【HSKK(口試)高級】63点でギリギリ合格の反省を踏まえた3つの対策
こんにちは。ばんばです。
今日は中国語のスピーキングについての話をします。
中国語のスピーキングのレベルを図るものとしてHSKKがあります。HSKKとは、「汉语水平口语考试 hànyǔ shuǐpíng kǒuyǔ kǎoshì」の頭文字で、リスニング、読解、作文で構成されるHSK試験とは別に、中国語スピーキング能力の測定に特化した検定試験です。
私は大学で中国語を専攻として4年間学びましたが、中国語を選択した理由は「中国語の音」に魅了されたからです。オープンキャンパスで学生が中国語で劇をする姿や、中国人留学生が中国語で会話をしている姿をみて、漠然と「中国語の発音ってかっこいい、中国語を自由に話せるようになりたい」と感じて中国語専攻に進むことを決めました。
専門的に学び始めてからも「中国語を話して人と交流できるようになる」ことを一番の目標として勉強を続けてきました。その過程で、多くの中国人留学生やオンライン上で出会った中国人と交流を経験しました。
大学4年生の冬に、これだけ中国語に浸っていたらHSKK(漢語水平口語試験)の高級を取得できるのではないかという安易な考えで、ろくな対策もせず形式だけ理解してHSKK高級を受験しました。
結果、100点満点中60点合格の試験を63点で合格という、合格ラインギリギリで合格しました。
HSKKを実際に受けてみて、HSKKは英検の面接試験のような対面式の試験ではなく形式や内容も独特なものなので、しっかり対策をしておけばよかったと感じました。
そして、HSKK受験の反省を踏まえて口語の練習を積み重ねて気がついたことは、HSKK高級の対策は全て無料ツールで練習可能だということです。今回はHSKK高級をどのように攻略するのか具体的なツールと練習方法を紹介します。
目次
HSKK高級のレベルと試験内容
試験の難易度
HSKKの試験の程度は上記に記載のように、
「中国語全般にわたる高度な運用能力を融資、流暢に自分の意見を表現することができる。」ことが求められます。
形式
形式としては、対面式ではなく「ICレコーダー」に録音する形です。
最初にICレコーダーのスイッチをオンにし、試験が終了するまでずっとつけっぱなしです。ですので、自分の一言一句全てが録音されます。
また、個室でやるわけではなく大部屋で他の受験者が周りにいる中で、皆一斉に録音機器に向かって話します。小さな声ではありますが周りの受験者の声が聞こえ、皆話し終えているのに自分だけ話し続ける状況はかなりやりにくさを感じました。
スピーキングでありながら、人との対話ではなく自分の表現力が評価される試験です。ただ、自分の回答を聞いて点数を付けるのは「人」です。ですので、話しかけているのは録音機器だけれど、自分の前に実際に相手がいるのを想像しその人に話しかけるようにすると、少しやり易いかもしれません。
各パートの試験内容
試験は3つのパートに分けられます。
- 第一部分:(要約)放送を聞いて、内容を要約する。
- 第二部分:(朗読)問題用紙に書かれた文章を朗読する。
- 第三部分:(読み取り)問題用紙に書かれた2つの質問に対して回答する。
各パートの注意と対策(知乎/FM收音机/听闻早班车/HalloTalk)
第1部分:口語試験だけど十分なリスニング力が必要
第1部分では、200字程度の文章が読み上げられ、その大体の内容を要約して話す必要があります。
つまり、第一部分はリスニング前提のスピーキング問題になります。内容が聞き取れないと何も話すことができませんし、聞き取った内容をその場ですぐに自分の中で再構築してアウトプットすることが求められます。
実際の試験用紙にはこのようにだけ記載されています。
引用:汉语考试服务网
私はリスニングがあまり得意ではない上に、第一問なので緊張もあり、内容が4割程度しか聞き取れませんでした。何とか聞き取った単語をもとに話を想像しながら適当に作り上げるというめちゃくちゃな回答をしてしまったので、第一部分の点数はほとんどなかったと思います。
普段からリスニングの練習をして、細かい内容までは聞き取れなくても大体何を言っているのか理解できる力を身につけておく必要があります。
第1部分の対策
中国語のリスニング練習として、教材や動画アプリ、ラジオ等を聞く人は多いと思います。ただ、ここで聞き流して終わりではなく聞き取った内容を自分で話してみるとよいです。
さらに学習を深めるのであれば、自分の声を録音して聞いてみると、自分が上手く話せていない部分に気が付き、再度リスニング題材を聞くことで「ここはこれを言っていたのか!これはこう表現すればいいのか」といろんな学びがあります。
この練習を継続的にやっているだけで、リスニング力もスピーキングもかなり向上します。
私は試験を終えた後に反省としてこの練習を始め、実感として聞き取れる内容が増えると同時に少しづつ表現も増えてきたように感じたので、試験前にやっておけばよかったと感じています。
この練習のために実際に私が使用していたアプリは「知乎」です。
動画が中心のアプリではありませんが、リスニング練習として使用できます。様々なテーマの記事の中に、動画も含まれているものがあるので、自分が興味があるものをテーマで選び、
①動画を見ずに聞く
②聞き取れた内容を話してみる
③動画を見て聞く
④さらに聞き取れた内容を話してみる
⑤字幕を見て内容を理解する
という流れで練習をしていました。
もちろん教科書を使用してもよいと思いますが、こういった中国人向けのアプリの方が話すスピードが速いので負荷をかけた練習ができます。
