中国語の音声トレーニング7種を徹底比較|音読・シャドーイング・リピーティング・瞬間中作文は何が違う?

中国語コーチング勉強法・学習メソッド

中国語学習には、声を出して行う「音声系トレーニング」がたくさんあります。

代表的なものだけでも、

  • 音読
  • シャドーイング
  • リピーティング
  • リプロダクション
  • 瞬間中作文

などがあります。

さらに、シャドーイングには「音に集中するやり方」と「意味に集中するやり方」があり、リピーティングにも「文章の順番どおりに行う方法」と「ランダムに行う方法」があります。

そこで今回は、以下の7種類として整理して比較します。

  1. 音読
  2. プロソディー・シャドーイング
  3. コンテンツ・シャドーイング
  4. 順番どおりのリピーティング
  5. シャッフル・リピーティング
  6. リプロダクション
  7. 瞬間中作文

「結局、どれをやればいいのか?」

「シャドーイングが一番効果的なのか?」

「音読とリピーティングは何が違うのか?」

このような疑問を持っている方は多いと思います。

今回一番伝えたい結論は、次のとおりです。

中国語の音声トレーニングに「絶対的に一番優れた方法」があるわけではありません。大切なのは、それぞれが何の能力を伸ばすトレーニングなのかを理解し、目的に応じて使い分けることです。

