【体験談】中国語話者の友人への手土産の渡し方2選
こんにちは。中国語漫画翻訳者のもりゆりえです。皆さんは中国語ネイティブの友人のお宅にお呼ばれしたとき、手土産は持っていきますか?私の場合2回目以降にお邪魔するときは、基本的に手ぶらで向かいます。何故かというと、昔手土産を持って中国語ネイティブの友人宅にお邪魔して、あまりいい顔をされなかった経験があるからです。
今回はその理由と、どうしても中国語ネイティブの友人に手土産を受け取ってほしいときに私が使っている方法を、皆さんにご紹介したいと思います。
友だち同士で、手土産なんて水臭い
私の家の近所には、中国語話者の高齢者が多く住んでいます。その中でも特に親しくしている女性(Kさん)は、日本で生活して30年以上経ち、日本の生活習慣もよくご存じでした。そんなKさんがある日、自宅に私を招待してくれたのです。
1回目は、お店で買っていったお菓子を喜んで受け取ってくれました。そして2回目にお邪魔したときに、私はお店で買った果物を持って行きました。笑顔で出迎えてくれたKさんは、私が手土産を持ってきたのを見ると、顔を曇らせてこう言ったのです。
「我们是朋友嘛,朋友之间不要那么客气。你第一次来朋友家的时候,带着礼物来也没问题。但是第二次以后来就别这样了。」
(私たちは友だちでしょ?友だちの間でそんな気遣いはしないで。初めて家に来るときならともかく、2回目以降に来るときは、手土産なんて要らないのよ)
どうやら友だちどうしで、いちいち手土産を持ってくると相手に距離を感じさせ、却って失礼になってしまうようです。それから私は、Kさんの家に行くときは基本的に手ぶらで行くようにしました。
でも私の料理は持って帰って!
ところが困ったことに(?)、Kさんは必ず毎回、私にお土産を持たせてくれるのです。料理好きなKさんは、長年使ってきたレシピを、手取り足取り私に教えてくれました。そして大量に出来上がった饺子や包子、饼や麻花などを手際よく袋に包み、最後に「给孩子吃吧!(子どもに食べさせて)」と渡してくれるのです。「子どもに」と言われたら、無下に断るわけにもいきません。
また、これは中国の方にはよくあることだと思うのですが、「今日の午後会える?」など、いきなり当日に連絡が来るパターンがとても多いのです。そんなこともあって、悶々とした気持ちを抱えながらも、しばらくは手ぶらで訪問する日が続きました。
<Kさんお手製の“酸菜”(野菜の塩漬)。五花肉(豚バラ)、春雨と一緒に煮込むと美味しい>
方法①「作り過ぎて余っちゃった」作戦
しかし毎回手ぶらで行って、大量にお土産をもらって帰るのは、さすがに気が引けます。お礼にお店で買ったものを渡すと嫌がられますし、Kさんは敬虔な仏教徒で素食(菜食主義)を実践していたので、「夕飯のおかずをお裾分け」というのも、なかなか簡単ではありませんでした。
そこで次に会うまで時間があるときは(それでも「翌日」がほとんど)、お菓子を作って用意することにしました。「わざわざ用意した感」が出ると嫌がられるので、混ぜて焼くだけの(実際のところ、時間的にも技術的にもこれが精一杯だったのですが)パウンドケーキなどを作りました。
材料も、極力家にあるような野菜や果物を使うようにしていましたが、料理上手な方なので味見だけはしっかりしてから渡すようにしていました。
方法②「お友だち経由で渡してもらう」作戦
またKさんの近所にもうひとり、中国語話者の共通の友人(Mさん)がいました。彼女も時々、私におかずをお裾分けしてくれたり、旅行のお土産をくれる方です。Mさんへのお礼としてお菓子などを作るときに多めに用意して、同じ物をKさんに渡してもらうようお願いしました。家に訪問するときに手土産をあまり渡せない分、そうでないときに何かお返しをしたいと思ったのです。
渡してもらうときの入れ物にも気をつけました。具体的には、容器をあえて使い捨てのプラスチックにし、それを入れる袋もなんの変哲もない紙袋やスーパーのレジ袋にして、「プレゼント感」が出ないように心掛けていました。
<毎年Mさんが春節前にくれる“蛋饺”。薄焼き卵で餡を包んだ、南部で年越しに食べられる縁起物。彼女おすすめの食べ方は、塩や醤油で味付けした鍋(記事冒頭の写真)>
失敗した方法…「実家から大量に来た」作戦
「大量に作り過ぎて余った作戦」で、Kさんに手土産を受け取ってもらえたことに味をしめ、「実家から大量に来て、食べきれない」とお菓子を持って行ったことがありました(偶然、菜食のKさんにも食べられる物が、実家からの荷物に入っていたのです)。うまくいくかと思ったのですが、「実家から来たのなら、あなたが食べなさい」とアッサリ突き返されてしまいました。
やはり「余っている」などという数の問題ではなく、受け取った相手が気兼ねなくもらえる物であるかどうかが、重要なようです。
まとめ
今回ご紹介したのはあくまで私の体験談なので、すべての人には当てはまらないかもしれません。またここに登場した友人はご高齢なので、年代によっても価値観や習慣は異なると思います。
しかし日本でも中国でも、贈り物をするときに相手のことを考えて選ぶことは変わりません。違うのは、そのときに気を使うポイントと、その表現の仕方でしょう。
日本では、贈り物を相手のために選んだ時間や労力が、品物の種類やラッピングなどで、さりげなく伝わることが好まれると思います。しかし私の体験では、中国の方は極力それを相手に感じさせないよう、気を使っている印象を受けました。ある意味とても奥ゆかしい感じもして、非常に興味深いです。
今回のこの記事が、お互いのコミュニケーションの違いを楽しむきっかけとなったら嬉しいです。
もりゆりえ
広島県東広島市出身。尾道市立大学美術学科卒業。高校時代に読んだ漫画「封神演義」をきっかけに中国語学習を開始。大学卒業後中国に渡り、浙江大学に10ヵ月間の語学留学(2005年〜2006年)をする。留学中に、「第二届中国国際動漫画節」に参加。現在はフリーランスの中日漫画翻訳者として活動中。趣味は中国のマンガアプリでマンガを読むこと。
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