中国人との喧嘩で言われた「你叫不醒装睡的人」とは?意味と、そこから考えた対話の大切さ

先日、中国人とちょっとしたことで喧嘩になりました。
お互いに自分の考えを説明していたのですが、なかなか話が噛み合わない。
そんな中、相手から言われたのが、この言葉でした。
你叫不醒装睡的人。
nǐ jiào bu xǐng zhuāng shuì de rén
直訳すると、
「寝たふりをしている人を、あなたは起こすことができない」
という意味です。
「你叫不醒装睡的人」の意味
この言葉で重要なのが、
装睡(zhuāng shuì)=寝たふりをする
という表現です。
本当に寝ている人なら、声をかければ起こせるかもしれません。
しかし、起きているのに本人が「寝たふり」をしているのであれば、いくら声をかけても起きてくれません。
そこから比喩的に、
「理解する気がない人に、いくら説明しても無駄」
「本人に聞く気がなければ、何を言っても伝わらない」
という意味で使われます。
よく、
你永远叫不醒一个装睡的人。
nǐ yǒngyuǎn jiào bu xǐng yí ge zhuāng shuì de rén
「寝たふりをしている人を、永遠に起こすことはできない」
という形でも使われます。
喧嘩中にこれを言われると、かなりムカつく
今回、喧嘩をしている最中にこれを言われました。
つまり相手からすれば、
「あなたは理解できないんじゃなくて、理解しようとしていない」
ということです。
これは、なかなか腹が立ちます(笑)。
なぜなら、こちらからすれば、
「いや、それはこっちのセリフだ」
と思っていたからです。
こちらも「相手が自分の話を聞こうとしていない」と感じていました。
つまり、お互いに、
「相手こそ装睡している」
と思っていたわけです。
それでも話し合いを続けてみた
ただ、「もうこの人には何を言っても無駄だ」とそこで話を終わらせることはしませんでした。
その後も、
「なぜそう思うのか」
「自分はどういう意味で言ったのか」
「どの部分で認識がズレているのか」
と、一つひとつ話を続けました。
すると、少しずつお互いの考えていることが見えてきました。
最終的には、当初感じていたほど大きな対立ではないことも分かり、どうにか解決することができました。
そこで改めて思ったのが、
「你叫不醒装睡的人」と簡単に相手を決めつけないことも大切なのではないか
ということです。
もちろん、本当に何を言っても聞こうとしない人もいるでしょう。
そんなときには、無理に説得し続けないことも必要です。
しかし、単純に「相手が理解する気がない」のではなく、
自分の説明が足りていないだけかもしれない。
相手には相手なりの前提があるのかもしれない。
こちらも相手の話を十分に聞けていないのかもしれない。
喧嘩をしていると、どうしても「分かっていないのは相手だ」と考えてしまいます。
でも面白いことに、相手もまったく同じことを考えていたりします。
余談:中国語の意味が「直接わかる」ということ
ちなみに、今回もう一つ面白かったことがあります。
実は私は、この「你叫不醒装睡的人」という表現を、それまで知りませんでした。
しかし、相手に言われた瞬間、
你=あなた
叫不醒=呼んでも起こせない
装睡=寝たふりをする
人=人
という言葉そのものの意味と、喧嘩をしているその場の文脈から、
「ああ、“理解する気のない人には何を言っても無駄だ”という意味だろうな」
とほぼ推測できました。
後から意味を調べてみると、やはりその理解で合っていました。
これは第二言語習得を考えるうえでも、非常に面白い体験です。
第二言語習得研究で有名なスティーヴン・クラシェンは、言語習得における「理解可能なインプット(comprehensible input)」の重要性を説いています。
知らない表現が含まれていたとしても、知っている言葉や状況、文脈などを手がかりにして、そのメッセージの意味を理解できる。
今回の体験は、まさにそれに近いものでした。
日本語訳を見て、
「你叫不醒装睡的人=理解する気のない人には何を言っても無駄」
と暗記したわけではありません。
中国語を中国語のまま受け取り、その場の文脈と結びつけて意味が直接立ち上がってきた。
この感覚は、とても大切だと思います。
外国語学習というと、どうしても、
中国語 → 日本語訳 → 理解
という処理になりがちです。
しかし、実際のコミュニケーションでは、
中国語+その場の状況・文脈 → 意味を直接理解
できるようになっていくことが重要です。
知らない単語や表現が出てくるたびに会話を止めて辞書を引くことはできません。
多少分からないものがあっても、前後関係や相手の表情、状況、既知の語彙などを総動員して意味をつかむ。
そして後から調べて、
「やっぱりそういう意味だったのか」
と確認する。
こうした経験の積み重ねも、外国語が「勉強する対象」から「実際に使える言葉」へ変わっていく過程なのだと思います。
今回は喧嘩の最中だったので、あまり嬉しいインプットではありませんでしたが(笑)、中国語学習という意味では非常にリアルな「理解可能なインプット」になりました。
「寝たふりをしている」のは、どちらなのか
你叫不醒装睡的人。
とても鋭い表現ですが、人間関係では少し注意して使いたい言葉でもあります。
「この人は聞く気がない」と決めた瞬間、自分自身も相手の話を聞かなくなってしまう可能性があるからです。
今回の喧嘩では、こちらも相手も「相手が聞いていない」と思っていました。
それでも諦めずに話し合いを続けたことで、最終的にはお互いの認識をかなり近づけることができました。
だからこそ、
「この人には何を言っても無駄だ」と結論を出す前に、もう少しだけ話してみる。
ときには、それも大切なのだと思います。
中国語の表現を学んでいると、単語や文法だけではなく、中国人とのリアルなコミュニケーションを通じて、人間関係そのものについて考えさせられることがあります。
そして今回のように、知らなかった中国語が文脈の中で突然「分かる」瞬間もあります。
你叫不醒装睡的人。
「寝たふりをしている人は起こせない」。
確かにその通りです。
でも、相手が本当に「装睡」しているのかを決める前に、もう少し対話を続けてみる。
今回の喧嘩から、人間関係についても、中国語習得についても、そんなことを考えさせられました。
冨江コーチ
東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。
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