そのうえで、PaoChaiが重視している**「音声ベースで使える単語・表現を増やす=コア能力を高める」**という目的で考えるなら、

音読+リピーティングを中心にし、必要に応じて瞬間中作文を組み合わせる

という方法を特におすすめしています。

なぜそう考えるのか。

4つのポイントに分けて詳しく説明します。

1.音声トレーニングを比較する前に「何を伸ばしたいのか」を決める

音読とシャドーイングのどちらが優れているのか。

リピーティングと瞬間中作文はどちらをやるべきなのか。

こうした比較をする前に、一つ大切なことがあります。

それは、

「何のためにそのトレーニングをするのか」

を決めることです。

評価軸がなければ、トレーニングの優劣も決められないからです。

BCP方式で中国語学習全体を見る

PaoChaiでは、中国語学習を「BCP方式」で整理しています。

  • B=Base:基礎能力
  • C=Core:コア能力
  • P=Practice:実践能力

という考え方です。

まず発音や基礎文法などのB=基礎を固めます。

その後は、

C=コア能力とP=実践能力を並行して伸ばし続ける

のが基本です。

ここでいうコア能力とは、簡単に言えば、

自分が理解し、話したり聞いたりするときに使える中国語の単語・表現を増やしていく力

です。

100語しか使えない状態から200語へ。

200語から500語、1,000語、2,000語へ。

しかも、漢字を見れば意味がわかるだけではなく、

音声で聞いて理解でき、自分の口からも出せる状態

にしていきます。

中国語を話せる・聞けるようになるうえでは、このコア能力を継続的に高めることが非常に重要です。

一方、実践能力では、

  • 自分で内容を決めて話す
  • 初めて聞く内容を推測しながら理解する

という力を鍛えていきます。

この全体像を踏まえたうえで、各音声トレーニングを比較していきましょう。

2.7つの音声トレーニングは「何をゴールにするか」が違う

まずは、それぞれのトレーニングで何を目指すのかを整理します。

やり方そのものよりも、「何ができれば、そのトレーニングをクリアしたと言えるのか」を理解することが重要です。

① 音読|長い中国語を速く・正確に読む

音読では、ある程度まとまった中国語の文章を声に出して読みます。

目標は、

意味を理解したうえで、長い文章を速く、正確に読めるようになること

です。

たとえば、一つの文章を最初は何度もつまずきながら読んでいたとしても、反復するうちに、

  • 発音
  • 声調
  • 語順
  • 単語
  • 表現
  • 文法

をまとめて処理できるようになります。

最終的には、中国語を見た瞬間に意味と音声が結びつき、滑らかに読める状態を目指します。

② プロソディー・シャドーイング|中国語らしい音を再現する

シャドーイングとは、ネイティブの音声から0.5〜1秒程度遅れて、影のようについて発話していく練習です。

その中でも、音そのものに意識を向けるのがプロソディー・シャドーイングです。

主な目的は、

  • リズム
  • 抑揚
  • イントネーション
  • 音の区切り
  • 中国語らしい話し方

を再現することです。

つまり、これは特に発音・韻律のトレーニングとして有効です。

中国語の発音基礎を一通り終えた人が、より自然な中国語らしいリズムを身につけたい場合に向いています。

③ コンテンツ・シャドーイング|意味を理解しながら追いかける

一方、音だけではなく、話されている意味・内容に意識を向けながら行うシャドーイングもあります。

これをコンテンツ・シャドーイングと呼びます。

こちらは、プロソディー・シャドーイングよりもコア能力を高める目的に近くなります。

ただし、シャドーイングには一つ難しい点があります。

それは、

意味を理解していなくても「音真似」だけである程度できてしまう

ことです。

中国語をかなり滑らかに発音できる人ほど、聞こえてきた音をそのまま再現してしまい、

「きれいにシャドーイングできているが、意味はそれほど処理できていない」

という状態になることがあります。

そのため、コンテンツ・シャドーイングを行う場合は、

「今、意味を理解しながら追えているか?」

を意識する必要があります。

④ 順番どおりのリピーティング|聞いた中国語を一字一句再現する

リピーティングでは、数秒程度の中国語を聞きます。

音声が止まった後に、

聞いた内容を一字一句できるだけ正確に再現する

トレーニングです。

シャドーイングとの大きな違いは、

発話するときには、すでに元の音声が消えている

ことです。

たとえば、

我昨天跟朋友一起去了一家新开的餐厅。

と聞いた後、音声が止まります。

その状態で、自分だけで同じ文を再現します。

シャドーイングのように音声に乗っかることができないため、聞いた内容を一度自分の中で保持しなければなりません。

その結果、

意味をある程度理解していないと正確に再現しにくい

という特徴があります。

⑤ シャッフル・リピーティング|文章を覚えた勢いだけでは答えられない

リピーティングには、教材の文章を最初から順番どおりに出題する方法だけでなく、チャンクをランダムに出題する方法もあります。

たとえば1,000字程度の文章を十分に学習した後、文章中の一部分が突然流れてきます。

それを一字一句正確にリピートします。

順番どおりなら、

「次はこの文章が来る」

