【中国語】「做饭」と「做菜」の違いと使い分け!
こんにちは。テツジンです。
中国語の中には食に関する諺が多いです。例えば、
- 民以食为天。
- Mín yǐ shí wéi tiān
- 民にとって食べることは最も大切です。
中国人は食べることを特に重んじており、日常生活で「做饭」(zuòfàn) と「做菜」(zuòcài) という表現をよく使います。この二つの表現を正確に使用するため、その違いを理解する必要があります。本記事では、例文を使って「做饭」と「做菜」の意味の違いや使用場面を明確にし、詳しく説明します。
做饭 (zuòfàn):ご飯を作る、炊飯する
出典:百度
ご飯を作るという行為全般を指し、食事を用意する一連の流れを含む広い意味で使われます。主に炊事や食事全体の準備を表すため、料理だけでなく炊飯や食材の準備も含みます。
「做饭」を炊飯する、つまりお米を炊くというような狭い意味で理解している人も少なくありません。ただし、急速的な炊飯器や電気釜の普及により、世代によって、「做饭」に対する認識も変わっています。
例文
例文1
- 妈妈每天做饭给全家人吃。
- Māma měitiān zuòfàn gěi quánjiārén chī
- 母は毎日家族のためにご飯を作ります。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
例文2
- 今天轮到爸爸做饭。
- Jīntiān lúndào bàba zuòfàn
- 今日はお父さんのご飯を作る番です。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
例文3
- 随着电饭锅的普及,做饭变得简单了。
- Suí zhe diànfànguō de pǔjí ,zuòfàn biànde jiǎndān le
- 炊飯器の普及につれて、ご飯を作ることは簡単になりました。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →✖
※「电饭锅」という言葉がありますので、炊飯すること=「做饭」 に限定されます。
例文4
- 做饭需要准备很多东西。
- Zuòfàn xūyào zhǔnbèi hěnduō dōngxī
- ご飯を作るには多くの準備が必要です。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
例文5
- 做饭时要注意安全。
- Zuòfàn shí yàozhùyì ānquán
- ご飯を作る時は安全に注意してください。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
対話文
出典:百度
対話文1
- A:你会做饭吗?
- Nǐ huì zuòfàn ma
- ご飯を作れますか?
- B: 会一点儿,但是不太熟练。
- Huì yìdiǎnr, dànshì bùtài shúliàn
- 少しできますが、あまり上手ではありません。
- A:那今天我们一起做饭吧!
- Nà jīntiān wǒmen yīqǐ zuòfàn ba
- では、今日一緒にご飯を作りましょう!
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
対話文2
- A:我不喜欢做饭,太麻烦了。
- Wǒ bù xǐhuān zuòfàn, tài máfan le
- 私はご飯作りが好きではありません。面倒くさいからです。
- B: 其实,做饭很简单。
- Qí shí, zuòfàn hěn jiǎndān
- 実はご飯作りは簡単にですよ。
- A:那你教我吧!
- Nà nǐ jiàowǒ ba
- では教えてください。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
対話文3
- A:我们中午吃什么菜?
- Wǒmen zhōngwǔ chī shénmecài
- 昼ご飯は何料理を食べますか?
- B: 我还没想好,先做饭再决定吧。
- Wǒ háiméi xiǎnghǎo, xiān zuòfàn zài juédìng ba
- まだ決めていませんが、とりあえずお米を炊いてから決めましょう。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做饭」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →✖
※対話の文脈で、「做菜」は除かれます。判断を決める言葉は、副詞の「先」です。「先にご飯を作ってから、何料理か決める」だとおかしいので、この場合の做饭は「お米を炊く」ことと理解できます。
做菜(zuòcài):料理を作る、おかずを作る
出典:百度
料理を作ることを具体的に指し、「炒める」「煮る」「揚げる」などの調理作業そのものに焦点を当てます。料理を作るプロセスや技術などについて言及する場合によく使われます。
中国人は火を通した熱い食事を食べる習慣があります。世界の数多くの料理のなかで、中国料理は特に「火」を重んじていると思います。「做菜」と言えば、火を通して料理を作るというイメージが強いです。
関連記事:中国料理<調理法&味付け>で学ぶ【中国語】炒、煨、炸、烤、爆…など24の調理法と例文集
例文
「做菜」は「离合词 」 (離合詞)です。つまり、「做」「菜」の間に、他の要素を付加することによって動目フレーズを新たに作り出せます。例えば、「做四川菜」(四川料理を作る)、「做山东菜」(山東料理を作る)などです。
例文1
- 爸爸是厨师,擅长做四川菜。
- Bàba shì chúshī shàncháng zuò sìchuāncài
- 父は料理人で、四川料理を作るのが得意です。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →✖
「做菜」 →〇
※「做四川菜」という離合詞を使っているので、「做饭」は除かれます。
例文2
- 他做菜的技术很好。
- Tā zuòcài de jìshù hěnhǎo
- 彼は料理の腕前が良いです。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →✖
「做菜」 →〇
※文章に「技术」という言葉がありますので、おかずを作る=「做菜」に限定されます。
例文3
- 她喜欢在周末做菜,尝试新食谱。
- Tā xǐ huān zài zhōu mò zuò cài, chángshì xīn shípǔ
- 彼女は週末に料理を作り、新しいレシピを試すのが好きです。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →△
「做菜」 →〇
※文章に「食谱」という言葉がありますので、おかずを作るというニュアンスが強いです。
例文4
- 做菜的时候一定要注意火候。
- Zuòcài de shíhòu yīdìng yàozhùyì huǒhòu
- 料理をする時は、火加減に気をつけなければなりません。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →△
「做菜」 →〇
※文章に「火候」という言葉がありますので、おかずを作るというニュアンスが強いです。
例文5
- 我想学做日本菜,但不知道从哪儿开始。
- Wǒ xiǎng xué zuò Rìběncài, dàn bùzhīdào cóngnǎér kāishǐ
- 私は日本料理を学びたいのですが、どこから始めればいいか分かりません。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →✖
「做菜」 →〇
※「做日本菜」という離合詞を使っているので、「做饭」は除かれます。
対話文
出典:百度
対話文1
- A:你做菜这么好,是跟谁学的?
