中国語で「ちょっと」「少し」を意味する【“一点儿“、“一会儿”、“一下”】意味や用法の違いを解説!

語法・表現・フレーズ

こんにちは、百佳です。皆さんは日々の学習の中で、“一点儿(yìdiǎnr)” “一会儿(yíhuìr)” “一下(yíxià)”の違いについて疑問に思ったことはありませんか?

タイトルの通り、これらは全て日本語の「ちょっと」にあたるので区別が難しいと思います。特に“一会儿” と“一下”は置き換え可能な場合とそうでない場合もあり、混乱する方も多いかもしれません。どんな時に“一下”を使うべきで、なぜこの時に“一会儿”は使えないのか…しっかり違いを区別することが大切です。

以下で、この“一点儿“、“一会儿”、“一下”の意味や用法の違いを見ていきたいと思います! 

一点儿(yìdiǎnr)

が「少ない、ちょっと」であることを表す

“一点儿”は「不定数量詞」に属し、「ほんの少し」「ちょっと」など、一般に個数で数えられない不定量を表します。
そのため、代表的な働きは「量」を表すことです。ここが他の2つ“一会儿” “一下”の用法と明らかに異なる部分です一般的に、「物の量」的な少なさ表す場合が多いです。

どのように使うか?というと、名詞の前に置き連体修飾として「ちょっと」の意味で、また動詞の後に置き目的語として「ちょっと(のもの)」という意味で使います。

例文で見ていきましょう。

例文 

1 喝了一点儿酒。:酒を少しばかり飲んだ。
2 我有一点儿钱,可以借给你。:私は少し金を持っているから、君に貸してもよい。
3 你有钱,借给我一点儿。:お金を持っていたら、私に少し貸してください。
4 这是她做的,你吃一点儿吧。:これは彼女が作った料理です、少し食べてください。 
5 这我知道一点儿。:このについては私は少し知っている。

1~3は、連体修飾語を作っている例です。名詞の前に置き、物の量が「少ない」ことを表しています。
4~5は動詞の後に置き、目的語として少量の対象を意味しています。

程度を表す

「物の量」を表すこと以外に、「程度」を表す働きもあります。
形容詞の後に置き、その程度」が軽いことを示すことができます。

例文

6 你的表一点儿。:君の時計はちょっと進んでいる
7 我比他一点儿。:私は彼よりちょっと背が高い
8 一点儿。:ちょっと早くして(急いで)ください。

否定を表す

その他、否定を表す用法もあります。
以下のように“也”“都”等を用いて副詞の形を作る用法もあります。

“一点儿”+ “也”/ “都”+否定形
“一点儿” +名詞+“也”/“都”+否定形

例文

 

9 我一点儿不累。: 私は少しも疲れていない。
10   一点儿用处也没有。: (少しの用途もない)→何の役にも立たない。
11    一点儿都不要。: 一銭も要らない。

例文のように、副詞として用いることで、「少しも~ない」という否定表現を作ることができます。

一会儿(yíhuìr)

時間の短さを表す

“一会儿”は、時間の短さを表します。これには主に以下の2通りがあります。

「ちょっと」「ほんのしばらく」など動作の時間の短さ表す場合。

②「しばらくの時間」、「間もなく」など短い時間そのものを表す場合。

例文

12 你在这儿休息一会儿吧。: ここでちょっと休んでください。
13 我在那儿等一会儿了。: 私はあそこでちょっと待った。
14 一会儿的功夫,我就把练习做完了。: ごくわずかの間に、私は練習問題を片付けた。
15 他一会儿就来。: 彼はしばらくしたら来ます。
16 不一会儿,警察就来了。:ほどなくして警察が来た。

例文12、13は動作の時間の短さを表している例です。
14、15、16は時間の短さを表しています。

※12、13は、以下で説明する“一下”と置き換え可能です。

一下(yíxià)

動作の時間の短さ動作の気軽さを表す

“一下‘は”一会儿“と同様、動作の時間の短さを表します。
その他に、動作の軽さも示すことができます。「ちょっと~する」など、動作をする気持ちの軽さなどを表します。

動詞の後ろ
に置きます。

例文

17 太累了,休息一下吧。: すごく疲れたので、ちょっと休憩しましょう。
18 我想睡一下觉。: 私は少し寝たい。

19 他轻轻地敲了一下门。: 彼はドアをちょっとノックした。 
20 我可以试穿一下吗?: ちょっと試着してもいいですか。
21 你擦一下桌子,我来炒菜。: ちょっと机を拭いてください、私は野菜を炒めます。

17、18は動作の時間の短さを、
19、20、21は「ちょっと~する、してみる」のように動作の気軽さを表しています。

※17、18は、“一会儿”に置き換え可能です。

“一会儿”と“一下”はどう違う?

“一会儿” ”一下“は、動作の時間の短さを表す点は共通であり、置き換えられる場合もあるということが分かりました。
では、この2つの違いは何なのでしょうか?下記にまとめてみました。

【違い①】“一会儿”は“一下”に比べて、より長い時間を表す。

すぐ終わらない動作は“一会儿”、すぐ終わる動作は“一下”。
相互に置き換え可能ですが、ネイティブの方に聞いたところ、“休息一会儿”、“等一会儿”は“休息一下”、“等一下”に比べて、より長い時間を表すニュアンスだそうです。

【違い②】動作の軽さを表す“一下”は、“一会儿”に置き換えられない。

“一会儿”は、動作の軽さを表すことはできません。
よって例文19、20、21は“一会儿”に置き換えられません。

【違い③】短い時間そのものを表す“一会儿”は“一下”に置き換えられない。

短い時間自体を表すのは“一会儿”のみが持つ用法です。
よって例文14、15、16は“一下”には置き換え不可です。

下記の表を参照していただくとより理解しやすいかと思います。

  動作の時間の短さを表す場合 動作の軽さを表す場合 短い時間を表す場合
一会儿 ○(より長い時間) ×
一下 ×

まとめ

ここまで、“一点儿” “一会儿” “一下”の違いについて見てきました。最後にもう一度それぞれの意味を振り返ってみましょう。

“一点儿”
「量」の少なさ、特に「物」の量的な少なさを表す。
「程度」が軽いことを表す。
「少しも~ない」という否定形を作ることができる。

“一会儿”
物の量ではなく、時間の短さを表す。それには主に以下の2通りある。
動作の時間の短さを表す場合。
短い時間そのものを表す場合。

“一下”
動作の時間が短いことを示す。
動作の軽さを表す。「ちょっと~する」など、動作をする気持ちの軽さを示す。

参考:

  • 郭春貴著『誤用から学ぶ中国語 助動詞、介詞、数量詞を中心に』白帝社、2017年。
  • Weblio日中・中日辞典 下記単語の説明&例文参照(一点儿一会儿一下  

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百佳

高校の時に中国ドラマに出会い、大学では中国語を専攻。3年時には広州・中山大学に1年間留学。卒業後は羽田空港国際線にて航空会社や化粧品会社の通訳業務に携わる。3年間の社会人生活を経て、大学院に入学。主に翻訳学を専攻し、中国言語文化学分野において修士号を取得。HSK6級保有。皆様の中国語学習に役立つ記事を届けられたらと思います。長野県出身。90后。

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