【中国語】読解力の高め方!精読トレーニングで文脈の中で理解できる単語を増やす

勉強法・学習メソッド

こんにちは!PaoChai中国語の冨江です。

みなさん、

「中国語のSNS(Weibo、REDなど)を読めるようになりたい」

「中国の歌手や俳優のブログなどネット上の情報を理解したい」

「中国語検定やHSKの読解問題で高得点をとりたい」

と思っていませんか?

中国語の文章を読めるようになるには読解力を強化する必要があります。

今回は、そもそも読解力は何か、というところから始めて、読解における課題を3つに特定し、解決策をご提案したいと思います。

1.中国語の読解力とは何か?文章の意味理解

まず、そもそもの話として、中国語の読解力とは何でしょうか?

それは、一定の長さのある中国語の文章を読み、意味を理解できることと言えます。

ここでいう意味理解とは何でしょうか?

これは、読み手の自己申告でも良いでしょうが、より客観的に考えるとどうでしょう。大学入試の現代文や国語の問題のように、その文章について「○○がこの台詞でいいたいことは次のうちどれか?」「○○に入れる語は何が適切か」などの問いに正しく解答できること、ともいえます。

100%意味理解しているということは、その文章についてのどんな問いでも正しく答えることができることになります。(これは、中国語力の問題というより、文と文の繋がりや、過去に述べられていたことへの理解など、母語レベルでの言語力も問われるので、一概に中国語の力ということはできませんが)

中国語学習者の視点でいえば、中国語で文学を読んで楽しめるとか、ビジネスの場面であれば市場や商品の調査レポートやSNS上の口コミを読んで分析できる、というようなことが読解ができることの成果といえるでしょう。

中国語学習者の方であれば、HSKや中国語検定の長文を読んだり、中国の小説など本を読むときなどに読解できないという問題に直面することでしょう。

読解ができないのは、大前提として文の構造分析ができること、さらに、文脈の中で理解できる単語数が十分にあることという二点がを押さえる必要があります。

2.中国語読解の大前提:文の構造分析

中国語の文を理解するためには、文の構造を把握できなくてはなりません。

これは、以下に述べるような文法用語を使った確固たる理解が望ましいですが、直観的にわかるというような感覚でも問題ありません。

字→形態素→語(単語)→フレーズ→文の成立

(1)字→(2)形態素→(3)語(単語)→(4)フレーズ→(5)文という流れで、文がどのように成立するかを理解しましょう。文はさらに、段落、文章になります。

(1)字

  • 【咖啡】は「形態素」(次項目を参照)であるが、【咖】や【啡】は字音だけで字義(意味)のない字で「形態素」ではありません。
  • 【咖】や【啡】は「字」です。【咖】や【啡】は「形態素」ではなく、単独では意味を持たない「字」に過ぎません。

字の例:【咖】、【啡】など

(2)形態素【语素[yu3su4]】

  • これ以上分割しては意味のなくなる「意味を有する最小の単位」を「形態素」といいます。

形態素の例:【咖啡】【们】【葡萄】など

(3)語(単語)【词[ci2]】

  • 語(単語)とは「①独立して運用できる、②意味を有する、③最小の単位」のことです。
  • 漢字で表記する中国語では一つ一つの「字」がそのまま語になるわけではなく、単語の認定が容易ではありません。
  • アルファベットを綴って書き記す言語では語(単語)はは明確です。英語は、I am Japaneaseのように単語ごとに分けられます。

語の例:

  • 语(形態素) + 言(形態素) → 语言[言語](←語)
  • 【我们】の【们】は形態素だが、語ではありません(独立して運用できない)。
  • 【咖啡】は形態素であり、語でもあります。

(4)フレーズ(連語)【词组[ci2zu3]】

  • 「単語」と「単語」を一定の方式で組み合わせたものを「フレーズ」(または「句」「連語」)といいます。
  • 「単語」と「フレーズ」、或いは「フレーズ」と「フレーズ」を組み合わせても「フレーズ」になります。
  • 「単語」と「単語」が組み合わさり「フレーズ」になる構成方式は、7種類あります。下表を参照。