- Nǐ zuòcài zhème hǎo, shì gēnshuí xuéde
- あなたは料理がこんなに上手ですが、誰に習ったのですか?
- B: 我跟妈妈学的,她做菜特别棒。
- Wǒ gēn māma xuéde, tā zuòcài tèbié bàng
- 母から習いました、彼女の料理はとても素晴らしいです。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →〇
「做菜」 →〇
※◯は厳密に同じに意味になることはないですが、大意は同じで自然な表現、という意味です。もちろん本記事で説明しているニュアンスの違いはあります。
対話文2
- A:做菜的时候,你喜欢用哪些调料?
- Zuòcài de shíhòu, nǐ xǐhuan yòng nǎxiē tiáoliào
- 料理をする時、どんな調味料を使うのが好きですか?
- B: 我喜欢用酱油和蚝油,还有甜面酱 。
- Wǒ xǐhuan yòng jiàngyóu, háiyǒu tiánmiànjiàng
- 私はしょうゆとオイスターソース、また甜麺醤(テンメンジャン)を使うのが好きです。
- A:看来你真的很会做菜。
- Kànlái nǐ zhēnde hěnhuì zuòcài
- 本当に料理が上手ですね。
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →✖
「做菜」 →〇
※対話文で「調味料」が出ていることで、炊飯ではなく、おかずを作る=「做菜」に限定されます。
対話文3
- A:你最擅长做什么菜?
- Nǐ zuì shàncháng zuò shénme cài
- 一番得意な料理は何ですか?
- B: 我最擅长做川菜,特别是麻婆豆腐。
- Wǒ zuì shàncháng zuò chuāncài, tèbié shì mápó dòufu
- 私は四川料理が得意で、特に麻婆豆腐です。
- A:听起来很好吃,下次让我尝尝!
- Tīng qǐlái hěn hǎo chī, xiàcì ràngwǒ chángcháng
- おいしそうですね、今度ぜひ食べさせてください!
使い分けを学ぶため、こちらの例文の「做菜」以外で置き換えできるか?考えてみましょう。
「做饭」 →✖
「做菜」 →〇
※「做川菜」という離合詞を使っているので、「做饭」は除かれます。
まとめ
出典:百度
今回、中国語の「做饭」と「做菜」の違いと使い分けについて例文を通して詳しく紹介しました。
「做饭」は、ご飯を作るという行為全般を指し、広い意味で使用されることがあります。たとえば、食事を準備するという観点からも「做饭」を使用します。「做菜」は一部の特定な料理を作ることを指します。たとえば「カレーを作る」や「スープを作る」といった場合に使います。「做菜」は特定の料理を強調したい場面、料理を作るプロセスや技術などについて言及する場合によく使われます。
中国人は日常生活で「做饭」と「做菜」という表現がよく使います。中国語学習者の皆さん、今回紹介した表現をマスターし、楽しみながら中国語を学んで行きましょう。
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参考文献:
・陈志田主编『舌尖上的中国』北京联合出版公司、2014年。
・張競『中華料理の文化史』ちくま新書、1997年。
・玉村豊男『料理の四面体』中公文庫、2010年。
テツジン
中国黒竜江省出身、1997年来日。北海道大学教育学部卒、教育学博士。北海道大学専門研究員を経て、2020年に通訳・翻訳事務所を開設。専門分野は、外国語教育、東アジア地域研究、人の移動と移民研究など。学部時代には言語に対する好奇心に駆られて、英語や韓国語など第五外国語まで履修。学部時代から通訳・翻訳者として日中韓の草の根の交流に携わっている。
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