また、リスニング向上のためにはとにかく沢山聞くことが大切なので、自分の部屋では常にラジオを流していました。私が使っているラジオはFM收音机です。
第2部分:内容を理解した上で朗読する
引用:汉语考试服务网
第2部分は朗読なので、比較的点数が取りやすい部分です。評価基準は明確には分かりませんが、正しい発音でスムーズに読むことが求められます。ですので、ただ機械的に文章を読み上げるのではなく、自分が内容を理解してそれを他の人に伝えるつもりで読むと自然と抑揚がついてスムーズに読めると思います。一字一字を正しく読もうと目で字を追って内容を意識していないと、不自然な場所で文章や単語を切ってしまう可能性があるので、全体としてスムーズさに欠けてしまいやすくなります。スムーズに読むためには、意味の塊を意識して読みましょう。
上の朗読分の一文目を例にあげると、
人们一般会有一种投机的心理,/我们把它称为”中彩票”的心理,/这种渴望一夜暴富的心理,/对成功是没有好处的。
息継ぎの箇所はスラッシュを入れた部分(基本的には句読点)です。また文の骨格を考えて、副詞や数量詞は軽く読み、キーワードや意味的に強調する部分は強く読みます。この文の場合は、「一般、会、一种、我们、这种」は軽く、「投机的心理、”中彩票”的心理、渴望一夜暴富的心理、没有好处」は強めに読みます。
また、もう一点スムーズに読むコツとしては、呼応表現と接続語を意識して読むと良いです。
例えば、「如果~就…」、「无论~都…」、「因为~所以…」などが呼応表現です。これらは文章の中で必ず出てくるので、意味を取れるようにしておきます。読む際にも、前後の因果関係が明確に分かるとかなり読みやすく感じます。接続語においても同様で、「即使、如果、但是、于是、还是、虽然」などは頻繁に出てくるので要チェックです。
上の実際の朗読文を見て分かるように、難解な漢字は多くは出てきません。個人的には、9割程度は正しく読めたと思います。発音の注意点としては、多音字(読み方が複数ある漢字)を正しく読むことです。
例えば”为”という文字は読み方が”wéi”と”wèi”の二種類があります。これは文脈によって判断知る必要があり、間違えて読むと意味が全く変わってしまうので注意が必要です。他にも「血(xiě/xuè)」、「教(jiāo/jiào」)、「行(háng/xíng)」、「和(hé/hè/huo/huó/huò)」などがあります。これらを正しく読み分けられるようにしておきます。普段から分からない漢字のピンインを調べて読めるように訓練しておきましょう。
最後に、内容を速読する力もあると良いです。第2部分の開始前に、第2部分と第3部分の準備時間が10分間設けられるので、最初の2~3分で第2部分の文章をざっと速読して内容を理解し、残りの時間を第3部分の準備に使います。
第2部分の対策
第2部分で必要なのは、正しい発音でスムーズに読むことですので、普段から教材や記事を声に出して読む練習をします。読み方が分からない字はすぐに調べて、正しい発音で読める字を増やします。
どの記事を読めばいいかわからない場合は、微信の購読公式アカウントにある听闻早班车が便利です。毎朝ニュース記事が投稿され、音声もついています。ニュースなので少し堅苦しい感じがしますが発音の練習にはなります。
第3部分:問いを立てて簡潔に表現する練習をする
第3部分の質問内容はそこまで難しいものではありません。実際私が受験した時の内容は「今まで印象に残っている先生とその理由」「あなたは後伸ばし癖があるか、後伸ばし癖に対しての考えを述べよ」というものでした。
実際の試験問題はこちらです。
引用:汉语考试服务网
第3部分の対策
シンプルですが、普段から自分に問いを立ててそれに対して意見を述べる練習を繰り返すことが効果的だと思います。
例えば、「理想的な結婚生活とはなにか」「人とコミュニケーションを取るときに意識していること」「自分の好きな教科」とか、日常的なことでもなんでもいいので問いに対して時間内に答えを考え表現してみます。
問いの立て方は過去問を見て似たようなテーマを自分で立ててみるのもよいですし、過去問のテーマをそのまま練習するのも良いと思います。YouTubeで「HSKK高級」と検索すると過去問が出てくるので、一度どんなテーマが取り上げられているか見てみてください。
うまく説明できなかった部分は、どうやったら伝わる表現か考えてみて、自分で分からない場合はHello Talk(語学学習アプリ)のタイムラインに遠慮なく投稿してネイティブに教えてもらいます。
まとめ
試験全体を通して、普段からどれだけ中国語を自分の口から出しているかが重要だと感じました。そうでないと、言いたいことが咄嗟に説明できません。
HSKの方は、リスニング、読み取り、作文(要約)の試験なので自分で考えたことを表現する必要はありませんが、HSKKは第1部分では理解した内容を覚えて伝える、第3部分では自分の意見を伝える必要があるので、よりアウトプット型の試験と言えるかもしれません。
HSKKは口語力を試す良い試験だと思うので、受験したことがない方は一度受験することをおすすめします。自分のレベル感が分かって、それ以後の学習に非常に役立つ経験になると思います。
ばんば
滋賀県出身のZ世代。中国人留学生チューター経験、北京語言大学オンライン留学を経て、学習者支援活動を開始。趣味は、中国の流行りの音楽を聴くこと。大阪大学外国語学部(中国語専攻)卒業。HSK6級、HSKK高級取得。中国語検定準1級。
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