単語と単語からフレーズを構成する7種類

  1. 主述関係
  2. 動目関係
  3. 動補関係
  4. 修飾関係(連体)
  5. 修飾関係(連用)
  6. 並列関係
  7. 連動関係

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引用:『よくわかる中国語文法』P13

  • この「フレーズ」の7種類の構成方式は、単語(※)の構成方式と同じとなります。上表左側。※単語とは、具体的な意味を表す形態素からなる複合語

(5)文【句子[ju4zi0]】

「フレーズ」と「単語」はある条件で「文」となります。フレーズ(または単語)から文が成立するには次の3つの条件が必要となります。(輿水優『中国語わかる文法』P40を参照)

  1. 前後に比較的大きなポーズ(休止)があり、一定の”语调”(yu3diao4)(イントネーション)をそなえている。書きことばでは、それらが句読点で示される。
  2. それ自身が独立し得る連語(フレーズ)でなければなりません。”吃了饭”(ご飯を食べ)や”吃完饭”(ご飯を食べ終え)などの連語は独立できないので、文といえません。
  3. たとえ1語でも、一定の伝達内容を有している。

文はどのようなものがあるのでしょうか?

単語と単語からフレーズを作る場合には、次の7種類があることを確認しました。

主述関係、動目関係、動補関係、修飾関係(連体)、修飾関係(連用)、並列関係、連動関係

この内、「主述関係」の「フレーズ」が「文」になると、「主述文」(パターン1)となり、その他の種類のフレーズが文になると「非主述文」(パターン2)となります。

主述文の例

①我来(私は来ます)

→我(主語) + 来(述語) 

②我喜欢看中国电影。(私は中国映画を見るのが好きだ)

→我(主語) + 喜欢(述語) + 看中国电影(目的語)

③小李的妹妹昨天买到了 新出版的书。

小李的 (定語)→妹妹(主語) ll 昨天(状語)→买(述語)←到(補語) 了。  新出版的(定語)→书(目的語)

(李さんの妹は機能新しく出た本を買った)

非主述文の例

④谁?(誰?)

⑤好(よし。)

⑥小心!(気をつけて!)

⑦加油!(頑張れ!)

⑧地震!(地震だ)

⑨下雪了。(雪だ)

⑩是我。(私です)

⑪什么事?(何の用ですか)

文の構造を分析する方法(2パターン)

パターン1:主述文

まずは、主語+述語が骨格となっている「主述文」の分析方法を説明します。大半がこのパターンになります。

文の意味を理解するには、文の構造を理解することが必要です。

文の中における各単語の役割は「文成分」と呼ばれており、以下6種類です。

  1. 主語(「…は、…が」にあたる、話題の部分)
  2. 述語(「…する …だ」にあたる話題に対する説明の部分)
  3. 目的語(英語の文法などにおける「目的語」と混同しないように「宾语(bin1yu3)」と中国語の文法用語をそのまま使うこともあります。
  4. 定語(連体修飾語)※体言性(名詞など)の中心語(被修飾語)を修飾します
  5. 状語(連用修飾語)※用言性(動詞、形容詞など)の中心語(被修飾語)を修飾します
  6. 補語

※中国語の文法では、修飾される語を「中心語」と呼びます。「我的书wo3de shu1(私の本)」なら、「我的」(わたしの)が修飾語(定語)で、「书」(本)が中心語となります。

この内、主語、述語が骨格となり、目的語、定語、状語、補語は二次的な成分です。

「主述文」は次の4種類です。

  1. 動詞述語文
  2. 形容詞述語文
  3. 名詞述語文
  4. 主述述語文

では、早速「動詞述語文」を例に、文を分析してみます。

■文の構造を分析する方法(例)

