【中国語】「普通語」と「広東語」の違い7項目でわかりやすく解説!

中国文化・社会・歴史

中国語と一口に言っても、「普通語(プートンホア、標準中国語)」と「広東語(カントン語)」は大きく異なります。中国本土をはじめ、世界各地で話されている「普通語」は中国の公用語として標準化されています。一方、香港や広東省、マカオなどで使用されている「広東語」は、発音や語彙、文法などで独自の特徴があり、その違いは言語初心者にとって大変興味深いものです。

本記事では、「普通語 広東語 違い」に焦点を当て、両言語の発音・語彙・文法・文字表記などを初心者でも理解しやすいように解説します。また、参考リンクや具体例を豊富に挙げることで、中国語学習の道しるべとなることを目指します。記事の最後には、読者が実際に学びを深めるための行動ステップもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 普通語と広東語とは

普通語(pǔtōnghuà / プートンホア)とは、中華人民共和国で標準語とされる中国語の一形態で、北京語を基礎に統一・整備されたものです。世界で最も広く学習される中国語の形態であり、中国本土、台湾(台湾では「国語」)、シンガポールなどの華人社会で日常的に用いられています。

一方、広東語(guǎngdōnghuà / グァンドンホア)または粤語(yuèyǔ / ユエユー)は、主に中国南部の広東省や香港、マカオなどで用いられる言語です。世界中の華僑コミュニティでもよく使われており、広東料理や香港映画を通じて海外でも知名度が高いです。

2. 普通語と広東語の発音の違い

声調(トーン)の数と種類の違い
中国語は声調言語であり、発音における声調の違いが意味の差異を生み出します。

  • 普通語(標準中国語):4声調+軽声

    1. 第一声:高く平ら (ā)
    2. 第二声:上昇 (á)
    3. 第三声:低く落ちてから上がる (ǎ)
    4. 第四声:鋭く落ちる (à)
      軽声(後ろの発音があまり強調されない弱い音)
  • 広東語:基本的に6〜9声調(香港で一般的な区分では6声調)
    声調の数が多く、微妙な音の違いを聞き分ける必要があります。

また、普通語では存在する発音が広東語ではない、またその逆もあります。たとえば「zhi」「chi」「shi」といった巻き舌音は普通語に特徴的ですが、広東語ではあまり用いられません。

参考:

3. 普通語と広東語の語彙・表現の違い

同じ漢字圏でも、使用する単語や表現は異なります。広東語は独自の語彙が多く、また同じ漢字を使っていても意味が異なることがあります。逆に普通語で一般的な単語が、広東語ではまったく通じないこともあります。

例)

  • 「ありがとう」

    • 普通語:谢谢 (xièxie / シェシェ)
      日本語訳:「ありがとう」
    • 広東語:多謝 (dōje / ドージェ)
      日本語訳:「ありがとう」
      または「唔該 (m̀hgōi / ムーゴイ)」は「すみません」「ありがとう」に近い意味合いで使われるが、文脈によって使い分ける。
  • 「おはよう」

    • 普通語:早上好 (zǎoshang hǎo / ザオシャンハオ)
      日本語訳:「おはようございます」
    • 広東語:早晨 (jóusàhn / ジョウサン)
      日本語訳:「おはよう」

このように、日常挨拶のレベルからして違いがあります。

4. 普通語と広東語の文法的特徴の違い

文法面では、普通語と広東語は似た部分も多いですが、助詞や語順、完了を示す表現などに微妙な違いがあります。

たとえば、

  • 完了を示す助詞「了 (le)」は普通語で頻繁に使われますが、広東語では「咗 (jó)」が相当する表現として用いられます。

    • 普通語例:我吃了。(wǒ chī le / ウォー チー ラ)「私は食べました。」
    • 広東語例:我食咗。(ngóh sihk jó / ンゴー シック ジョ)「私は食べました。」
  • 疑問文の作り方なども微妙に異なります。

    • 普通語では「吗 (ma)」を語尾につけて疑問文を作るのが一般的。
      例:你好吗?(nǐ hǎo ma? / ニーハオマ?)「元気ですか?」
    • 広東語では「嗎 (mā)」や「未 (mei)」を使ったり、文脈で判断したりします。
      例:你好嗎?(néih hóu mā? / ネイ ホウ マ?)「元気ですか?」

