【中国語の“过”】「経験」だけではない!?「完了・終結」用法3つのポイント

語法・表現・フレーズ

中国語の文法の中でも、よく出てくるのが動詞の後につく「过(guo)」です。

「行ったことがある」「食べたことがある」など、「経験」を表す“过”はすでに知っている人も多いでしょう。

でも、実はもうひとつ、「~し終えた」「やり終えた」という、「完了・終結」を表す“过”があるのをご存知ですか?

この2つの「过」は、見た目は同じでも、意味も使い方も違います。

このページでは、“过”の「完了・終結」の使い方を中心に、例文を使ってわかりやすく解説していきます!

✅ 「完了(終結)」の“过”とは?

▶ どんな意味?

動詞の後につく “过” は、ふつう「経験」を表すことで知られていますが、

もう一つの使い方として、「動作が終わった」「やり終えた」という“完了・終結”を表す使い方があります。

この場合の“过”は、単に「やったことがある(経験)」ではなく、

「今すでに終わっている・完了している」という結果の状態を強調する表現です。

▶ 例えでイメージ:

  • 「看过」=見たことがある(経験)
  • 「看过了」=もう見終わった(終結)←今はもう見終えてるよ、という意味

✅ ポイント①:“过了”なら終結!

▶ 見分け方のポイント

用法 意味 特徴
経験の“过” V + 过 ~したことがある 「了」はつけられない、軽声で読む
終結の“过” V + 过了 ~し終えた/完了した 「了」をつける、軽声 or 第4声でOK

経験の“过”には「了」がつくことはありません!

つまり、「过了」という形が出てきたら、その“过”は「経験」ではなく「終結」です!

✅ ポイント②:発音にも違いがある!

“过”は、経験終結かによって、発音も違います。

用法 発音 ポイント
経験の“过” 基本、軽声(guo)のみ 必ず軽く発音する(例:去过 qù·guo)
終結の“过” 軽声または第4声(guò) どちらでもOK(例:写过了 xiě guò le)

✅ 例文と解説(完了・終結)

  1. 门我已经关过了,你不用担心。

     (ドアはもう閉め終わっています、心配しなくていいですよ。)

     → 「关过了」=閉めたという行為が完了済み
  2. 报告我写过了,刚才交上去了。

     (レポートは書き終えて、さっき提出しました。)

     → 「写过了」=やり終えた、タスクが完了したニュアンス。
  3. 饭我吃过了,现在不饿了。

     (ご飯はもう食べ終えたので、今はお腹すいていません。)

     → 「吃过了」=食事の動作が終わっている状態

✅ ポイント③:否定の形:「还没~呢」で終結の“过”を否定

終結の“过”を否定する時は、「还没~呢」という形をよく使います。

肯定文 否定文
我看过了。
(もう見終わった。)
我还没看呢。
(まだ見ていない。)
我吃过了。
(食べ終わった。)
我还没吃呢。
(まだ食べてない。)

※ 否定文では「过」が消えます。

✅ 経験の“过”との違い(比較で理解)

意味 用法
我去过北京。 (北京に行ったことがある。) 経験の“过”/「了」は使わない
我去过北京了。 (私は北京に行ってきて、もう終わっている。) 終結の“过”/「了」をつけて完了を表す
  • 「过」だけ=経験(~したことがある)
  • 「过了」=完了・終結(~し終えた)
  • 「経験の过」は軽声のみ、「終結の过」は軽声、第4声
  • 否定形は「还没~呢」→「过」が消える
  • 「过了」が出てきたら「終結の“过”」!

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「过」は「経験」のイメージが強いかもしれませんが、「过了」となったときは「もう〜し終えた」という完了・終結の意味になることをしっかり覚えておきましょう。

特に「了」がつくかどうかが大きな見分けポイントです。

日常会話でもよく使う表現なので、「过」と「过了」の違いを正しく使い分けられるように練習してみてくださいね!

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tad

千葉県出身、東京育ち。貿易関係の会社で10数年ほど勤務後、5年の中華圏駐在経験を活かして独立。現在は、翻訳や通訳などを中心にフリーで活動中。趣味はゴルフ。好きな食べ物は麻辣香锅。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。中国語検定準1級。HSK6級。

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