と予測できてしまいます。

しかしシャッフルすると、その予測が使えません。

そのため、

本当にその中国語を音声として理解・処理できているか

をより厳しく確認できます。

難易度は上がりますが、仕上げのチェックとして非常に使いやすいトレーニングです。

⑥ リプロダクション|内容を理解し、自分の言葉で再現する

リプロダクションは、リピーティングと似ていますが目的が違います。

10秒、20秒、30秒など、比較的まとまった内容を聞き、その内容を、

自分の言葉で忠実に再現する

トレーニングです。

一字一句同じである必要はありません。

重要なのは、

  • 情報を漏らさない
  • 不必要に重複させない
  • 内容を正確に捉える
  • 自分の中国語で再構成する

ことです。

通訳訓練などでも使われる方法で、7つの中では比較的「実践」に近いトレーニングです。

ただし、中国語学習者全員が優先的に行う必要があるものではありません。

通訳や高度な要約・発話能力など、特定の目的がある場合に特に有効です。

⑦ 瞬間中作文|日本語を素早く正確な中国語にする

瞬間中作文は、日本語を見て中国語へ素早く変換するトレーニングです。

たとえば、

「彼は昨日上海に行きました。」

を見て、

他昨天去上海了。

と即座に言う。

短い文章を使って、

  • 文法
  • 語順
  • 単語
  • 表現

を口から出せる状態にしていきます。

基本的には模範解答があり、

正しい中国語を素早く作れること

が目標です。

文法や基本表現を「知っている」状態から「口から出る」状態へ移すうえで有効です。

3.「使える中国語を増やす」という目的なら、音読とリピーティングが強い

では、この7つの中で、中国語学習の中心となるコア能力=音声ベースで使える単語・表現を増やすことに向いているのはどれでしょうか。

PaoChaiでは、特に重視しているのが、

音読とリピーティング

です。

音読の強みは「文脈の中で大量に中国語を取り込めること」

音読の大きなメリットは、まとまった文章を使えることです。

単語を単体で覚えるのではなく、文章の中で、

「この単語はこういう状況で使うのか」

「この文法はこういう表現と組み合わされるのか」

と理解できます。

たとえば単語帳で、

改善 gǎishàn:改善する

とだけ覚えるよりも、

我想改善一下自己的学习方法。

のように文章の中で学んだほうが、

  • どこで使うのか
  • どんな語順になるのか
  • どんな単語と一緒に使うのか

まで理解できます。

さらに、一つのストーリーやまとまった文章の中で触れれば、前後の文脈も記憶の手掛かりになります。

そのため、中国語の単語・表現を大量に取り込む方法として非常に優秀です。

リピーティングの強みは「音真似だけではクリアしにくいこと」

リピーティングも、コア能力を高めるうえで非常に有効です。

理由の一つが、

音声が消えてから発話する

という仕組みにあります。

シャドーイングなら、

聞く → すぐ真似する

ことができます。

一方、リピーティングでは、

聞く

音声が止まる

自分の中に保持する

発話する

という処理が必要です。

そのため、単なる音真似だけでは対応しにくくなります。

ある程度、意味や文章構造を処理していなければ、正確に再現することが難しいのです。

この点で、音声と意味を結びつけながら中国語を自分の中に定着させるトレーニングとして優れています。

リピーティングは「できた・できない」を判定しやすい

もう一つ大きなメリットがあります。

それは、

テストしやすいこと

です。

たとえば、

他说他明天可能没时间参加会议。

という音声を聞いて、

他说他明天……没时间……会议。

となったら、どこを聞き取れていないかがかなり明確です。

「可能」が抜けた。

「参加」が抜けた。

このように、一字一句チェックできます。

そのため、

「この教材はどこまでできたら卒業なのか」

という基準を作りやすくなります。

これは長期学習において非常に大きなメリットです。

瞬間中作文も有効だが、長文音読ほど文脈がない

瞬間中作文も、使える表現を増やす方法として有効です。

特に、

「この文法は理解しているのに、会話では出てこない」

という状態を改善するのに向いています。

ただし、短文が中心になるため、長文音読と比較すると文脈が弱いという特徴があります。

一文だけを見て、

「なぜこの人がこの発言をしているのか」

「前後でどういう話をしているのか」

まではわからない場合が多いからです。

したがって、

音読・リピーティングを中心にしながら、瞬間中作文で文法や基本表現の取り出しを補強する

という組み合わせが使いやすいでしょう。

4.シャドーイングは万能ではない。「何のためにやるか」が重要

中国語学習では、「シャドーイングが最強」というような説明を目にすることがあります。

しかし、シャドーイングそのものが悪いわけでも、万能なわけでもありません。

重要なのは、

何のためにシャドーイングするのか

です。

発音・リズムを伸ばすならシャドーイングは非常に有効

ネイティブらしい、

  • リズム
  • 抑揚
  • イントネーション
  • 間の取り方
  • 音のつながり

を身につけたいのであれば、プロソディー・シャドーイングは非常に有効です。

