HSK試験は「紙(PBT)」か「コンピュータ(ネット試験=IBT)」か?メリット・デメリット徹底比較

HSK(漢語水平考試)は、中国語学習者にとって世界的に認知された資格試験です。現在、日本でも「紙の試験(PBT)」と「ネット試験(IBT)」の2種類があり、どちらを選ぶかで受験体験が大きく変わります。
ここでは両者の違いをメリット・デメリットの観点から徹底比較し、どんな人にどちらがおすすめかを整理します。
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目次
「紙の試験(PBT)」と「ネット試験(IBT)」の共通点
- 出題内容・難易度・合否基準は同じ。
- 公式スコアとしての効力に差はない。
- どちらも試験会場で受験(ネット=自宅受験ではない)。
ネット試験(IBT)のメリット(◎)
- 申込が直前まで可能(試験10日前までOK)。スケジュールが直前まで読めない人に便利。
- 結果が早い(約2週間でネット公開)。留学・出願に間に合わせやすい。
- ヘッドフォン使用で聴解がクリア。会場の音響に左右されにくい。
- キーボード入力で作文:
- 今後の生活や仕事で「中国語をキーボードで打つ」機会は多いので、入力に慣れる練習になる。
- ピンインさえ少し分かればIMEが候補を出してくれるので、正確な漢字を書けなくても答えやすい。
- 解答操作が楽:マークシートを鉛筆で塗るより、クリックで即切り替え可能。
- 問題の移動もスムーズで、表示や入力が直感的。
ネット試験(IBT)のデメリット(✗)
- 会場数が少ない(都市部に集中)。地方在住だと遠征になることも。
- 作文がタイピング必須。ピンイン入力に慣れていない人には不利。
- 問題文と解答を「紙のように見開きで俯瞰する」ことができず、画面の表示範囲に制約がある。
紙の試験(PBT)のメリット(◎)
- 会場数が多めで、地方でも比較的受験しやすい。
- 作文は手書き。ピンインが曖昧でも漢字が書ければ得点できる。
- 問題冊子に書き込みや下線引きが可能。問題文と解答を同時に見やすく、俯瞰的に進められる。
- マークシート方式に慣れている人に安心感。
紙の試験(PBT)のデメリット(✗)
- 申込締切が早い(約1か月前)。計画的に申込む必要あり。
- 成績公開が遅い(約1か月後)。急ぎの利用には不向き。
- 聴解はスピーカー一斉再生。会場の音質や席位置に左右されやすい。
- マークシートは鉛筆で塗り直しが必要で、切り替えはネットより面倒。
HSK「紙試験」と「ネット試験」徹底比較表
項目 | ネット試験(IBT) | 紙試験(PBT) |
---|---|---|
受験形態 | 会場PCで受験。ヘッドフォン使用。作文はキーボード入力(ピンインIME)。 | 会場で問題冊子とマークシート。作文は手書き。 |
申込締切 | 試験10日前まで申込可(直前まで間に合う)。 | 試験日の約1か月前で締切。 |
結果発表 | 約2週間後にネット公開。 | 約1か月後に公開。 |
会場数 | 都市部中心で限られる。 | 全国主要都市で実施が多め。 |
聴解方式 | ヘッドフォンで個別再生。音質が安定。 | スピーカー一斉再生。席位置や音響に左右される。 |
解答方法 | マークはクリックで切替可能。作文はピンイン入力。 | マークシートを鉛筆で塗る。作文は手書き。 |
作文の特徴 | ピンインが少し分かれば候補漢字が出る。将来の実用に直結。 | ピンインが曖昧でも漢字を直接書ける。キーボード不要。 |
問題の見やすさ | 画面表示範囲に制約あり。問題と解答を同時に見にくい。 | 問題冊子に書き込み可能。ページを行き来しやすく俯瞰できる。 |
学習との親和性 | キーボード操作が基本になる生活・仕事を意識した練習になる。 | 紙と鉛筆で学んできた人に安心感。 |
おすすめタイプ | 結果を早く欲しい人/タイピングに慣れたい人/直前申込したい人。 | 手書きに強い人/ピンイン入力が苦手な人/問題を紙で見たい人。 |
- ネット試験:スピード重視・キーボード慣れに最適。
- 紙試験:手書き派・俯瞰的に問題を見たい人向き。
どちらを選んでもスコアの効力は同じ。自分の学習スタイルや目的に合わせて選ぶのがベストです。
どちらを選ぶべき?
- 短期間で結果が必要/直前申込したい → ネット試験(IBT)
- キーボード入力に慣れたい/将来の実用を意識 → ネット試験(IBT)
- 手書きの方が安心/ピンイン入力が苦手 → 紙の試験(PBT)
- 問題冊子にメモを書きたい/見開きで全体を見たい → 紙の試験(PBT)
まとめ
HSKの試験方式は、ネットか紙かで「受験体験」が大きく異なるものの、資格の価値は同じです。
- ネット試験は「スピード」「操作性」「未来の実用性」で有利。
- 紙の試験は「会場の多さ」「手書き作文」「問題を俯瞰できる安心感」で有利。
自分の学習スタイルと目的に合わせて選択することが、スコアアップだけでなく、中国語学習そのものを効率化する近道になります。
迷ったらIBTを選びましょう!基本的に中国語の実践はWeChatのやり取り、仕事でのメールの送受信が多くなると思います。なので、ピンインをベースにキーボードで打つことに慣れておくのがベストです。
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tad
千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。
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