【実録】北京語言大学オンライン留学10ヶ月の体験記
こんにちは!ばんばです。
早速ですが、中国への留学って悩みポイントが非常に多いですよね。新型コロナウイルスが拡大して以来、中国現地に行って学ぶことが難しくなっています。その中でも現地での学びと近いものを実現したものが「オンライン留学」です。
私は、大学4回生から5回生にかけて、北京語言大学にオンラインで留学をしました。期間としては、2021年の9月から2022年の7月です。オンラインで留学することに対しての不安や期待が沢山ある中、留学を決め、実際に一年間取り組んで感じたありのままの経験と率直な気持ちをお伝えします。
目次
留学前の私、正直病んでいました
急に何?と思われるかもしれませんが、留学前の私は病んでいました。病んでいたというより、自分が進みたい道がわからなくて、今自分がやりたいこと、やるべきことは何なのかがわからなくて路頭に迷っていました。
ただこのまま就職活動しても上手くいかないことが目に見えていました。そこで、今自分が一番興味があることは何だろうと自分に問いかけた結果見えてきたのが、自分が注力してきた中国語がどこまで通用するのか試すことであり、中国語を通してもっといろんな世界を見てみたい、というものでした。
留学が始まる約半年前に(2021年1月~3月)日中友好協会奨学生の募集があり、こちらに申し込んだところ、幸運にも書類と面接の審査を通過し、奨学金をもらって留学ができることになりました。ですので、現地で学んだ場合一般に100万から200万(生活費、渡航費、学費、滞在費込)かかるところを、書類申請や健康診断にかかった3~4万円に抑えることができました。ちなみに、北京語言大学の1年間の学費は語学留学の場合、約40万円(学費のみ、現地もオンラインも同じ)です。
大学の選択に関しては、多数の有名大学の中から第三希望まで大学を選ぶことができたため、教育の歴史が長く、多くの留学生がいる北京語言大学を選びました。とにかくいろんな国の人と交流してみたい、対外中国語教育の総本山と言われる場所で学んでみたい、という気持ちが大きかったです。
北京語言大学の授業って実際どんな感じ?
私が留学を経験した北京語言大学について紹介します。
北京語言大学はこんな学校
北京語言大学は、中国で最も長い対外国人の漢語教育の歴史を有し、漢語教育の方法理論を開拓したパイオニアです。外国人に対する中国語教育及びその研究において、また第二外国語としての中国語を国内外で教える人材の育成において、国家の中枢機関として大きな役割を果たしています。その教学技術は国内外から高い評価を得ており、毎年180余りの国と地域より12000人以上の留学生と6000人以上の中国人学生が学んでいます。
学ぶ環境も非常に良いと言われています。キャンパスは北京市内の大学区にあり、西に香山を望み、北に遥か長城を眺め、付近には著名な頤和園・円明園が点在する恵まれた立地です。語言大学を中心とする「五道口」エリアは留学生の街としても有名で、スーパーやレストラン、カフェなども多く並んでいます。広々としたキャンパスには緑があふれ、四季を通じて花々の絶えることがなく、学習と生活に適した優れた環境にあります。
北京語言大学のホームページはこちらから
北京語言大学の授業
一週間あたりのコマ数に関して
コマ数に関してですが、私が所属していた高级班(一番上のクラス)の場合、必修の授業が週に3コマ、選択の授業が週に4コマ以上でした。1コマあたり1時間50分です。クラス分けは、HSKの点数と初回授業の口頭テストで判断してもらいます。また、その他の時間で予習と復習が必須です。私の場合、基本的には予習段階で授業で質問したい部分をピックアップし、それを授業で深め、復習と宿題で定着させる形を取っていました。宿題では、調べ物や作文、発表準備などがありますので、日によりますが大体1授業に対して1時間程度の復習時間を使いました。
クラスメート
私のクラスは、15人のクラスでした。他のクラスも大体同じぐらいです。国籍は、約半数が韓国人、そのほか日本人が3人、イラン人、エジプト人、ウクライナ人、ベトナム人の生徒がいました。年齢層は自分と同じ大学生が大半で、3~4人は3、40代の方でした。
授業内容
授業内容は多岐に渡ります。必修のクラスは教科書を通して中国の文化や歴史について学びながら四技能を鍛えます。選択授業は、HSKに特化したもの、文化、作文、聞き取り、現代問題、地理、商業に特化したものなどがありました。自分の生活スタイルと学びたいことに合わせて授業を選びます。必修授業ではグループワークも多く、クラスメートと話す機会が沢山ありました。
個人的には、新聞読解の授業は現代の中国の時事問題を中国語を通して学ぶことができたので面白かったです。また、スピーキングの授業も口語で使う言葉をインプットできる点、人前で話す機会を強制的に作れる点で非常に満足しています。
中国語教室との違い
いわゆるオンラインの中国語教室との違いはいくつかありますが、大きな違いはその目的だと思います。オンライン留学は、普通の留学をオンラインの形で実現したものであるため、目的は学問を深めることです。それに対し中国語教室は、中国語を仕事に活かすための手段(スキル)として捉えていると考えられます。
また、中国語教室の場合、日本語母語話者の先生あるいは日本語を使える中国人の先生が多く、母国語の影響を考慮した教育を受けられます。逆に、留学は先生も学生もオール中国語です。
オンライン留学って、結局どうなの?
