【中国の食文化から楽しく学ぶ中国語】炸醤麺(ジャージャー麺)

中国文化・社会・歴史中国語実践者

こんにちは。テツジンです。

私は1999年から企業と大学・専門学校、そして語学教室などで中国の食文化を通して、中国語を教えてきました。当時の受講者から「楽しかった!」「面白かった!」などの多くの感想が寄せられました。

1回目となる本記事では、エピソードを紹介しながら、ジャージャー麺を通して楽しく学ぶ中国語と中国文化について紹介します。中国語ですと、炸醤麺(zhá jiàng miàn)です。

はじめに:中国の八大料理

中国には下記の八大料理があります。

炸醤麺は山東料理に属します。

shān dōng     cài               菜               山東料理

     chuān     cài         四川菜             四川料理

guǎng  dōng  cài               广菜          広東料理

      jiàn      cài           福建菜            福建料理

jiāng sū       cài                菜         江蘇料理

zhè  jiāng   cài               浙江菜                浙江料理

    nán     cài                湖南菜         湖南料理

ān    huī      cài          安徽菜               安徽料理

炸醤麺について

韓国のジャージャー麺

炸醤麺(ジャージャンミエン zhá jiàng miànは、中国山東省に起源して、主に中国東北地域、華北地域(北京・天津)、四川省などの家庭料理です。日本風炸醤麺(盛岡じゃじゃ麺(冒頭の写真)および韓国風炸醤麺(짜장면)もあります。

かつて、山東省から国内の東北地域に多くの移住者を送り出し、海外には朝鮮半島に多くの移住者を送り出しました。人が移動する際に食文化も一緒に持ち込むのは、容易に想像できます。

山東から中国東北地域に渡った炸醤麺

中国東北地域に暮らす人々の先祖は、山東出身の方が多いです。私自身が中国東北地域出身ですが、小中高時代、当時の同級生及び近所に住んでいる知人の先祖は、圧倒的に山東出身の者が多いです。

その理由は、闖関東(簡体字:闯关东、チュァングヮンドン chuǎng guān dōng)という言葉に集約されれています。

端的に言えば、19世紀後半から20世紀前半にかけて山東から中国東北地域にたくさんの中国人が移動しました。その際に、炸醤麺文化が山東から中国東北地域に持ち込まれました。

面从山东传到中国

zhá jiàng miàn cóng shān dōng chuán daò zhōng guó dōng běi

炸醤麺は山東から中国東北に伝わりました。

中国東北地域から盛岡に渡った炸醤麺

中国東北地域(旧「満州」)には、戦前、日本からも多くの人々が移住しました。そのなかに長野県をはじめ、北海道や岩手県などからの移民も多かったです。

盛岡じゃじゃ麺の創案者とされる、白龍創業者の高階貫勝(たかしなかんしょう)さんも移民体験者の一人です。高階貫勝さんは、中国東北地域で食べてきた炸醤麺をもとに、引き揚げた盛岡で地元の人々の舌に味を合わせてアレンジを加え、盛岡じゃじゃ麺を考案しました。

炸酱面从中国的东北地区传到日本的东北地区。

zhá jiàng miàn cóng zhōng guó de dōng běi dì qū chuán daò rì běn de dōng běi dì qū 

炸醤麺は中国の東北地域から日本の東北地方に伝わりました。

山東から韓国に渡った炸醤麺

韓国の炸醤麺(짜장면)は、かつて山東からの移民が持ち込みました。

韓国の華僑は山東出身者が多いです。

韓国料理の中でもリーズナブルな値段であり、韓国人もよく炸醤麺を食べます。2012年4月に炸醤麺博物館がオープンするほど、炸醤麺は韓国の国民食と言っても過言ではありません。

2019年5月、韓国に行った際に炸醤麺博物館見学しました。

韓国のジャージャー麺博物館

炸醤麺博物館は、仁川広域市のチャイナタウンの中に位置しています。

かつてこの辺りは韓国内でも貿易の主要な場所として栄え、チャイナタウンだけでなく日本人街もあり、他国との交流が盛んでした。その時に持ち込まれ発展したのが炸醤麺です。

韓国映画として、炸醤麺にまつわる映画『北京飯店』があります。

炸酱面从中国的山东传到韩国。

zhá jiàng miàn cóng zhōng guó de shān dōng chuán daò hán guó

炸醤麺は中国の山東から韓国に伝わりました。

炸醤麺を用いた中国語表現

中国文化をテーマに、以下の表現を使って中国語を練習してみましょう。

中国語:

提到・・・,我会想起・・・

 

日本語:

〇〇と言えば(に言及したら)、私は〇〇を思い出す。

今回は主に炸酱面を用いて練習します。

例文1 

提到炸酱面,我会想起山东。

tí daò zhá jiàng miàn ,wǒ huì xiǎng qǐ shān dōng 

炸酱面と言えば、私は山東を思い出す。

 

例文2

提到炸酱面,我会想起中国东北。

tí daò zhá jiàng miàn ,wǒ huì xiǎng qǐ zhōng guó dōng běi

炸酱面と言えば、私は中国東北地域を思い出す。

 

例文3

提到炸酱面,我会想起日本的盛冈。

tí daò zhá jiàng miàn ,wǒ huì xiǎng qǐ rì běn de shèng gāng

炸酱面と言えば、私は日本の盛岡を思い出す。

 

例文4

提到炸酱面,我会想起韩国炸酱面博物馆。

tí daò zhá jiàng miàn ,wǒ huì xiǎng qǐ hán guó zhá jiàng miàn bó wù guǎn 

炸酱面と言えば、私は韓国の炸酱面博物館を思い出す。

 

例文5

提到炸酱面,我会想起韩国电影《北京饭店》。

tí daò zhá jiàng miàn ,wǒ huì xiǎng qǐ hán guó diàn yǐng 《běi jīng fàn diàn 》

炸酱面と言えば、私は韓国映画『北京飯店』を思い出す。

「我会想起」後の「・・・」を別の言葉に置き換えれば、いろいろな文章が作れます。

ぜひ、チャレンジしてみてください。

1回目は、炸醤麺を通して楽しく学ぶ中国語と中国文化について紹介しました。

今後、様々な中国の食文化を用いて、楽しく学ぶ中国語と中国文化について紹介したいと思います。

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テツジン

中国黒竜江省出身、1997年来日。北海道大学教育学部卒、教育学博士。北海道大学専門研究員を経て、2020年に通訳・翻訳事務所を開設。専門分野は、外国語教育、東アジア地域研究、人の移動と移民研究など。学部時代には言語に対する好奇心に駆られて、英語や韓国語など第五外国語まで履修。学部時代から通訳・翻訳者として日中韓の草の根の交流に携わっている。

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