ネイティブ音声にぴったり追従しようとすることで、自分だけで音読していたときには気づかなかった音声的な違いを発見できます。

その意味では、シャドーイングは優れたトレーニングです。

ただし「単語・表現を増やす」目的では音真似に注意する

一方で、

音声ベースで使える単語・表現を増やしたい

という目的の場合には注意が必要です。

なぜなら、シャドーイングは意味を深く処理しなくても、音だけを追ってある程度できてしまうからです。

中国語の発音に慣れている学習者ほど、

「きれいに言えている」

ことと、

「意味まで完全に理解している」

ことが一致しない場合があります。

コンテンツ・シャドーイングとして意味に意識を向ければ改善できますが、「本当に意味に意識を向けられているか」は本人の内面に依存します。

そのため、テストもしづらくなります。

「シャドーイングかリピーティングか」ではなく、組み合わせる

PaoChaiでは、シャドーイングをやめるべきだと考えているわけではありません。

むしろ、最終的にリピーティングをクリアするための過程として、

音読 → シャドーイング → リピーティング

と使うことも有効です。

たとえば、

まず文章を理解して音読する。

次にネイティブ音声に合わせてシャドーイングし、リズムや音を調整する。

最後に音声を止めてリピーティングし、本当に意味と音声が定着しているか確認する。

こうすると、それぞれのメリットを活かせます。

問題なのは、

「シャドーイングさえしていれば中国語が伸びる」

と考えてしまうことです。

トレーニングには、それぞれ役割があります。

7つの音声トレーニングを比較するとどうなる?

ここまでを簡単に整理すると、次のようになります。

トレーニング 主な目標 コア能力向上 発音 実践性 特徴
音読 長文を速く正確に読む 文脈の中で大量にインプットしやすい
プロソディー・シャドーイング 音・リズムを再現 ネイティブらしい音声習得に強い
コンテンツ・シャドーイング 意味を追いながら発話 音真似だけにならない注意が必要
順番リピーティング 一字一句正確に再現 意味で保持しやすく、テストしやすい
シャッフル・リピーティング ランダムな部分を正確に再現 定着度の確認に優れる
リプロダクション 内容を自分の言葉で再現 高度。通訳訓練などにも使われる
瞬間中作文 日本語から中国語を正確に作る ○〜◎ 文法・基本表現の自動化に向く

ここで重要なのは、この表を見て単純に「◎が多いものが最強」と考えないことです。

目的によって評価は変わります。

発音を改善したいならシャドーイング。

音声ベースの語彙・表現を増やしたいなら音読とリピーティング。

文法を口から出せるようにしたいなら瞬間中作文。

高度な内容再現能力を鍛えたいならリプロダクション。

このように使い分けます。

まとめ|中国語の音声トレーニングは「目的」から逆算して選ぶ

中国語には、さまざまな音声系トレーニングがあります。

しかし、

「シャドーイングが一番いい」

「音読だけやればいい」

「アウトプットが重要だから、とにかく話せばいい」

というように、一つの方法だけを絶対視すると、学習戦略が崩れやすくなります。

大切なのは、

「今、このトレーニングで何の能力を伸ばしているのか」

を理解することです。

中国語を話せる・聞けるようになるための土台として、PaoChaiでは、

音声ベースで理解・使用できる単語や表現を増やす「コア能力」

を非常に重視しています。

その目的に対して特に相性がいいのが、

音読とリピーティング

です。

まとまった文章を使って、

① 内容・構造を理解する

② 音読して、意味・語順・音声を定着させる

③ 必要に応じてシャドーイングし、ネイティブの音声に近づける

④ リピーティングで一字一句再現できるか確認する

⑤ 必要に応じて瞬間中作文で、文法や表現を自分から出せるようにする

という形で進めると、非常に整理しやすくなります。

特に重要なのは、

「たくさん声を出したから勉強した」ではなく、「使える中国語がどれだけ増えたか」を見ることです。

同じ1時間でも、

なんとなく音声を真似して終わる1時間と、

意味・語順・音声を理解し、最後にはリピーティングできる状態まで仕上げる1時間では、積み上がるものが大きく変わります。

筋力トレーニングで「今どこの筋肉を鍛えているのか」を意識するのと同じように、中国語学習でも、

「この練習によって、自分の何が伸びているのか」

を意識してください。

音読には音読の役割があります。

シャドーイングにはシャドーイングの役割があります。

リピーティング、リプロダクション、瞬間中作文にも、それぞれ異なる役割があります。

その違いを理解し、自分の目的に必要なトレーニングを選ぶ。

それが、中国語をできるだけ無駄なく、戦略的に伸ばしていくための基本です。

そして、中国語学習において軸となるのは話せる聞けるレベルで身につけた単語表現数(コア能力)です。これを高めるためには音読、リピーティングが最適です。

基礎固めが終わったら、音読とリピーティングを中心に長文を沢山インプットしていくことが近道です。

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冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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