままです。必要に応じて「一匹の犬(一个狗)」や「たくさんの犬(很多狗)」という表現を付け加えるだけです。

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以上は文法がシンプルというメリットですが、実はこれは裏を返せば、文脈依存度が高く難しいという諸刃の剣でもあります…

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2. 漢字のパターン認識が容易

漢字は中国語学習の最大のハードルと思われがちですが、実はパターンや規則性が多いため、慣れると学習が進みやすくなります。

部首の助け

漢字は通常、部首(へんやつくりなど)によってグループ化されています。部首は漢字の意味に関連する部分であり、ある程度の意味を予測できます。例えば、「水」に関する部首は「氵」や「水」と関連し、「川」「江」「河」「海」など水に関する漢字が含まれています。部首を理解すると、新しい漢字に出会ったときにその意味を推測しやすくなります。

形のパターン

多くの漢字は、いくつかの基本的な部品の組み合わせからできています。このため、最初は難しく見えても、ある程度の漢字に慣れると、似た形の漢字を認識しやすくなります。例えば、「明」(明るい)と「朋」(友)など、同じような構造の漢字が数多くあります。

意味と発音の手がかり

多くの漢字は意味を持つ部分と音を示す部分の組み合わせで構成されています。これにより、漢字を見ただけでその意味と発音をある程度推測することが可能です。例えば、「清」(qīng)や「晴」(qíng)など、「青」という部分が発音に関連しているケースがあります。

3. 豊富なリソースと学習環境

中国語は世界的に需要が高く、学習リソースや環境が非常に充実しています。特に初心者や中級者にとっては、習得を助ける環境が整っています。

オンライン教材やアプリが充実

近年では、スマートフォンやパソコンを利用した学習アプリが数多くあり、ゲーム感覚で学べるものも多いです。例えば、「HelloChinese」や「Duolingo」などのアプリは、発音や文法をゲームのように楽しく学べる仕組みが整っています。また、発音のトレーニングを助けるアプリや、リスニングに特化したものなど、多種多様な学習アプローチがあります。

ネイティブスピーカーとの交流機会が豊富

インターネットのおかげで、言語交換アプリ(例えば、TandemやHelloTalk)やオンラインレッスン(Italkiなど)を使って、中国語のネイティブスピーカーと直接会話できる機会が増えています。これにより、リアルタイムでフィードバックを受けたり、発音やフレーズを実際に使いながら学習することができます。

文化的背景やコンテンツの多様性

中国語を学ぶ中で、豊富な中国文化やメディアに触れることも可能です。映画、音楽、ドラマ、さらにはSNSやYouTubeチャンネルなど、学習を進める中で自然な形で言語に触れるコンテンツが大量にあります。これにより、実際のコミュニケーションに役立つ言葉やフレーズを学べます。

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中国語は発音や声調が難しい部分もありますが、文法のシンプルさ、漢字のパターン認識、豊富な学習リソースのおかげで、他の言語に比べても習得しやすい要素があります。言語としての構造的な特性と学びやすい環境が相まって、継続して学習するモチベーションを保ちやすい言語です。

どの言語も“簡単”に習得することはできませんが、上記の3点は中国語の習得を簡単にさせる要素だとは思います。

ただし、

やはり難しいのは、継続して語彙表現を深く身につける、という勉強の継続ではないか?と思います。

PaoChaiでは、長期的な視点で学習者をサポートしていますので、是非無料カウンセリングでご相談ください。

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HARU

兵庫県出身。同志社大学卒業。卒業後、食品メーカーで商品開発や中国事業に携わる。多くのプロジェクトで通訳・翻訳として貢献。自身の躓いた語学経験を多くの学習者に還元したいという想いでPaoChaiで中国語学習コーチとなる。新HSK6級。通訳案内士。好きな言葉は「為せば成る為さねば成らぬ何事も」。趣味は自転車で街を探索すること。温泉めぐり。ランニング。

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