中国語の発音練習、本当に必要?「発音は大事。でも、発音矯正にハマる必要はありません」

中国語を勉強していると、かなり高い確率で出てくるのが、

「中国語は発音が命」

という話です。

「最初の数ヶ月は発音だけやったほうがいい」

「ネイティブに何度も直してもらわないと通じない」

「発音が悪いまま先に進むと、あとから直せなくなる」

こんな話を聞いて、

「中国語って、そんなに発音を完璧にしないといけないの?」

と不安になる人もいると思います。

結論から言うと、私は次のように考えています。

中国語の発音練習は必要です。

ただし、

必要なのは「基礎レベルの発音」を身につけることです。

ネイティブのような発音を目指して、延々と発音矯正を続ける必要はありません。

そして、発音基礎を身につけたあとに本当に重要なのが、

大量の「音読」です。

ただし、ここで大事なのは、

音読=発音練習ではない

ということです。

今回は、この3つについて説明します。

1.中国語の発音練習は必要。ただし「必要最低限」でいい

まず、中国語を学ぶうえで発音練習は必要です。

これは間違いありません。

中国語には、日本語にはない音がたくさんあります。

たとえば、

  • 有気音・無気音
  • そり舌音
  • üの音
  • nとngの違い
  • 4つの声調
  • 軽声
  • 3声変調や「一」「不」の変調

など、中国語特有の発音ルールがあります。

特に中国語の場合、発音が変わると、単に「少し外国人っぽく聞こえる」というだけではありません。

意味の区別そのものに関わることがあります。

そのため、中国語を始めたばかりの段階で、

「ピンインを見て、だいたい正しい音を出せる」

「四声を区別して発音できる」

「中国語の音の仕組みを理解している」

という状態までは、きちんと作ったほうがいいです。

逆に言えば、まず目指すべきなのはこのレベルです。

発音学習のゴールは「ネイティブになること」ではない

初心者の発音学習で大事なのは、

中国語の音のルールを理解して、通じる音を再現できるようになること。

これです。

たとえば、

「ここは舌を巻く」

「これは日本語の『し』とは違う」

「この音は息を強く出す」

「2声と3声はこう違う」

といった基本的なルールを理解し、自分でもある程度再現できる。

ここまでは、かなり重要です。

しかし、その先までずっと、

「もっとネイティブっぽく」

「もっと自然に」

「もっと中国人らしく」

と発音だけを磨き続ける必要があるかというと、私はそうは思いません。

2.「発音矯正」に時間を使いすぎる必要はない

ここは、中国語学習で意外と重要なポイントです。

発音練習と発音矯正は、分けて考えたほうがいいです。

初心者が中国語の音の仕組みを学び、通じる発音を身につける。

これは必要です。

一方で、すでにある程度通じている人が、

「もっとネイティブらしい音にしたい」

「外国人っぽさを完全になくしたい」

という目的で細かな発音修正を続ける。

これは、必ずしもすべての中国語学習者に必要なものではありません。

もちろん、

  • 中国語のナレーターになりたい
  • 中国語で俳優や司会の仕事をしたい
  • 発音そのものを極めたい

という人なら別です。

しかし、多くの人が中国語を勉強する目的は、

中国語でコミュニケーションを取れるようになること

ではないでしょうか。

そうであれば、

100時間使って発音を90点から95点にするより、

その100時間で、

  • 語彙を増やす
  • 文法を身につける
  • 中国語を大量に聞く
  • 音読する
  • 会話する

ほうが、総合的な中国語力は大きく伸びる可能性があります。

「発音が少し外国人っぽい」こと自体は問題ではない

日本語を上手に話す外国人を考えてみてください。

多少アクセントが外国人っぽくても、

語彙が豊富で、

自然な表現を使えて、

相手の話を理解できて、

自分の考えをきちんと説明できる人であれば、

コミュニケーション上、大きな問題はありません。

中国語も同じです。

もちろん、何を言っているかわからないほど発音が崩れているなら直す必要があります。

しかし、

十分通じているのに、「ネイティブではない」という理由だけで発音矯正を続ける必要はありません。

外国人には外国人の発音が多少残っていて当然です。

中国語学習の目的がコミュニケーションなのであれば、

「通じる発音」を確保したら、次へ進む。

これくらいの考え方でいいと思います。

3.発音基礎ができたら、むしろ「音読」が超重要

では、発音練習を終えたら何をするのか。

私は、

音読が非常に重要だと考えています。

ただし、ここで一つ強く言っておきたいことがあります。

音読は、発音練習ではありません。

もちろん、音読をしていれば、結果的に発音も改善します。