まず、主語と述語を特定します。さらに、必要があれば目的語、定語、状語、補語の関係を理解します。

例1

我来(私は来ます)

我(主語) + 来(述語) 

↑こちらの文の文成分は、「主語」と「述語」のみの簡単な文で簡単に理解できます。

例2

我喜欢看中国电影。[私は中国映画を見るのが好きだ]

我(主語) + 喜欢(述語) + 看中国电影※(目的語)

↑こちらの文の文成分は、「主語」と「述語」と「目的語」があります。「看中国电影」が「目的語」ですが、これは、看(見る)+中国电影(中国映画)という動目関係の「フレーズ」が「目的語」になっています。

例3

↑「定語」や「状語」があるので一見複雑に見えますが、主要成分だけ抜き出せば「妹妹(主語)买(述語)书(目的語)」と簡単な構造であることがわかります。

文成分の順序は、「修飾語は前に、補語後ろ」

文成分の順序は、「修飾語は前に、補語後ろ」と覚えましょう。「李さんの」は「妹」を、新しく出た」は「本」を修飾している連体修飾語、つまり修飾語です。「昨日」は「買う」を修飾している連用修飾語、つまり状語です。連体修飾語も連用修飾語もどちらも、すべて被修飾語(「中心語」という)の前に置かれます。日本語と同じです。「修飾語は前に」です。

一方補語は、用言(動詞や形容詞)の後ろについて補足説明をする語です。補うという以上必ず後ろから補います。上の例では、「買った」(买)結果、「品物が手に入った」(到)ということです。「補語は後ろ」です。

パターン2:非主述文

  • 主述関係以外の「フレーズ」や「単語」だけでも、イントネーションを加えることにより、そのままの形で文になります。「主語+述語」の組み立てではないので、非主述文といいます。
  • 例:谁(単語)→谁?[誰?](文)
  • 例:进来(フレーズ)→进来![入りなさい](文)

参考:輿水優『中国語わかる文法』P40〜文の成立と種類

文には、【他来。(彼は来ます)】のような先のパターン1「主語+述語」からなる「主述文」と、「主語+述語」の形になっていないこちらのパターン2「非主述文」があります。後者に相当するものとして、「一語文」や「無主語文」があります。

一語文

谁?(誰?)

好(よし。)

小心!(気をつけて!)

加油!(頑張れ!)

地震!(地震だ)

無主語文

下雪了。(雪だ)

是我。(私です)

什么事?(何の用ですか)

非主述文は、命令文や感嘆文などを含みますが、そこまで複雑な構造ではないので分析の必要はありません。

複文の場合

これまで見てきた文は、単文と言われるものです。意味的に関連の深い2つ(またはそれ以上)の単文を結びつけた文を複文といいます。中国語でいう複文は、互いに他方の文成分にはならない節で構成されたものです。

参考:『よくわかる中国語文法』P252〜

複文は前文と後文の意味的関係をしっかりと理解するよう意識してください。

例:

虽然我以前看过这本书,但是主要内容都忘了。
(私はこの本は以前読んだことがあるが,主な内容は忘れてしまった。)

她因为病了,所以昨天没来上课。
(彼女は病気なったので,昨日は授業に来なかった。)

今天晚上你要是有时间,就到我家来玩儿吧。
(今晩もし時間があったら,私の家に遊びに来てください。)

注意点

文の構造を分析する際には以下を知っておきましょう。

主語と述語の意味的な関係は多様

主語と述語の関係は「行為者ー行為」となるだけでなく、「動作の受け手ー行為」など様々な種類があるので、基本的には「話題ー説明」の関係であると理解しておきましょう。「陳述の対象ー陳述」とも言えます。

