中国語の発音練習、本当に必要?「発音は大事。でも、発音矯正にハマる必要はありません」
中国語学習では、必ずと言っていいほど「発音が重要」と言われます。
実際、中国語には日本語にはない音があり、さらに四声もあります。
そのため、
「発音を完璧にしてから次に進んだほうがいいのでは?」
「ネイティブと同じ発音になるまで練習すべき?」
「発音矯正をずっと受けたほうがいい?」
と悩む人もいるでしょう。
一方で、
「多少発音が悪くても、通じればいいのでは?」
という考え方もあります。
では、中国語の発音練習は本当に必要なのでしょうか。
今回一番伝えたい結論は、次のとおりです。
中国語の発音練習は必要です。ただし、一般的な会話を目的とするなら、最初に基礎を集中的に固めた後は、「発音だけ」を延々と練習する必要はありません。
PaoChaiでは、発音の基礎をある程度固めたら、音読などを使った本格的な中国語学習へ移り、その中で発音も継続的に改善していく方法を推奨しています。
重要なのは、
「発音を完璧にしてから中国語を学ぶ」のではなく、「発音の方向性を最初に合わせ、その後は中国語そのものを学びながら発音も磨く」
という考え方です。
4つのポイントから詳しく説明します。
1.中国語の発音がどこまで必要かは「目的」で決まる
まず大前提として、
「中国語の発音はどこまで上手くなる必要があるのか?」
という問いに、すべての人に共通する答えはありません。
何のために中国語を使うのかによって、必要なレベルが違うからです。
発音そのものが目的なら、とことん追求すればいい
極端な例ですが、
「中国語の発音がどれだけネイティブに近いかを競うコンテスト」
があり、優勝したら賞金100万円もらえるとします。
この場合は、当然、
徹底的に発音を磨く
のが合理的です。
一つひとつの音から、
- 舌の位置
- 口の形
- 息の出し方
- 声調
- リズム
- イントネーション
まで、できる限りネイティブに近づければいいでしょう。
しかし、中国語学習者の多くが目指しているのは、そこではないはずです。
多くの人の目的は「中国語でコミュニケーションすること」
たとえば、
- 中国語で商談する
- 中国語でプレゼンする
- 質疑応答に対応する
- 中国人の同僚と仕事をする
- 会食で雑談する
- 中国旅行でコミュニケーションする
- 中国人の友人と話す
といった用途です。
この場合に必要なのは、
相手の中国語を理解し、自分の伝えたいことを中国語で伝えられること
です。
発音は、そのための手段です。
したがって、発音学習の目標も、
「ネイティブとまったく同じ発音」ではなく、「実際のコミュニケーションで安定して通じる発音」
と考えたほうが、学習戦略として合理的です。
2.発音の基礎は最初にしっかり固める
「ネイティブ並みまで発音を追求しなくていい」
というと、
「では、発音は適当でいいのか?」
と思うかもしれません。
それは違います。
むしろPaoChaiでは、中国語学習の初期には発音をかなり重視しています。
重要なのは、
どこまでを「発音の基礎」として最初に固めるか
です。
まず中国語の音節を正しく発音できるようにする
最初に取り組みたいのが、中国語の「音節」です。
中国語には、日本語の五十音表のように、発音可能な音節を整理した「音節表」があります。
まずは、
- 声母
- 韻母
- 音節
を理解し、それぞれをある程度正確に発音できる状態を作ります。
たとえば、
「この音は日本語の『シ』とは違う」
「この子音では舌をこの位置に置く」
といった基本を確認しておく。
ここを曖昧なまま大量の中国語を覚えてしまうと、間違った音で単語を大量に記憶することになり、その後の修正が大変になります。
四声だけでなく「声調の組み合わせ」まで練習する
中国語では、
- 第一声
- 第二声
- 第三声
- 第四声
の四声を単独で発音できるだけでは十分ではありません。
実際の中国語では、単語として複数の音節が連続します。
そのため、
第一声+第一声
第一声+第二声
第二声+第四声
といった、声調の組み合わせにも慣れる必要があります。
PaoChaiでは、軽声を含めた2音節語の声調パターンを使い、単語として自然に声調をつなげる練習を重視しています。
最後に「単語から文」へつなげる
単語単位で発音できるようになったら、次は文章です。
ここには少し壁があります。
一つひとつの単語を正しく言えても、
我 / 今天 / 想 / 去 / 中国 / 银行……
のように、すべての単語を独立させて発音すると不自然になります。
実際の中国語では、
- 意味のまとまり
- リズム
- 区切り
- 強弱
- イントネーション
などを意識して、文章全体として発音する必要があります。
ここでは、音読やシャドーイングなども有効です。
特にシャドーイングは、ネイティブ音声を追いかけるため、中国語らしいリズムや抑揚を身につける発音練習として使いやすいでしょう。
発音だけを集中的に練習する期間は長くなくていい