何度も中国語を声に出すので、

声調やリズム、音のつながりにも慣れていきます。

しかし、それは音読の効果の一部にすぎません。

音読の本当の目的は、

中国語の語彙・文法・表現を「音声として」自分の中に蓄積していくことです。

4.音読は「中国語を口から出せる状態」を作るトレーニング

たとえば、

我觉得这个方法比较好。

という文を見て、

単語の意味もわかる。

文法も理解できる。

日本語にも訳せる。

それでも、実際の会話になると、

「えーっと……我……觉得……」

となってしまう人は少なくありません。

これは、

中国語を「知っている」けれど、「使える状態」にはなっていない

からです。

外国語を使うときに、毎回、

日本語を考える

単語を思い出す

文法を組み立てる

声調を考える

発音する

という処理をしていたら、会話にはなかなか追いつけません。

そこで必要なのが音読です。

同じ中国語を何度も聞き、理解し、声に出す。

これを繰り返していくことで、

中国語の語彙や文型を、音のまとまりとして身体に定着させていきます。

「我觉得〜」

「如果〜的话」

「对我来说〜」

「其实我觉得〜」

といった表現が、一語ずつ考えなくても、まとまりとして口から出てくる。

この状態を作っていく。

これが音読の大きな目的です。

5.だから「発音練習」と「音読」を混同しないほうがいい

中国語学習では、

「発音が重要だから音読をしましょう」

と言われることがあります。

これは間違いではありません。

しかし、この説明だけだと、

音読=発音をきれいにするための練習

だと思ってしまいます。

私は、これは少しもったいない捉え方だと思っています。

音読はもっと中心的なトレーニングです。

発音だけではなく、

  • 語彙
  • 文法
  • 語順
  • 中国語らしい表現
  • リスニング
  • スピーキング
  • 中国語を処理するスピード

こうした能力をまとめて鍛えるためのトレーニングです。

つまり、

発音練習は「中国語学習を始めるための基礎工事」。

その基礎の上で、

音読によって中国語そのものを身体に入れていく。

このように考えるとわかりやすいと思います。

発音だけを何ヶ月もやるより、「基礎→音読」へ進もう

中国語の発音が重要なのは間違いありません。

だからといって、

発音が完璧になるまで次の勉強をしてはいけない

ということではありません。

むしろ、発音だけを延々と続けてしまうと、

語彙も増えない。

文法も身につかない。

聞ける中国語も増えない。

話せる内容も増えない。

という状態になってしまいます。

最初に集中して発音基礎を身につける。

ある程度できたら、中国語そのものの学習へ進む。

そして、文章を大量に聞き、大量に音読して、中国語を音声ベースで定着させていく。

この流れがおすすめです。

もちろん、その過程で明らかな発音の問題が見つかったら、その都度修正すればいい。

つまり、

発音は「最初に全部完成させるもの」ではなく、基礎を作ったあとも中国語を使いながら徐々に改善していけばいいもの

だと考えています。

まとめ:中国語学習で大切なのは「発音を極めること」ではない

今回の内容をまとめます。

① 発音練習は必要

中国語には日本語にない音や声調があります。

そのため、初心者のうちに発音の仕組みを理解し、

「通じる発音」を身につけるための基礎練習

は必ずやったほうがいいです。

② ただし、発音矯正を続ける必要はない

中国語学習の目的がコミュニケーションなら、ネイティブ並の発音を目指す必要はありません。

ある程度きちんと通じるのであれば、

発音を90点から95点にするより、中国語全体を伸ばすことに時間を使う。

そのほうが合理的です。

③ その後の「音読」が超重要

そして、発音基礎を身につけたあとこそ音読です。

ただし、

音読は単なる発音練習ではありません。

中国語の語彙・文法・表現を、音声のまとまりとして頭と身体に蓄積し、

中国語を聞いて理解し、口から自然に出せる状態を作るためのトレーニング

です。

中国語学習では、

発音を極めることを目的にするのではなく、発音基礎をできるだけ早く固め、その基礎を使って大量の中国語を音声で身につけていく。

この順番が非常に重要です。

「中国語は発音が大事」と言われて、発音学習から先に進めなくなっている人は、

「完璧な発音」ではなく「中国語を使えるようになること」

をゴールにしてみてください。

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冨江コーチ

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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