中国語学習は「インプット・アウトプット」ではなく「コア能力・実践能力」で考えよう

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中国語学習では、よく「インプット」と「アウトプット」が重要だと言われます。

一般的には、

  • 単語や文法を覚える=インプット
  • 中国語を話す・書く=アウトプット

というイメージでしょう。

この考え方自体が間違っているわけではありません。

しかし、「中国語を最短で話せる・聞けるようになるために、今何をトレーニングすべきか」を考えるうえでは、インプット/アウトプットという分類は少し曖昧です。

たとえば、音読は声を出しているからアウトプットなのでしょうか。

瞬間中作文はどうでしょうか。

リスニングは「聞く」のだから、すべてインプットなのでしょうか。

こう考えていくと、トレーニングの目的がだんだんわかりにくくなってきます。

そこでPaoChaiでは、中国語学習を考える際に、

「コア能力」と「実践能力」

という2つに分けて考えることをおすすめしています。

今回、一番伝えたい結論はシンプルです。

中国語学習では「インプットかアウトプットか」を考えるより、「コア能力を伸ばしているのか、実践能力を伸ばしているのか」を考えたほうが、学習目的が明確になり、戦略的に学習できる。

この記事では、その理由を4つのポイントに分けて説明します。

1.「インプット・アウトプット」という分け方自体は間違っていない

まず前提として、インプットとアウトプットという考え方そのものを否定する必要はありません。

一般的には、

インプットとは

自分の中に新しい中国語を入れていくことです。

たとえば、

  • 単語を覚える
  • 文法を学ぶ
  • 中国語を読む
  • 中国語を聞く
  • 新しい表現を覚える

といった学習です。

アウトプットとは

自分の中にある中国語を外に出すことです。

たとえば、

  • 中国語で話す
  • 中国語で作文する
  • 中国語で発表する

などです。

このレベルで考えるのであれば、

インプット=入れる
アウトプット=出す

という理解で特に問題ありません。

ただし、実際の中国語トレーニングまで細かく見ていくと、ここから少し問題が出てきます。

具体例:音読はインプットかアウトプットか?

たとえば、中国語の文章を10分間音読したとします。

口から大量の中国語を発しているので、見た目としてはかなり「アウトプット」をしています。

しかし、実際には自分で内容を考えて話しているわけではありません。

すでに用意された文章を、

  • 意味を理解する
  • 文法構造を理解する
  • 発音する
  • 繰り返す
  • 自分の中に定着させる

ということをしています。

つまり、中国語を外に出しているように見えて、学習目的としては中国語を自分の中に入れているわけです。

ここに「インプット/アウトプット」という言葉のわかりにくさがあります。

2.「声を出す=アウトプット」と考えると、トレーニング目的を誤解しやすい

中国語学習で特に多いのが、

「口から中国語を出しているからアウトプットだ」

という考え方です。

しかし、学習戦略上はここを分けて考えたほうがいいでしょう。

音読は「実践会話」ではない

音読では、読む内容がすでに決まっています。

たとえば、

我今天想去超市买东西。

という文章を音読するとします。

学習者はこの文章について、

  • 「今天」は今日
  • 「想」は〜したい
  • 「去超市」はスーパーへ行く
  • 「买东西」は買い物をする

と理解しながら、発音や声調を確認し、何度も口に出します。

これは非常に重要なトレーニングです。

しかし、実際の会話とは違います。

実際の会話では、

「今日何をする?」

と聞かれたときに、

何を答えるのかを自分で考えなければならない

からです。

瞬間中作文も同じ

たとえば、

「彼は先生です。」

という日本語を見て、

他是老师。

と中国語にする。

これも中国語を口から出しています。

しかし、「何を言うべきか」は問題文によってすでに決められています。

そのため、実際の会話で、

「彼はどんな人なの?」

と突然聞かれ、

「大学で中国語を教えている先生です」

などと、その場で内容を組み立てるのとは別の能力です。

シャドーイングやリピーティングも同じ

シャドーイングやリピーティングも、基本的には用意された中国語を反復します。

つまり、

「ありものの中国語」を自分の中に取り込んでいく

トレーニングです。

したがってPaoChaiでは、

  • 音読
  • シャドーイング
  • リピーティング
  • 瞬間中作文

などを、単純に「アウトプット」とは考えません。

これらは主に、コア能力を高めるためのトレーニングと位置づけています。

3.リスニングも「インプット」とだけ考えるとわかりにくい

もう一つ、インプット/アウトプットという分類では扱いにくいのがリスニングです。

「聞く」という行為だけを見れば、当然インプットです。

しかし、中国語を実際に「聞けるようになる」ためには、異なる2種類のトレーニングが必要です。

具体例①:理解した中国語を何度も聞く

たとえば教材を使って、

  1. 中国語を聞く
  2. スクリプトを読む
  3. 単語や文法を確認する
  4. 意味を理解する
  5. もう一度聞く
  6. 音読やリピーティングをする

とします。

これは非常に重要です。

すでに理解した中国語を何度も音声で処理することで、

「この音を聞いたら、この意味だ」

という結びつきを強くしていきます。

これは、コア能力を高める学習です。

具体例②:何を言われるかわからない中国語を聞く

しかし、実際の中国語コミュニケーションは違います。

友人と話すときも、中国のお店に行ったときも、相手が次に何を言うかはわかりません。

突然、

你是不是第一次来这边?