PaoChaiでは、毎日ある程度まとまった学習時間を確保できる場合、発音だけに特化した基礎学習は、おおむね1〜3週間程度を一つの目安としています。
もちろん、これは全員が必ず3週間で完成するという意味ではありません。
学習経験や得意・不得意によって大きく変わります。
また、3週間後に発音が「完成」するわけでもありません。
重要なのは、
最初から100点を目指すことではなく、正しい方向へ発音できる状態を作ること
です。
イメージとしては、初期段階で6〜7割程度まで方向性を合わせる。
その後、
「この音が苦手だ」
「第三声+第四声になると崩れる」
といった課題を自覚しながら、実際の中国語学習の中で徐々に修正していきます。
つまり、
発音の基礎を作る
→ 中国語そのものの学習へ進む
→ その中で発音も磨き続ける
という流れです。
3.会話目的なら「ネイティブ並みの発音」を目指しすぎなくていい
発音の基礎ができた後も、
「もっとネイティブに近づけなければ」
と発音だけに大量の時間を使う人がいます。
発音そのものを極めたいのであれば、それも一つの目標です。
しかし、一般的な中国語コミュニケーションを目的とするなら、学習時間の配分を考える必要があります。
「通じる発音」と「ネイティブ発音」は別
まず目指したいのは、
聞き手が無理なく理解できる中国語
です。
その先には、
「さらに自然な発音」
「さらにネイティブに近いリズム」
「ほとんど外国人だとわからない発音」
という段階があります。
しかし、その最後の数%を改善するためには、かなり多くの時間がかかります。
その時間を使えば、
- 使える単語を300語増やす
- 新しい表現を100個覚える
- リスニング教材を何本も仕上げる
- 実際の会話経験を増やす
こともできます。
学習時間には限りがあります。
したがって、
「発音をさらに1%ネイティブへ近づけること」と「中国語そのものをもっと使えるようにすること」のどちらが自分の目的に重要か
を考える必要があります。
音声入力を一つのチェック材料にする
自分の発音が通じるレベルになっているかを確認する簡易的な方法の一つが、スマートフォンなどの中国語音声入力です。
たとえば、数十秒程度の中国語文章を十分に練習します。
そのうえでスマートフォンに吹き込み、
大部分が意図した中国語として認識されるか
を確認します。
もちろん、これは絶対的な発音試験ではありません。
音声認識には文脈からの推測も入りますし、システム側の誤認識もあります。
したがって、
「95%認識されたから発音は完全」
という意味ではありません。
ただ、
自分の中国語が安定して音声認識されるか
を見る簡易的なチェックとしては利用できます。
人間も一音ずつ完全に聞いているわけではない
実際のコミュニケーションでは、人間もすべての音を独立して完璧に認識しているわけではありません。
前後の文脈や状況から、
「おそらくこの単語を言っているのだろう」
と補いながら理解しています。
日本語でも同じです。
多少聞き取りにくい発音があっても、話題や文脈から意味がわかることがあります。
そのため、外国人が中国語を話す際に、一音一音がネイティブと完全に一致しなければコミュニケーションできないわけではありません。
「外国人として自然に通じる中国語」で十分
もう一つ大切なのは、
中国語を外国語として使っている
という事実です。
日本人が中国語を話すのであれば、多少日本人らしいアクセントが残っていても、それ自体が問題とは限りません。
重要なのは、
「外国人訛りがあるか」
ではなく、
相手が自然に理解できるか
です。
英語でも、アメリカ人、イギリス人、インド人、日本人、中国人など、さまざまなアクセントがあります。
それでもコミュニケーションは成立します。
中国語でも、
「日本人として中国語を使い、しっかりコミュニケーションできる」
という状態をまず目指せば十分です。
もちろん、発音そのものが好きで、
「中国人と区別できないくらい上手くなりたい」
という目標を持つことはまったく問題ありません。
ただ、それをすべての中国語学習者に必要な到達点と考える必要はないということです。
4.発音の基礎を終えた後は「音読」を学習の軸にする
ここで、非常に重要な誤解を一つ解いておきたいと思います。
中国語の発音について話すと、
「では、その後も音読を続けて発音を鍛えるのですね」
と思う人がいるかもしれません。
しかし、PaoChaiでは、
音読を単なる発音練習とは考えていません。
音読の本当の目的は「発音改善」ではない
もちろん、音読をすれば発音練習にもなります。
しかし、それは音読の副次的な効果です。
音読の中心的な目的は、
文章の中に含まれている中国語の単語・表現・文法・語順を、音声ベースで自分の中に取り込むこと
です。
たとえば、一つの文章を、
10回、20回、30回……
と繰り返し読みます。
その過程で、
- この単語はこういう文脈で使う
- この表現はこの単語と組み合わせる