語順は基本的にSVO(主語-動詞-目的語)が多い点で共通しますが、広東語は文末助詞の種類が豊富で、微妙なニュアンスを付加しやすい傾向があります。

5. 文字表記と繁体字・簡体字の関係

文字表記

  • 普通語:主に中国本土では簡体字を用いる(例:中国本土:简体字 / 台湾、香港では繁体字)
  • 広東語:香港やマカオでは繁体字を使うのが一般的

例えば、

  • 「車」
    • 簡体字:车
    • 繁体字:車(広東語圏ではこちらが一般的)

参考リンク(中国語文字について):

6. 普通語と広東語を学ぶメリットと学習のコツ

普通語を学ぶメリット

  • 中国全土や台湾、シンガポールなど、幅広い地域で通用
  • 国際的にも標準的な中国語として認知度が高い
  • 学習用教材が豊富(オンライン教材、アプリ、書籍など)

広東語を学ぶメリット

  • 香港、マカオ、広東省などで現地の人々と深く交流できる
  • 広東語メディア(映画、音楽、ドラマ)を原語で楽しめる
  • 世界中に散らばる華僑社会とのコミュニケーションツール

学習のコツ

  • 普通語から学び始め、基礎的な中国語力をつけてから広東語へ進む方法も有効
  • オンラインコースやYouTubeチャンネルで発音を強化
  • 広東語は声調が多いので、音声素材を何度も繰り返し聴く

7. 具体的な例文集(普通語・広東語・日本語訳)

以下、同じ内容を普通語と広東語で表し、日本語訳を付します。初心者が両言語の違いを感覚的に捉えるのに有効です。

  1. 挨拶

    • 普通語:你好 (nǐ hǎo / ニーハオ) 「こんにちは」
    • 広東語:你好 (néih hóu / ネイホウ) 「こんにちは」

    挨拶は似ているが、発音が異なる。

  2. お元気ですか?

    • 普通語:你好吗?(nǐ hǎo ma? / ニーハオマ?) 「元気ですか?」
    • 広東語:你好嗎?(néih hóu mā? / ネイホウ マ?) 「元気ですか?」
  3. ありがとう

    • 普通語:谢谢 (xièxie / シェシェ) 「ありがとう」
    • 広東語:多謝 (dōje / ドージェ) 「ありがとう」
  4. すみません / お願いします

    • 普通語:对不起 (duìbuqǐ / ドゥイブーチー)「ごめんなさい」, 麻烦你 (máfan nǐ / マーファンニー)「お願いします」
    • 広東語:唔該 (m̀hgōi / ムーゴイ)「すみません/ありがとう/お願いします(文脈次第)」
  5. 私は日本人です

    • 普通語:我是日本人。(wǒ shì rìběnrén / ウォー シー リーベンレン)
      「私は日本人です。」
    • 広東語:我係日本人。(ngóh haih yahtbún yàhn / ンゴー ハイ ヤッブーンヤン)
      「私は日本人です。」
  6. これは何ですか?

    • 普通語:这是什么?(zhè shì shénme? / ジェ シー シェンマ?)「これは何ですか?」
    • 広東語:呢個係乜嘢?(nīgo haih mātyéh? / ニーゴ ハイ マッイェ?)「これは何ですか?」
  7. 食べましたか?

    • 普通語:你吃了吗?(nǐ chī le ma? / ニー チー ラ マ?)「あなたは食べましたか?」
    • 広東語:你食咗未?(néih sihk jó meih? / ネイ シック ジョ メイ?)「あなたは食べましたか?」

これらの例から、広東語は発音や文字(口語表記)に独特の要素があることが分かります。

 

まとめ:普通語 広東語の理解を深めるためのステップ

普通語 広東語 違い」は、発音、語彙、文法、文字表記など多岐にわたります。初心者にとっては、まず標準的な中国語である普通語を習得してから、広東語に挑戦するのが効率的かもしれません。また、香港映画や広東語の音楽を通じて、発音やリズム感に慣れ、実際に香港や広東省へ旅行する際に、現地で使ってみると大きな学習効果が得られます。

行動ステップ

  1. 普通語の基本的な発音・文法をマスターする(オンライン教材やアプリの活用)
  2. 広東語の発音をYouTube動画や音声教材で反復練習する
  3. 簡単な挨拶や日常表現から実践する(ネイホウ、ムーゴイなど)
  4. 香港映画や広東語ドラマを字幕付きで視聴し、語感を身につける
  5. 機会があれば、現地留学やオンライン言語交換で生きた会話を練習する

これらを実行すれば、両者の違いを体得し、語学力を高めると同時に、より深い文化理解が可能になります。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます!
普通語 広東語 違い」を理解したら、ぜひ実際に声に出して発音練習をしてみてください。あなたの中国語学習が、より豊かなものとなりますように!

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。HSK6級。

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