中国語「睡觉」はどこが動詞+目的語になっている?― 離合詞としての構造と意味を徹底解説 ―

語法・表現・フレーズ

「睡觉」は本当に動詞+目的語なのか?

中国語学習で多くの人が一度は疑問に思うのが、

「睡觉(寝る)」はなぜ離合詞なのか? という点です。

  • 睡觉 は「寝る」という一語の意味に見える
  • しかし文法上は 动词+宾语(動詞+目的語)
  • では 「觉」は何を指す目的語なのか?

本記事ではこの疑問に対し、

  • 語源
  • 意味構造
  • 文法的証拠
  • 学習者が納得できる理解法

を整理しながら、「睡觉=動賓(動詞+目的語)構造」である理由を明確にします。

結論|「睡觉」は「睡眠という状態をとる」という動賓構造

結論から言うと:

睡觉 = 睡 + 觉(睡眠・眠り)

👉「睡眠という状態をとる」

👉「眠りという行為を行う」

つまり 具体物ではなく「抽象的な行為・状態」を目的語に取る動賓構造です。他の例は以下の「6」でご覧ください。

1. 形式的分解|睡 + 觉 の正体

要素 品詞 意味
動詞 寝る・眠る
名詞 眠り・睡眠(=睡觉)

ポイントは 觉 が名詞だという点です。

現代中国語で、は単独使用は限定的ですが、

  • 一觉
  • 睡了一个觉

などの形で、名詞としての性質は明確に残っています

2. 意味的にどういう「動詞+目的語」なのか?

「觉」は何を指しているのか?

觉 は人・物ではありません。

指しているのは:

睡という動作によって生じる状態(=睡眠)

つまり:

  • 睡(動作)
  • 觉(その結果としての状態)

という関係です。

これは中国語でよく見られる 「行為名詞を目的語に取る動賓構造」 です。

3. なぜ学習者には分かりにくいのか?

理由① 日本語に対応する構造がない

日本語では:

  • ×「眠りを眠る」
  • ○「寝る」

と表現するため、

目的語という発想自体が浮かびにくい

理由② 「觉」が現代語で単独使用されにくい

  • × 我在觉
  • ○ 我睡了一个觉

👉 固定表現の中でのみ使われる名詞になっているため、

「目的語感」が弱く感じられる。

理由③ 意味が「結果・状態」に近い

「觉」は動作の対象というより、

動作の結果として得られる状態

を表すため、

典型的な動詞+目的語の構造を持つ「物を食べる」「人を見る」とは性質が異なります。

4. 文法的に動賓構造だと分かる決定的証拠

✔ 量詞を伴える(=名詞)

  • 我睡了一个觉
  • 他好好地睡了一觉

👉 「一个+觉」が成立

=觉 は名詞目的語

✔ 形容詞で修飾できる

  • 睡了一个好觉
  • 睡了一个安稳的觉

👉 修飾される側が名詞である証拠

✔ 補語・助詞が間に入る(離合)

  • 好好地睡了一觉
  • 睡了很久的觉

👉 動詞と目的語が分離可能

=離合詞の典型的特徴

5. 「睡觉」をどう理解すると一番ラクか?

学習者向けの覚え方

睡觉 = 睡眠をとる

または中国語的に言えば:

觉 = 睡这个动作所产生的状态

この理解をすると、

  • 为什么要说「睡了一个觉」
  • 为什么不能说「睡觉了一个小时」

といった疑問も自然に整理できます。

6. 同じ構造を持つ代表的な離合詞

離合詞 分解 意味構造
睡觉 睡 + 觉 睡眠という状態をとる
做梦 做 + 梦 夢を見る
生气 生 + 气 怒りという感情が生じる
洗澡 洗 + 澡 入浴という行為をする

👉 目的語が「行為・状態・抽象名詞」

まとめ|「睡觉」は動賓構造だと理解すべき理由

  • 睡觉 は形式的にも意味的にも動詞+目的語
  • 觉 は「睡眠・眠り」という抽象名詞
  • 「眠る対象」ではなく

    👉 「眠りという状態をとる」
  • 分離・量詞・修飾ができることが最大の根拠

**

「睡觉」は単なる暗記対象ではありません。

  • 睡觉
  • 做梦
  • 开会
  • 生气

これらを

「動詞+行為名詞」という共通構造で捉えられるようになると、

  • 離合詞が怖くなくなる
  • 量詞・補語の位置が理解できる
  • 中国語の「出来事の捉え方」が見えてくる

という大きな変化が起きます。

睡觉が分かる人は、

中国語の文法を“語ではなく構造”で理解し始めている。

ここを越えると、中国語は一段階ラクになります。

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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