- この文法ではこの語順になる
- この中国語はこういう音で聞こえる
という情報が、まとまりとして定着していきます。
つまり、
音読=使える中国語を増やすトレーニング
なのです。
発音練習と音読は目的が違う
ここを整理しておくと、学習戦略がかなり明確になります。
発音基礎練習では、
「中国語の音を正しく作れるようにする」
ことが目的です。
一方、音読では、
「話したり聞いたりできる中国語のストックを増やす」
ことが目的です。
もちろん、音読中に発音がおかしければ修正します。
しかし、
「今日の音読では、発音をネイティブに近づけるぞ」
だけを目的にするのではありません。
むしろ、
「この文章に含まれる単語や表現を自分のものにする」
という意識で取り組むことが重要です。
発音は「独立した学習」から「中国語学習の中の一要素」へ移す
学習初期は、
発音そのものを練習する
時間を取ります。
しかし基礎ができたら、
- 音読
- リピーティング
- シャドーイング
- 会話
- リスニング
など、本格的な中国語学習の中で発音を改善していけばよいのです。
たとえば音読していて、
「この音は苦手だな」
と思ったら、そこだけ発音を確認する。
ネイティブ音声と比べて、
「自分はここで不自然に区切っている」
と気づいたら修正する。
このように、
発音を中国語学習から切り離して永遠に練習するのではなく、中国語を学ぶ中で発音も育てる
という段階へ移ります。
これが、限られた時間で中国語全体を伸ばすうえで合理的です。
中国語の発音学習で避けたい2つの極端な考え方
発音学習では、大きく2つの極端があります。
「発音はどうでもいい」
一つは、
「多少間違っていても中国語なら通じるから、発音練習はいらない」
という考え方です。
中国語では声調や子音・母音の違いが意味の区別に関わるため、基礎発音を無視するのはおすすめできません。
最初に正しい方向性を作ることは非常に重要です。
「発音が完璧になるまで次へ進めない」
もう一つは逆に、
「ネイティブ並みになるまで単語や文法の学習へ進んではいけない」
と考えることです。
これも非効率になりやすいでしょう。
発音は実際の単語や文章を大量に使う中でも改善していきます。
したがって、
基礎をしっかり固める。しかし完璧主義にはならない。
このバランスが大切です。
まとめ|発音は最初に固め、その後は中国語そのものを伸ばそう
「中国語の発音練習は本当に必要なのか?」
今回の答えをまとめると、
必要です。ただし、会話目的なら発音だけを延々と磨き続ける必要はありません。
まず、中国語学習の初期に、
- 音節
- 四声
- 声調の組み合わせ
- 単語の発音
- 文としての基本的なリズム
を学びます。
この段階では、発音をかなり重視してください。
PaoChaiでは、十分な学習時間が取れる場合、こうした発音に特化した基礎学習を1〜3週間程度で集中的に行うことを一つの目安にしています。
ただし、ここで100点を取る必要はありません。
大切なのは、
「正しい方向に発音できる状態」を作ること
です。
その後は、
発音練習
→ 中国語そのものを伸ばす学習
へ中心を移します。
特に音読を使って、
- 単語
- 表現
- 文法
- 語順
- 音声
をまとめて自分の中に取り込み、話したり聞いたりできる中国語を100、200、300と増やしていきます。
その過程で、発音も少しずつ改善していけばよいのです。
そしてもう一つ重要なのが、
音読は「長い文章を使った発音練習」ではない
ということです。
音読の本当の目的は、
音声ベースで使える中国語を増やすこと。
発音改善は、その過程で得られる重要な副次的効果です。
中国語を会話で使えるようになりたいのであれば、
最初に発音の基礎をしっかり作る。
しかし、ネイティブ発音の追求だけに時間を使いすぎない。
その後は、音読などで使える中国語そのものを増やしていく。
この順番で考えてみてください。
「発音を完璧にしてから次へ進む」のではなく、
「通じる発音の土台を作り、その土台の上に大量の中国語を積み上げていく」
こと。
それが、実際の会話で中国語を使えるようになることを目的とした場合の、合理的な発音学習の考え方です。
冨江コーチ
東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、実践的な中国語学習のサポートをいたします。2016年から語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行いながら、中国語と日本語を教える。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。テニス、ラグビーなどスポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。
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