中国への入国制限はこれからも日々変化する可能性があるので、これからもオンラインという形の留学は継続すると考えられます。
ここでは、一般的なメリット・デメリットではなく、自分が本当に感じたものだけをピックアップしてお話します。
オンライン留学のメリット
他の活動と両立できる
これは一番のメリットだと感じています。クラスメートには学生も社会人もいましたが、自分の生活スタイルに合わせて授業を選べるので、他の活動と両立ができます。私の場合、就職活動と日本の大学、アルバイト、北京語言大学の授業を両立していました。正直「キツすぎる!」と感じたこともありましたが、優先順位をつけて物事をこなしていく良い経験になったと思います。社会人のクラスメートは仕事との両立はすごく大変そうでしたが、大人になってからも本格的に学ぶ姿がかっこよかったです。また、彼らの考え方は私にとって新鮮で良い刺激を与えてくれました。
自分を律する必要性
もう一つは、メリットと言えるのかわかりませんが「自分を律する力」を鍛えることができます。オンラインだからこそ、正直サボろうとすればどこまでもサボれます。単位ギリギリを狙って宿題をこなすことも、カメラオフで発言を避けることもできます。先生も生徒を大人として接してくれますので、厳しく催促しません。
成績の付け方はあまり厳しく感じませんでした。普通に授業に参加し、宿題を提出していれば良い成績が取れます。ただ、予習復習をしないと授業が面白くなくなります。先生は学生が予習復習をしている前提で授業を進めるため、やっていないと内容についていくのに必死で考える余裕がなくなります。
この自由がきく環境下でどれだけ頑張れるかは本当に自分次第です。自分をどうやって律するのかについて、いろいろ方法がありますが
①留学を決めたときの気持ち、目標を見えるところに貼る
②「宿題は必ず期限内に出す」「授業で最低一回は自分から質問する」「具体的な目標を決める」などルールを決める。
などの方法は有効だと思います。私は、「絶対にカメラをオンで授業を受ける」「グループワークでは自分が率先する」の2つを自分に課すことで、授業と自分の心理的距離を近づけるようにしていました。
オンライン留学のデメリット
クラスメートとの関わりが薄い
これも自分次第といえば自分次第ですが、クラスメートと仲良くなるのは難しいです。一時的に仲良くなれても、留学が終わってしまうとお互いに接する機会がなくなり疎遠になってしまいました。もし外国人留学生との関わりを大切にしたいのであれば、自分から相手が話しやすいような話題をつくってメッセージを取り続ける必要があると思います。
早いうちにinstagramを交換してしまって、投稿やストーリーにコメントを送るのも一ついい手段ですね。外国人クラスメートの生活を垣間見れるのは結構面白いですよ。
”その大学ならではの良さ”を感じられない
現地で学ばないとその大学ならではの良さを実感しにくいのもデメリットです。北京語言大学の場合、色んな国の留学生が沢山いて、施設面や立地的に恵まれた環境でありながら、これらが全く感じられませんでした。仕方ないとは言え、残念です。
全部自分の取り組み方次第
一年で中国語力はどのくらい伸びたのか
1年間のオンライン留学を経験し最も向上したのはスピーキング力です。留学前はなんとか日常会話ならできる程度でした。授業を通して様々な話題について話し合うことで、話せる内容の幅と語彙の幅が広がったと感じています。客観的な成長がどの程度なのかわからないので、来月再度HSKを受験してきます。
私の場合、冒頭でも話したように、自分の中国語力を試すと同時に向上させること、中国語を通していろんな外国人留学生と交流することを主な目的としていました。この点においては、授業を通して自分のレベル感を知り、色んな国の方と話せた点で意義のあるものにできたと思います。
ただ、もっと貪欲に知識を吸収したり、もっと積極的に話しかけたりすればより楽しく濃密な時間にできたのではないかという少しの後悔もあります。
さいごに
ここまで、私の経験を踏まえながらオンライン留学について話してきました。しかし、中国語を学ぶ方法は留学だけではありません。大学で学ぶ、コーチングを受ける、中国人の友人から直接学ぶ、教材やYoutubeなどで独学する、などいろんな方法があります。オンライン留学に関しても手段の一つです。そして選んだ手段を如何に意義あるものにするのかは自分次第です。
もしオンライン留学を検討している、あるいは中国語を学ぶ方法を考えているのであれば、具体的な目標を持った上で経験者から話を聞いて道を選ぶことをおすすめします。
何にせよ、中国語はいろんな面で面白いですし、本気で学んだからこそ見えてきた世界というのも何となくある気がしています。楽しみながら、自分が楽しめる方法を模索しながらやっていきましょう!
ばんば
滋賀県出身のZ世代。中国人留学生チューター経験、北京語言大学オンライン留学を経て、学習者支援活動を開始。趣味は、中国の流行りの音楽を聴くこと。大阪大学外国語学部(中国語専攻)卒業。HSK6級、HSKK高級取得。中国語検定準1級。
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