【中検1級】二次試験面接対策の2step(使えるツールや学習素材5選)

HSK・中国語検定

中検1級の二次試験対策を2stepで紹介いたします。

参考:【中検1級合格体験記】中国語の最難関資格!?47歳から13年【全学習歴・対策】とFAQ10選

中検1級 二次試験対策step1:面接の流れを理解

まずは、下記の「中検1級二次試験面接の形式を理解しましょう。

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下画像の通り、①自己紹介(採点対象外)、②中文日訳、③日文中訳の3部構成です。①は採点対象ではなく、②③のみが対象です。

参考:中検HP

②中文日訳と③日文中訳の各問いの長さは、2〜3分の長さ(日本語or中国語の全体)を読み上げられ、逐次に訳していくのは20〜30秒と長めのようです。

参考:中国語検定1級合格しました。その5

中検1級 二次試験対策step2:逐次通訳で「合格点」を勝ち取るための戦略

中検1級の二次試験(逐次(ちくじ)通訳)は、公式な採点基準は非公開ですが、通訳現場の基準や合格者の傾向から、以下の4つの評価軸で採点されていると推定されます。

単なる「中国語が話せる」レベルを超え、「プロの通訳者としての適性」を見せるための対策をまとめました。

1. 推定評価軸と対策スコア

試験官は、あなたの訳を以下のようなマトリックスで評価していると考えられます。

評価項目 評価のポイント 対策の鍵
情報の再現性 固有名詞、数字、数量制限、因果関係を正確に伝えているか。 メモ取り(Notetaking)の最適化
デリバリー(伝達力) 声の大きさ、淀みのなさ、フィラー(えー、あのー)の少なさ。 クイックレスポンスと発声
語彙・表現の質 文脈に適した「硬さ(レジスター)」の言葉を選べているか。 書面語・時事用語のストック
論理的一貫性 文末まで矛盾なく、聴衆(試験官)が理解できる構成か。 パブリックスピーキングの意識

2. 評価軸ごとの具体的攻略法

① 「情報の再現性」対策:脳内イメージとメモの連動

1級の文章は、1区切りが30秒に及ぶこともあります。

  • 「5W1H」の死守: 主語(誰が)と述語(どうした)を絶対に取りこぼさない。
  • 記号化の徹底: メモは文字ではなく記号(例:増える→、しかし→×、政府→)で書き、訳出時に脳の負荷を下げる。
  • 数字の即時変換: 「3億5千万」などの大きな数字は、日中で桁の単位が異なるため、反射的に変換できるまで反復練習する。

② 「デリバリー」対策:プロの「佇まい」を演出する

通訳は「サービス業」の側面があります。聞き手にストレスを与えないことが重要です。

  • 「言い直し」をしない: 訳し始めてから「あ、やっぱり……」と戻るのは最大の減点対象です。一度口に出した言葉に責任を持ち、最後まで辻褄を合わせる度胸を持ってください。
  • アイコンタクト: 下を向いてメモを読み上げるのではなく、試験官の目を見て「伝える」姿勢を見せることで、コミュニケーション能力の高さをアピールできます。

③ 「語彙・表現の質」対策:1級相応の「レジスター」

日常会話レベルの単語(例:方法)を、1級レベルの表現(例:手段措施途径)へ格上げする必要があります。

  • コロケーション(結びつき)の意識: 「政策を打ち出す」なら 出台政策、「困難を克服する」なら 克服困難 など、単語単体ではなくセットで覚える。
  • 日本語の「漢語」を使いこなす: 中文日訳では、大和言葉(柔らかい言葉)よりも、カチッとした漢語(熟語)を多用することで、原文の格調を維持できます。

④ 「論理的一貫性」対策:文末の着地点を予測する

  • 接続詞を強調する: 虽然...但是...(〜だが、しかし)や 既然...就...(〜である以上、〜すべきだ)などの論理構造を強調して訳すことで、内容の理解度を示します。
  • 文末処理の明快さ: 「〜だと思います」を多用せず、「〜です」「〜と言わざるを得ません」など、断定的な表現を使って通訳としての信頼感を醸成します。

3. 合格のための自己訓練メニュー

逐次通訳のトレーニング、録音・客観視:

30秒程度の長い区切りで逐次通訳の練習をしましょう。そこで使えるのが(iOS限定になってしまいますが)Repeteです。3分程度の音源を「基準時間」を0.6秒などに調整すると、1区切りが30秒など長めになります。

参考:【中国語】リピーティングのための【必須アプリ】iOSなら「Repete Plus(500円)」、Androidなら「WorkAudioBook(550円)」

口頭で訳している自分を録音し、「えー」という無駄な音の数や、文末の曖昧さを自分でチェックしてください。

時事ネタの「逆引き」練習:

毎日1つ、日本の新聞社説(1段落分)などを読み、それをその場で中国語にする訓練(サイト・トランスレーション)を繰り返します。

【日文中訳】&【中文日訳】トレーニング用素材紹介

1. 【日文中訳】の強化に最適なサイト

日本語のニュースを中国語に訳す練習には、日本のメディアが運営する中国語サイトが最適です。日本語の原文と見比べながら、1級レベルの「硬い中国語表現」を学べます。

  • NHK WORLD-JAPAN(中国語版)
    • 特徴: 日本のニュースを格調高い中国語で配信。動画ニュースも多いため、リスニング後の通訳練習に最適です。
    • 活用法: 日本語版の同じ記事を探し、日本語を聞いて(読んで)中国語で再現する練習に使います。
  • 日経中文網(日本経済新聞)
    • 特徴: 経済・社会に関する高度な語彙の宝庫です。中検1級で頻出する「経済政策」や「産業構造」などのトピックが充実しています。
    • 活用法: 社説やコラムの日本語版を用意し、中国語版を「正解」として逐次通訳の練習を行います。

2. 【中文日訳】の強化に最適なサイト

中国の視点で作られた文章を日本語に訳す練習には、中国の公式メディアが提供する日本語版サイトが役立ちます。

  • 人民網(日本語版)
    • 特徴: 中国の重要政策や社会動向を扱う公式メディア。ここの「中国語教室」コーナーや、対訳記事は1級受験者の定番素材です。
    • 活用法: 「中国語版」の記事を1ブロックずつ聞き(読み)、日本語で正確に訳出する訓練に。
  • BitEx中国語(リスニング時事中文)
    • 特徴: ニュースの音声、スクリプト、ピンイン、日本語訳がセットになっています。
    • 活用法: 「時事中文」を選び、1つの単元を1つの単位として、訳出→日本語訳で確認、というサイクルを回すのに最も適しています。

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以上、通訳の原理原則に従って本質的な対策をしていきましょう。

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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