中国語学習においてネイティブからしか学べないこと4つ
日本人が中国語を学ぶのであれば「中国語母語話者(ネイティブ)から学ぶ方法」と、「日本人の中国語教師から学ぶ方法」があります。
どちらの方法が良いかの答えは、最終的に、各学習者の語学目的や目標、さらには学習段階によって答えは変わるでしょう。
では、少し問いを変えてみます。
ネイティブから「しか」学べないこととは何でしょうか?
ネイティブから「も」学べることは、たくさんあります。今回は、ネイティブから「しか」学べないことについて考えてみたいと思います。
目次
(1)「自分の中国語がネイティブにとって自然かどうか」の判断をしてもらう
「自分の中国語がネイティブにとって自然かどうか(どういう印象を持つか)」の判断をしてもらうということです。
これは、いくら中国語を極めた日本人の中国語教師でも原理的に不可能です。
では何が自然かどうかを判断するのでしょうか?
それは、その学習者が発する中国語の「発音」と「表現・内容面」の自然さです。
中国語の「自然さ」とは、ネイティブが主観的に誤解なく、負荷なく、違和感がないということです。
(2)中国語を話せる!という自信を与えてくれる
自分(学習者)が「中国語を使えると実感する」ためには、ネイティブとコミュニケーションをとる中で経験を積む、ということを通じてしかありまえん。
いくらテストでいい点をとっても、いくら日本人同士で中国語を使って会話を沢山しても、いくら中国語の文章を書いても、いくら音読しても、それでは「自分は中国語が使える」という確信に至ることはありません。
フィードバックというのは、「あなたの中国語はうまい!」「◯◯の発音がよくない」のようなあなたのアウトプットへの直接的なフィードバックだけではありません。
実際に中国語ネイティブと会話や仕事をする中で、あなたの中国語が相手に通じていて、あなたも相手のことが理解できていれば、それもネイティブからのフィードバックと言えます。中国語を使ってビジネスをしたり、プロジェクトを行うことは大きな自信を与えてくれるでしょう。
こうして、ネイティブの反応を通して、学習者は中国を使えるという確信を強めていきます。そしてまた、そこでの失敗が、学習すべきものを明確にし、しかも強い動機を与えてくれます。
(3)本当の会話の機会を与えてくれる
トートロジーになりますが、ネイティブとの会話はネイティブと会話することでしかできません。
会話は次のようなステップで進みます。
- 学習者が発話(作文と音声化)
- ネイティブがそれを聴いて理解
- ネイティブが(学習者の発話に対して)発話
- 学習者がそれを聴いて理解
- 学習者が(ネイティブの発話に対して)発話(作文と音声化)
これらのステップの繰り返しが会話の本質です。
ここで、各ステップでどのような学習効果が得られるかを説明します。
まず、「1」では学習者が瞬時にある状況で必要な中国語を作文し、発話する必要があります。そして、「2」でネイティブは学習者のその発話を、発音面と表現・内容面で評価していると言えます。それゆえ、ここで、ネイティブが学習者の発話をスムーズに理解できて「3」に移れば合格です。
「3」「4」では、学習者は聴解力を試されます。そして、この聴解問題は普通の勉強としてのリスニングとは異なります。この聴解の内容は、教科書的な架空の内容のものではなく、私(自分)に対してある状況の中で語りかけられる内容です。
発話だけでなく状況の中で総合的に理解をすることができます。これは自分のレベルより少し高いレベルの理解である、インプット理解に繋がります。
ネイティブとの会話を行うと、このように各ステップで学習効果があります。
そもそも、このように相手に対して発話(意を投げかける)し、相手の発話を理解することが会話の本質であり、語学の目的です。
各ステップで必要な瞬発的な反応は、会話以外ではトレーニングしずらいものです。
異なる文化的背景を持つ相手と様々な話をすることは外国語を使った会話の意義といえます。目的を達成しつつトレーニングができることは理想的なことです。
(4)モチベーションを与えてくれる
多くの中国語学習者は、「中国語を使える」ようになることを目標としているはずです。そして、使えるとは、外国語を使って様々な言語行為、すなわち疑問、依頼、命令、約束、警告、忠告、報告、祝福、感謝、共感、反対などをするということです。
実際にこのような言語行為としてネイティブに中国語を使ってみることで、自分に何が足りないかが明確になります。そいて、どんな学習をすべきかがわかります。
普段、学校やオンラインでひたすら知識として勉強しているだけでは、学習するきっかけが生じず、モチベーションが続きません。
日本人教師から学べること
逆に言えば、それ以外のことは、テキストや日本人教師からでも、十分に学ぶことができると、私は思っています。むしろ、発音や文法の論理的説明や日本人が効率的に中国語を学ぶ学習法については、中国語を大人になってから身につけ、仕事などで使いこなしている日本人から日本語で学んだほうが効率的でしょう。
以上、語学において、ネイティブにしかできないことは次の4つです。
- 「学習者の外国語がネイティブにとって自然かどうか(どういう印象を持つか)」の判断
- 学習者に「外国語を話せる!という自信を与えてくれる
- 本当の会話の機会を与えてくれる
- 学習継続のモチベーションを与えてくれる
今回は、中国語母語話者(ネイティブ)について語学の観点に振り切って考察してみました。
学習者としては、このように考えると、ネイティブとの会話をする上で何に気をつけるべきか理解できるのではないでしょうか。
是非、ネイティブとのコミュニケーションの機会があればこれらを意識してみてください。
冨江コーチ
東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。
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