台湾華語を学ぼうとしている人へ:将来「台湾だけ」と言い切れないなら、普通語を選ぶべき4つの理由

台湾・台湾華語

中国語を学び始めると、多くの人が最初に迷います。

  • 台湾華語にするか
  • 普通語(普通话)にするか

結論からはっきり言います。

将来的に「中国大陸には一切かかわらず、台湾のみに関わる」と強い意思がある人以外は、普通語を選んだほうが合理的です。

これは思想や好みの話ではなく、

学習コスト・汎用性・将来の自由度の話です。

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まず前提|台湾華語を選んでいい人は「かなり限定的」

台湾華語が向いているのは、次の条件をすべて満たす人です。

  • 将来の仕事・生活・人間関係すべてにおいて

    台湾のみと関わると明確に決めている
  • 中国大陸の企業・人・情報に

    一切関わるつもりがない
  • 国際的な中国語運用や汎用性は不要

ここまで決め切れているなら、台湾華語でも問題ありません。

しかし多くの人は、

  • 今は台湾が好き
  • でも将来は分からない
  • 仕事や情報で中国語圏に触れる可能性はある

という状態ではないでしょうか。

その場合、普通語を選ばない理由はありません。

理由①|普通語は「使える場所の数」が圧倒的に多い

普通語が通じる場所は、台湾華語とは桁が違います。

  • 中国本土(14億人)
  • シンガポール
  • マレーシア華人社会
  • 世界中の中華系コミュニティ
  • 中国関連ビジネス・日系企業

一方、台湾華語が完全にフィットするのは台湾のみ。

台湾の人も普通語は理解できますが、

学ぶ側がわざわざ適用範囲の狭い言語から入る必要はありません。

理由②|教材・学習リソースは「普通語基準」で作られている

中国語学習を継続できるかどうかは、教材の量と質に大きく左右されます。

普通語の場合:

  • 教科書
  • アプリ
  • YouTube
  • ポッドキャスト
  • AI中国語学習ツール
  • ビジネス中国語教材

これらのほぼすべてが普通語基準です。

台湾華語は、

  • 教材数が少ない
  • 表記や表現がばらつく
  • 途中で普通語基準に合わせ直す必要が出る

という問題が起きやすくなります。

理由③|発音・語彙のズレは「後から確実に効いてくる」

台湾華語は初級では学びやすく感じます。

しかし中級以上になると差がはっきり出ます。

  • そり舌音が弱い
  • アル化音をほぼ使わない
  • 台湾独自の語彙・言い回しが多い

結果として、

「台湾では自然だが、他の中国語圏では修正が必要な中国語」

になりがちです。

長時間かけて身についた発音や癖を直すのは、想像以上に大変です。

理由④|仕事・情報・AI時代は「普通語前提」で回っている

現実的な話をします。

  • 中国関連ビジネス
  • 海外ニュース・業界情報
  • 中国語AI・音声認識・翻訳・教材

これらはほぼすべて

普通語(普通话)を前提に設計されています。

仮に台湾だけと関わる予定でも、

使うツールや情報源は普通語基準というケースが大半です。

普通語は「台湾もカバーできる言語」

重要なのはこの非対称性です。

  • 普通語ができる

    → 台湾華語は比較的すぐ理解・適応できる
  • 台湾華語だけできる

    → 普通語への修正コストが発生する

つまり、

普通語は「台湾も含めた上位互換」

という位置づけになります。

判断基準はこれだけでいい

迷ったら、自分にこう問いかけてください。

将来、

「台湾以外の中国語圏と一切かかわらない」

と断言できますか?

  • YES → 台湾華語でもOK
  • 少しでもNO → 普通語一択

非常にシンプルです。

※もちろん、台湾文化が大好きで台湾をできるだけ深く理解したい、のような目的があれば台湾華語が良いと思います。

まとめ|普通語は「将来の逃げ道を残す選択」

台湾華語は決して悪くありません。

ただし、

  • 学習時間は有限
  • 修正コストは高い
  • 将来は予測できない

この3点を考えると、

台湾だけと決め切れていない限り、普通語を選ばない理由はない

という結論になります。

最初は普通語で学び、

本当に台湾一本と決めた段階で台湾華語に寄せればいい。

選択肢を狭めない学び方こそ、いちばんコスパがいい中国語学習です。

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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