参考:『Why?にこたえるはじめての中国語の文法書』P155〜

※文の構造を厳密に分析しようとすると様々な矛盾、問題が生じます。会話能力の向上を目的にするなら、文法は文章の文の意味を取るために、構造を理解するための道具です。構造を全てを一つの理論で体系的に説明しようとするような方法論の研究ではありません。後者に興味がある方は、中国語文法学史稿 (関西大学)(第4章12節)にどのような問題があるのか概要がまとめられていますので、参照してみてください。

まとめ

以上、文の意味を理解するために、文の構造(文成分の関係)を分析する方法を説明しました。

  • 文は、字→形態素→語(単語)→フレーズ→文という流れ考えることができました。
  • 文は、「主述文」と「非主述文」があります。「主述文」はまず、主語と述語を特定することで構造を把握しましょう。
  • さらに、複雑な文でも、目的語、定語、状語、補語がどのような関係で主語と述語に関わっているかを捉えれば、パターン化された構造で理解可能です。「非主述文」は複雑でないので分析は不要です。
  • 複文は「前文と後文の意味的関係」をしっかりと理解しましょう。
  • 中国語における品詞は、単語の使い方をイメージするために役立ちます。

中国語の文章を「精読」する場合には、是非、このように構造を把握しましょう。

より詳しく理解するために

本記事では、要点のみの説明でした。以下の教科書を読んで、さらに豊富な例文とともに深く理解しましょう。

①「形態素」「単語」、「フレーズ」、「文」という概念を理解

  • 丸尾誠『よくわかる中国語文法』11〜14ページ
  • (上の本がなければ本記事でOK)

②「文成分」、「品詞」という概念を理解

  • 丸尾誠『よくわかる中国語文法』182〜231ページ
  • 相原茂『WHY?にこたえるはじめての中国語の文法書』154〜164ページ

■上記①と②をより詳しく

  • 輿水優『中国語わかる文法』40ページ〜

以下、文の構造分析の土台となる文法知識を得るための記事です。

中国語【文法】の超体系的な学び方を解説!おすすめ参考書4冊

3.文脈の中で理解できる単語力(=読解力)を高める精読トレーニング

よく、読解に多読をすすめる人がいますが、読解力(文章の意味理解)に課題がある場合、まずは多読よりも精読トレーニングが重要です。

精読トレーニングのやり方

「精読」トレーニングは、以下の3ステップで行います。

  1. 中国語の文章を最初から最後まで、目を通して趣旨、意味を取る
  2. 解説や翻訳を参照して、一言一句漏らさず分析し、理解する。単語リストを作る。
  3. 最初から最後まで、語順通り一言一句を正確に理解する(反復読み)2〜3回

この内、2番目のステップが上述した文の構造分析です。どのような構造で、どのような意味になっているかを把握します。

以上の方法(1~3のstep)を使えば、頑なに何の解説やサポートもなしに自力で中国語文を読み解く、一般的な精読法より、時間の点でも、エネルギーの点でも負担が軽く、効果的です。

詳しい精読トレーニングのやり方は、こちらをご覧ください。

精読トレーニングで文脈の中で理解できる単語数を増やす

精読トレーニングの目的は文脈の中で理解できる単語数を増やすことです。これは読解力に直結します。

このトレーニングの反対にあるのが、単語帳を使ったトレーニングです。単語レベルで中国語と日本語を見比べて暗記していくものです。このやり方ですと、実際の文の中でどのように使うのか、どのような単語と一緒に使われるのかが頭に入ってきません。例文があるならまだいいですが、できれば、文脈がよりはっきりとする長い文章の中で単語をインプットしていくのが良いでしょう。

具体的には上記の精読トレーニングを、時間をあけて、3サイクルから10サイクルくらい「反復読み」をすると良いでしょう。

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以上、中国語の文章を読解(精読)し、100%意味を理解するには、文章を構成する各文の構造(文成分の関係)を把握し、文としての意味を理解する必要があります。

まず前提知識として、文がどのように成立するのかを確認し、文の構造を分析する方法を説明しました。最後に、具体的な精読トレーニングをご紹介しました。

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冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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