HSK試験は「紙(PBT)」か「コンピュータ(ネット試験=IBT)」か?メリット・デメリット徹底比較

HSK・中国語検定

HSK(漢語水平考試)は、中国語学習者にとって世界的に認知された資格試験です。現在、日本でも「紙の試験(PBT)」と「ネット試験(IBT)」の2種類があり、どちらを選ぶかで受験体験が大きく変わります。

ここでは両者の違いをメリット・デメリットの観点から徹底比較し、どんな人にどちらがおすすめかを整理します。

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「紙の試験(PBT)」と「ネット試験(IBT)」の共通点

  • 出題内容・難易度・合否基準は同じ。
  • 公式スコアとしての効力に差はない。
  • どちらも試験会場で受験(ネット=自宅受験ではない)。

ネット試験(IBT)のメリット(◎)

  1. 申込が直前まで可能(試験10日前までOK)。スケジュールが直前まで読めない人に便利。
  2. 結果が早い(約2週間でネット公開)。留学・出願に間に合わせやすい。
  3. ヘッドフォン使用で聴解がクリア。会場の音響に左右されにくい。
  4. キーボード入力で作文
    1. 今後の生活や仕事で「中国語をキーボードで打つ」機会は多いので、入力に慣れる練習になる。
    2. ピンインさえ少し分かればIMEが候補を出してくれるので、正確な漢字を書けなくても答えやすい。
  5. 解答操作が楽:マークシートを鉛筆で塗るより、クリックで即切り替え可能。
  6. 問題の移動もスムーズで、表示や入力が直感的。

ネット試験(IBT)のデメリット(✗)

  • 会場数が少ない(都市部に集中)。地方在住だと遠征になることも。
  • 作文がタイピング必須。ピンイン入力に慣れていない人には不利。
  • 問題文と解答を「紙のように見開きで俯瞰する」ことができず、画面の表示範囲に制約がある。

紙の試験(PBT)のメリット(◎)

  1. 会場数が多めで、地方でも比較的受験しやすい。
  2. 作文は手書き。ピンインが曖昧でも漢字が書ければ得点できる。
  3. 問題冊子に書き込みや下線引きが可能。問題文と解答を同時に見やすく、俯瞰的に進められる。
  4. マークシート方式に慣れている人に安心感。

紙の試験(PBT)のデメリット(✗)

  • 申込締切が早い(約1か月前)。計画的に申込む必要あり。
  • 成績公開が遅い(約1か月後)。急ぎの利用には不向き。
  • 聴解はスピーカー一斉再生。会場の音質や席位置に左右されやすい。
  • マークシートは鉛筆で塗り直しが必要で、切り替えはネットより面倒。

HSK「紙試験」と「ネット試験」徹底比較表

項目 ネット試験(IBT) 紙試験(PBT)
受験形態 会場PCで受験。ヘッドフォン使用。作文はキーボード入力(ピンインIME)。 会場で問題冊子とマークシート。作文は手書き。
申込締切 試験10日前まで申込可(直前まで間に合う)。 試験日の約1か月前で締切。
結果発表 約2週間後にネット公開。 約1か月後に公開。
会場数 都市部中心で限られる。 全国主要都市で実施が多め。
聴解方式 ヘッドフォンで個別再生。音質が安定。 スピーカー一斉再生。席位置や音響に左右される。
解答方法 マークはクリックで切替可能。作文はピンイン入力。 マークシートを鉛筆で塗る。作文は手書き。
作文の特徴 ピンインが少し分かれば候補漢字が出る。将来の実用に直結。 ピンインが曖昧でも漢字を直接書ける。キーボード不要。
問題の見やすさ 画面表示範囲に制約あり。問題と解答を同時に見にくい。 問題冊子に書き込み可能。ページを行き来しやすく俯瞰できる。
学習との親和性 キーボード操作が基本になる生活・仕事を意識した練習になる。 紙と鉛筆で学んできた人に安心感。
おすすめタイプ 結果を早く欲しい人/タイピングに慣れたい人/直前申込したい人。 手書きに強い人/ピンイン入力が苦手な人/問題を紙で見たい人。
  • ネット試験:スピード重視・キーボード慣れに最適。
  • 紙試験:手書き派・俯瞰的に問題を見たい人向き。

どちらを選んでもスコアの効力は同じ。自分の学習スタイルや目的に合わせて選ぶのがベストです。

どちらを選ぶべき?

  • 短期間で結果が必要/直前申込したい → ネット試験(IBT)
  • キーボード入力に慣れたい/将来の実用を意識 → ネット試験(IBT)
  • 手書きの方が安心/ピンイン入力が苦手 → 紙の試験(PBT)
  • 問題冊子にメモを書きたい/見開きで全体を見たい → 紙の試験(PBT)

まとめ

HSKの試験方式は、ネットか紙かで「受験体験」が大きく異なるものの、資格の価値は同じです。

  • ネット試験は「スピード」「操作性」「未来の実用性」で有利。
  • 紙の試験は「会場の多さ」「手書き作文」「問題を俯瞰できる安心感」で有利。

自分の学習スタイルと目的に合わせて選択することが、スコアアップだけでなく、中国語学習そのものを効率化する近道になります。

迷ったらIBTを選びましょう!基本的に中国語の実践はWeChatのやり取り、仕事でのメールの送受信が多くなると思います。なので、ピンインをベースにキーボードで打つことに慣れておくのがベストです。

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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