と聞かれるかもしれません。

あるいは、自分が想定していなかった話題に突然変わることもあります。

そこで必要なのは、

初めて聞く内容を、その場で理解する能力

です。

100%聞き取れなくても、

  • 聞き取れた単語
  • 会話の流れ
  • 文脈
  • 相手の表情
  • それまでの話題

などを使って、

「おそらくこういう意味だろう」

と推測しながら理解します。

これは、理解済みの音声を何度も聞く練習とは異なります。

「リスニング=インプット」では、この違いが見えにくい

どちらも「中国語を聞いている」という意味ではインプットです。

しかし、鍛えている能力は違います。

だからこそ、

「聞く=インプット」

とだけ分類するより、

「これはコア能力を高めるリスニングなのか」

「これは実践能力を高めるリスニングなのか」

と分けたほうが、学習目的が明確になります。

4.中国語学習は「コア能力」と「実践能力」で考える

そこでPaoChaiでは、中国語学習を、

コア能力(Core)

と

実践能力(Practice)

に分けて考えています。

これは、PaoChaiで提唱している「BCP方式」の考え方です。

BCPとは、

  • B=Base:基礎
  • C=Core:コア能力
  • P=Practice:実践能力

です。

最初に発音や基礎文法などの「B=基礎」を固める。

その後は、

C=コア能力
P=実践能力

を並行して伸ばしていきます。

コア能力とは「使える中国語のストックを増やすこと」

コア能力を簡単に言えば、

自分が理解・使用できる中国語を増やしていくこと

です。

たとえば、

100語しかわからない状態から500語へ。

500語から1,000語へ。

1,000語から2,000語、3,000語、4,000語へ。

単語だけでなく、

  • 表現
  • 文法
  • 構文
  • 発音
  • 声調
  • 語順

なども含めて、自分が処理できる中国語を増やしていきます。

ここで重要なのが、

「ありものを入れる」

という感覚です。

すでに存在している正しい中国語を、理解し、反復し、自分の中に定着させていく。

そのために、

  • 音読
  • リピーティング
  • シャドーイング
  • 瞬間中作文

などを行います。

実践能力①:自分で内容を決めて話す

一方、実践能力の1つ目は、

自分で内容を決めて発話すること

です。

たとえば中国人の友人から、

「日本と中国の生活で、一番違うと思うことは何?」

と聞かれたとします。

ここでは、模範解答はありません。

自分で、

「食生活について話そう」

「仕事について話そう」

「キャッシュレス決済について話そう」

などと内容を決めなければなりません。

そして、自分が持っている中国語を使って文章を作ります。

これが実践です。

実践能力②:初めて聞く内容を推測しながら理解する

もう一つの実践能力が、

初めて聞く内容を、その場で理解すること

です。

実際の会話では、相手の発言を事前に確認することはできません。

知らない単語も出てきます。

聞き取れない部分もあります。

それでも、

「今の話の流れなら、たぶんこういう意味だろう」

と推測しながら会話を続けます。

この能力も、実践の中で鍛えていく必要があります。

具体例:AI会話や実際の会話を使う

実践能力を鍛える方法としては、

  • AIとの中国語会話
  • 中国語話者との会話
  • インタビュー形式の会話練習
  • テーマを決めたフリートーク

などがあります。

特にAI会話では、

自分で内容を考えて発話し、

AIから返ってきた「初めて聞く内容」を理解し、

さらに返答する、

という流れを繰り返せます。

そのため、実践能力を鍛える方法として非常に使いやすくなっています。

まとめ:中国語学習では「今、何の能力を伸ばしているのか」を考えよう

今回一番伝えたいのは、

「インプット」と「アウトプット」という言葉を禁止しましょう

ということではありません。

大切なのは、もっと具体的に、

「今、自分は何の能力を伸ばすために、このトレーニングをしているのか」

を理解することです。

中国語学習を戦略的に考えるなら、

コア能力

「ありもの」の中国語を取り込み、自分が理解・使用できる中国語のストックを増やす。

たとえば、

  • 単語・表現学習
  • 音読
  • リピーティング
  • シャドーイング
  • 瞬間中作文

などです。

実践能力

実際のコミュニケーションに対応する力を伸ばす。

特に、

①自分で内容を決めて話す
②初めて聞く内容を推測しながら理解する

という2つを鍛えます。

基礎を固めた後は、このC=コア能力とP=実践能力を並行して伸ばしていくことが重要です。

たとえば音読をするときには、

「今日はアウトプットをしている」

ではなく、

「この文章の単語・表現・語順・音声を、自分の中に取り込んでいる」

と考える。

会話するときには、

「今日は自分で内容を決めて話す練習をする」

と考える。

リスニング実践では、

「何を言われるかわからない状況で、文脈から意味を推測して理解する」

ことを意識する。

こうしてトレーニングの目的が明確になると、中国語学習はかなり整理しやすくなります。

「インプットを増やそう」

「アウトプットしなきゃ」

という漠然とした学習から一歩進んで、

「コア能力の何を伸ばすのか」
「実践能力の何を鍛えるのか」

という視点で学習を組み立ててみてください。

それが、無駄を減らし、より戦略的に中国語を話せる・聞ける状態へ近づくための重要な考え方です。

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冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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